【感想・ネタバレ】チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷―塩野七生ルネサンス著作集3―のレビュー

あらすじ

十五世紀末イタリア。群立する都市国家を統一し、自らの王国とする野望を抱いた一人の若者がいた。その名はチェーザレ・ボルジア。法王の庶子として教会勢力を操り、政略結婚によって得たフランス王の援助を背景に、ヨーロッパを騒乱の渦に巻き込んだ。目的のためなら手段を選ばず、ルネサンス期を生き急ぐように駆け抜けた青春は、いかなる結末をみたのか。塩野文学初期の傑作。 ※当電子版は新潮文庫『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』を元に制作しています。地図・年表なども含みます。

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Posted by ブクログ

 久々に読んだ。
学生の頃に妹に勧められて読んで、大好きになったチェーザレ•ボルジア。顔もイケメンだったらしいけど、何より生き様がイケメン過ぎる。昔の地図や現在のGoogleマップを見たり、衣装や肖像画を検索しつつ読みました。

 15世紀後半にイタリア統一の野望を掲げ、自らの軍も国も持たない所から、イタリア全土の1/3を支配下にしたチェーザレの物語です。

 まぁ、軍と国は持ってなかったけど、法王の息子で、18歳で枢機卿に任じられてるし、“今世紀で最も美しい武将”と言われてたようだし、カリスマ性も賢さも持ち合わせてたようなので、持ってたものも多かった。

 政治的手腕に長けていたようで、フィレンツェの大使としてチェーザレと接していたマキャヴェッリは、『君主論』の中で“理想の君主”と称えてます。

 また、国土計画に関心があったレオナルド•ダ•ヴィンチは自分の理想を共同で実現する友人としてチェーザレと行動を共にします。

 チェーザレの簡単な経歴を

1475生まれ

1493年 18歳で枢機卿に(パパは法王)

1498年 枢機卿の地位を返上
イタリア統一の野望のため動き始める

1502年 元々法王領だった土地を取り戻したりして、イタリアの1/3に当たる中部を支配下に置く。

1503年 父である法王が病で亡くなる
チェーザレも同じ病に倒れる
    (多分マラリア)

完治する前に捕らわれたり、逃亡したりしつつも、義兄の国で再び戦いに参加するが、、、

1507年 31歳で亡くなりました。。。

いつの日かイタリア•スペインに聖地巡りに行きたい。

 惣領冬実さんの『チェーザレ 破壊の創造者』も面白いのでオススメです。なんせ惣領冬実さんだから絵も美しくストーリーも素晴らしい。12巻が出てから5年経つけど、、、信じて待ってます。

 内容が濃ゆいのと、物語の中ででも長生きして欲しくて1週間かけて読みました。

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2024年02月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ルネサンス期の武将、チェーザレ・ボルジアを主人公とする歴史小説。
序章のチェーザレの剣のくだり、チェーザレとダ・ヴィンチとの出会いのシーン、そしてダ・ヴィンチのデッサンと一緒に発見されたマントのエピソードなど、極力抑えた筆致の中から、それでも情感が零れ落ちるような名文が多い。
大長編でもハッピーエンドでもないけれど、贅沢な読書を堪能できる豊かな小説。

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2022年02月04日

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チェーザレ・ボルジア。
イタリアが統一される前の乱世の英雄。
日本で言えば、織田信長のような存在。

「わが友マキアヴェッリ」に何度となく名前が出てきて、マキアベッリの「君主論」にも当然登場する、チェーザレ・ボルジア。

手段を選ばず勢力を伸張しながら、時代の流れに乗り切れず31歳の若さで逝ってしまった。

時に残虐に、時に政治の力を駆使して強敵を倒していく姿にワクワクさせられた。

1500年前後といえば、日本は応仁の乱が終わった後の戦国時代に突入しつつある時期。

イタリアも複数の王国が割拠している時代で、法王の子という背景をフルに利用しながら統一の夢を見たチェーザレ。

戦国武将にワクワクするのと同じ憧れを彼に持ってしまうのだ。

解説で沢木耕太郎も書いているが、この本を傑作たらしめているのは、塩野七生のチェザーレの愛なのだろう。

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2021年11月28日

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塩野七生さんは、ローマ人の物語、私自身20代の頃から毎年新刊を読んでいました。ギリシャ人以来新刊が出ていないので、旧刊を読むことが出来てまずこの本のタイトルが気になり選択しました。世界史をきちんと学んでいないので、チェーザレ・ボルジアは未知でした。いわゆるコンセンサスとしては、法王の権威を背景としてイタリア統一を目指したということなのでしょうけど、まず私自身このコンセンサスを知らなかった。そして、塩野七生さんがこのコンセンサスに立ち向かったという内容で大変面白く読みました。ローマ人の物語で言えばカエサル編ぐらい力が入っている感じがしました。塩野七生さんの温故知新シリーズとしては良かったです。そして、後書きが、なんと沢木耕太郎という豪華版です。

