塩野七生のレビュー一覧

  • 皇帝フリードリッヒ二世の生涯(下)(新潮文庫)

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    改革者、フリードリッヒの生涯。執念深いローマ法王を抑え切った彼の力は本物だったが、息子たち、孫までにはその濃い血は受け継がれていなかった。エンツォ、コンラッド、アンティオキアのフェデリーコ、マンフレディ、そしてコラディン。フリードリッヒ亡き後、彼らは法王の魔の手に落ちていく。最終章でフリードリッヒは敗者なのか?と語るが、その後アビニョン捕囚でローマ法王は地に落ちる。フリードリッヒの一族は負けたのかも知れないが、彼が残したものは確実に形になり、暗くジメジメした中世を終わらせたのだろう。

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    2025年02月25日
  • ユリウス・カエサル ルビコン以後──ローマ人の物語[電子版]V

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    英雄が暗殺されるのは悲しい。生きていたら、何をどこまで成し遂げていたか。日本では織田信長や坂本龍馬だが、カエサルはスケールが違う。暗殺者が愚かなのも余計に悲しい。

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    2024年12月23日
  • 十字軍物語 第四巻―十字軍の黄昏―(新潮文庫)

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    登場人物の活き活きとした描写。これぞ塩野七生という感じ。
    1巻冒頭は役者の紹介から入りやや退屈、やがて十字軍世界に引き込まれていき、サラディンの振る舞いに軽い感嘆の念を抱き、リチャード獅子心王の登場で最高潮の盛り上がり、その後はだれていく十字軍にどんよりした心持ちになり、ラストの聖堂騎士団の悲劇に涙。

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    2024年12月11日
  • コンスタンティノープルの陥落

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    著者作は初読。最近世界史に興味を持ち、「コンスタンティノープル攻めの山越えが面白い」と聞いて読み始めた。

    序盤の「現場証人たち」という章でさまざまな人物が登場しやや混乱したが、次第に各々の思惑や事情が絡み合ってあの日あの時のコンスタンティノープルを目撃したことがわかってくる。著者の語り口は冷静でいて臨場感があり、当たり前なのだが「世界史上の一出来事」と捉えていた言葉の背景に、多くの人が関わってきたのだと想像できた。

    オスマンのマホメット(メフメト)2世は父と違い、威厳と冷徹さと征服欲に満ちていたようだ。ビザンツ帝国1100年の歴史はガラタ側の山越え、金角湾喪失をきっかけに崩れた。

    エピロ

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    2024年12月03日
  • ユリウス・カエサル ルビコン以前──ローマ人の物語[電子版]IV

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    本書を読んで、自分の歴史認識に穴があったことを知った。ユリウス・カエサル。ガリア戦記。穴のあまりの大きさに唖然としてしまった。

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    2024年10月22日
  • ロードス島攻防記

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    一四五三年のコンスタンティノープル攻防戦は、戦争が歴史を変える好例である。大砲活用によって以後の築城技術、つまり戦法全般に改革を強いたことと、大軍投入によって、大君主国時代への移向を強いるという、歴史的変革をともなった戦争であった。一五二二年のロードス島攻防戦は、この二面とも、七十年前に起ったことから生じた影響を、全面的に受けるかたちで行われる。

    歴史の忠実性がどの程度かは分からない。だから小説として捉えて良いのか、いや、区分はいらないのだろう。例えば、司馬遼太郎のように、創作が混じったとしても仕方ない。既存の資料だけで物語を紡ぐのは難しいから、空想がそれを埋めるのだろうから。

    本作は、時

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    2024年09月21日
  • ルネサンスの女たち―塩野七生ルネサンス著作集2―

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    少々読みづらいのだけれど、歴史としてわかりづらい文章ではないはず。
    何につかえて読み返すことになるのかというと、名前の多さです。

    法王ダレダレと言われても、ピンとこないし、〇〇家がどこの街の支配者だったのか、父が誰と言われても、そうだったかしら?となるのは、こちらの認識不足ではあるのですが。

