【感想・ネタバレ】完全版 ローマ人への質問のレビュー

あらすじ

20万部のベストセラーを全面改稿!
流入する異民族、広がる経済格差、しのび寄る衰退……すべてはローマに学べ!
「塩野ローマ史」のエッセンスが一冊に!

「ローマは一日して成らず」の格言を生んだ古代ローマが西欧各国の〈歴史の手本〉とされたのは、その一千年が危機と克服の連続であったからだ。
カルタゴとの死闘に勝ち抜いたあと長い混迷に苦しんだ共和政時代。天才カエサルが描いた青写真に沿って帝政へと移行し、〈パクス・ロマーナ〉を確立したローマ帝国時代。
崇高と卑劣、叡知と愚かさ――かつて文豪ゲーテも言ったように、人間の営みのすべてを示してくれたローマは、われわれと同じ生身の人間が生きた国でもあった。まさに人間の歴史のすべてを凝縮しているのがローマ史だ!
古代ローマは、現代の日本人にとっても、まさに「人間の生き方」「リーダーシップ」「国のありかた」を学ぶ宝庫だ!

質問
1ローマは軍事的にはギリシアを征服したが、文化的には征服されたとはほんとうか?
2ローマ人の諸悪なるものについて
3都市と地方の関係について
4富の格差について
5宿敵カルタゴとの対決について
6古代のローマ人と現代の日本人の共通点
7〈パクス・ロマーナ〉とは何であったのか
8ローマの皇帝たちについて
9市民とは、そして市民権とは何か
10多神教と一神教との根元的なちがいについて ほか

【本書は、『ローマ人への20の質問』(文春新書2000年刊)を全面的に改稿したものです。】

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ローマ時代の歴史と言えば塩野七生さんをおいては語れないだろう。
多くの著書を出版していらっしゃるし、ご自身のお住まいまでこうしたことに合わせているスペシャリストだ。

今までもこれからもローマについての本は読むことになると思う。これまで読んできたものも一つ一つ違う角度から丁寧に記してあることは勿論のこと読み手に対した配慮もあるものばかり。

この本はそんな中でも、初めての人でもわかりやすいし読みにくさ読み進めにくさのないものだと感じる。
多くの知識から深く話すこともできるが、飽きさせない工夫があると思う。
ローマにおいて、ギリシャとユダヤという切り離せないものごあるが、この三者を比較した例えがありなるほどと深く感銘した。

また日本との比較として、宗教が取り上げてあるが、無宗教の考えだと全く思いもしなかったことで、ローマの多神教からの変化は現代に繋がるものとして大変興味深い。このあたりを日本の第二次世界大戦の結びも塩野さんらしいが本当にそうだなと思うことばかり。

0
2023年08月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

古代ローマ人の家に迷い込んだ塩野先生が彼への質問を通してローマへの理解を深める形式で描かれている。
どの質問も聞きたくなる質問で、厳選された問答だった。また、対話形式になっているため読みやすさもあるとともに反対意見等もすっと描いており良かった。
また、読み進めるにつれて、もっと詳細を読みたくなり、ローマ人の物語も読みたくなった。

0
2023年07月23日

Posted by ブクログ

ルビコン川を渡り、内乱へと突入してしまったユリウスカエサルの偉大さを示す、カエサルよりキケロへの手紙には、改めて感動を覚えました。
降伏した将兵を捕虜にせず、もちろん殺しもせず、その後の行動は彼らの自由にした事。
なんと言おうと、ユリウスカエサルは、偉大であり、この現代においても、見る事のない、偉大なる指導者であった。

0
2023年07月01日

Posted by ブクログ

古代のローマとギリシア世界を研究し物語として綴ってきた著者による、古代ローマに対する様々な疑問が纏められた一冊。
古代ローマにおける個人的なものから国家としての課題などが扱われています。
この時代のこの場所で確立された物事が現代でも通じる点の多いことに驚きを隠せませんが、さてしかし何故これほど高度な文明は終わってしまったのでしょうか。
その理由が最後の話題として語られていますが、今の日本にも当てはまるものに思えます。
我々は黄昏にいるのかもしれないと、残念ではありますが考えさせられました。

