塩野七生のレビュー一覧

  • チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷―塩野七生ルネサンス著作集3―

    Posted by ブクログ

    チェーザレかっこいい!1500年前後ってことは、織田信長より半世紀ぐらい先輩か。

    地続きのヨーロッパ、イタリアの外には強国フランススペイン神聖ローマ帝国。列強の勢力争いに煽られ巻き込まれながら、ローマ法王の御旗をかかげて武力による実効支配を強めたりと、めっちゃ戦国時代。
    領主、僭主はどいつもこいつも信用できず現金主義だし、敵と味方がすぐ入れ替わったり影響及ぼしあったり陰謀が入り混じったりしてカオス。
    日本で言うなら国盗り物語のようでおもろい。

    イタリアの歴史をあまり知らない状態で読んだため、地名と人名がまあ入り混じって大変だったが、地図とにらめっこしながらロマーニャの小さな街を次々攻略していく行軍を追うのが楽しい。現地行ってみたい。

    300年以上後の話だが、最終的なイタリア統一(リソルジメント)の流れも小説になってたらぜひ読んでみたい。

    0
    2026年03月26日
  • コンスタンティノープルの陥落

    Posted by ブクログ

    タイトルの通り、コンスタンティノープル(現イスタンブール)の陥落をとてもわかりやすく詳細に書かれている良書の作品。

    1000年以上続いた東ローマ帝国の滅亡で地中海は西洋からトルコが支配もあるが大砲を大胆に使用する事で戦争のやり方、城壁の作り方などあらゆる物が大きく動いた時代の転換期であった。

    陥落したのは15世紀だが14世紀にも周りの都市が次々と陥落して危機的状況があった。そのトルコ軍の勢いを消しとめた軍勢が東からのモンゴル軍だったという事で上には上があると感心した。

    本書はコンスタンティノープル攻撃前の両者の駆け引きも書かれており、圧倒的軍事力の差の中での話し合いは無意味であるという教訓が今の私たちに訴えている様に感じた。

    0
    2026年02月27日
  • ギリシア人の物語4―新しき力―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    知ってはいるが点でしかなかった事象が線で繋がった。歴史の面白さはそこにあると言える。現代社会の根幹となるもののほとんどがギリシャによって生み出された。そんな偉大な社会がなぜ永続させられなかったのか、考える意味はあると思う。

    0
    2026年02月18日
  • コンスタンティノープルの陥落

    Posted by ブクログ

    【感想要約】
    攻防戦を群像劇として描くことで歴史の臨場感が際立ち、単なる軍事的事件ではなく西欧人の精神的支柱であったローマの伝統喪失としての意味を実感させられた。コンスタンティノープルの陥落は西欧人にとって後の時代意識にも影響を与えた精神的転換点だったと考える。

    【内容】
    オスマン帝国によるコンスタンティノープル侵攻の攻防を双方の視点から描く。コンスタンティノープル侵攻前の双方の準備から陸海での攻防戦、そして陥落とその後の人々の動向を、単なる戦史としてでなく人間群像劇として叙述している。
    15世紀半ば、ビザンツ帝国は東西教会の合同を巡る内部対立や長期にわたる「滅亡の危機」に晒され続けたことにより国家の疲労と統治力の摩耗が進行しており、コンスタンティノープルとその周辺を治めるのみとなっていた。1451年、19歳にして2度目のスルタンに即位したメフメト2世は父の成し遂げなかったコンスタンティノープルの制覇という覇業に挑まんと準備を始める。それを知ってか知らずか、コンスタンティノープルには様々な人々が集まる。ヴェネツィア人医師と海軍提督、ジェノバ人の陸戦傭兵長、ジェノバ自治区の総督、東西キリスト教の合同を目論む枢機卿とそれに反発するギリシア正教の司祭、それに従うラテン人の僧。そしてそんなオスマン帝国を迎え撃つのは人格者として人望の厚いコンスタンティヌス11世だった。制度的、精神的磨耗著しく、もはや滅亡が現実のものとなりつつあった帝国と運命を共にすることを彼は覚悟していた。
    コンスタンティノープルを大軍で包囲したオスマン帝国は、圧倒的軍勢と最新鋭のウルバン砲を持って攻め込むがコンスタンティノープルの三重の城壁はその侵攻を何度も防ぐ。海戦を得意とするヴェネツィア人とジェノバ人は海の戦いでもオスマン帝国を鮮やかに撃退する。しかし常識にとらわれないメフメト2世は、軍船を陸の上を通過させるという奇策に撃って出ることで、金角湾の封鎖を突破しコンスタンティノープルの急所を抑えることに成功する。そして双方覚悟を決めて臨んだ5月29日、波状攻撃を仕掛けるオスマン帝国側はついにコンスタンティノープル北西の城壁を突破する。あっという間に城内に雪崩れ込むオスマン帝国の大軍に対して、コンスタンティヌス11世は最期の白兵戦を挑んで行方がわからなくなった。こうしてコンスタンティノープルは陥落し、ビザンツ帝国は滅亡した。
    ビザンツ帝国の滅亡により、西洋人は古代ローマから続くローマの最後の伝統を喪失した。「西欧の人々にとって、ローマ帝国最後の皇帝は、紅の大マントを風になびかせながら、白馬を駆って、天空の彼方に永遠に去ってしまったのであろう」という文をもって、本書は締め括られている。

