塩野七生のレビュー一覧

  • 十字軍物語 第四巻―十字軍の黄昏―(新潮文庫)

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    ☆☆☆2019年9月☆☆☆


    フリードリヒ2世が中心となった第六次十字軍から、ルイ9世の行った第七次、第八次十字軍。そしてアッコン陥落、騎士団の崩壊まで。


    フリードリヒ2世の遠征は無血でエルサレムを解放したため当時は激しい批判にさらされた。イスラム教徒とキリスト教徒の共存を実現した稀代の名君だと塩野氏は評価する。アラビア語を自由に操ったり、ナポリ大学を開設し法律を重視したり、当時としては異例の人物だったのだろう。


    一方、ルイ9世は宗教的情熱、信念ならだれにも負けなかったが決して優秀な人物ではなかった。悪い人ではなかったのだろうが、十字軍は大失敗に終わった。


    その後、マムルーク朝により十字軍国家は崩壊。その歴史にピリオドを打った。
    十字軍の足跡を辿る長い、長い旅が終わった。

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    2019年09月12日
  • 十字軍物語 第三巻―獅子心王リチャード―(新潮文庫)

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    リチャード獅子心王が主役の第三次、そこから第五次までの十字軍の歴史を物語形式で書かれています。資料に忠実に、ないところは想像力で、物語を面白く臨場感あるように。主要な登場人物に十分感情移入しながら楽しんで読ませていただきました。中世という時代の君主の生活など、ある意味自由で無防備が許された時代だったのだなと。その背景に宗教が強い影響力を持っていたことが。そしてそれが十字軍を発生させたのだなということが分かります。
    十字軍は第一次だけが成功で、あとは失敗と思っていました。しかしこの第三次も十分に成功だったということが分かりました。キリスト教とイスラム教が協力して、長い平和を作ったということは、現代世界が見習う重要な歴史なのではと思います。

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    2019年08月27日
  • 十字軍物語 第二巻―イスラムの反撃―(新潮文庫)

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    ☆☆☆2019年8月レビュー☆☆☆




    ゴドフロア、ボエモント、タンクレディ、ボードワンといった第一次十字軍の築き上げた十字軍国家の維持という難題を背負った人々の物語。


    完全アウェイの中に築かれた帝国だけに維持が困難なのは想像に難くない。そのために大きな役割を果たしたのは聖堂騎士団、病院騎士団、城砦、経済交流、海軍。
    なるほどなぁ、と納得がいった。
    約900年前の中東に遠く思いをはせる。


    癩王、ボードワン4世の活躍も印象深い。
    死を覚悟した人間の美しさがあらわれたような人物。部下からも慕われ、常に最前線で戦った。日本でいえば、大谷吉嗣のような人物だったのではないか。


    イスラム側では、ヌラディン、サラディンと英雄が続々とあらわれる。大地震以降のヌラディンの変化(優しくなった?)も興味深い。


    十字軍という壮大な人間ドラマもいよいよ折り返し。
    花の第三次十字軍へ!
    リチャード獅子心王!

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    2019年08月17日
  • 十字軍物語 第一巻―神がそれを望んでおられる―(新潮文庫)

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    突出した主人公が描かれるのではなく、多くのキャラクターが多彩に生き生き描かれている。その中でもやはり、イェルサレムの初代王になったボードワンの懐の大きさと、若き英雄タンクレディの活躍が目を引く。塩野さんに「チンピラ」「十字軍のチンピラ」と何度も書かれているが、チンピラも成長する、すごい。塩野さんの筆には、ボードワンとタンクレディへの愛があふれている。
    殺戮と破壊の嵐ではある。戦争なのだから当たり前なのかもしれないが勝った方のやることが苛烈。
    まえがきで著者が投げかけているテーマが気になる。今後読み進めると明らかになっていくのか、ぜひ続きを読む予定。
    1.200年続いた十字軍時代で勝ったのはイスラム側であり敗れたのはキリスト教側なのに、なぜその後からは両者の立場は逆転したのか。なぜ最終的な勝者はキリスト教側になったのか。
    2.十三世紀当時にはイスラムとキリスト教の間で解決できたいわゆる「パレスティーナ問題」が、なぜ七百年が過ぎた現代のイスラムとユダヤの間では解決できないのか。

