塩野七生のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
いよいよローマ帝国も最終章に入ってきた。
ローマ史の研究者の中でもコンスタンティヌスの時代になって、もはやローマではないと筆を置く人がいると筆者は述べている。
しかしながら、このシリーズは「ローマ人の物語」であって「ローマ帝国の物語」ではないと筆者の考えを構築しようとするのだが、
やはり、こころ無しか筆者の文章にも以前のような力強さがなくなっている。
ローマ皇帝というと、素人の記憶では(学校で習った程度)やはり、ネロ、カエサル(シーザー:皇帝ではないが)、コンスタンティヌス、おまけでアウグストゥス(虫プロの映画から)が浮かぶ。
この中でコンスタンティヌスについては、ハリウッドの影響でローマ皇帝、ローマ帝国のシンボル的なものと捉えていたが「ローマ人の物語」を読んでまったく反対であることがわかった。 -
Posted by ブクログ
ローマ人の物語で唯一つ未読であった「第10巻」を読むことにした。
この巻を飛ばしたのは著者のまえがきに『他の巻と違って(退屈だから)覚悟して読むように』と書かれていたので、それではとスキップした。
この本を手になるきっかけは指輪物語を読んだ時のオルサンクの塔、ミナス・ティリス、アルゴナスの門等々の偉大な建造物が印象に残ったからであった。
実際の歴史上で最大の文明を作り上げたローマ人がどのような考え方で現在に残る建造物を作り上げたのか興味をそそったからである。
ぜんぜん退屈しませんでした。
ハード・インフラとして道、橋、水道について書かれている。
ローマ人が道を造ることにかける意気込みが、征服した民族を同化させるためであったことは他の巻で何度も述べられていたことであるが、特に水道の建設が医療というソフト・インフラに対する考え方に相通じるものを持っていたことは印象に残った。
ローマ人の医療に関する基本的な考え方が『直すより予防すること』であることから、清潔な水を無料で供給し続けることが重要、かつ実績をあげていた(後世のヨーロッパの都市がいかに不潔であったかを考えるととても興味深い)。
巻末にある写真と地図が貴重です。トールキンの本を読んでいるときに地図を離さずに読んでいたので、丁度舞台となる空間が同じなのでつい錯覚しました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレルネサンス期の女性4人のそれぞれの生き方を書いた作品。イザベラデステ、自分は兄弟と同じく教養を受けて夫に替わって政治を取ったのに自分の娘たちは修道院…意外。自分の道がけもの道と解ってたから?単に息子命で娘イラネだった?私は嫌い。カテリーナは絶対上司にしたくないタイプ。こういうオバはんが職場にいると男性も女性も苦労するよね。ゴミ男を自分の仕事に関わらせ挙げ句の果てに復讐劇で市民を恐怖のどん底に陥れる。クビだー!ルクレツィアは私気になったのですが、ストライクゾーン広すぎませんか?詩人もいける軍人もいける、王子系もいける…イケイケすぎ!カテリーナは影薄くて可哀想。ヴェネチア人汚い。塩野さんの作品は、史実に忠実でキチンとしてて好きです。本人も相当期強くて風変わりなんだろうなぁ。
-
Posted by ブクログ
著者の『日本人へ』も、4冊目。
本書は、文芸春秋2013年11月から17年9月号まで掲載したものをまとめたものらしい。相変わらず、快刀乱麻のごとき筆の運びに、読むたびに爽快感を覚える。
著者専門の、ローマ帝国の民主政を論じたかと思えば、国内に転じ、安倍首相さらに女の政治家たちにも一言。
「政治権力とは、廃車世代からの禅譲を待つのではなく、自分から奪いにゆくものなのだから」と、檄を飛ばす。
さらに、現在世界で起こっている諸々の不幸もユーモアで味付けするだけで、印象が変わると助言する。
「笑いという武器は、人間を冷静にするのに役に立つ」と。
そこで思いついたのは、尖閣諸島をガンダムやゴジラに守ってもらおうというアイデアだそうだ。世界中の話題になり、中国人にもファンがいるから、丸く収まるのではないか、と。
その尖閣諸島に北朝鮮の難民が上陸した場合、主権国には救助に向かう義務があるらしい。そこで、日本と中国の舟が鉢合わせしちゃったり、とも綴っている。
読んでいて、思わず笑ってしまった。
やはり、こういう発想は、日本を外から見ている著者ならではないかと。 -
Posted by ブクログ
政治とか、歴史を絡めた現代の分析について語った本、というのか。それが面白いのは、そこから自分自身の身の回りを考える刺激になるからだろう。
イタリアのレンツィを塩野氏が評価し、期待していたところを読んだ後、ネットで検索し、その後どうなったのかは知っていた。読み進めていく中で、塩野氏自身のがっかりした気持ちも読んだ。考えさせられるところが多かった。
遠い政治の世界までも、自分の身に迫ってくる。面白い。なんで面白いんだろうと考えつつ読み進めていたら、最後に塩野氏自身の言葉で答えをみた気がした。
