あらすじ
ヴェネツィアの運河を軽やかに滑るゴンドラは、なぜ黒く塗られているのか? トルコのスルタンに献上されたフランス女の辿った数奇な運命とは? 古代の聖地巡礼ツアーの有り様は? 「オデュッセイア」を地中海世界風に読み解けば……etc.生身の人間が作り出した地中海世界の歴史。そこにまつわるエピソードを、細部にこだわり、著者一流のエスプリを交えて読み解いた好エッセイ。
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Posted by ブクログ
本を書くのに集めた中で本編に使われなかったネタが多く載っている。
1番面白かったのは、没落寸前のヴェネツィアと生まれたばかりのアメリカ合衆国間の手紙。
なんと条約を結ぼうとしたのだ。驚いた。
実現してたら面白かったのに。
他にも後宮の話、ヴェネツィアのゴンドラはなぜ黒い?といったこぼれ話がたくさんある。
ちょっととっつきやすい本。(個人的には)
Posted by ブクログ
イタリアを題材にしたエッセイ集…、と本書の概観を切り取るのは簡単だが、これほど芳醇な知識と感性が詰め込まれたものも、そうないのではないだろうか。
著者の感性は、イタリアを中心に西欧諸国の今と昔に自由自在に飛び跳ね、ローマ法王とすれ違ったり娼婦と友達になったりしながら、ギリシア軍の将校にスパルタの男たちの痕跡を見、オデュッセウスの旅路を単なる朝帰りダメ亭主の言い訳に貶める説を吟味するのである。
そして最後はレオナルド・ダ・ヴィンチへのラヴレター。
構成においても「やられた!」と思う瞬間である。
実は本書は再読。1995年5月23日に読み終えている。
Posted by ブクログ
塩野さんの小説読んでみたいけど、ちょっと敷居が高そう・・・
まずエッセイから読んでみようと思って読み始めた作品。
ヴェネチアのゴンドラが黒一色のわけ、ハーレムの実態など、
興味深い話が満載で、とっても勉強になった。
1つ1つの話が短く、通勤時やちょっとした空き時間に読むのに最適じゃないかと思います。
Posted by ブクログ
エスプリ豊かな女史のエッセイ。読んでて気持ちいいです。
米国の地中海研究者がダニエリ(超高級ホテル)に泊まったと聞いて私も次の取材は絶対ダニエリに泊まる!と言い出したり高所恐怖症なのに遺跡に登ったり、葡萄酒の見極め方を語ったり。
Posted by ブクログ
ゴンドラの話とハレムの話、スパイの話が印象に残っています。
本気でアメリカにも大使が居れば、凄く興味深い報告書を書いてくれたと思いました。
でも、世界史習ってないとわかんないよね、全体的に。
素直に楽しめる雑学でした。
Posted by ブクログ
1970年代に書かれた文章だというのに少しも古さを感じさせないのは彼女の力。レオナルドに愛、とは知らなかった。やはりイタリアと言えば塩野七生。今時の若い著者が霞むな〜
Posted by ブクログ
積んでおいた塩野七生を手にする。
これまでの小説の舞台裏を覗くような、云い足りなかったことを小耳にするようなおもしろみがある。
作者も気楽さからか、感じた内容がそのまま伝わってくる。
解説も、佐々淳行というのも、ポリティカルな塩野氏のテーマにそっていて笑えた。
Posted by ブクログ
何度目かわからないけど再読(?)。
ローマ人の物語だとか、優雅なる冷酷チェーザレ・ボルジアとか、わが友マキャベリとかを書いた塩野七生のイタリアエッセイ。
この人の文体は好き。
この中に入っている話のなかでは、「ハレムのフランス女」が秀逸。
あと、ロッサーナの話も。
司馬遼太郎と同じく、結構バイアスを気にして読むべき作家だけど、やっぱり最初の興味をひくまでに持ってくことが大事だからね。
この人がいなければ、チェーザレもこれほど注目されることはなかっただろうし。
モノエッセイも上手い。
私の持ってる版は平成8年版なのでもう20年以上も前に最初に読んだんだなー。
Posted by ブクログ
イタリアに生活の拠点を置き、ヴェネツィアやフィレンツェを舞台にした歴史小説を数多く執筆している著者が、日々の暮らしのなかで体験した出来事や、執筆のための調査をおこなっているなかで見聞した興味深いエピソードなどをとりあげたエッセイです。
親しみやすい文章でありながら、人間の真実をほとんど冷徹とも思えるような鋭く見据えるまなざしが本書の全体をつらぬいています。文章の調子にはずいぶんちがいがありますが、米原万里のロシアにかんするエッセイに、どこか通じるものがあるように思いました。
Posted by ブクログ