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2021年05月25日

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タイトルに惹かれて、そのまま塩野さんに惹かれていくことになる。

チェーザレ・ボルジアの史実だけを追うと「冷酷」しか残らないけれど、彼を取り囲む資料から彼の人物像を構築するなら、「優雅なる」は外せない。

この部分の魅力がいつになっても色褪せない。

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2020年04月29日

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短くも激しい生涯に魅せられた。栄光と没落、そして壮絶な死はあまりにもドラマチック。その壮絶な死も悲壮感な感情を抱く事もなく、なぜか清々しく感じた。野心家で冷酷で残酷なこの悪い男に男女関係なく魅力に感じるはず。

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2019年05月18日

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塩野さんの描く男はみんな色っぽい!
私はコレでチェーザレに恋しました。
続くルネッサンスシリーズを読み進めるきっけかになった本。

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2019年01月16日

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副題の通り、優雅さと冷酷さの両面をもつ、多面的でとても魅力的、蠱惑的な人だと感じた。法王の私生児という出自による足枷、縛りのようなものから逃れながら、自らの兵力を持つ難しさ。
特に、フランス国王、マキャベリ、レオナルドダヴィンチとの関係性が、ヒリヒリするようで面白い。また、病にかかってから一気に転落していく様が、それまでの栄華の座に上り詰めるまでの半生からは、あまりに儚い。

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2025年11月29日

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普段歴史小説は敬遠しているけど友人に勧められて読んでみたら、面白い。事実に基づきつつもストーリー性があるというか、作者が文献に当たった結果こういったストーリーを描かれたのだろうなと、作者が楽しんでイタリア史を研究されているのが伝わってきて良かった。最後にはすっかりチェザーレに魅せられていたので歴史上変えられないのにも関わらずハッピーエンドを祈ってしまった…しかし終わり方も含めて美しかった。

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2025年08月16日

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ルネサンス期イタリアの梟雄チェーザレ・ボルジアの生涯を描く。ボルジアの行動目標がイタリアの統一であるという前提のもと、その軍事行動や政略を描いていく。毒殺や妹との関係という噂で名高くなってしまったボルジアを、むしろマキアヴェリの『君主論』に引きつけて解釈し、野心的な政治家として描写している。父アレクサンデル6世の死去という天に見放されたかのごとき事件のあとも、復権に向けて駆け引きを繰り返すボルジアの姿、そしてその結末は一抹の哀愁を漂わせる。

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2022年04月10日

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チェーザレ本人のセリフはほとんどない。ただ周囲の人たちの言動で、チェーザレという人物の行動力や影響力を感じることができる。恐怖支配だけでは、
全イタリア人の民衆の心を掴むことができない。読み終わって一週間ぐらいは本書について考えてしまいそうなくらい重い本である。
理想とは何か。君主とは何か。

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2021年03月08日

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著者の初期の作品をようやく読んでみた。カエサルやフリードリヒ2世など、著者が好きなタイプの人選。既成概念に囚われない野心家の話は、読んでいて楽しい。

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2021年02月24日

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ネタバレ

チェーザレ・ボルジア。目的のためには手段を択ばない。非常で残酷なことも厭わない。
武将であるが、実際の戦闘は少ないように思う。戦闘の前に戦いを決している。
自前の軍隊を持たないところから始まり、わずかの期間でイタリアの中央部を支配した。あと何年かあればイタリアの多くを手にしたに違いない。あるいは、さらに領土を広げたかもしれない。
父の死とともに一気に凋落する。あっけないほどの逆転。最期が謀略によるものではなく、戦死であったところが救いのように感じる。