    イタリアの歴史が、初心者にはわかりにくいところがあるのですね。
    まあ、コレからだんだんと、読みすすめて行こうと思います。

    この作品は、塩野七生さんの、初めての小説だということです。
    歴史が面白いと思えるなら、興味深い作品です。
    ただ歴史の出来事の紹介というだけでなく、その場の実況を伝えるような書き方

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    2024年09月10日
  • 皇帝フリードリッヒ二世の生涯(下)(新潮文庫)

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     下巻では、歴代ローマ法王との熾烈な争いが主たる内容となる。「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に」、今風の言葉で言えば政教分離を実現しようとするフリードリッヒと、「法王は太陽で皇帝は月」と信じている歴代ローマ法王との間の根本的な考え方の違いが対立の根底にあり、特に原理主義的な法王であればあるほど妥協の余地がなくなってしまうのだった。

     度重なる破門通告や、遂には異端者として断罪されての皇帝位及び王位の剥奪にも屈することなく、帝位や王位の剥奪という法王の越権行為についてフリードリッヒは諸国の王侯や騎士などへの世論工作も積極的に行い、こうした苦境を乗り越えていく。しかし、そうした彼にもとうとう死

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    2024年08月12日
  • ギリシア人の物語4―新しき力―(新潮文庫)

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    第1章 アレクサンドロス
    ●生涯の友「ヘーファイスティオン」と愛馬「ブケファロス(牛の頭I]に恵まれた。
    ●父のフィリッポス2世から、身体面ではスパルタ人のレニオダスからスパルタ教育を、精神面では、哲学者の「アリストテレス」から哲学を学んだ。
    ●哲学者は知識を得る学問ではなく、知力を鍛える学問であり、アリストテレスの教育を受けたことは、アレクサンドロスに大きな力になった。当時の哲学者は先人たちがどのように考えて行動したかを知るために歴史を学び、情報を偏見なく冷静に受け止める姿勢を確立し、3つ目は自分の頭で考えて自分の意志で冷徹に判断して行動する能力を得る学問だった。
    ●アレクサンドロス曰く「船

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    2024年07月28日
  • コンスタンティノープルの陥落

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    読後すぐに思ったのは、家に帰ったらNetflixの「オスマン帝国」見ようという事です。
    塩野七生さんの作品は資料の調査や地図・図面を掲載してくれているので分かり易さや理解度が抜群でとても面白いです。

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    2024年07月05日
  • ユリウス・カエサル ルビコン以後──ローマ人の物語[電子版]V

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    カエサルすごい!!スッラと同じ方法を絶対に取らずにローマを内側からジワジワ改革していった天才。
    カエサル暗殺後の、暗殺者サイドとか残されたローマ市民とか、カエサル派も反カエサル派も、圧倒的無力感。
    歴史の授業だとブルータスがカエサルを暗殺した、くらいの分量でしか教わらないから、ブルータスっていうやべえ奴、って勝手な印象抱いてたけど、極めて普通の青年っていう印象。担ぎ上げられてブルータスも大変だったろうなあ。(なぜか同情)
    アントニウスとクレオパトラの二人が残念すぎるのと、オクタヴィアヌスにどうしても血の通った人間味を感じられなくて、終盤カエサルが恋しくなった。笑

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    2024年07月03日
  • ユリウス・カエサル ルビコン以前──ローマ人の物語[電子版]IV

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    3週間くらいかかって読み終わった、すごいボリューム感。
    スッラとカエサルの比較が分かりやすかった。
    二人とも共和政ローマに限界を感じてたところは一緒だけど、スッラの方は元老院制の伝統を強固に戻すことで建て直しを図ろうとして、カエサルの方は元老院制を利用しつつももっと革新的な政治母体を作ろうとする、って感じ。(間違ってるかも)保守と革新と。

    カエサルってまじもんのカリスマだな〜
    もう無理でしょ、、、って諦めそうなシーンでも、情報を緻密に集めてうまく戦略練って部下を叱咤激励して、勝っちゃうんだもんな、、、