    【感想】
    コンスタンティノープル攻防戦に焦点を当てた本書は、通史的な内容ではない分「ヴェネツィア〜海の都の物語〜」シリーズと比べより小説として劇的な展開に仕上がっている。また様々な立場の人々の一人称視点で物語を展開させることで、臨場感と奥行きを深く感じることができた。
    コンスタンティノープル陥落の世界史的意義はイスラム勢力が要衝を手中におさめたことにあると思っていたが、当時の人々の心情に想いを寄せるとまた異なる意義が見えてくるように思った。当時の西欧人にとって、コンスタンティノープルは遠いオリエント世界にありながら自らのルーツであるローマ帝国の伝統を今に伝える生き証人だった。遠い異国への憧憬とローマへの懐古の対象だったコンスタンティノープルが失われたことは、西欧人にとって政治、外交のみならず精神的な転換点だったのだろう。この転換は後の大航海時代や本格化するルネサンスに、何らかの精神的影響をもたらした可能性もあるのではないかと考える。本書の末文はそんな西欧人の郷愁と憧憬、そして精神的喪失を最後のローマ皇帝の鮮やかな勇姿に重ねた名文と言えよう。

    0
    2026年02月16日
  • 十字軍物語 第二巻―イスラムの反撃―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    サラディンがとった行動は、あの時代に置いては珍しく、今もなお賞賛されるものだろう。統治者として素晴らしい。

    0
    2026年02月11日
  • チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷―塩野七生ルネサンス著作集3―

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    小説ですが、歴史書を読破したような濃密な体験でした。敵だか味方だかナポリだかミラノだかこんがらがりつつ(あほ)次の展開が気になって、どんどん読み進めてしまった。チェーザレとレオナルドダヴィンチの共通点について触れた一節が、とても印象に残りました。

    『彼らは、自己の感覚に合わないものは、そして自己が必要としないものは絶対に受け入れない。この自己を絶対視する精神は、完全な自由に通ずる。宗教からも、倫理道徳からも、彼らは自由である。ただ、窮極的にはニヒリズムに通ずるこの精神を、その極限で維持し、しかも、積極的に生きていくためには、強烈な意志の力を持たねばならない。二人にはそれがあった。』

    チェーザレの魅力は、この意志の強さにあるんだろうな。ただ、チェーザレ・ボルジアのような強靭な意志の持ち主でさえ、人生をコントロールすることはできなかった。意志の力の前に立ちふがる何かを、運命と呼ぶのだろうか。意志の力で道を切り拓く人間の強さと、運命に翻弄される人間の脆さが同時に描かれていると感じました。