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    2019年08月15日
  • 十字軍物語 第一巻―神がそれを望んでおられる―(新潮文庫)

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    ☆☆☆2019年8月レビュー☆☆☆



    「十字軍」とは、だれもが知っているようで、実際はよく知らない。そういうものでは無いだろうか。世界史を勉強しても、さらっと第一次だ、第三次だとあらすじをたどるだけで何もわからない。
    本書では、十字軍というものが起こされた背景から、当時う人物の息遣いまで感じることができる、読み応えのある作品だ。



    まず、背景として「カノッサの屈辱」から筆を進めるのが面白い。カノッサの屈辱の後、ローマ教会はハインリヒ4世に押されに押されたが、巻き返しのため、権威を取り戻すために十字軍が考えられたという。ウルバン2世によって。

    「聖地を取り戻す」という目的だけではなかったのか。


    そうしてスタートした第一次十字軍が、苦しみながらも聖地までたどり着く。その道のりを描いたのが第一巻。


    トゥールーズ伯レーモン・ド・サン・ジル
    (司教アデマール)
    ロレーヌ公ゴドフロア・ド・ブイヨン
    (弟ボードワン)
    プーリア公ボエモント・ディ・アルタヴィッラ
    (甥タンクレディ)


    これらの人々を中心に、十字軍の足跡を辿る。
    十字軍といえば、どうしても排他的で残虐なイメージがあるが、勇気や誠実さといった面もある。


    十字軍とは何だったのか?
    二巻、三巻、四巻もじっくり考えながら読み進めたい。

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    2019年08月13日
  • 十字軍物語 第一巻―神がそれを望んでおられる―(新潮文庫)

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    だいぶ前に、先に『絵で見る十字軍物語』を読んでいたが、改めて『十字軍物語』の方も読んでみた。
    十字軍とビザンティンとイスラムの三つ巴の闘いが、人間味の溢れる塩野七生の描写で生々しく目に浮かんでくる。

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    2019年07月17日
  • レパントの海戦

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    ネタバレ

    西暦1571年、スペイン王フェリペ二世率いる西欧連合艦隊は、無敵トルコをついに破った。コンスタンティノープルの攻略から118年にして、トルコの地中海世界制覇の野望は潰えたのだ。しかし同時に、この戦いを契機に、海洋国家ヴェネツィアにも、歴史の主要舞台だった地中海にも、落日の陽が差し始めようとしていた。文明の交代期に生きた男たちを壮大に描く三部作、ここに完結。


    「コンスタンティノープルの陥落 」「ロードス島攻防記」から続く一作。
    迫りくるオスマントルコ帝国の脅威に立ち上がったヴェネツィア共和国を中心とした地中海世界。
    レパントの海戦は、ガレー船が主力を成す大海戦としては最後の海戦となったが、十字架を先頭にして闘われた最後の戦闘にもなった。
    キリスト教勢が一枚岩にいかないのは相変わらずではあるが、薄氷を踏むような勝利を収めたにも関わらずその影響力を次に活かすことが出来なかった。
    ヴェネツィア共和国もトルコ帝国もレパントの海戦を機に衰亡の一途をたどることになる。両国の力の衰退だけが原因ではなく、その後、西ヨーロッパ地域が世界の中心になり、地中海世界は歴史の主人公の座を降りた。

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    2019年06月07日
  • ロードス島攻防記