    最近MBTIハマりまくってるからカエサルなんだろ〜とか考えちゃう、ESTJかESFJと予

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    2024年06月03日
  • 小説 イタリア・ルネサンス1―ヴェネツィア―(新潮文庫)

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    ヴェネツィア貴族のマルコ・ダンドロを主人公とした歴史小説。塩野七生さんの唯一の小説。この巻では、親友であるアルヴィーゼ・グリッティがもう一人の主人公。

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    2024年05月05日
  • ハンニバル戦記──ローマ人の物語[電子版]II

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    ハンニバルにイタリア半島まで攻め込まれたローマ。19年に渡る防衛戦で遂に勝利し、やがて地中海世界の覇者となる。遠い時代の、遠い所の、知らない歴史。その叙述が何故こうも面白く思えるのだろう。

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    2024年04月01日
  • ギリシア人の物語2―民主政の成熟と崩壊―(新潮文庫)

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    ペリクレスすごい。
    この人も英雄だと思います。
    その後のアテネとても残念。
    転がり落ちる速さがひどい。
    ローマはすごかったんだなぁ。

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    2024年02月10日
  • マキアヴェッリ語録

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    ■結果さえ良ければ手段は常に正当化される。
    ■必要に迫られて止むを得ずやったことでも、自ら進んで
     選択した結果であるかのように思わせることが重要。

    学ぶところ大である。特に上記2点は自分には無い考え方なので興味深い。いつも自分にとって共感できる文面を探して賞賛する、という手法でこれまでやってきたので、これからはこういう手法を取り入れよう。ただし取り繕って出したものは「良い結果」とは言えないし、それゆえそんな結果を作る手段は正当化されない。

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    2024年02月08日
  • すべての道はローマに通ず──ローマ人の物語[電子版]X

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    古代ローマのインフラについて取り上げた巻。
    街道、橋、水道、医療、教育といったハード・ソフト両方の基盤を紹介してくれる。
    特にハードなインフラの方はレベルの高さに驚かされる。今から2000年以上前とは思えないクオリティで作られ、維持されていたとのこと。
    例えば水道は長いもので全長90キロメートル以上で、場所によって高架橋であったり地下を水が流れる。垂れ流しにすることで腐らないようにしていて、水質が良かったとのこと。そして一人当たりに供給される量は現代の主要都市と変わらなかったらしい。
    こんなことを当時やっていたのはローマ人だけで、属州への普及には骨が折れたらしい。
    こういったインフラを大事にす

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    2024年02月05日
  • チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷―塩野七生ルネサンス著作集3―

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    普段歴史小説は敬遠しているけど友人に勧められて読んでみたら、面白い。事実に基づきつつもストーリー性があるというか、作者が文献に当たった結果こういったストーリーを描かれたのだろうなと、作者が楽しんでイタリア史を研究されているのが伝わってきて良かった。最後にはすっかりチェザーレに魅せられていたので歴史上変えられないのにも関わらずハッピーエンドを祈ってしまった…しかし終わり方も含めて美しかった。

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    2025年08月16日
  • ギリシア人の物語4―新しき力―(新潮文庫)

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    アレクサンドロスの開拓するスピード感の見応えが凄かった。兵士からの人望が厚く政治、軍事面共に才能が長けていて判断力の正確さや行動への素早さは古代ギリシア時代のテミストクレスを
    彷彿させる勢いだった。人情味もあり、それでいて突飛な行動でクスッと笑えるシーンもあり
    読んでいて楽しかったです。

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    2024年01月04日
  • 海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年(下)―塩野七生ルネサンス著作集5―

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    ベネチアとトルコの激戦、ビザンチン帝国の興亡、マキャベリの台頭、ルネサンス時代、地中海を通じた貿易、やはり海を通じて栄えた都だ。しかし歴史的にこれだけ色々な都市と関わってきた街は無いと思う。

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    2024年01月04日