「歴史を書くこととは、人間世界ならばそこら中に散らばっている、平凡で単純な真実を探し出して読者に示すことでもあるのだ。」
ってね。
そこら中に、散らばっているからなんだ。
読んで、なんだかすっきりしたね。 -
Posted by ブクログ
2013-2017年に文藝春秋の連載。エッセイ連載、ということもあるので、記載されている時事は少し昔?を感じさせるけれど、それは逆にほんの少し前だからかも。もっと時間がたてば逆に新鮮に読むことができるかもしれない。おそらくは(残念なことに)このエッセイから学べることは10年後も、なるほど、と思わせるでしょう。
いつもの著者の平易でわかりやすい文章のおかげで、読者は政治や世界情勢といったものへの興味を惹かれるのではと思います。それらは、多くの人が難しいと思っていると思いますが、それは自称先生たちが、自分を偉そうにみせるために難しく言っているせいだなぁと思うのです。著者の考え方はもちろん色々な考え方の一つだと思いますが、多くの人が(特に若い人が)そのようなことを考えるようになれば著者もうれしく思うのではないかなと思います。
それにしても歴史というのは多くを示唆してくれている。もっと歴史から学ぶーそれは世の中を良くしそうだなと、著者の本を読んでいるといつも思います。
ただ、もしこのレビューを読んだ方が、著者の本を読んでみたいと思うなら、このエッセイから入るのではなく、著者のこれまでの本を先に読んでみてほしい。そうすればより、著者の思いが理解できると思うので。
そうですね、ローマ人の物語のような重厚なものではなく・・・やっぱり「海の都の物語」がお勧めです。
もう20年も前にもなりますが、母親に勧められて読んだ、著者の作品ですね。僕も、久しぶりに読んでみようかなぁ・・・ -
Posted by ブクログ
久々の新刊は、塩野氏のクールなプロフィールがグラビアとなったカバー大の帯をつけて登場した。
一国の存亡を見つめる大作をいくつも世に送り出しつつ、男女の機微にもするりと入り込む、よくありがちな、仕事一本やりではないところが格好いい人の姿である。
今回は、各国の政治家に対する言及が多い、となると、塩野氏のこと、支持に関しても明快だ。
2013年11月〜2017年9月の「文藝春秋」に掲載されていたものなので、一つの政権が立ち、倒れるところまで含まれているものもある。そして、それぞれに塩野氏の意見や提言が何にひるむことなく書かれているのが頼もしい。
政治家に言わせれば、「そんな単純なものではない」のかもしれないが、どちらかというと、「石橋をたたいて渡らない」になりがちな自分自身の行動を顧みるにつけ、とにかく、完璧を期す前にやってみるしかないと思わせられるだけの決然たる背中を見せられた思いだ。
そのなかでも、「政治家は、使い捨て」というのがよい。使って捨てられたのなら、本望である。似たようなのが、「一発屋」で、一発でも世を穿ったのだから、十分大成功と思うのは余談。時が変われば、適材も適所も変わるものであり、その一時の適材として選ばれ働けることを良しとする気概が仕事を生み、政治屋ではなく、政治家となるのだ。
戦後70年というが、今、平和がおびやかされているように感じる。つまり、我が家や職場の上空を厚木からの飛行機が低空飛行する轟音を聞くからで、報道とが相まって心を怯えさせられるのだけれども、では、日本が勝ち取るパクスニッポン(?)とは、どんな形だろうか。
100年にも満たない期間でしか、まだない。しかし、ローマ、ヴェネツィアの繁栄といえば、1000年というのだ。そう、100年後では、孫の代までだが、1000年後は、世界平和のレベルといえよう。しかし、政治は、それを目指してこそ、である。
政治とは、リストラをしないでの回復、経済とは、リストラをしてでもの回復、と塩野氏はいう。
高校で、ギリシャの政治を世界史にて習った時に、ギリシャの民主制と衆愚制、その境は何に発するのか、との思いは未だに解決を見ていない。そもそも、政治経済にさほど興味もなく暮らしている自分は、民主制の一員というより、衆愚制の一員といわれても言い返す言葉はない。
さて、明日はどうなるのだろうか。少なくとも、民主制であるとの自覚は持たねばなるまい。
他サイトより転載 -
Posted by ブクログ
ローマの歴史を熟知した上で、日本の様々な問題について筆者の鋭い見解が述べられている。エッセイ風だけれど、複雑な事柄を深く熟孝してきちんと言語化できているからさすがだ。
*若者のやる気のなさは負けへの怖れから→勝って自信を持つべし
*競争相手のいない分野を狙う
*想像力を自由に羽ばたかせたいと思えば、母国語にまさるものはない
*拒絶されることへの反応が過剰過ぎる
*上からの圧力に立ち向かわず左右に逃す
*イイ顔になってる人はイイ仕事をした人
*自分一人でやれるとは思わないこと。年を重ねれば自然の勢いで、自己生産能力が低下する。若手の能力を見透かし起用。
*「働かないのも疲れるもんなんだよ」