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ネロに双子の兄がいたとは⁉
歴史上の史実を一人の人物の目線から、告白されていて、後半から特に引き込まれて読みました。特に暴君と呼ばれている皇帝ネロに双子の兄がいて、凄まじい精神の崩壊ぶりを見せる治世も凡人にも理解できるように描かれてますね。
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面白かった。
歴史上有名な人物を、その人物の身近かつ自身は有名じゃない人の目線から語る、という形式が好きだから、よりおもしろい。
最後の饗宴・地獄篇も凄く面白かった。こういうメタなのも面白い。
第二夜までしかなかったけど第三夜以降はないのかなぁ
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歴史は必ずしも事実とは限らず、後世の人がどのように受け取るかによって左右されるものだろう。学校で教えられる歴史は、歴史はただひととおりの道でしかないような印象を与えがちだが、史実をもとに、どのように考えるか、ということが歴史の本当の面白さなのだろうと思う。『サロメの乳母の話』は言うなれば、西洋史で誰もが知っている人物の意外な素顔をその人物に近しい人の口に語らせた外伝的な物語の数々だ。
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イエスやユダ、アッシジのフランチェスコ、サロメ、ネロ帝など、有名な歴史上の人物の伝聞を「ほんとうはこうだったんじゃないか?」といろんな視点で語る物語です。
真面目な話もあり、思わず笑っちゃうような展開もあり…
ユダの母親の話が一番面白かったです。
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目次より
・貞女の言い分
・サロメの乳母の話
・ダンテの妻の嘆き
・聖フランチェスコの母
・ユダの母親
・カリグラ帝の馬
・大王の奴隷の話
・師から見たブルータス
・キリストの弟
・ネロ皇帝の双子の兄
・饗宴・地獄篇 第一夜
・饗宴・地獄篇 第二夜
歴史上の有名人を、違った視点から掘り下げる。
なんとなく功績を知ってはいるけれど、詳しくは知らない。そんな人物の選定がすばらしい。
なかでも「サロメの乳母の話」が白眉。
素晴らしい踊りを披露したご褒美に、若く有名な預言者ヨハネの首を所望したサロメ。
それは、恋い慕う彼女の気持ちをヨハネが受けとめようとしなかったから…というのは、オスカー・ワイルドの戯曲の話。
多くの画家がサロメを題材にした絵を描いているけれど、衝撃的なそのシーンは実に冷静な政治的判断のものに行われたものであるというのが、塩野七生の解釈。
「善意に満ちていて、しかも行いの清らかな人が、過激な世改めを考え説くほど危険なことはないと思うけれど、乳母はどう思う?」
サロメの行動がいちいちクールでロックなの。格好いいわ。
「饗宴・地獄篇」は、地獄に落ちた女ども(クレオパトラ、ビザンチン帝国の皇后テオドラ、トロイのヘレン、ソクラテス夫人のクサンチッペ、マリー・アントワネット)が、繰り広げる女子会トーク。
第一夜は毛沢東婦人・江青をゲストに招いての夜会。
第二夜はゲストを日本から呼ぼうと思ったけれど、意外と悪女がいないのね…と結論付けようとした時、地上の方から推薦人の声が…!
地獄がまた楽しそうなのです。実際楽しいらしいです。
地獄の恐ろしげな描写は、天国サイドの陰謀らしいですよ。
“また、地獄に送られてきた顔ぶれが面白かった。だから、女たちにしてみれば、交き合う男たちにも恵まれていて、天国の住人のように、立派かもしれないが面白くもおかしくもない、まじめ人間の集団ではない。それに、天国は、住む人間だけが退屈なのではなく、一年中気候温暖でも四季の区別がないから、その点でも、一週間もいれば、頭がボケてしまいそうな思いになるのだった。”
天国、すごい言われようです。
地獄にはいい人たちもたくさんいます。
“女王に仕える奴隷たちの中には、天国に送られる資格充分な者が多かったが、天国と地獄を分けたのはキリスト教だから、それが普及する以前に現世で生を送った者は皆地獄行きなので、これら古代世界の善男善女たちも、地獄まで女王に従いてきたというわけである。だが、想像した以上に過ごしやすいので、誰一人、煉獄での試練を経た後に許される、天国行きを希望した者はいない。”
塩野さん、こんなに書いちゃっていいのでしょうか?