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    イスラム世界に対してキリスト教世界の最前線に位置するロードス島。コンスタンティノープルを陥落させ、巨大な帝国を形成しつつ西進を目指すオスマン・トルコにとっては、この島は喉元のトゲのような存在だった。1522年、大帝スレイマン1世はついに自ら陣頭指揮を取ってロードス島攻略戦を開始した―。島を守る聖ヨハネ騎士団との5ヶ月にわたる壮烈な攻防を描く歴史絵巻第2弾。

    闘いが始まる前にロードス島に着任したイタリア騎士のアントニオと、
    ヴェネツィア共和国が密かに送り込んだ城塞築城技師のマルティネンゴ。
    この二人を登場させたことで、圧倒的防御にまわったロードス島攻防記の、
    騎士たちの戦闘による活躍と、市民たちまでもが協力にまわった要塞防御の二面を、
    分かりやすく物語にしている。

    時のトルコのスルタンはスレイマン大帝。
    トルコという国としても、国力充実していた時期であるし、
    スレイマン大帝という非常に有能な人物のおかげで、ますます威力に拍車がかかる。
    もしもスレイマン大帝でなかったら、非常に徹底した封鎖作戦と物流作戦、
    および聖ヨハネ騎士団敗北後の住民および騎士たちの無事な撤退はありえなかっただろうと思える。
    この戦争を通して騎士の中の騎士と呼べるのはスレイマン大帝である。

    そして、ロードス島を撤退した後の騎士団の後日談があるのがよかった。
    スペイン王カルロスの思惑もあり本拠地をマルタ島に移す騎士団。
    マルタには行かず修道僧としての生き方を選んだアントニオ。
    怪我のために自らはヴェネツィアに戻り、弟子をマルタに派遣したマルティエンゴ。
    マルタ島で何もかも一から築き上げた聖ヨハネ騎士団は、
    ナポレオンに追放されるまで、北アフリカを戦場にマルタを守りきる。

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    2019年05月24日
  • 十字軍物語 第四巻―十字軍の黄昏―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    まずは、皇帝フリードリッヒによる第6次十字軍。戦うこともせず、無血でイェルサレムを取り返したのにもかかわらず、無血という理由で法王に破門されてしまう。
    これまで以上の成果が出てるにもかかわらず、反宗教的な十字軍とされてしまうところが、宗教戦争であったのだろう。
    次は、聖王ルイによる第7次十字軍と第8次十字軍。散々な結果に終わってしまい、かつ、イスラム側に勢いを与えてしまう結果に。
    さらに、悪い結果は続くもので、イスラムのスルタンも教養者から軍人奴隷の出身者へと変わってしまう。そのことが重なり、十字軍構想は200年の時を経て、なくなってしまうのだった。

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    2019年05月18日
  • 十字軍物語 第三巻―獅子心王リチャード―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    第1章は、イスラムの英雄サラディンと獅子心王リチャードによる第三次十字軍の話。
    ヨーロッパ側の様々な思惑と裏の裏を読まなければならない政治情勢の中、フランスと手を組み十字軍を敢行するイギリス。また、先遣隊であったはずの赤ひげのフリードリヒの突然の死などドラマになる展開が本当に起こってしまうことが歴史の面白みなのかもしれないな、と感じた。
    さらにほ、獅子心王リチャードの行き当たりばったりな行動がのちの平和へのメリットにつながっていくのも面白かった。

    第2章は、ヴェネツィア主催の第四次十字軍。
    計算し尽くされたであろうヴェネツィアの国益のために行われた十字軍。自らの経営支配領域の拡大とともにそこに付随する商いの場の拡大という、経済第一主義の国らしい、考え方とそれを扇動し実行してしまうところが、ヴェネツィア共和国なんだな、と感心してしまった。

    第3章は、宗教主導に戻したかった第五次十字軍。
    キリスト教側もイスラム教側もカリスマ性を備えたリーダー不在の中で行われた不毛とも言える三年に及ぶ十字軍。
    最後のイスラムのスルタンアル・カミールが出した講和の条件を法王代理の枢機卿がはねつけてしまうところが、宗教戦争であることを物語っているように思えた。