    0
    2026年01月31日
  • 十字軍物語 第三巻―獅子心王リチャード―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    第三次のサラディンとリチャードの清々しい戦いが印象的だったため、第四次および第五次のお粗末さに落胆を感じた。3次はヴェネチア元首のダンドロのもとザーラを攻め、ビザンチン帝国を滅ぼす。宗派は違えど同じキリスト教を攻めてラテン帝国を樹立。まさにヴェネチアの飛躍のための十字軍だった。5次は現地軍だけの十字軍で、老年のフランス人ブリエンヌが誰も候補がいない中イェルサレム王に担ぎ出され、原理主義に凝り固まった法王代理ペラーヨと言い争いを繰り返す、まったくまとまりの無い情けない十字軍となった。
    いかに第三次がイスラムにもキリスト教にも、戦争とはいえ清々しいものであったかを実感させられた。

    0
    2026年01月08日
  • ギリシア人の物語2―民主政の成熟と崩壊―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    良くも悪くもペリクレスがいたからアテネの民主制が維持できたのだと思う。ペリクレスがいなかったらもっと早い段階で衆愚政治に陥って、アテネは滅んでいたんじゃないかと思う

    0
    2026年01月05日
  • 十字軍物語 第二巻―イスラムの反撃―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    躍動感あふれて息つく暇を与えない第一次十字軍に比べて、愚鈍で見るものがない第二次十字軍。逆にイスラム側にゼンキ、ヌラディン、そしてサラディンという優秀な指導者が現れ形勢逆転。イスラムが呼ぶところのフランク人には人材不足が否めないが、そんな中、癩病で短い命と知りながら、前線に立ち続けたボードワン4世と、彼を支え続けて最後までイェルサレムの防御として戦ったバリアーノ・イベリンのカッコよさが際立っていた。こういう潔い悲劇のヒーローに、大衆は心打たれるんだよな。
    ちなみに英雄サラディンは、現在、差別をうけているクルド人だったが、塩野七生さんも今のイスラム教徒は、それを知っているのだろうかと疑問を投げかけている。

    0
    2025年12月22日
  • チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷―塩野七生ルネサンス著作集3―

    Posted by ブクログ

    副題の通り、優雅さと冷酷さの両面をもつ、多面的でとても魅力的、蠱惑的な人だと感じた。法王の私生児という出自による足枷、縛りのようなものから逃れながら、自らの兵力を持つ難しさ。
    特に、フランス国王、マキャベリ、レオナルドダヴィンチとの関係性が、ヒリヒリするようで面白い。また、病にかかってから一気に転落していく様が、それまでの栄華の座に上り詰めるまでの半生からは、あまりに儚い。

    0
    2025年11月29日
  • ロードス島攻防記

    Posted by ブクログ

    聖ヨハネ騎士団をはじめとした宗教騎士団の歴史、聖地を追われた聖ヨハネ騎士団の新たな根拠地ロードス島の歴史、そしてロードスの住民を抱えながらのオスマン帝国との攻防戦がドラマチックに描かれている。
    聖地を追われても、海賊としてオスマン帝国に立ち向かう騎士団。そしてロードス島を失って新たに辿り着いたマルタ島での復讐戦。不屈の精神で戦い続ける、宗教騎士団としての誇りを感じた。

    0
    2025年11月24日
  • ギリシア人の物語3―都市国家ギリシアの終焉―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    これまでの2冊に比べると本が薄い。覚えておくべき新出の人物もいないような気がする。歴史は発生して繁栄して衰退して滅亡してがoneセットである。長く続いた影響力のある国家ほど、盛衰がわかりやすいから、研究もしやすいだろうし。この3巻ははっきり言って辛いものがあった。英雄のいない時代の話。

    『十字軍物語』シリーズでは、次数が後になるほど目的も履き違えた尻すぼみの感に堪えないところがあったが、ギリシア世界は違う。これからアレクサンダー大王が出てくるのだ。アレクサンドロス三世とは、もう次巻読まずにいうけれど、華々しさの結晶だろう。もう今から楽しみでしょーがない。

