塩野七生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
父が法王に選ばれた時から死に至るまで、読み終わって、この量に随分圧縮されたんだなという感想。
作者の筆致はとても濃密なのだが、要所をていねいに取り上げていて、きっと現実的な時間感覚で取り上げてしまったら何倍の量になっていただろう。
父によって枢機卿に選ばれ、緋のマントを身につけていた頃は、まだ聖職者としての面影もあったように思うけれど……。
それでは、「ここまで」しか行けないという、限界も見えていたのだろうか。
金と力を手にし、還俗するという荒技を為してしまう中盤は、フランスを盾に持ち、イタリア中をボコボコにして回り始めるチェーザレ。
他の本では、殊にその美貌を取り上げられていたりするけれど、備わっているものでは満たされないのか……。
正直、この中盤はもっと描かれても良いと思うけど、全体から見ると致し方なし。
マキアヴェッリとかダヴィンチとかのくだりも、短いけどめちゃくちゃ面白い。
君主論未読が悔やまれる。
マラリア感染以降、おのれ後一歩で、、、の展開を迎えるチェーザレ。
まさに波乱万丈。
たった一人の青年に、これだけのドラマが詰め込まれる。人間、恐るべし。 -
Posted by ブクログ
塩野七生 「 ローマ亡き後の地中海世界 」
ローマ帝国滅亡後の地中海通史=キリスト教とイスラム教の対立史。サラセンのシチリア征服(イスラム勢力の拡大)〜ノルマンコンクエスト(キリスト教国家の反撃)まで。
印象に残るのは シチリアとヴェネツィア。
シチリアの通史〜イスラム化、ノルマンコンクエスト、ノルマン王朝におけるイスラム教とキリスト教の共生の歴史〜は 未来的な感じがする。ヴェネツィア については 著者の「海の都の物語」を読もうと思う。
ノルマンコンクエストの成功要因を
*イスラム教徒間の宗教的な内紛(同一宗教内の対立)
*地中海経済の共有を目的とした キリスト教国家間の協力
としたことに 現代にも通じる普遍性を感じた
シチリアの歴史
*サラセン(北アフリカのイスラム教徒)の海賊→シチリア制圧(シチリアのイスラム化)→教会のモスク化
*ノルマンディー人が再征服(ノルマンコンクエスト)→シチリアがキリスト教国家へ
*シチリアのノルマン王朝〜キリスト教国家とイスラムの家の共生
イスラム教
*世界には「イスラムの家」と 「戦争の家」しかない
*「イスラムの家」に属する者の責務は「戦争の家」に行って「イスラムの家」を拡大すること
*イスラム教には 国家概念がない→国家概念がないので 税金をとれない→寄付 と 被支配者への税により、イスラム共同体を運営
*イスラムの寛容により シチリアには キリスト教徒が
「平和の確立は 軍事ではなく、政治意志である」
平和は 求め祈っただけでは実現しない〜乱そうものなら タダでは置かないと言明し〜実行して初めて現実化する
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Posted by ブクログ
西ローマ帝国滅亡から17世紀くらいまでの地中海の情勢を解説する本。
地中海の東と南はイスラムの勢力下になり、地中海の北側のキリスト教との争いに明け暮れる。
特に印象的なのはイスラム勢の海賊が、主にキリスト教をさらって奴隷にする。それを開放するために騎士団が金で買い戻すという歴史がずっと続くというもの。
キリスト教側は聖ヨハネ騎士団と聖ステファノ騎士団はイスラム圏に海賊行為をし返すが、それ以外は防戦一方という印象だ。
イスタンブール、エルサレム、スペイン、地中海の島々などを取ったり取られたりの繰り返し。本編とは関係ないけど個人的に中東の問題の根深さを感じた。
著者は本書の期間中に起きた十字軍遠征、コンスタンチノープル陥落、ロードス島攻防、レパントの海戦、などは個別の著作として既にあるので、その辺りは割愛されてあっさりと書かれている。
詳しく書かれているバトルはマルタ島攻防くらいだが、熱量が高めで描かれていて面白い。
例によって筆者の思いがよく現れており、静養びいき、イタリアびいきが随所に現れる。
中世西洋〜中近東の歴史の流れを知りたい人にオススメです。