塩野七生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレコンスタンティヌス大帝の後のローマの混乱、そしてキリスト教の支配が確立する時代について著者は極めてキリスト教に批判的な考え方をしています。そういう意味では私には「違うだろう」という気持ちはあるのであうが、大帝の次男コンスタンティウス、背教者ユリアヌス、そしてテオドシウス大帝がどのように支配を確立していったかを示しています。そしてテオドシウス大帝以上に権力を持ったアンブロシウス司教が大帝との間でカロッサの屈辱に匹敵する事件を起こしていたということは新鮮な気持ちで読みました。この時代に既にキリスト教がそのようにして堕落の様相を呈していたということに人間の罪の深さを痛感します。著者が何度か書いていましたが、辻邦生の「背教者ユリアヌス」は私にとっても29年前の入院の際に読んだ印象深い懐かしい本であり、感動を覚えました。このシリーズもいよいよ後1冊で完了です。しかし著者の冴は少し欠いてきたように思います。キリスト教への偏見の大きさということを別にしても、余り新鮮な分析がないように思われたからです。
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Posted by ブクログ
ネタバレローマ法王をテーマにした一冊。「ローマ人の物語」以来、新作の文庫本が出ると必ず手に取ってしまうことが続いている。それくらい、クセになる塩野氏の小説。
この時代は、昨日のヒーローが一転して今日の悪魔になってしまうようだ。民衆に教養がないので、感情で動いてしまう。それを操るのがローマ法王だったりするのだ。法王が本当に『神の代理人』かどうかは疑わしいが、世間を動かすと言った意味で『神の代理人』であったことは間違いない。
これは1972年に出された作品という。関係者の日記だけで構成された章もあり、初期作品の試行錯誤っぷりを垣間見ることができて面白かった。 -
Posted by ブクログ
初めての塩野七生。前書きでご本人も認めているように、若いときの作品で「若書き」であると。
文章が固いのは年齢ではなく作家の特徴かも知れないが、所々、ものすごく読むのに疲れた。
題材は興味深く、その点はでは面白いのだが、まるで教科書を読んでいるか、講義を聴いているときのような退屈感との戦いだった。学生ではない身からすると、もう少しこなれた文章で読みたいものだ。
そんな中、ジュリオ二世かヴェネチア大使ピサーノと釣りをしながら、ヴェネチアの考え方を探るシーンがある。お互い背中合わせで釣糸をたれながらの会話で、振り向きながら相手に声をかける。法王の問いに対し、ピサーノが、振り向いて『冷ややかに』答える。『二人はまた背中合わせになって、釣りを続けた』この部分には、読んでいて余韻を感じた。