塩野七生のレビュー一覧
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ネタバレこの第七巻の副題が「悪名高き皇帝たち」となっている。 よく聞かれるのは暴君ネロなどであるが、実際にどのようなものであったのだろうか。
まずはティベリウスであるが、最終的にはローマ市民には不評であった皇帝であるが、市民に人気はないが、政治の中身はアウグストゥスの意思をひたすら受け継いでいくというものであった。
カプリに隠遁して文書のみでの支持というのが不評の原因であるが、現代でもマスメディアに顔を出しているほうが人気があり、票が集まるもの同様である。
つづいてのカリグラはアウグストゥスの血のつながりだけで皇位についたようなもので、金銭感覚がなく、外交に関しても経験不足であった。
今でいう -
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ネタバレカエサルの後継者として選ばれたオクタヴィアヌス。
著者の宣言通り、華々しい戦闘シーンや痛快な戦術を駆使した勝利、という話はまったくなかったが、彼の政治センスはなかなかおもしろいものであった。
カエサルが見込んだのことはあるセンスにより、元老院議員の心を誘導しつつ、帝政ローマ建国へ向かう様子は、カエサルとはまた違った魅力を感じるところである。
あまりにも厳格な法の制定、特に「ユリウス姦通罪・婚外交渉罪法ユリウス正式婚姻法」には、疑問であったが・・・
現在の少子化対策において、このような法を制定したら、今の日本はどうなるであろうか? と考えてみたが、おそらく犯罪者だらけになってしまうであろ -
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ネタバレカエサルが暗殺された。
第四巻からここまで読んできて、カエサルに魅了されてしまった私には2000年以上も前のことながらなにか、悲しいものがあった。
元老院による寡頭制に疑問を呈し、人生をかけてローマ帝国を築き上げようとしたカエサル。
戦略的頭脳にも、政治的頭脳にも優れ、それでいて女好き。 魅力満点の男である。
また元老院に担がれた感じの「三頭政治」の一人、ポンペイウスも戦いに敗れ、戦術家としてはおもしろい人物である。
この二人の「ファルサルスの戦い」は、読んでいるだけで興奮してしまう。
才能ある二人だからこその歴史上に残る戦い方。
当時のローマ人の知性には頭が下がる。 今でいうイン -
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カルタゴが滅亡し、新たな人物が次々と登場する第三巻。
ここで最初に登場するグラックス兄弟は、印象的である。
紀元前のこの時代に、果敢に改革を試みる若者たち。
いつの時代にも、勇敢で正義感あふれる者はいるであろうが、この時代に、というのが驚かされる。
すでに元老院を中心とする共和制が成り立っているローマであるが、市民の格差問題があらわになり農地改革を実行しようとするわけであるが、大きな権力を相手にするとき、なかなかうまくいかなものであることは、いつの時代も同じ。
結果的に二人とも志半ばでの死を迎えるわけであるが、これが呼び水になり、ローマが大きく動き出すことになるということは、歴史上大 -
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この第二巻は、ハンニバルのカルタゴとローマの戦いのポエニ戦役が舞台。
ハンニバルはもちろん聞いたことはあるが、実際にどんな戦術でローマと闘い、どんな人物だったのかは、世界史を知らない私にはまさに未知の世界。
実際、読み進めていくにつれ、ハンニバルへの思いが強くなり、フィクションの戦争小説を読んでいるような気持になった。
歴史名を残す武将・ハンニバル。 彼の戦術は、2000年以上前のものとは思えないほどに緻密なものであった。
私の完璧な偏見ではあったが、紀元前の世界では絶対王政、戦いは単純な歩兵同士の激突、と考えていたが、ハンニバルは違った。
情報戦、今でいうインテリジェンスに長けた戦 -
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昨年完結した「ローマ人の物語」。 読んでみたいと思いつつも、なかなかの長編、さらに世界史はほんど勉強してこなかった私に読めるのか? という思いがあり、なかなか手をつけられなかった書籍。
たまには歴史ものもいいかな? と思い、とりあえず第1巻にチャレンジしてみた。
当初、地中海周辺の地図もイマイチわからず、出てくる人名もなかなかとっつきづらく苦労した。
なんとなく読みすすめていくうちに、紀元前とは思えないほどの発達したローマ人の考え方に驚かされつつ、徐々にではあるが、引き込まれていった。
ローマに限らず、その周辺の都市(たとえば、ギリシアのポリス国家)の発達した生活ぶり、すでに政治が成り -
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相変わらず手厳しく面白い。
憲法改正について、律法と法律という分け方が面白かったが、多くの日本人にとって憲法は律法により近いのではないかと思った。何たって万世一系の元現人神から降されるものであったのだから。日本の政府は一度として国民が勝ち取ったものであった試しがないことも大きな要因だと思う。徳川が崩壊した時でさえ、農民層をはじめとした一般庶民が、自分たちの作った政府だなどと自覚したであろうか。
自分も外から見る立場の今、日本人は外交下手世界1、2を争うのは本当で、特に声がでかくて腕力があるもの勝ち(まさにメリケンそのもの)な今、どこぞの優秀な属国になってた方がいいとすら思えるほどだ。
民を考え -
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おもしろかった!
私も時代の子で、民主主義至上主義に漬かってきた弊害が明るみに。
カエサルに対して悪いイメージしかなかったのが、払拭された。
また、キケロに対し良いイメージしかなかったのも、一変した。
もちろん、これまでの巻を読んだり、現在の日本の状況を見るに、カエサルのやろうとしてることは、むしろ羨ましくすら思っていたのだけれども、それでもなお、カエサルについて事前に知っていたことが「ガリア戦記書いた」「賽は投げられた」「アウグストゥスを養子にした」「三頭政治」「独裁しいた」「ブルータス、お前もか」という、レベル(笑)
こんなにかっこいい人だったのね。
また、莫大な額の債務者が、債権 -
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空港で買ったけど、飛行機乗ってるときに小説を読んでると、搭乗券やらもろもろの紙をなくさないことを知った。
4人の女性―マントヴァ侯爵夫人イザベッラ・デステ、教皇アレクサンデル6世の娘ルクレツィア・ボルジア、イーモラ及びフォルリの女領主カテリーナ・スフォルツァ、キプロス女王カテリーナ・コルネール―を通してイタリア・ルネサンスの政治の芸術(アルテ)を描く。
その中で抗った女・流された女・戦った女・利用された女。
塩野七生の書き方は、歴史書とも小説ともエッセイともつかないものだけれど、今回読んでみて思ったのは、研究者が自分のおもしろいと思ってることを親しい人に楽しさのあまりしゃべってるのに近いか -
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大きな病いを経験したことをきっかけに、私自身、自分の人生や生きる意味を問い直しているところです。色んな本を読み、たくさんの人から話を聞いて、今自分にピッタリくるのは儒教の考えだと思いはじめています。
ただ一方で、対極にある考えも知りたいと思い、韓非子やマキャベリの本も読むことにしました。
そして、とても驚いています。
なぜなら私が勝手に「対極だ」と思い込んでいた思想が、とても近い間柄であるように感じたからです。確かに双方手段は異なります。しかし人間という生きものの捉え方は、とても似ています。
一人の人間として、またその集団の中に生きる者として、どんな手段を選ぶのか。後は選択の問題だと思ってい