塩野七生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
愛して止まない塩野七生氏の本。エッセイとしては何冊目になるだろう?? 最近は専らローマ人の物語、それに文芸誌の短いエッセイの連載をしているのを時たま、思い出した頃に書店で見かける程度で、すこし寂しい。
この本の語り口は非常に丁寧だけれどそれは「誰にでもわかるように書いた」丁寧さではなく、それが『男たちへ』などと違い『ローマ人の物語』とも違う雰囲気を作っていて、これが彼女と移動年代の世代に向けて発信した当時の彼女の身丈のままの文章なんだろうなとおもう。
45歳の半分にも届いていない私の受ける印象は本来彼女の意図して書いた意思の何分の一なのだろう。
繰り返し繰り返し読み返したい一冊です。胸に響くく -
Posted by ブクログ
レパントの海戦って何という所から。1571年、ヴェネツィア、スペイン、ローマ教皇庁などが結成した「神聖同盟連合艦隊」が、地中海の覇権を握ろうとするオスマン帝国の艦隊とレパント湾で激突した戦い。ガレー船同士による最後の大規模海戦で、キリスト教勢力が「無敵トルコ」に初めて勝利した歴史的瞬間。
で、本書は地中海を舞台にした歴史三部作の完結編で、このキリスト教連合艦隊とオスマン帝国艦隊との壮絶な海戦を描いた作品。単なる戦記ではなく、歴史と人間ドラマの融合で、政治的な駆け引きや、各国の思惑、人物の心理描写に重点が置かれている。また、登場人物が魅力的。ヴェネツィアの参謀長バルバリーゴやスペイン王弟ドン・ -
Posted by ブクログ
ネタバレふとしたきっかけで知ったエルサレム国王ボードゥアン四世に
心惹かれるところがあり、彼に関する記述周辺を中心に読みました。
彼の王としての責務や難病から逃げない姿勢は
本当に勇気を与えてくれます。
環境ではない自身の心の在り方で生き方は変わるのだと。
ただ周囲の人間に良くも悪くも頼らなくてはならない状況が
彼の運命を大きく変えた部分も多々あると思います。
母や姉に、彼を支える気概やものごとの本質を見抜く教養があれば
また違っていたのでは。
特に姉が見目麗しい(だけの)夫を選んだことは、
弟の心を非常に傷つけたのではないでしょうか。想像すると本当に胸が痛みます。
一方で優秀な側近や高い忠誠心を