0
2023年11月15日

Posted by ブクログ

ロムルスの建国は紀元前753年。共和制から独裁制。ギリシア、カルタゴを征服しガリア遠征。領土拡大が落ち着き、パクスロマーナへ。キリスト教を迫害した後、国教にする。東西分裂。西ローマ帝国の滅亡は476年。千年以上続いた巨大国家も滅びた。多神教にお風呂好き。他民族のよいものを柔軟に取り入れ我が物にする。規模と位置は違えども日本との共通点も探せなくはない。昔の昔に栄えたその国に興味を持つのは、単なる道楽か、あるいは歴史の必然を学ぶためか?古代ローマの夏に彷徨い込んだ「私」が行うインタビュー。答えは如何にある?

0
2023年09月11日

Posted by ブクログ

著者が「ローマ人の物語」を書いていた2000年当時の加筆・修正版。ローマ人の物語の中で書かれていることや、著者がほかの場所でローマと現代を対比しながら書いてきたことのうちのいくつかを対話形式にして”復習”した感じ。歴史家の中にはさまざまな意見があるのだろうが、著者がローマに向かう姿勢や視点というのは個人的に好みなので、頷きながら読んだ。
ローマが他民族を支配しても、そこから多くを学び、模倣し、ローマ市民権を与えてきたそのやり方が帝国の安定につながっていたことは、近現代の戦争や植民地主義と比較するとやはり一種憧憬の対象。悪行も含めてエネルギッシュだったローマは、やはり歴史物語の”主人公”として魅力的だ。イギリスが同じように植民地を統治運営していたら、ガンジーもインドの独立に情熱を傾けるより大英帝国の存続に力を尽くしたかもしれない、と。多様性を受容する、その受容の仕方の意味を考えさせられる。

アテネの民主政体についての視点も面白い。民主政は有権者の全員が平等でなければ成り立たないから、ある意味閉鎖的になる、と。他国の人にも平等な権利を与えていたら既存の人々の反発を買い社会不安の源になる。市民平等→鎖国路線。現代の移民、難民問題を考えると、確かに有権者である国民と”外部”から来る人々の溝、壁が障害物になるわけで、どんな政体も一長一短、民主政が目下最も人々が暮らしやすい社会を作っているように見えるけれど、ローマと比較するとその裏面が浮き出て面白い。

0
2023年08月13日

Posted by ブクログ

本当に久々の塩野さんでした。かつて若い時、ローマ人の物語を読んで感激していたのを思い出しました。また久しぶりに再読したいと思いました。「塩野さんの日本語ってなんか読みずらい」と言う友人がいましたが、今回、それを少し感じたのはどうしてなのか。

0
2024年03月27日

Posted by ブクログ

架空?のローマ人に作者が質問をしていく問答の本。
塩野七生の「ローマ人の物語」を描く上での縛りを意識させながら、各テーマへ探求していく。
作者はギリシャもルネサンスもヴェネチアも十字軍も取り上げてきたが、一番好きなのはやはりローマだと感じた。キリスト教に支配されるまでの、明るく、陽気なローマの空気に作者も魅了されていたんだなぁと思う。

0
2024年02月22日

Posted by ブクログ

塩野さんのローマ人への20の質問を改訂したものです。内容については変わっておらず、対話形式になっております。改訂版を出されることになった事情は、冒頭に「読者に」としてまとめられています。

個人的には改訂版を出されるのであれば、ローマ人への20の質問ではローマ人の物語の第VIII巻までの内容だったところ、IX巻以降の話も書いてもらいたかったなと思います。この書籍は「ローマ人の物語」を読めば、「ローマ人への20の質問」は読まなくてもほとんど問題ないという位置付けのものではあるのですが、やはりIX巻以降の五賢帝時代以降の話や、ローマ帝国分割の時代の話、キリスト教に関する話も読んでみたかったなと思いました。

0
2023年06月24日

「学術・語学」ランキング