塩野七生のレビュー一覧
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ネタバレカエサルはついにルビコン川を渡り、ポンペイウス擁する元老院派との対決に臨む。決意を決めたカエサルとは対照的に、国賊認定をしてカエサルを追い込んだ元老院派はルビコン川を越えたカエサルの行動は予想できていなかった。冬季であったため、軍勢を整えるためにも春まで待つだろうと予想をしていたからであった。準備ができていないポンペイウス陣営は、早々にローマを捨て南伊ブリンディシに向かい、イタリアをも捨てギリシャへと渡る。ポンペイウスは地中海の海賊一掃作戦を通して地中海全域に渡り多数の「クリエンテス」を有しており、イタリア内での決着よりも地中海全域を盤面とした方が有利とみたからであった。カエサルは当然この展開
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ネタバレローマの歴史における英雄中の英雄ガイウス・ユリウス・カエサルについての叙述がいよいよ始まる。カエサルは紀元前100年の生まれという事で覚えやすい。項羽と劉邦の時代のおよそ100年後、カエサルの100年後にキリストの時代となるのでなんとも贅沢な時代である。
カエサルの少年期は、マリウス(民衆派)とスッラ(元老院派)の抗争の時代と重なる。母方の伯父にあたるマリウスがカエサルの伯父2人を処刑するという凄惨な出来事を13歳の時に経験している。16歳で父親を亡くしたカエサルは家長となり、政略結婚を経て当時の政争に巻き込まれていく。マリウスのバトンを受けとった執政官キンナは、オリエント平定を終えたスッラを -
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ネタバレ第二次ポエニ戦役に勝利し、地中海の覇権を不動のものとしたローマであるが、大きくなりすぎた反動が自身を襲う。属州となったシラクサから安価な農産物が入るようになり、ローマの農業者は葡萄畑などに転換するしかなくなったが、この転換には多額の投資が必要であった。投資能力のない者は土地を富裕層に譲渡せざるを得ず、格差が拡大したのである。
このような背景の中、グラックス兄弟が登場する。兄のティベリウス・グラックスは、大規模農地の所有権を放棄させる農地法を護民官として提案し民衆に支持されるも、これが富裕層が多くを占める元老院の反感を買う。護民官への再選を期した集会において、反対派(背後には元老院が控えている) -
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ネタバレ北アフリカの強国カルタゴとローマの激戦が描かれる。シチリアの覇権をめぐる「第一次ポエニ戦役」、主戦場をイタリアとしたカルタゴの英雄ハンニバルによる侵略戦争である「第二次ポエニ戦役」がメインのテーマ。
第一次ポエニ戦役は地中海の制海権が重要となることから、当時は海軍を持っていなかったローマより沿岸国であるカルタゴが有利かと思いきや、そうならないのが面白いところ。「カラス」という回転する梯子のようなものを船に装着し、カルタゴの軍船に橋をかけローマの強みである重装歩兵を活用し戦闘を陸戦化するという発想の転換は学ぶ部分が多いなと感じた。
第一ポエニ戦役での敗戦の将となったハミルカルであるが、その長子で -
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ネタバレローマの事を全く知らない人間が読んでも、グイグイ引き込まれる文章で、漫画を読むような感覚で歴史理解を深める事ができた。長丁場になるが全巻読んでみたいと思う。ローマ建国からカルタゴ(現 北アフリカ)との戦争であるポエニ戦役勃発前までが描かれる。ローマに最初に拠点を築いたのは所謂「ならず者集団」で、サビニ人の女性たちを拉致して結婚して子孫を残したというのは驚きであった。共和制移行後のパトリキ(貴族)中心の政治から平民を取り入れた政治体制の確立(リキニウス法)や同盟国出身の者に違和感なく最高権力であるコンスル(執政官)の地位を与えるなど、外部リソースの活用の上手さがローマが今後ライジングしていくこと
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"ローマ人の物語"で有名な塩野七生のエッセー集。政治・社会問題から女性論・天皇陛下や日本人への想いまで、歴史知識に裏打ちされた現実主義的で冷徹な視線で話を進める。もちろんそれだけでなく、"尖閣にガンダムやゴジラを"というウィットにとんだ提言もあり、また、日本を語るときのある種のウェットさ、切なさも文章からは伝わってくる。
それにしても彼女の語る欧米事情や政治論・女性論は、日本のマスコミの論調とは大きく違って聞こえる。個人的には彼女の方がしっくりくるのだが。
彼女のような人に国を率いてもらいたいと思ったりもするけれど、たぶん今の日本人にはそれを受け入れる -
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ネタバレ塩野七生の本なので面白くないはずがない。と言う訳で、題名の通り中世ヨーロッパで中世ヨーロッパから外れた傑物の神聖ローマ帝国皇帝 フリードリッヒ2世の生涯を好意を持って描いた本。そもそもフリードリッヒ2世という人を全く知らなかったが、中世において、絶大な権力を誇った神の使いであるローマ法王に真っ向から対立した(勝負を挑んだというほどには勝負はしていない)フリードリッヒ2世という人を全く知らなかったの発見の連続。もうあと200年くらい遅くに生まれていたら時代の寵児になっていたと思うが、残念ながらキリスト教(ローマ法王)的には全く容認できず、死後に歴史上から抹殺された感が強いのであまり知られていない
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文藝春秋に連載されている日本人へをまとめた新書の5冊目です。タイトルは「誰が国家を殺すのか」ですが、それに関係する内容が多かったと思います。「誰が」という問いは難しいですね。特定の個人ではないと思いますが、読みながら考える材料になっていると思いました。
塩野さんがこれまでおっしゃっていた内容と重複するような内容もいくつかありましたが、立場が変わったこともあり、それらについて考えるのも、いろいろと違う要素や視点から考えますね。特に印象に残っているのは、「責任を取る」ということやリーダー像、そして現場体験を通じたカンの重要性ですね。普段からそういうことをあれこれ考えているからでしょうか。 -
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専門家や歴史好きの一部からは批判されているが、私はこのシリーズが好き。単純に面白いから。正確な歴史を知るというより、ローマ人に想いを巡らせる上で、とても役に立つと思っている。
「悪名高き皇帝たち」では、ローマ帝国第二代皇帝ティベリウスから第五代皇帝ネロまでの治世が描かれている。カエサルが道を開き、アウグストゥスが作り上げた帝政を、次代の皇帝たちがどのように治めていくのかがテーマになっている。
ローマ帝国の面白いところは、皇帝があくまで市民の中の第一人者であるところ。強大な権力が付与されるが、それには元老院と市民の支持が必要なのである。冠を被ったステレオタイプの王様とは全くの別物だ。どちらかとい