塩野七生のレビュー一覧
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ネタバレ●君主篇
・君主は、人間的なものと野獣的なものを使い分ける能力を持っていなければならない
・悪しき行為は一気にやってしまう。恩恵は長く味わわせるために小出しに施す
・愛される君主像は捨てざるを得ないが、恨みや憎悪だけは避けねばならない
・君主にとっての最大の悪徳は、憎しみを買うことと軽蔑されること
・人の恨みは悪行からだけでなく、善行からも生まれる
・あなたに意見を率直に述べてもよいことにすると、あなたへの敬意を減じてしまう
・常に部下たちに君主は必要だと思わせること。そうすれば忠誠でありつづける
・偉大なことを成したいと思うならば、権謀術数を習得する必要がある
・必要に迫られてやむを得ずやったことでも、自ら進んで選択した結果のように思わせる
・話す能力に長じた者が、良い指揮官になれる
●国家篇
・敬愛と恐怖、いずれも人を動かすが、恐怖のほうに服従しやすい
・過度の敬愛は軽蔑を生み、過度の恐怖は憎悪を生む
●人間篇
・謙譲の美徳は相手の尊大さに勝てると信ずる者は、誤りを犯す
・人間は、ひとつの野心が達成されても、すぐ次の野心の達成を願う
・人間は、必要に迫られなければ善を行わない
・賢明で思慮に富む人物は、他者を脅迫したり侮辱したりしない
・人物を評価する最も簡単で確実な方法は、どのような人びととつきあっているかを見ること
・人間は、権力を持てば持つほどそれを下手にしか使えない
・中ぐらいの勝利で満足する者は、常に勝者であり続ける
・やったあとで後悔するほうが、やらないことで後悔するよりもずっとましだ(『デカメロン』)
・良い面を残そうとすれば、どうしても悪い面も同時に残さざるを得ない -
Posted by ブクログ
19世紀前半のフランソワ・ミショーの「十字軍の歴史」。そのドレの挿絵に塩野七生さんの文章がついた四部作の序章。
十字軍というと世界史の教科書のたった数行の知識しかないのですが、ドレの絵、簡単な地図、簡潔な文章で大まかな流れは俯瞰できたと思う。
罪深い悪人も聖地巡礼さえすれば救われる例の一つとなった極悪非道のアンジュー伯フルク。
人間社会で起こりがちな不祥事を迫害だと過剰な反応をしてしまった隠者ピエールを利用して、「神がそれを望んでおられる」を旗印に始まった聖地征服への戦い。そこから500年近くの戦いへと突入していくこと。
リチャード師子心王、
ジハードを叫んで初めてイスラム教徒の統合に成功したサラディン、
単身でスルタンの元に赴きキリスト教改宗を勧めたアッシジの聖フランチェスコ、
第六次十字軍で無血で目的を果たしたフリードリッヒ二世(破門の皇帝が実施し、イスラム教徒を一人も殺さなかったという理由でローマ法王は認めず、無残に破壊された像が今も残されて居る)、
第七次でイスラム側に捕らえられながらも、高潔な人格で部下が自由になるまではパレスチナから離れないと言ったというルイ九世(後に聖人に列せられて聖ルイと呼ばれた)
などなど、たった数行の文章なんだけど、多くの物語があったのだろうなと思わされる。
塩野七生さん、ローマ人の物語で挫折したので、ちゃんと理解できるか不安な所もあるんだけど続きを読んで見たいと思わされる一冊。
年代も書かれているともっとよかったんだけど。
無理を言うと世界史超初心者なので特殊な言葉や重要人物の用語解説なんかも少し… -
Posted by ブクログ
もう十五年以上も昔、夏休みにリュック一つでギリシャ一人旅をした。三週間かけてギリシャ国内だけをめぐる、学生ならではのおおらかな旅だったので、スパルタへも足を運ぶ機会を得たのだが。自分はスパルタ人だと名乗る将校が出てくる一篇で、その時のことを思い出した。スパルタへ向かう道のことや、辿り着いた時のこと。
その一篇だけでなく、氏が自分が高所恐怖症を自覚した時の描写や、法王とすれ違った時のエピソード。もう、何もかもが上手い。まるで情景が目に浮かぶよう。本当に氏が楽しんで書いていたのが伝わってくる。
ローマ人の物語は途中までしか読んでいないので、また是非最初から、今度は最後まで読み切りたいと思う。 -
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日本人へ-リーダー編に引き続き、ローマを中心とした歴史の観点から日本の政治について書かれている。
筆者は日本人の政治力や外交能力には期待していない。
誰がやっても一緒だし、どーせ能力なんてないんだから、とりあえずは継続性だけ持たせましょうよって考えが多く見られる。
革命が必要だった遥か昔と違い、何とかしなくても何とかなってしまうこの世の中だからこそ、新しいタイプの政治家も生まれにくいのだろう。
口先だけ、目先のことだけでコロコロ変わってしまう政治より、能力劣っていることを認め、長期的な視野で本当の痛みを伴う改革やりましょうよ。
あとフェミニストに対して、「本当に男女均等が実現されたらあんたらの仕事なくなりますよ?」って皮肉ってるのが面白い。 -
Posted by ブクログ
ネタバレヴェネツィア共和国の経済体制、経済体制を維持するための合理主義に基づいた政治システムの運用と文化の変遷について。ヴェネツィアは、経済合理性を追求した各種制度の確立・運用によって東地中海の覇権を獲得し、中東との貿易を行うことで中世の西欧では最大の経済国となり、文化の中心地ともなった。東地中海世界にトルコが台頭した時期に、他のキリスト教国から非難される中でトルコに年貢を支払ってまで地中海交易路を維持したのも経済合理性のためである。近世にアメリカ大陸が発見されたたために、西欧世界にとって地中海貿易の重要性が低下するについて伴いヴェネツィア共和国は経済力を失い、ナポレオンの圧力のもと崩壊した。