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    2019年05月16日
  • 十字軍物語 第二巻―イスラムの反撃―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    第二次十字軍とイスラム世界側の反撃が始まる話。
    英雄とされるサラディンは、名前は知っていたが、相当の戦略かであるとかは全く知らなかった。
    もっと残虐な人でイェルサレムの解放も相当な血が流れていると勝手に思っていたので読み進めるにつれて良い意味で裏切られた。
    また、十字軍国家側は少しずつ能力の低い人が王になってしまう悲劇的な面があったというのも、物語として、面白かった。

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    2019年04月20日
  • 十字軍物語 第四巻―十字軍の黄昏―(新潮文庫)

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    その距離を~競うより~♪ どう飛んだか、どこを飛んだのか♪
    ♪それが、一番、大切なんだ♪、そうである。
     
    人生ならそんな生き方もあってはいいと思うが、これが勝負の世界、とくに戦争ではそうはいかない。どう飛ぼうが、どのルートを飛ぼうが最後に目的地に着けばいい(勝てばいい)のであって、目的地に着かない(目的を達成できない)のであれば、それは飛んでないのと同じだ。

     十字軍の目的は聖地イェルサレムの奪還だ。それ以外ない。第六次十字軍を率いた神聖ローマ帝国皇帝のフリードリヒ二世はイスラム文化に通暁し、自らもアラビア語を解し、通訳なしで交渉にも臨めるほどの稀有な皇帝。スルタンのアル・カミールとも打ち解ける間柄。お互いの立場をよく理解し、なんとな~く、妥協点を探りあっていた。何度かの交渉ののち、スルタンから、うちも身内のゴタゴタで大変で、あなた方を相手してる余裕がないから、軍の引き上げを条件に、イェルサレム、還して欲しいって言うなら還しまっせ、との棚からぼた餅の提案が。戦わずして目的を達成する一大好機到来。やった!俺って持ってる男かも、と皇帝が思ったがどうかはしらないが、ローマにお伺いを立てたりしてたら使者の往復だけで何カ月もかかるから時を逃す。ここは自分の一存で、乗りましょう!その提案。戦争を回避し、犠牲者を全く出さずに目的を達成したんだから、この遠征、大成功でしょ!?。
     
     しかし、それを伝え聞いた法王は「けしけらぬ!」と激怒。なぜなら聖地はキリスト教徒が血を流して異教徒から奪回してこそ意味があるのに戦わないとは何たることか! 皇帝は破門じゃ!破門!と、何度目の破門かわからないけど、再び破門を通達。

     意味わからん。
     
     そこは「神がそう望んだ」から労せずして聖地が奪還できたっことでいいじゃん!

     それは戦闘の勝利じゃないかもしれないが、戦略の勝利なんだから。と普通は考える。たぶん現地のキリスト教徒もそう考えた。しかし神の代理人の頭の中は違ったようだ。石頭め!

     その後、法王の意思に忠実に第七次十字軍を組織したフランス王ルイは多くの犠牲を払うも、失地を回復するどころか次々と拠点を失い、自らも捕囚の身となる大惨敗。でも法王の意を汲んで、多くのキリスト教徒の血をイスラムの地に無駄に流させることに成功したフランス王ルイはのちに聖人に列せられる。 

     このことをもって個人的にはフランス王に「フランスの乃木将軍」との称号を与えたい。

     聖地奪還より血を流すことに意味があるという本末転倒の展開となった今回の十字軍。以後の十字軍も勢力を盛り返すことはなく黄昏を迎える。

     いつの時代も戦火や戦禍を拡大させるのは戦争を知らない権力者ということか。

     大変お勉強になりました。

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    2019年05月21日
  • 十字軍物語 第一巻―神がそれを望んでおられる―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    戦争を書くのを避けていては、歴史はかけません。歴史とは、良くも悪くも戦争の歴史なのですから。しかも、西洋史上での十字軍は、これがあったからこそ古い時代が終わり、新しい時代が始まることになるほどに、重要な歴史上の事件なのです。と前書きにあるように、第1巻は第一十字軍の発足までと、イェルサレム解放までの出来事。