地獄に落とされちゃうんじゃないかしら?
あ、望むところなのか。
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おもしろかった!英雄や偉人、になるわけではなく、その妻や召使はたは馬にもなり、その裏側の顔を描き出す。。。秀逸だったのは、題名にもなっているサロメの乳母の話。サロメと聞くと無邪気で残忍という勝手なイメージがあったんですが、この物語を読むとフィクションだとしても、あぁなるほどね!と思ってしまう。妄想が膨らむのはほんとに楽しい。。。
そして最後の饗宴・地獄篇。こと西洋の物語が大半の中で珍しく日本歴史が出てきて新鮮。そしてオチがね・・・。いや、最後まで楽しく読める1冊です。
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オデュッセウスの妻、サロメの乳母、聖フランチェスコの母…歴史上の英雄・偉人たちの周辺人物が語る舞台の裏側。
ワイルドの『サロメ』を最近読んだのをきっかけに表題作に惹かれて。どの章も20ページ程で、原作を読んだ後に本作を読むとイメージが付きやすいです。
オデュッセウス編では、妻のぼやきにも似た語り口調は軽快で、あくの強すぎる原作の主役を思い起こせばこんな想いも抱えるだろうと想像できます。狂気が注目されがちなサロメも、乳母の目から見ると賢い女性像が浮かびます。また、舞の描写は見事でした。最後の「饗宴・地獄篇」は、まぁ著者の悪ノリみたいなものでしょうか(笑)
イメージが固まりがちな名主役たちも、塩野七生さんの想像力にかかれば知られざる新鮮な一面が見えてきます。原作のスピンオフ的に、気軽に楽しめる1冊。
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西洋史とキリスト教に関する基礎レベルの知識は前提として必要になる短編集。一つの短編が20ページ足らずのものばかりなので、さくさく読めます。
いわゆる歴史上・宗教上の有名人たちの「周辺にいる人」の視点から、「実はこの人はこんなことを考えていた」「実はこの史実・宗教的逸話の陰には、こんな話があった」という切り口で、刺激的なエピソードが語られていきます。小説ではあるけど、ウソ臭さをあまり感じさせないので、もしかしたら本当にそうだったんじゃないの?と思わせるような作品もあったりします。
個人的には、イスカリオテのユダの母親が息子の死をテーマに本を出版、引く手あまたの人気者になってテレビ出演まで果たした、なんてぶっ飛んだ話になってしまっているのが、かなりツボでした。
塩野七生さんの作品はこれが初めてだったんですが、他の作品も読んでみたくなりました。続きものが多いみたいだけど、ハンニバル戦記あたりに手を出してみるかなー。
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歴史上の有名人について、その人をごく身近で見ていた人の視線、という設定でお話が進められる。
今まで持っていた歴史観や、歴史上の人物へのイメージがこんなにも簡単に塗り替えられるとは、自分の想像力のなさに驚きます。
楽しく読める一冊です。
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知人からすすめられて塩野さん初読(のはず)。おもしろいです!ジェンダー思想、ウーマンリブ世代バリバリ!!コレを読むと、歴史なんて男が都合よく語ってきたものから作られてるんじゃ?と思わずにはいられなかった。
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イタリアといえば、の塩野七生さん。
夏にイタリア旅行を計画していたため、ここはイタリアについて勉強せねば!と手にとりました。
英雄カエサルを殺したブルータス、イエスをユダヤ人に売った裏切り者ユダ、預言者ヨハネの首を所望した王女サロメ、など
世界史にはめっぽう弱い私でも知っている超有名人について、その周辺の人間が語る、という形の小説集。
さくっと読めて、初級編という感じ?他の塩野さんのどっしりとしたイタリア歴史本に入る前にちょうどよかったかも。
ちょっとゴシップっぽい視点も面白いし、世界史を勉強してる中高生にすすめたい。
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歴史上の有名人の身近にいた人たちから語られる人間像。
「ユダの母親」は文字通りイスカリオエテのユダの母が語るユダ像。こんな母親だったらユダも可哀想に・・と思ってしまいました。また「キリストの弟」も興味深い話。
これまでと違った視点で楽しめる短編集です。さすが塩野さん!! ぜひ一読下さい。
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なまなましい本だ。
やっぱ凄いよ塩野先生。仰々しい文章でもなんでもないのに、迫りくるあの高揚感。
うっかりサロメに共感しかけた自分に、ちょっとだけ危機感。
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もしかすると真実はこうであったのかも…と思ってしまう。歴史小説と言われるようなものを読む時にはいくらか構えてしまうが、この本は大変読みやすかった。
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歴史上の人物を、身近な人や馬(!)の視点で描いた短編集。へえへえ〜っと言いながら、面白く読みました。
塩野七生女史の著作を読むのは久しぶりでしたが、いつもと少し作風が違うような……? ラストの女傑たちによる饗宴は、
イタリア版、田辺聖子、あるいは永井路子
といった趣き(失礼?)。
それにしても、ホントに日本に悪女はいないのか?
