塩野七生のレビュー一覧

  • ユリウス・カエサル ルビコン以前──ローマ人の物語[電子版]IV

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    先に読んだ『劉邦』が話の粗さを感じた分、『ローマ人の物語』のカエサルの細やかな描写は心地よく感じられた。カエサルの魅力にも惹かれた。また、著者の知識に裏付けられた、率直な心理分析も面白かった。
    次巻のルビコン川以後も楽しみ。ローマはどうなってしまうのか。

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    2016年04月09日
  • ローマ亡き後の地中海世界(下)

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    本棚を温めていた2冊を読むことができた。実は初めての塩野七生だったが、すばらしきストーリーテラーに導かれ、完全に地中海をタイムトラベル。海賊といえば、ワンピース並みにキャラの濃い実在の人物たちが生き生きと描かれ、著者がいうように樹と森のうち森がテーマな本書だけど、ちょこちょこ面白い逸話(=樹)を混ぜてくれる。読むの大変だけど、いっきに読むべし!

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    2016年04月06日
  • 愛の年代記

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    中世末期からルネサンス期のイタリアを中心に、愛に生きた女性たちの物語。
    現代のように自由恋愛が当たり前でない社会にとって、愛することは簡単に命がけの行為になり得た。
    若い愛人を行李に閉じ込めて道連れにしようとしたり、男装して逃避行したり、高貴な貴婦人が羞恥プレイにはまったり。
    そんな愛憎を見て、感情的に嫌悪し、憐れみを持って理解するけれど、明日には私もそんな一員になり得るかもしれない。なんてね。

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    2016年03月21日
  • 絵で見る十字軍物語

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    読書録「絵で見る十字軍物語」4

    著者 塩野七生
    絵 ギュスターヴ・ドレ
    出版 新潮社

    p120より引用
    “ 国家の弱体化は、外的要因よりもずっと
    高い割合で、内的な要因によるものである。
    言い換えれば、国内の混迷が国全体の力を弱
    めるのだ。”

     古代ローマや中世ヨーロッパに関する多く
    の著作を持つ著者による、長年に渡る宗教対
    立を描いた一冊。
     聖地巡礼に関わるいざこざから始まり歴史
    に残る大きな戦まで、地図と美しい絵を使い
    描かれています。

     上記の引用は、ビザンチン帝国皇帝が親族
    に殺されたエピソードについて書かれた項で
    の一節。
    味方同士で諍いあっていると、敵に横っ面を
    叩かれる

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    2016年03月06日
  • ルネサンスとは何であったのか―塩野七生ルネサンス著作集1―

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    ネタバレ

    一千年のキリスト教の抑圧へ
    人間の欲望が反逆する。
    それがルネサンス。


    再読。

    塩野七生を読むと
    知的好奇心に駆られる。
    中世から近世のヨーロッパについて
    学びたい意欲が沸々とこみ上げる。

    ルネサンスなんて高校時代は
    たいして興味もなかった。
    過去は過去。
    温故知新?
    はあっ?
    って感じ。

    でもね。
    歴史に学ぶ。
    歴史を学ぶって
    とっても大切。
    そう思うのはジジイだからか。
    断定。そう。

    で、塩野七生である。
    珍しく、解説書。
    ルネサンスを語る。
    もちろん、口調はいつもの塩野節。
    この人、絶対Sだよな。
    でも、嫌いじゃない。

    語られるのはルネサンスの人、人、人。
    人なんだよな。

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    2016年02月29日
  • 男の肖像

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    14人の歴史上の男性を、教科書的な一般的な歴史の人物評ではなく、彼女独特の視点で評している。
    特に北条時宗の生涯は、ヨーロッパからモンゴルがどう捉えられていて、その視点を挟むとこういうことになる、と、彼女の歴史観から語られている。不勉強な私には目から鱗だった。
    幅広い時代から人選されている。取り上げられた人物から、興味がある時代の理解を深めるものいいと思う。

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    2016年02月07日
  • ユリウス・カエサル ルビコン以前──ローマ人の物語[電子版]IV

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    カエサル上巻。ほぼガリア戦記。個人的には、ローマ人の物語の中で戦争の記述よりも平時の記述の方が好きなのだが、ハンニバル戦記とガリア戦記だけは別。英雄が記述を盛り上げる。内乱記へ続く。

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    2016年01月05日
  • 愛の年代記

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    時代背景や人種などの違いはあっても、人間というのはいつの世も変わらないものなのだなと実感しました。こういう人間味の感じられる話は大好きです。特に「エメラルド色の海」はロマンチックで夢もあってとても素敵でした。イタリアの地理や歴史をちゃんと勉強したくなりました。

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    2015年12月13日
  • 愛の年代記

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    塩野夏生さんらしい短編集。史実や実際の古文書をベースにした創作のようだ。
    中世イタリアを舞台にした人間模様が、宝石のように輝き官能的に描かれている。一方、人間の嫉妬という感情は何百年も昔から変わらず、いろいろな人生を狂わせてきたのだなと思わされる。夢に出てきそうな恐ろしい話もあった。
    文章が丁寧で美しいので、読んでいてとても気持ちがいい。

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    2015年12月05日
  • 絵で見る十字軍物語

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    塩野七生氏はこの本を先に読んで(見て?)から本文の3巻を読むように勧めている。

    オペラの序曲のように。

    だが、ヨーロッパ史、特に十字軍について基本的な常識(?)がない者にとって、この本だけではあまりピンとこないだろう。

    やはりぼくのように、先ず第1巻の「第一次十字軍」を読んだ後のほうが正解じゃないだろうか。

    既に読んで得た細かい知識を持って、これから起こる未知の流れから十字軍の全体像を掴むには最適であろう。

    地図と挿絵と短い説明文で見開きページが構成されているが、地図はあまりにも大雑把で繰り返しが多く、ある程度はしょって説明文をもう少し長くしたほうが良かったのじゃないだろうか。

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    2015年10月31日
  • ローマは一日にして成らず──ローマ人の物語[電子版]I

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    他民族が地続きで接していると、必ず領土問題に直面し、それが戦争に結びつく。
    結果だけ見ると、戦争が政治のシステムを改変して成熟させたり、文化の交流の役割りを果たしていたのかもしれない。
    今の世界で行われている戦争を、後世から見たらどうなるんだろう?

