塩野七生のレビュー一覧
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読書録「絵で見る十字軍物語」4
著者 塩野七生
絵 ギュスターヴ・ドレ
出版 新潮社
p120より引用
“ 国家の弱体化は、外的要因よりもずっと
高い割合で、内的な要因によるものである。
言い換えれば、国内の混迷が国全体の力を弱
めるのだ。”
古代ローマや中世ヨーロッパに関する多く
の著作を持つ著者による、長年に渡る宗教対
立を描いた一冊。
聖地巡礼に関わるいざこざから始まり歴史
に残る大きな戦まで、地図と美しい絵を使い
描かれています。
上記の引用は、ビザンチン帝国皇帝が親族
に殺されたエピソードについて書かれた項で
の一節。
味方同士で諍いあっていると、敵に横っ面を
叩かれる -
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ネタバレ一千年のキリスト教の抑圧へ
人間の欲望が反逆する。
それがルネサンス。
再読。
塩野七生を読むと
知的好奇心に駆られる。
中世から近世のヨーロッパについて
学びたい意欲が沸々とこみ上げる。
ルネサンスなんて高校時代は
たいして興味もなかった。
過去は過去。
温故知新?
はあっ?
って感じ。
でもね。
歴史に学ぶ。
歴史を学ぶって
とっても大切。
そう思うのはジジイだからか。
断定。そう。
で、塩野七生である。
珍しく、解説書。
ルネサンスを語る。
もちろん、口調はいつもの塩野節。
この人、絶対Sだよな。
でも、嫌いじゃない。
語られるのはルネサンスの人、人、人。
人なんだよな。
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塩野七生氏はこの本を先に読んで(見て?)から本文の3巻を読むように勧めている。
オペラの序曲のように。
だが、ヨーロッパ史、特に十字軍について基本的な常識(?)がない者にとって、この本だけではあまりピンとこないだろう。
やはりぼくのように、先ず第1巻の「第一次十字軍」を読んだ後のほうが正解じゃないだろうか。
既に読んで得た細かい知識を持って、これから起こる未知の流れから十字軍の全体像を掴むには最適であろう。
地図と挿絵と短い説明文で見開きページが構成されているが、地図はあまりにも大雑把で繰り返しが多く、ある程度はしょって説明文をもう少し長くしたほうが良かったのじゃないだろうか。 -
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塩野さんのエッセイ集。
イタリア旅行から帰ってきて、イタリアの恋しさあまりに塩野さんの本を読んで旅行に思いを馳せているわけですが…
60年代?~70年代のイタリアを日本人の目から客観的(とは言っても塩野さんの主観なわけですが)に見れる本。
今に比べて家族の共同体とか、地方毎のカラーが色濃いような気がします。
あと階級、貧富の差も。
さすが芸術の国なだけあって、窃盗でさえ芸術的なイタリア。憎めない性格ゆえに、塩野さんも騙そうとする人に対してコーヒーとか奢っちゃってます(笑)
北から南まで。
貴族からマフィアまで。
イタリアを愛する人がイタリアで暮らしている日常を切り取ると、こんなにチャー -
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オデュッセウスの妻、サロメの乳母、聖フランチェスコの母…歴史上の英雄・偉人たちの周辺人物が語る舞台の裏側。
ワイルドの『サロメ』を最近読んだのをきっかけに表題作に惹かれて。どの章も20ページ程で、原作を読んだ後に本作を読むとイメージが付きやすいです。
オデュッセウス編では、妻のぼやきにも似た語り口調は軽快で、あくの強すぎる原作の主役を思い起こせばこんな想いも抱えるだろうと想像できます。狂気が注目されがちなサロメも、乳母の目から見ると賢い女性像が浮かびます。また、舞の描写は見事でした。最後の「饗宴・地獄篇」は、まぁ著者の悪ノリみたいなものでしょうか(笑)
イメージが固まりがちな名主役たちも、 -
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コンスタンティノープルを興したビザンチン帝国は、4Cに創立、5-6Cに全盛期を迎えたが、11Cには大幅にその支配圏を縮小、15Cにオスマントルコに攻められ陥落したという。
合戦が本格的になってからの記述はエキサイティング。
イスタンブールのメジャーな観光施設である、アヤ・ソフィアやトプカプ宮殿が歴史的にどれだけ意味をもったランドマークであるか、というのも感じることができた。あるいはまたイスタンブール(コンスタンティノープル)という地が、長らく反映してきた帝国の都であったということも理解した。しかしこの本を読んでかえって強く感じたのは、この「陥落」こそが、キリスト教とイスラム教との交戦の発端に