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キリスト教を公認した「大帝」コンスタンティヌスの死後、その親族を襲ったのは血なまぐさい粛清であった。生き残ったコンスタンティヌスの甥ユリアヌスは、多神教の価値観に基づく寛容の精神とローマ的伝統の復活を目指した。だが、その治世は短命に終わり、キリスト教は遂にローマ帝国の国教の座を占めるに至るのだった……。西洋人とは異なる視点で激動の時代を描く必読の巻。 ※当電子版は単行本第XIV巻(新潮文庫第38、39、40巻)と同じ内容です。
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Posted by ブクログ
ついにここまで読んだ、という感じではあるけれど、ここから暗い時代がやってくるんだな、と納得。 神がいて皇帝を認めるという、それだけの構造がキリスト教会を最高権力にした。簡単に言えばそういうことだが、皇帝が一神教の信者になるということの結末は神の勝利だったわけだ。 そしてこの長大な物語は「十字軍物語」...続きを読むへとつながる。西洋史の奥のところをしっかりと教えてもらいました。
紀元337年、皇帝コンスタンティウスから、紀元395年皇帝テオドシウスの死まで。 「権力者に対する陰謀の成否の鍵は、排除した権力者の代わりに誰をその地位に就けるかにかかっている」 「アリウス派とアタナシウス派(カトリック)の対立、異教徒よりもキリスト教徒内の異端への憎悪、一神教の本質そのものが排他性...続きを読むにある」 「本音は脱税にある聖職者コースへの転出、キリスト教会に属する聖職者は免税にと決まった。地方自治体の有力者層が、雪崩を打ってキリスト教化した真因は、これにあった」 「ユリアヌス副帝就任、人間は社会的な動物である、他者に必要とされていると言う自覚は、非常な喜びを感じさせる。責任感と高揚感のカクテル」 「権力とは、他者をも自分の考えに沿って動かすことのできる力であって、、多くの人が共生する社会では不可欠な要素である」 「権力者には誰に対しても、初めのうちは歓呼を浴びせかけるのが民衆である。新任当初の好評くらい、あてにならないこともない。ひとまずは歓呼で迎えながら様子を見る」 「背教者ユリアヌス・・・宗教は現世の利益とは無関係の、個々人の魂を救済するためにのみ存在するもの、宗教が現世をも支配することに反対の声を上げたユリアヌスは、古代ではおそらく唯一人、一神教のもたらす弊害に気づいた人」 「ミラノ司教アンプロシウス・・・キリストへの振興は、無知な魂を救うのではなく、文明が崩壊した跡に、その過去の誤りを正す勇気を持つ人々の上に輝くことになる。・・・強引な論法とはしばしば、スタートしたばかりでマイナス面が明らかでないからこそ、可能で有効な戦術でもある」 「紀元388年、キリスト教ローマ帝国の国教に、テオドシウス帝、ローマ人の宗教として、あなた方はユピテルを良しとするか、それともキリストを良しとするか」 「一神教とは、自分が信じているのは正しい教えであるから、他の人もそれを信ずるべき、とする考えに立つ。多神教は、自分は信じていないが、信じている人がいる以上、自分もその人が信ずる教えの存在理由を認める、とする考え方。殉教は一神教徒にしか生じえない現象、多神教徒にはなじまない、イスラム教徒の自爆テロ」 「異端に対する理論武装マニュアルの確立、マニュアルが誰にとっても便利であるのは古今東西変わらない真実である」 「聖アンプロシウス・・・人間は何かにすがりたいから宗教を求める、唯一神にお願いするのははばかられるような身辺の雑事、キリスト教徒がモデルにするにふさわしい人、守護聖人、一神教は守りながら民衆の素朴な願望も満足させるという離れ業を見事なまでに成功させた」
滅び行くローマに哀感を漂わせつつ,『背教者』ユリアヌスの人となり,政治感覚を提供している。キリスト教って,何だかねえ・・・。
久しぶりにローマ皇帝らしい人物が登場したが、哀れな最後となる。教会がローマ皇帝の取捨/選択が可能な力を持つにいたり文明の停滞の始まりが訪れる。 皇帝ユリアヌスが長い政権を維持していたらもしかしたら人類の歴史は大きく変わっていたかもしれない。まったく偶然のことではあるが、このあたりのキリスト教(会?)...続きを読むの秘密を題材としたダビンチ・コードを直前に読んでいたので、ローマ帝国がどのようにキリスト教に侵食されていくのか興味深かった。
ローマ人の物語は、塩野ファンのみならず、どなたにもお勧めしたいシリーズ。この巻では、キリスト教がローマに正式に承認される。キリスト教徒には申し訳ないが、この一神教を信じることでローマは滅亡へと一気に転げ落ちてゆく。
皇帝コンスタンティウスからユリアヌス帝、テオドシウス帝の治世を描く。この期間は多神教であったローマがキリスト教という一神教に支配されていく過程でもある。ユリアヌス帝だけが、その問題に気づきローマをかつてのローマにしようと奮戦するが、結局その努力も水泡に帰してしまう。テオドシウス帝の時代になると、もは...続きを読むや皇帝は司教(羊飼い)の従順な羊でしかなくなる。著者がどこかで書いたようにキリスト教によるローマ帝国乗っ取り大作戦は成功したのである。
キリスト教を公認したコンスタンティヌス大帝の息子、コンタンティウスから始まる歴史。疑心暗鬼に囚われ宦官にその挙を委ねるのは、滅亡への王道と言えば皮肉か。その後に現れたユリアヌス帝の必死の戦いや政治は、その対照となるがゆえに悲しく、はかない。と同時にキリスト教の勃興期における、「いい加減さ」を推し量る...続きを読むことができる。ローマの終焉を文章から感じるのは辛いものです。
権力による保護がなければ、キリスト教はここまで大きな宗教になっていなかったと思われる。弾圧されていた側が弾圧する側に回る皮肉。
ユリアヌスは、辻邦生の著書によって大学時代の僕のアイドルであった。実を言うと、このシリーズを読み始めたのも、元はといえばユリアヌスとカエサルのおかげであるといってもいい。辻邦生とシェイクスピアである。 だから僕にとってのこの巻は、いよいよ真打ち登場!とでも言うべきところなのだけど、読み終わって...続きを読むみればユリアヌスよりも、むしろその後に活躍した司教アンブロシウスのほうが印象に残った。 まさにキリストの勝利を決定づけたこの司教の物語を読んでいると、宗教よりもむしろ、官僚のシステムとその中での出世について考える。そして、全く異なることではあるのだけれど、たとえば親密な共感で暖かい暮らしを送ってきた未開の村落に、冷徹な資本主義がどっと押し寄せてくるような印象を持った。 ユリアヌスはやっぱり辻邦生の著作で楽しむとしよう。もちろん、塩野氏の、ややシニカルな描き方を持ってしても、わが青春のアイドルの輝きは曇ることはなかった。結局は、悲劇のヒーローでしかないにしても。
2010/07/16 古来のローマを守ろうとした最後の皇帝ユリアヌスへの、筆者の哀惜があふれている。帝王教育を受けず政治も軍事も経験がなくても、歴史と哲学を学び、帝国を背負う覚悟ができた人なのだろう。
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