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2020年06月15日

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これも十数年ぶりの再読。巻頭のイタリア地図と付き合わせながら読み進めました。塩野ファンとしては、初期作品としての読みにくさは多少感じたものの、素朴さ、荒々しさが逆に主人公に合ってた気がします。駆け足なので、もっと一つずつのエピソードを楽しみたい気がします。巻末の沢木さんの解説も秀逸。塩野さんが主人公に惚れていることが良く分かります。

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2020年05月22日

Posted by ブクログ

塩野さんの著書は何度読んでも飽きない。塩野さんのイタリアの歴史に対する愛情を感じる。チェーザレ・ボルジアはかなりの冷酷、暴君として通常は描かれているが、塩野さんの人間愛によるチェーザレは、彼も所詮は命に限りある生身の人間であったことに気づかされる。
彼と同時期に日本では織田信長がいて、妹のお市の方がやはり兄の暴政で自分の運命を翻弄されていた事実は非常に面白い。

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2020年05月02日

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近世初頭に史上初めて統一された「イタリア」を目指したチェーザレの、波乱に満ちた生涯を描いた作品。文献を援用しながら情景もたっぷりと描写する‬独特の構成で、歴史書とも物語ともつかない絶妙な読み心地。そして、この時代はやっぱり面白いなあ。‬

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2020年02月26日

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従来のチェーザレのイメージとは異なり、マキャベリの「君主論」に近い英雄的な姿を表した書。
読んでいて半世紀遅れて日本に現れる織田信長にとても酷似していると感じた。手向かうものには容赦なく冷酷に対峙するが、能力を認めた者(この場合、ダビンチ)は登用し、近くに侍らす(マキャベリ)。
30歳そこそこで死んだチェーザレは時代を駆け抜けた英雄であったことには間違いない。

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2019年11月13日

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本当はどんな人だったのか、とても気になる人物。

謀殺、守る気なしの講和条約、降伏→安全を保証→1年後に謎の死、、そういう仕事ばかりと言えばそうだけど、傭兵からの脱却(→徴兵)やイタリアの統一など新しいことも見えていて、何より、いずれに対してもたくさん行動してきた。それをマキャヴェリが話し相手として観察し、のちに有名な作品として残したことで、彼の一生も少しは、単なる悪役として以外にも、きちんと刻まれることになった。
この人とは絶対同盟とか組みたくないし、どこに魅力があるのかわからない。でも魅力がない訳ではない。どこにかわからないけど、妙にある。マキャヴェリさんは彼をどういう風に説明したのか、読んでみたくなる。しかし、これが政治哲学のひとつの見本になってしまうってこわいわ。。

結局は、親(法王)の権力と自身の健康が同時に崩れたときに力を失い、そのままそれを取り戻すことはなかったけど、もしあの病気がなくて、ナヴァールの不運がなかったら、イタリアはもっと早く統一されて枢軸国側にはなってなかったかも?

時代としては、1490-1510あたり
ルネサンスの後半、宗教改革前夜、スペインを誕生させた両王の晩年でカールVがまだ子ども、ヘンリーVIIIもまだ子ども、コロンブスがイザベルにインドインド言ってアメリカにたどり着いて悪いことしてた頃、、
アジアだと、斎藤道三の生誕〜10代くらい、明の真ん中へん、コンスタンティノープル落とした恐怖の父に育てられたバヤズィトIIが国内で静かにしてた頃。

免罪符のこともあるにせよ、平常時からこんだけ好き放題してたらそりゃルターさんも怒るわな。神は信じるけど、教皇とかはうちらは知りませんってグループができるのも当然。


しかし、中国とか日本の話以外、一国の内側の戦争を詳しく読む機会があんまりなかったので久しぶりというか新鮮。足利将軍家の影響下で戦国大名同士が騙し討ちし合うのと構造少し似てる感じするし、時代も同じ。やってることは同じだけど、日本の戦国時代よりは何となくスマートなんかな?(たぶんさほど違いはない)

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2019年10月27日

Posted by ブクログ

ルネサンス期、初めてイタリア統一の野望をいだいた一人の若者――父である法王アレッサンドロ六世の教会勢力を背景に、弟妹を利用し、妻方の親族フランス王ルイ十二世の全面的援助を受け、自分の王国を創立しようとする。チェーザレ・ボルジアの生涯。

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2019年09月08日

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チェーザレかっけー。最後のしりすぼみ感せつねー。でも人生ってこんなもんなのよね。全ての人生が華々しい最終回を持つ物語ではないのだから。せつない!