Posted by ブクログ
物語や歴史上の有名な人物について、その周りにいた人間が、実はこうだった、自分にはこう見えたと語る形式の短い諸編を集めたもの。
対象人物と語り手は、オデュセウスの妻ペネロペ、サロメの乳母、ダンテの妻ジェンマ・ドナーティ、聖フランチェスコの母、ユダの母について、ユダを教えた祭司、カリグラ帝の馬、アレクサンダー大王の奴隷、カエサルを暗殺したブルータスの師、キリストの弟、ネロ皇帝の双子の兄。
いずれもあるところまでは史実や物語の筋に則っているので歴史の勉強にもなるし、他人から見るとそう見えるのもさもありなんと思われるところもあり、軽い読み物として面白く読める。
ラストの「饗宴・地獄篇」は、地獄で楽しく暮らす世間的には悪女と呼ばれた女性たち、クレオパトラやマリー・アントワネット、ソクラテスの妻クサンチッペなどの宴でのやり取りが描かれる。本書が書かれた時代柄、中国からは江青女史が参加。では日本では彼女たちに匹敵する女性は誰?、持統天皇?北条政子?淀君?最後のオチもご愛嬌か。
Posted by ブクログ
神話や歴史の逸話の人物たちの周りの人が、その時の話をする形で、それぞれの語る人ごとに話が形成されていく。
完全にタイトル買いをした作品だったが、地獄会議以外はかなり面白く感じた。特に神話逸話の中で待たされることの多い妻や、タイトル作品である乳母など、主人公に近いが主人公ではない人間が語るその世界は、もとの世界の解像度をあげ、より人間的なものにするものだなと思う。
Posted by ブクログ
歴史の人物をちょっと違った目線から読めて面白い短編集
特にユダの母親とキリストの弟が面白かったなあ
ユダの話は太宰の駆け込み訴えをちょっと連想させる
永井路子も書いてたけど、悪妻悪妻のレベルが日本は小さくまとまっちゃってる!
クレオパトラとかアグリッピナとかカテリーナスフォルツァレベルの女性陣は、日本の歴史上いないかも
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物語や歴史の主人公を少し違った視点から描いた短編小説。
例えばギリシャの英雄オデュッセウスを妻の視点から、サロメは乳母から、ダンテは妻、聖フランチェスコは母から…等。しかしこれ、完全にオリジナルの話を知っているという前提で描かれてます。そうでないと全然面白くないでしょうね。そういう意味で読み手を選ぶ小説ではあります。
Posted by ブクログ
ローマ人の物語の作者による、歴史人物考察・・・とでも言えばいいのでしょうか。能書きはともかく、面白い。誰もが知ってるサロメ、ではなく、その乳母がサロメを語る。あのイエス・キリスト、ではなくその弟がキリストを語る。なんて面白いんだ!世の中に知られている有名人の、知られざる一面が読める本です。