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    2015年10月25日
  • サロメの乳母の話

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    ネタバレ

    おもしろかった!英雄や偉人、になるわけではなく、その妻や召使はたは馬にもなり、その裏側の顔を描き出す。。。秀逸だったのは、題名にもなっているサロメの乳母の話。サロメと聞くと無邪気で残忍という勝手なイメージがあったんですが、この物語を読むとフィクションだとしても、あぁなるほどね!と思ってしまう。妄想が膨らむのはほんとに楽しい。。。
    そして最後の饗宴・地獄篇。こと西洋の物語が大半の中で珍しく日本歴史が出てきて新鮮。そしてオチがね・・・。いや、最後まで楽しく読める1冊です。

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    2015年10月22日
  • イタリアからの手紙

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    塩野さんのエッセイ集。

    イタリア旅行から帰ってきて、イタリアの恋しさあまりに塩野さんの本を読んで旅行に思いを馳せているわけですが…

    60年代?~70年代のイタリアを日本人の目から客観的(とは言っても塩野さんの主観なわけですが)に見れる本。
    今に比べて家族の共同体とか、地方毎のカラーが色濃いような気がします。
    あと階級、貧富の差も。

    さすが芸術の国なだけあって、窃盗でさえ芸術的なイタリア。憎めない性格ゆえに、塩野さんも騙そうとする人に対してコーヒーとか奢っちゃってます(笑)

    北から南まで。
    貴族からマフィアまで。
    イタリアを愛する人がイタリアで暮らしている日常を切り取ると、こんなにチャー

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    2015年10月11日
  • 神の代理人―塩野七生ルネサンス著作集6―

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    ネタバレ

    ローマ方法3代の物語。世の中を動かす法王になったこと以外、似通ったところのないピオ2世・アレッサンドロ6世・レオーネ10世。その人の人生はどのような道を歩んだかでわかるというけれど、この3人を見比べて改めて自分の人生どうするのかと考えさせられる本でした。
    宗教のことだけ考えて動くのは難しいものですね。

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    2015年10月04日
  • マキアヴェッリ語録

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    他の哲学書を読んでから、マキアヴェッリを読むと「力」の必要性を感じるから、道徳だけじゃダメなんだと思い知らされます。

    自分にはマキアヴェッリの言葉は強いので、時々忘れたころに読み返して、自分に足りない物を頭の隅にとどめておくようにしています。

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    2015年09月27日
  • ルネサンスとは何であったのか―塩野七生ルネサンス著作集1―

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    ネタバレ

    対話形式をとりながら、ルネサンスという、それまで押さえられていた感情・欲望が爆発した革新の時代にするどく肉薄していく本でした。宗教・美術・政治など、それまでと全く違う方向へ歩みだす、その一歩をスローで眺めているような
    気にさせる内容で、とてもおもしろかった。

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    2015年07月02日
  • サロメの乳母の話

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    オデュッセウスの妻、サロメの乳母、聖フランチェスコの母…歴史上の英雄・偉人たちの周辺人物が語る舞台の裏側。

    ワイルドの『サロメ』を最近読んだのをきっかけに表題作に惹かれて。どの章も20ページ程で、原作を読んだ後に本作を読むとイメージが付きやすいです。
    オデュッセウス編では、妻のぼやきにも似た語り口調は軽快で、あくの強すぎる原作の主役を思い起こせばこんな想いも抱えるだろうと想像できます。狂気が注目されがちなサロメも、乳母の目から見ると賢い女性像が浮かびます。また、舞の描写は見事でした。最後の「饗宴・地獄篇」は、まぁ著者の悪ノリみたいなものでしょうか(笑)

    イメージが固まりがちな名主役たちも、

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    2015年06月30日
  • 人びとのかたち

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    塩野女史がおそらく50代の頃に書かれたと思われる。映画についてのエッセイで興味深かった。昔の映画の紹介が多かったが、スタローンのランボーやダイ・ハード、プラトーンの紹介もあった。

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    2015年05月07日
  • すべての道はローマに通ず──ローマ人の物語[電子版]X

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    ローマのインフラ、特に街道、橋、上下水道のハードなインフラと医療、教育のソフトなインフラに一冊を丸々割いた感じ。ローマ帝国の凄さをこの一冊からだけでも感じとれる。

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    2015年03月11日
  • コンスタンティノープルの陥落

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    コンスタンティノープルを興したビザンチン帝国は、4Cに創立、5-6Cに全盛期を迎えたが、11Cには大幅にその支配圏を縮小、15Cにオスマントルコに攻められ陥落したという。
    合戦が本格的になってからの記述はエキサイティング。

    イスタンブールのメジャーな観光施設である、アヤ・ソフィアやトプカプ宮殿が歴史的にどれだけ意味をもったランドマークであるか、というのも感じることができた。あるいはまたイスタンブール(コンスタンティノープル)という地が、長らく反映してきた帝国の都であったということも理解した。しかしこの本を読んでかえって強く感じたのは、この「陥落」こそが、キリスト教とイスラム教との交戦の発端に

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    2021年06月11日