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2018年11月24日

Posted by ブクログ

当時の教会が作った時代のパラダイムの中で、合理主義に徹し、自身の野望を実現しようとするチェーザレの生き方は、どこか織田信長と重なるような気がしました。惜しくも運とタイミングに見放されはしたが、時代をつくる人の心を見た気がしました。

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2021年05月08日

Posted by ブクログ

登場人物と地名が多すぎて、整理するのが大変で、半ば適当に読み進めてみた。
歴史的背景の予備知識がほとんどなく読んでみたが、何となく流れがわかったような気がする。
私には難しかった。

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2023年08月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

中世ヨーロッパ(イタリア)の織田信長みたいな人。領主の家系でもないのにかかわらず、父であるローマ法王の後ろ盾を最大限活かして中部イタリアを制覇するも、イタリア統一という志半ばにして不幸にもマラリア(?)に罹患し、そのために父法王が死去するとともに自分もしばらく病床に伏したために抵抗勢力の激しい反撃を受けて無念のうちに短い一生を終わることになるチェーザレ・ボルジア。日本で知っている人はほとんどいないと思われるが、西欧ではどうなのだろう?カトリック的にはカトリックの敵(父が法王だが、法王が死去した後は反ボルジアが法王となったためカトリックの敵になった)として扱われているようなので、否定的な評価が多いようだが、塩野七生は肯定的に描いている。時代と地域によって人の評価は変わるので、一面的な判断はできないが、中世ヨーロッパの信長と言うのが最も適していると感じた。

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2023年02月18日

Posted by ブクログ

チェーザレ・ボルジアの活躍と没落。
もっとチェーザレに肩入れしているのかと思っていたが、そうでもなかった。

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2023年01月15日

Posted by ブクログ

レオナルド・ダビンチを採用し、マキャベリを従えていたチェーザレ。
後ろ盾の父、ロドリーゴは、法皇だったが、庶子の身分は、不安定だった。
若くして、枢機卿になったけど、とっととやめて、自分の野望である、王国建設に取り掛かる。

なんだか、あんまり好きではない人物。
なんでだろう?

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2022年05月26日

Posted by ブクログ

はっきり言ってどのように優雅で冷酷なのかわからない。
イタリアがイタリアにいたる史実を書き連ねているのだが、前後のこともわからない人間が読むには描写が不足。あんなにローマやらなにかのことを書いてイタリアに在住しているのにカトリックの信者が賛美歌を歌うという記述を見て、がっくりきた。
カトリックでは讃美歌はうたわない。
カトリックは聖歌という表現を日本では使っていると思う。
よく他でも神父と牧師がごちゃまぜな日本だがそのたぐいか、あるいはプロテスタントが出てないから讃美歌と称していたのかと考えることもできるけれど、今の殆どの人にそんなことは余計わからないのでカトリックの信者向けに注釈があってもいいのでは?
そもそも、内容も歴史物でもないしかといって伝記には中身がうすいし、小説にしては文章が切れぎれで、たまに景色の詩的表現など入れてあるが妙に浮いているし、大量に出てくる地名と人名も配置がわかりにくく、まったくよみにくい。

自分にはこちらの著者の作品は合わないものと考え最初で最後の一冊になった。
表題でつられても中は違う典型的な本だったというのが感想。

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2021年11月18日

Posted by ブクログ

確か10年以上前、塩野氏の「ローマ人の物語」1巻途中で挫折しており、苦手な意識が植えついてしまい、ついつい避けてきてしまった
でもイタリアは好きだし、イタリアの歴史をもう少し知りたい(しかし歴史の教科書のような本を読むのも面白くない…)
というわけで、塩野氏へいざ再チャレンジ!

