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Posted by ブクログ
面白くて勉強になる。どんな政治評論家よりも納得感がある。
この人の外交センス、国防センス、国際関係の感覚はすごい。長年ローマ帝国の歴史を見てきているので、他国とどのような関係を築かなければならないか、どのような駆け引きが重要か、どのようにすれば平和な状態が続くのか、トップはどうあるべきなのか、そういうセンスが卓越している。文章は言うまでもなくわかりやすくて面白い。
各国これまで積み上げてきた歴史を経て今があるのでそれを尊重しながらだと難しい。特に宗教はややこしい。綺麗事でなくどのような人も国もソントクで動くことを理解しながら合理的な考え方のできる人だと思う。
この本に、小泉純一郎について書かれている。調べると、彼が総理大臣だったのは2001年から2006年なので、文章としてはその頃に書かれたものだろう。20年くらい前の文章を今読んでいることになる。この頃の情勢についての予想を書いたりしている。正直に言えば、国際情勢については、恥ずかしながらその後どういう経緯で今に至っているか知らない、または忘れてしまったことが多い。復習したい。
この本の中で「「事」に通じていながら「事前」に書かれたものを「事後」に読み、書き手の資質、つまり事後でも読むに耐えるものを書ける能力」ということに触れているが、十分に読み応えがある。20年どころか、2000年前の話を読ませる力があるのだから当然と言えば当然だろう。
しばらくこの人の本を読み漁ると思う。
これは原則の話
小泉首相の時代のエッセイを10年後に読むことになります 自民党が下野し民主党が崩壊しまた自民党が勢いを取り戻す時代にもヒントになることが多く書かれています 国際関係がきな臭い今だからこそ歴史という人類の知恵に触れるのは有意義ではないでしょうか?
Posted by ブクログ
芯が一本通ってる人の論って、やっぱり読みやすい。あんまり丸々書き写すのもマズいとは思いつつ、このレベルの本を要約できる能もないので、背景が分からないと真意が伝わらないかもしれないとは思いつつ、琴線に触れたところを抜き書きしてみます。少しでも気になるところがあったら、手に取る価値はある。
「意思を持続させるに必要なエネルギーの中で、最も燃料効率の高いのが私利私欲」
「日本人も外国人と同じ言行をすべきだと言っているのではない。相手がどう考えどう出てくるかを知って勝負に臨むのは、ゲームに参加したければ最低限の条件であると言いたいだけ」
「危機の時代は、指導者が頻繁に変わる。首をすげ代えれば、危機も打開できるかと人々は夢見るのであろうか。だがこれは、夢であって現実ではない」
「(イラクで死んだイタリア人兵士について)これは、危険も知らずに行った地で巻きぞえを喰った「犠牲者」への待遇ではない。危険も覚悟のうえでの職務遂行中に倒れた「戦死者」への待遇である。だがこれが日本に伝わると「犠牲者」になってしまうのだった。…ミリタリーにも彼らなりの誇りがあるのは当然だ。巻きぞえを喰った結果である死ではなく、覚悟のうえの死、とでもいうふうな。その軍人が戦地で倒れた場合、その彼らを、無差別テロで倒れた市民と同じように「犠牲者」と呼ぶのは、この人々に対して礼を失することではないだろうか。軍人ならば「戦死者」と呼んでこそ、彼らの誇りを尊重することになるのではないか」
「(日本の政治について)このような話をすると、返ってくる答えは決まっている。今の政治家には人材がいない、というのだ。だが、ほんとうにいないのだろうか。それとも、人材を見出し育てる意欲が、マスメディアにも有権者にもない、ということではないだろうか」
「(「天国へ行くのに最も有効な方法は、地獄へ行く道を熟知することである」というマキアヴェッリの論を踏まえ、アメリカの大統領選挙の候補者対応について)国政担当者ならば、二股かけるぐらい当然ではないか。この人たちにとっての責務は、国民を天国に向かわせることであるのだから」
「長年にわたって紛争がつづいている状態とは、当事者の中に必ず、紛争がつづくほうが利益になる誰かがいる。この「誰か」にとっては解決しないほうがトクになるので、解決の道筋が見えはじめるやいなや妨害する。だからこの種の問題解決には、何よりも先にその「誰か」を見つけ、見つけしだいにその「誰か」を排除することが重要」
「一神教と多神教のちがいは、一人と多数という神の数にあるのではない。最も本質的なちがいは、一神教には他の神々を受け容れる余地はないが、多神教にはあるというところにある。要するに、他者の信ずる神を認めないのが一神教で、認めるのは多神教なのだから」
「政界でも経済界でも官界でも、指導的な立場にいる日本人の口から、一度でよいから聴いてみたい。「これこれこういう理由によって、今のところは動かないほうがよいと考えるし、ゆえに成果もあげることはできない」とでもいう、腹の坐った「説明責任」を聴いてみたいのだ」
「テレビやネットの時代で勝負するための「武器」とは、事後でも読むに耐え、情報はすでに知っていても読みたいと思わせ、それでいて読んだ後に満足を与えられるもの、つまり、情報の「読み」なり「解釈」なりで勝負したもの、を書いたり言ったりする能力でしかない。…情報に接する時間を少し節約して、その分を考えることにあててはいかが」
「(ハリウッド映画『トロイ』で死ぬアキレスを見て)弁慶のような死に方をさせられる古代ギリシアの英雄アキレスを観ながら、これも、今のアメリカ人の無知と不遜による文化破壊以外の何ものでもない、と思ったものだった」
「中国は数多のマイナスを国内にかかえているからいずれ躍進も止まるだろうという意見があるが、私には中国は、マイナスを周辺にまき散らしながら対国への道を邁進していくと思えてならない」
Posted by ブクログ
塩野さんの「ローマ人の物語」を3分の2ほど読み終えたのですが、いつも思うのは歴史から学ぶことは多い、と言うことです。この本は彼女が10年ほど前に書いた著書で、まだ「ローマ人の物語」が完結していない時に書かれたようです。執筆中の心境なども綴られていて興味深いのですが、なんと言っても国の在り方や政治についてなど、国際情勢を交えながら日本のリーダーたちへ物申している内容が、ローマ人の物語で再三取り上げていることに通じているので、やっぱり黙って見ているわけにはいかないのだろうと思ってしまいます。
私自身もローマ人の物語を読んでいて文章を抜き出していますが、政治家やビジネスマンには必携の書ではと常々思っていたので、この本の苦言は塩野さんなら、さもありなんと思ったのでした。
この時代のブッシュはいなくなり、アメリカはトランプへ。イギリスはEU離脱を巡り国が割れ、安倍首相は長期政権下で外交に精を出しても、日本の立ち位置はパッとせず、北朝鮮の動きに手も足も出せず、韓国とは犬猿の仲状態の現在。これを彼女はどう思っているのか気になります。この頃の首相は小泉さんでしたが、案外塩野さんが彼を評価しています。この本の筋とは離れますが、最近では息子の進次郎氏に注目している記事が雑誌にあったようなので、政治オンチの日本人にあって彼が本物のリーダーになるのか…ホント誰かいないのか…と思うのです。
それにしても、世界における日本の非力は目に見えるし、国際連合の力の低下も今じゃ歴然。国際政治におけるプレーヤーの持つ切れ味の良い剣は、5つということです。1.拒否権をもっている 2.常任理事国である 3.海外派遣も可能な軍事力 4.核をもっている 5.他国に援助も可能な経済力 。日本はこの中で一つしか持っていないのですから、力がある筈はありません。そこでどういう国を目指すのか考えるのは私たちなのですが…
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