塩野七生のレビュー一覧
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元のタイトルは『緋色のヴェネツィア』。1993年の作品。元のタイトルは『緋色のヴェネツィア』。1993年の作品。舞台はヴェネツィア。カルロス1人が統治するスペイン・神聖ローマ帝国。アジアの大国オスマントルコ。海軍強国とはいえイタリアの1都市国家に過ぎない国。選択できる手段、は微妙で繊細なものにならざるを得ない。支えたのは国を思う心と知恵。その渦の中起きる悲劇。小説であるが故の架空の人物、史実と異なる描写。しかし、この時代とこの国のリアルは伝わってくる。バブル崩壊直後、まだ余力が十分があった日本。しかし、ここに描かれているような教訓は生かすことができなかった。
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塩野七生 「海の都の物語」ヴェネツィア共和国の通史
ヴェネツィア の千年の歴史を振り返り、戦争の英雄がいないのに、なぜ千年の長い間を生きのびたのかを紐解いている。
著者は、ヴェネツィアの私企業のような国家経営観に目付けしている。カリスマ的英雄で彩られるローマ史と比較すると、ヴェネツィア史は 地味であるが、その地味さが生きのびた理由であるとする論調
ヴェネツィア の国家経営の特性
*宗教やイデオロギーの違いに重きを置かず「はじめに商売ありき」の商業至上主義
*初めから自給自足を諦め、不足の経営資源は交換する〜自給自足を目的とすると 植民地主義に進む
*国家の意思決定において、マクシミン -
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やっと上巻読み終わったー!自粛中にたくさんの本を買って乱読しておりました。そのうちの一冊です。
私がフリードリッヒ2世に興味を持ったのは、デル・モンテ城がきっかけでした。イタリア南部にあるデル・モンテ城は、八角形尽くしで築かれたミステリアスな建物です。この不思議な城を建てたのがフリードリッヒ2世。調べてみると「早く生まれすぎた」人らしい…
ここから本の感想です。
フリードリッヒさんかっこいいよ!一国のリーダーたるやこういう人でないと。フリードリッヒは一国どころか、シチリア王であり神聖ローマ皇帝でありエルサレム王であります。「席の暖まる暇もないくらいに移動を繰り返す人であった」ほど各国を飛び -
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以前何かの番組で、小泉進次郎が塩野七生さん(の小説)が好きで・・・ということをおっしゃってて、その時初めて存在を知ったのだけど、読まれていた題材が中世の歴史関係でなんだか難しそうと思った印象しかなかった。
世界史は好きだけど、詳しくはない。十字軍って名前はよく知っているけど、どこに何しに行ったんだっけ?という感じ。(単純にヨーロッパの雰囲気が好きなだけ・・・)
それが、たまたま書店の平積みで本書を見かけて、あ。この人かと手に取ったのがきっかけ。
フリードリッヒ、、、聞いたことあるようなないような。(おそらく知らないのだろう)。帯を見ると「武力行使なしに聖地を奪還」や「独、伊、仏、ラテン、ギリシ -
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ヴェネツィアをはじめとしたキリスト教国が勝利を収めつつも、地中海世界の時代の終わり、十字軍の終焉、ヴェネツィアの落日を止めることにはならなかった、オスマン帝国とのレパントの海戦を描く。
海洋国家の栄光と落日というテーマは、やはり面白い。
人々の個性にもおおきくよって織り成されるダイナミックな文明と歴史のなかにおける国家を描きつつ、そこに生きる人間のことも忘れない、壮大でありつつも暖かく細やかな目配りが感じられる素晴らしい作品。
読みながら、翻って我が国は、私は、と考えたときに、歴史のなかの今、歴史のなかのわれわれということを意識させられる、歴史観の涵養にまさにふさわしい作品を書かれる作家である -
ネタバレ 購入済み
変質したローマ帝国
一部ご紹介します。
・アウグストゥス帝の時代は、「先に納税者あり。国家は税収が許す範囲のことしか手掛けない」という小さな政府であった。
・だが、ディオクレティアヌス帝の時代になると、「先に国家あり。国家に必要な経費が、税として納税者に課せられる」という大きな政府になった。そして、元首政から絶対君主政へ移行した。
・軍事力の増強、官僚機構の肥大化は、必要経費の増大(国庫から給料を払う人間の数が増える)と組織や人材の硬直化(縄張り意識の肥大化による流動性の断絶)を招かないでは済まない。
・ローマ帝国をまとめていたのは、「ローマ法」「ローマ皇帝」「ローマの宗教」であった。コンスタンティヌス帝