    父王フィリッポスの築き上げてきたものをそのまま踏襲、ではなく発展させていく息子の姿。楽しみでしょーがないね。

    0
    2025年11月24日
  • ロードス島攻防記

    Posted by ブクログ

    騎士団対トルコ軍、城壁対大砲の攻防が物語的に描かれていて歴史を追体験しているかのような感覚になる。
    当時の騎士・貴族事情やヨーロッパの世情も言及されていてわかりやすい。
    エピローグまで読むと、歴史の巡り合いはかくも面白いものだなあと思う。
    アントニオとオルシーニの同性愛も、当時の騎士たちの一例、物語のスパイスとして楽しみました。

    0
    2025年11月21日
  • コンスタンティノープルの陥落

    Posted by ブクログ

    それぞれの立場の要人たちの視点から描いたコンスタンティノープルの陥落。一つの大戦をここまでコンパクトに、かつ俯瞰的に描き切るのは見事。こんなふうに歴史を捉えられたら楽しいだろうな。
    ヴェネツィア海の都の物語を読んでいたので繋がる部分もあり面白かった。

    0
    2025年11月18日
  • レパントの海戦

    Posted by ブクログ

    地中海の戦さの三部作、完。今回は短期間での海戦でら前の二作とはまた趣かが違っていて面白かった。あとがきにもき記載があったが、塩野さんのヴェネツィアの民への愛情を強く感じました。自分は正直一作目が1番ワクワクしたけど、二作、三作目のロマンスもまた素敵でした。

    0
    2025年09月23日
  • ギリシア人の物語1―民主政のはじまり―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    忘れもしない高校の倫理。何を学ぶのかもよくわからないまま、最初に必ず学ぶギリシア哲学の中には、政治体制の堕落した姿が提示されていた。民主政治の変わり果てた姿は"衆愚政治"と教科書にはあった。戦慄した。まさに今がそうではないか。歴史の中に既に答えがあるではないか。そう思ったのがもうかれこれ10年以上も前になる。今そこから何か変わったか?問いへの答えをここでは持たない。民主政を両手放しで受け入れるほど子供ではないし、独裁政を理想としたあの頃からは大人になっただろうか。

    初めて中学の図書室で塩野七生の『ローマ人の物語』を手に取ってからだいぶ経った。確か五賢帝くらいまでで読むのをやめていた大作を今になって読んでみようと思ったわけであるが、どうせなら冒頭に載っていたギリシアの方から読んでいこうと始めたのがこの一冊。もっと本を正せばギリシア神話貪るように読んでたなとか、『ローマ人の物語』長いから取り組みやすい方からにしようとか思惑はありつつ。

    群を抜いてテミストクレス。未来の想定が半端無い。「先見の明」と書いて「テミストクレス」と読む。

    0
    2025年09月12日
  • ロードス島攻防記

    Posted by ブクログ

    第一作目のコンスタンティノープルの陥落、ほどには強く印象に残らなかったけれど、どこか粋で清々しさして感じる良作。騎士団の気高い姿や、主要な登場人物たちが戦さの中で生き生きと描かれている様に、塩野さんらしい華やかで豊かな眼差しを感じて、あっという間に引き込まれて読み進めてしまいました。

    0
    2025年09月10日
  • 皇帝フリードリッヒ二世の生涯(下)(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    中世のヨーロッパに、こんなにも革新的な皇帝がいたという事を本書を読んで初めて知った。
    そしてこれは、如何にして次世代に受け継いでいくか、現代のカリスマ経営者以後の企業のありかたにも通ずる。
    しかしローマ法王の執念深さは、ある意味凄い。

    0
    2025年09月04日
  • 誰が国家を殺すのか 日本人へⅤ

    Posted by ブクログ

    『ローマ人の物語』など地中海世界の歴史を、人に焦点を当てながら長く重厚に書を起こしてこられた方の時事エッセイです。
    国を守るとはどういうことかを直言されていて、「寸鉄人を刺す」書だと感じました。

    0
    2025年08月10日
  • 男たちへ フツウの男をフツウでない男にするための54章

    Posted by ブクログ

    男たちにとって、かなり手厳しいエッセイ。偏見ばかりの快刀乱麻。私的なことも、嘘が書けないところは歴史作家の性か。

    0
    2025年07月30日