15世紀末、当初のイタリアは今のように国家が出来上がっておらず、ナポリ王国、フィレンツェ共和国、ヴェネツィア共和国…というような小国家が群生している状態であった
誰も「イタリア」と言葉にしないような時代に、統一国家を目指そうと野心あふれる一人の男
それがチェーザレ・ボルジアである
父が法王であり、その父がチェーザレをバレンシア大司教に抜擢、さらにバレンシア枢機卿へ任命…こんな感じでボルジア家の継承者へという思惑があったのだが…
ある時期になると彼は枢機卿を返上し、大司教の職を捨て、俗界に降りることを決意
そこまでしてなし得たかったことは自分の力で統一国家をつくり上げることだ
父である法王の教会勢力を操り、政略結婚によって得たフランス王の援助をとりつけ、目的のためなら手段を選ばず、たとえ身内を手にかけても己の野心を全うする
誰もがチェーザレの残虐さとしたたかさと強大な野心に恐れを抱くようになる
そしてついに反逆が始まるのだが…
どれだけ孤独になろうとも彼の野心は衰えを知らない
が、勢いだけでもない
忍耐強くしぶとく、そして裏切りは決して忘れず許さない
どれだけ時間をかけ待ったとしてもやると決めたことはやり抜くのだ
そしてあらゆる決断を一人で下す
誰の助言も必要としない
どんな作戦かも、今からの行動さえも家臣に語らない…
織田信長みたいである
孤独でただ戦うことと己の野心のみで生きたチェーザレ
話をすることはなくても立ち止まることはない…
ルネサンス期を生き急ぐように駆け抜けた!
(本当に飛ぶが如く、いつもいつも奔走している)
そして31歳という若さで命をおとす

チェーザレに関わった偉大な歴史的人物として2人が登場
■レオナルドダヴィンチ
チェーザレはダヴィンチに国土計画を依頼した
この書では似たもの同士が良い相乗効果で…とあるが、以前読んだウォルターアイザックソンの「レオナルド・ダ・ヴィンチ」を思い出す
レオナルドはチェーザレに仕えるものの結局チェーザレの残虐さに嫌気を指すとあった
レオナルドは20年以上も軍事技術者になることを夢見てきたのだが、平和主義思想で不和や戦闘はごめんだと言っているのに、武術に興味がある…という葛藤があったようである

■マキャヴェリ
マキャヴェリは曰く
「チェーザレ・ボルジアは、残酷な人物とみられていた。しかし、この彼の残酷さがロマーニャの秩序を回復し、この地方を統一し、平和と忠誠を守らせる結果となったのである。」(メディチ家に献言するために執筆した「君主論」による)
本書ではチェーザレはもちろん他人に一切心の内を見せることはなかったようであるが、それなりにマキャヴェリを気に入っていたようである


チェーザレのセリフがほとんどなく、
そのためチェーザレの心境を読み取る…という小説のようにはいかない
実際記録が少なかったようで、ある意味史実に忠実な描写ともいえるのかもしれない
しかしそれでもチェーザレの強い意志と颯爽とした様子は勢いよく伝わり圧巻ではあった
地名や職業的地位、人物が混乱するほど多く出てくるため、これはまたもや挫折か…と途中で焦ったが、今回こそは1冊なんだから!と混乱しそうな部分はメモを取りつつ進めた(この時代のイタリア史の知識が豊富ではない限り、理解して読み切るのはなかなか大変である)

やはりどうも相性が宜しくないようで…
楽しめたかというと微妙である
うーん何故だろうか…
それでもチェーザレの人生とこの時代のイタリアに触れられたことはなかなかの経験だ

刃の薄く鋭いナイフが何度もビュッと耳元で鳴っているような気がした

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2021年08月24日

Posted by ブクログ

ひと昔前にありがちな表題ですが、付けてやったぜ感満載で作家は酔ったなという気がする。
さておきこの作家のトーンにはやっぱり最初から合ってないんですな、当方は。それがはっきり分かりました。
歴史書でもなく、小説でもなく、塩野噺だということで、独自路線を築き上げたのは凄いことだけれども、個人的には惹かれない。
そんなに好きではないけれども、司馬遼の方がずっと面白いなぁ、このお方より。まぁ好みの話です。
しかしマンガの「チェーザレ」、その後どうなってんでしょ?この本を読んでしまったので、色んな意味で気になってますわ。

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2021年06月16日

Posted by ブクログ

初期の作品だからか、少しぎこちなかったかも。
他の塩野さんの(多くの)作品と違って、
1人の人物を扱っているせいか、
ですが、途中読むスピードがかなり落ちました(笑)。
周りに出てくる人物や勢力図について、
もっと詳しく知りたくなりました。
特にウルビーノ公グイドバルト。
また、「コンスタンティノープルの陥落」のように、
最後チェザーレの力が落ちてからの描写が
哀しくも心惹かれました。

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2021年04月26日

Posted by ブクログ

チェーザレー・ボルジアはルネサンス期の軍人、政治家で、イタリアという国家を構想した偉大な人物。
でも運がなかった。

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2019年03月06日

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