塩野七生のレビュー一覧
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マキャヴェッリ これまでは「君主論」の著者ということくらいしか知らなかった(もっとも、君主論だっていまだ読んじゃいないのだが。。)。
ふーん、もともとはフィレンツェの敏腕官僚&外交官なんだね。それも相当な労働中毒だ。
42才の時クーデターが起き、それまで活躍しすぎていたこともあって、あえなくクビ。収入の道を絶たれ、生きがいも無くし、失意の中で「君主論」など後世に残る著作を次々とものにする。人生、何が不幸なのか、何が幸いするのかわからないもんで、このクビがなければ後世これほどマキャヴェッリの名前が残っていないはず。
マキャベリズム 辞書によれば「目的のために手段を選ばないやり方」とある。いささか印象が悪い。これも後世の人々の誤解や歪曲がかなり入っているらしい。聞いて見なけりゃわからんもんだ。とはいえ、塩野先生はほれ込んだらあばたもエクボっぽく書くので、塩野説を100%信じてもいないわけだが。。。。 -
Posted by ブクログ
比較的平和な時代が続き、落ち着いて読めた。
公共事業や施策の記述が多くて面白かったが、読者の好き嫌いは分かれるかもしれない。
大きな出来事のひとつは、ユダヤが火を噴いたこと。
それについて、ユダヤ人の考え方、他民族とのその違いについて詳細に書かれており、納得感があった。歴代皇帝の扱いの変遷についてもまとめられており、理解の助けとなった。
個人的には、一神教はよいことがほとんどないと思う。弱者に生きる希望を与えるだけならよいのだけれど。排他的、選民思想、教則を理由に権利だけ主張して義務を拒否する、ということであれば、それなりの扱いをされても仕方がないと感じた。
現代でも状況は変わらないし、どこまでいっても合意することはできないだろうと思う。 -
Posted by ブクログ
本書では、1453年のビザンチン帝国の首都コンスタンチノープルの陥落以降の地中海世界の歴史を描いている。この時代以降、イスラム教とキリスト教の対立は「大国のパワーゲーム」の世紀となる。オスマン・トルコのスルタン、スレイマン。フランス王フランソワ1世。スペイン王で神聖ローマ帝国皇帝でもあったカルロス。そしてローマ法王パオロ3世。キャラの立つ登場人物が繰り広げる国際政治は、現在といささかも変わらぬリアルでシビアな冷酷さを持ったものであると感じた。
著者は戦いの描写がうまく、おもしろい。それぞれの勢力の背景である社会制度や経済状態、また文化の違いの描写は詳細にわたっており、興味深い。
「マルタ騎士団の戦い」は、読んで人間の残忍さとともに、血湧き肉踊るワクワク感をも感じた。全ての力を振り絞った戦いには残酷さとともに感動をも覚える。そして、戦いの最終決戦のような「レパントの戦い」(1571年)へと物語りは盛り上がる。
地中海世界におけるイスラムの海賊は、正規の事業として運営されていたことが本書で詳細に紹介されている。時代と価値観が違うとはいえ、あまりにもむごいと感じた。我々が「海賊」というと、ディズニーのカリブの海賊を思い浮かべるが、この地中海世界ではつい最近まで多くの「海賊」が跋扈しており、あらゆる海賊行為の厳禁を宣言した「パリ宣言」が成立したのは1856年だったことを本書は教えている。本書は、「平和」の価値と、それが成立するための条件をいろいろと考えさせてくれると思った。上・下巻ともに飽きずに読める良書であると感じた。 -
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本書は、「ローマ人の物語」(全15巻)の続編として、ローマ帝国崩壊以降の地中海世界の興亡を描いた書であるが、とにかくおもしろい。「ローマ人の物語」では、「ユリウス・カエサル」を描いた2巻が最高に面白く、おそらく著者もそこを一番書きたかったのではなかったかと思わせるものであるが、本書も、歴史のダイナミズムを教えてくれるものであると思った。
本書では、西ローマ帝国が滅亡した紀元476年以降を描いているが、「イスラムの急速な拡大」や「十字軍」、「海賊」等々、内容は詳細だが、おもしろく、地中海の風景が目の前に浮かぶような文章だと感じた。
この時代のイスラム教とキリスト教の対立はなんとすさまじいものか。延々と戦い、延々と殺しあう、正義と正義の戦いだ。なんと不毛なことか。その被害の大きさには、ため息さえ出ない。人間とはなんとおろかなことか。現在でもイスラエルとパレスチナの戦いを見ると、過去を笑うことはできないと思った。人間とは進歩がないと言うべきか、代わらないのが人間だと言うべきか。
ヨーロッパの詳細な歴史を知る機会は、あまり多くはなく、学校の歴史教科書でも数ページ程度かと思う。本書は、ヨーロッパの土台を教えてくれる本であると感じた。分厚さの割には、飽きずに読める良書である。 -
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「ローマ人も物語」の続編…
地中海はキリスト教国と、イスラム世界の対立が続く
「海賊」の認識がひっくり返る
キリスト教とイスラム教の対立は永遠に続くと思わざるを得ない
イスラム勢力圏の急速な台頭、アラビア半島から始まり、100年でペルシャからスペインまで征服、「新興の宗教が常に持つ突破力と、アラブ民族の持つ征服欲が合体した結果」」「右手に剣、左手にコーラン」
狙われる修道院、「貧しさを徳とし神に生涯を捧げた修道僧たちが、祈りと労働に明け暮れる静けさに満ちた日々を送る宗教施設…中世の修道院ではない」
「神に祈ったことが成就しなくても、それは信仰心が不十分である…」
「プラスには必ずマイナスがついてくる、拉致に対する救出活動が盛んになればなるほど拉致が金になり、続いていく…」
地中海に海賊が消えたのは、1830年フランスがアルジェリアを植民地にしてから。