    最初の十字軍は教皇の呼びかけに応えた7人の諸侯だけで行われたと言うのに、まずは驚いた。また、イスラーム側との認識の相違、つまり、宗教戦争と領土戦争、がかなりあったことも面白かった。

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    2019年04月08日
  • ルネサンスの女たち―塩野七生ルネサンス著作集2―

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    若々しく大胆な魂と冷徹な現実主義に支えられた時、政治もまた芸術的に美しい。ルネサンスとはそういう時代であった。女たちはその時、政争と戦乱の世を生き延びることが求められた。夫を敵国の人質にとられれば解放を求めて交渉し、生家の男たちの権力闘争に巻き込まれ、また時には籠城戦の指揮もとる――。時代を代表する四人の女の人生を鮮やかに描き出した、塩野文学の出発点。


    「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」と同時期に読むと理解が深まると思います。
    魅力あふれる4人の女性が取り上げられており、個人的な好みランキングを作るとすると…
    1.カテリーナ・スフォルツァ
    2.イザベッラ・デステ
    3.カテリーナ・コルネール
    4.ルクレツィア・ボルジア
    この順になります。

    怖いけど、カテリーナ・スフォルツァがかっこよすぎる!
    あの時代にチェーザレ・ボルジアに真っ向から立ち向かった結果として屈辱的な事態に陥っても、立ち向かうことすら諦めた他の君主たちとは全く違う。
    様々な逸話を残した彼女に、大いなる魅力を感じる。

    ルクレツィア・ボルジアは父と兄の思惑に流されすぎて気の毒すぎる…ボルジアの血をひいていなかったら、もっと普通の人生もあっただろう。

    いずれにせよ、ルネサンスの時代を彩った女性たちの物語は興味深いです。

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    2019年03月29日
  • 十字軍物語 第四巻―十字軍の黄昏―(新潮文庫)

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    一神教の聖職者 と 世俗のエリート
    世俗者が 聖職者の原理を 持った時の 恐ろしさ
    本人が 気づいてにないのか さらに 怖い

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    2019年02月11日
  • 十字軍物語 第一巻―神がそれを望んでおられる―(新潮文庫)

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    十字軍がどのようにして成りどのようにイェルサレムを奪還していくかの物語を塩野七生氏の人物を中心にして紡ぐスタンスで描かれる。

    この書は十字軍がエルサレムを奪還し、十字軍国家を形成するまでが描かれる。

    書くというよりは描かれるというような感覚になるのは塩野七生氏の人物を中心にして感性から入って理屈に繋げていくスタンスならではなのだろう。
    事実の列挙とは正反対に位置する氏の描く歴史物語は、フィクションを読んでいるような心地で歴史を読むことができる非常に稀有な本だ。

    物語の当時、
    ローマ皇帝と法王の対立は「カノッサの屈辱」という事件をきっかけに、決裂は決定的となる。

    そこで法王はローマ皇帝に対抗する策として、ローマ皇帝には持ちたくても持てないもの、「神」を持ち出したのだ。

    法王という権威を決定的なものにする為に、「神がそれを望んでおられる」という神の指令をイェルサレム奪還という形にして呼びかけるのだ。

    個性豊かな諸侯たちが、イスラム教徒からのイェルサレム奪還を目指して、「巡礼」という名目で、足を引っ張り合いながらも必要な時には団結し奪還し、十字軍国家を形成する。