著者は マキャヴェッリ を研究しているので、もっと きつい文章を書く人だと思っていたが、ソフトなエッセイで 読みやすかった
旅行者目線のエッセイと違い、生活者目線で 日常のイタリアを感じたまま書いた感じがする。旅行者のエッセイのような無謀や無知もなく、安心感、まったり感のある文章で まとまっている
イタリアは 日常の方が 絵画や小説みたいで 絵になる
Posted by ブクログ
ローマ人物語をいつかトライしようと思いつつ,まずは手始めに短編からはいってみた.ところがこの随筆はかなり面白い.ちょっとヨーロッパに行ったことがある人だとこんな小話はかなりひかれるんじゃないだろうか?個人的に印象に残っているのは「コーヒーの話」エスプレッソはトルコからやってきたのだ!カザノバは実はベネチアのスパイだったとうい話.それからトルコの愛人部屋ハレムの話,,,実のところ全部面白かったですが・・・
Posted by ブクログ
3.5くらい。軽く読め、今まで読んだ「海の都の物語」「ロードス島攻防記」「コンスタンティノープルの陥落」「レパントの海戦」「チェーザレ・ポルジア」の裏事情も知れて、面白かった。
Posted by ブクログ
トリビアルな楽しみのつまった塩野七生さんのイタリアエッセイです。
個人的に面白かったのが、活版印刷の発明と書体の変化の話と、
生まれて間もないアメリカとヴェネツィア共和国の関係の話です。
エッセイ調の文章で軽く楽しめますが、
全体を通して情報はしっかりありますし、
ヴェネツィアに旅行に行く予定のある方や教養を深めたい方はぜひ。
Posted by ブクログ
塩野七生のエッセイを読んだのはこれが初めてでした。
エッセイというだけあって他の作品よりもあっさり読めました。塩野作品をとっつきにくく思っている知り合いがいたら入門編として勧めるかも。
法王に問われ、「中央公論」の意味を説明したくだりが面白かった。にやりと笑い合うお二方を横から眺めさせてもらった気がしました。
ずっと以前に書かれたエッセイだとは承知しているけど、「塩野さん、教会の尖塔からの煙草のポイ捨てはやめてください」と言いたくなった。
Posted by ブクログ
もう十五年以上も昔、夏休みにリュック一つでギリシャ一人旅をした。三週間かけてギリシャ国内だけをめぐる、学生ならではのおおらかな旅だったので、スパルタへも足を運ぶ機会を得たのだが。自分はスパルタ人だと名乗る将校が出てくる一篇で、その時のことを思い出した。スパルタへ向かう道のことや、辿り着いた時のこと。
その一篇だけでなく、氏が自分が高所恐怖症を自覚した時の描写や、法王とすれ違った時のエピソード。もう、何もかもが上手い。まるで情景が目に浮かぶよう。本当に氏が楽しんで書いていたのが伝わってくる。
ローマ人の物語は途中までしか読んでいないので、また是非最初から、今度は最後まで読み切りたいと思う。
Posted by ブクログ
イタリアの過去、そして現在について、その歴史文学については何冊もの良書を書かれている著者が自らの体験も交えて記したもの。
特に興味深かったのは・・・
●第一話「ゴンドラの話」と第十六話「家探し騒動の巻」
僕自身が09年2月に新婚旅行でイタリアに行ったのですが、その時立ち寄ったヴェネツィアとフィレンツェについて書かれていた話。
「確かに言われて見れば疑問」だったことをこの二話で書いてくれていて、非常に身近に興味深く読めました。
経済効果と効率が優先し、便利で新しいものが最大の価値を持つ日本と違い、その歴史的な遺産を頑なに守り抜ける環境があるイタリアを羨ましく感じます。
●第十三話「ある出版人の話」と第十四話「語学について」。さらに第十八話「聖地巡礼」
500年以上も前のヴェネツィアおよびイタリアにおいて、例えば文庫本の発刊や言論の自由であったり、例えば言葉の壁を乗り越えようとする商人(ビジネスマン)であったり、半分観光地と化した聖地エルサレムにガイド付きでツアー観光する人々であったり、全く異世界で考えも全然違うと思い込んでいた当時の人々が、実はテクノロジーの差があるだけで本質は現代の我々と殆ど変わらない考えや嗜好、また努力を原動力に動いていたと教えてくれる話でした。
イタリアに1度でも行ったことがある人、歴史に興味がある人にはお薦めします。
その光景を想像し、思い出し、この地に足を踏み入れたくなります。行ったことがある人は特に。どの著作もそうですが、著者の優雅で教養的で、その場の空気感までリアルに伝える文章には惹き込まれます。雑学や暇つぶしではなく、1話1話ゆっくり、マイペースでじっくり味わいながら読んでほしいです。