    こうして、
    各々の行動を現代に生きる者の目から見てみると、いかに愚行であるか、またいかに聡明であるかがよく見て取れるのだが、その最中にいる人にすれば当事者であるが故に、その行動の良し悪しの判断というのは非常に難しいものがあるだあろう。

    判断は歴史がしてくれるという言葉の真意は、
    歴史を読んでいることでさらに腑に落ちてくる。

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    2019年02月05日
  • 生き方の演習 : 若者たちへ

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    まず現実を知る。海外の報道もきちんと見ることが大切。
    外国語は道具として学ぶ。何より大切なのは母国語。
    選択肢を多く持ち、情報を集める。
    そのコツは軸となる考えを立てて、そこに磁石のように情報を引き寄せる。
    著者が子どもを育てる際に気をつけたのは2点。
    語学。つまり道具を身につけさせたこと。
    そして、自分の頭で考えること。話す時にはあなたはどう考えているの。と言うように心がけたとのこと。

    他から刺激を受けて、自分なりに創った結果が独創性の高い作品であり、何もない所からは生まれない。
    だから多くのことに好奇心を持つのは自分を豊かにするだけでなく、独創の出発点でもある。
    短時間で読める。もっと若い頃に読んでいたらどう感じ、どう変わっていただろうか。

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    2018年11月23日
  • ローマ亡き後の地中海世界(上)

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    あいかわらずの塩野節で、飽きさせない一品。
    イスラムの海賊がキリスト教徒に対してどう対したかがよく分かった。ジハードとグエッラ・サンタ、どちらも聖戦と訳すのだなと妙に納得した。トルコがEU加盟を望んでいるが、この本を読んでしまうと、イスラム色を一掃できない限りトルコのEU加盟は無理と思ってしまう。

    [private]以下心に残った部分
    ・情報とは、量が多ければそれをもとにして下す判断もより正確度が増す、とは、全くの誤解である。
     情報は、たとえ与えられる量が少なくても、その意味を素早く正確に読み取る能力を持った人の手に渡ったときに、初めて活きる。P.57

    ・トップを失ったアラブ人の兵士たちを、ルッジェロ指揮下のノルマン・シチリア軍に編入した。全く、現代のどこかの国に見習ってほしいくらいに見事な戦後処置である。P.196

    ・継続はやはり力なのだ。P.202

    ・正直一筋では外交にはならない。P.203

    ・国民が拉致されても国家間の外交には無関係、ということであろうか。なんだか、どこかの国の外務省と似ていなくもない。P.239

    ・複式簿記になって初めて、多くの地に張りめぐらされているマーケット網も、一望の元に把握できるようになったのである。これが、経済の発展に寄与したのは言うまでもない。P.241

    ・ゴールドが貴重視されてきたのは、銀や銅と比べて保存度が断じて優れているからだ。私もカルタゴとアレクサンダー大王の金貨を二枚もっているが、二千三百年も昔のものとは思えないほど、今なお燦然と輝く黄金色のままである。P.245
    [/private]

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    2018年11月12日
  • ローマ亡き後の地中海世界(下)

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    地中海での海賊の動きを中心にローマ後から近世までの地中海世界を描ききった作品。前半は海賊の暴れ放題で意気消沈するが、後半はマルタ攻防戦の勝利で、胸がすく思いであった。ヨーロッパVS海賊は、ヨーロッパVSトルコという構図であったことがよく理解できた。トルコという国名では、EUに加盟するのは心情的に考えるとかなり厳しいということをあらためて感じている。また、海賊の撃退は、ほとんど近代になってからという事実も予想に反したところ。この下巻を読んで、また塩野本を読み直したくなった。

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    2018年11月12日
  • ハンニバル戦記──ローマ人の物語[電子版]II

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    ローマ人の物語は、塩野ファンのみならず、どなたにもお勧めしたいシリーズ。この巻では、ポエニ戦争での、ハンニバル対スキピオが描かれます。手に汗を握ってしまうほどの迫力です。

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    2018年10月23日