塩野七生のレビュー一覧
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【穏やかかつ波高く】地中海を視点の中心に据え,東西に目配せをしながら中世という激動の時代を切り取った作品。秩序が崩壊した世界における歴史ドラマを描き出して行きます。著者は,『ローマ人の物語』等の名作を数々世に送り出している塩野七生。
地理的にも空間的にも隔てられた世界に関する歴史書でありながら,人間の生き様を中心に据えているため,自分のことのように読めてしまうのはさすがに塩野氏の作品ならでは。キリッとしまった警句も読む者をハッとさせてくれますし,身になる読書がどういうものかが体験できるかと。
〜海上からこれらの観光地を眺めるたびに,そして今では,,レストランやナイトクラブに使われていたり -
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カエサルは、歴史上の人物の中でも最も好きな人物である。
以下は、この巻と前巻に記述された「カエサルの思考、行動」について。
・生涯を通じて彼を特徴づけたことの一つは、絶望的な状態になっても、機嫌の良さを失わなかった点である。
→ 楽天的でいられたのも、ゆるぎない自信があったからだ。
・カエサルは、自分の考えに忠実に生きることを自らに課した。
それは、ローマの国体の改造であり、ローマ世界の新秩序の樹立であった。
・失敗の挽回には、二つの方法があるが、カエサルは後者の代表格であった。
1)失敗に帰した事態の改善に努めることで、不利を挽回する人。
2)それはそのままで、ひとま -
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カエサルは、歴史上の人物の中でも最も好きな人物である。
以下は、この巻に記述された「カエサルと女性」について。
・カエサルは女にモテただけでなく、女たちに誰一人からも恨まれなかった。
→ 醜聞は女が怒ったときに生じる。
では、なぜ女を怒るか? 怒るのは傷つけたからであう。
・カエサルは、愛人の存在を誰にも隠さなかった。
→ 公然ならば、女は愛人であっても不満に思わないから。
・カエサルは、次々とモノにした女たちの誰一人とも、決定的には関係を清算しなかった。
→ 愛人関係が切れた後でもカエサルは、彼女らの願いならばかなうように努めた。
・女が何よりも傷つくのは、 -
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塩野七生の「コンスタンティノープルの陥落」「ロードス島攻防記」「レパントの海戦」三部作の最後の一つ。
強大なトルコがキプロスを攻略して我が物とし、その後クレタ島を攻略してクレタ島は陥落寸前であった。トルコは東地中海の覇権を確保しつつあり、ベネチアは支配地域だったキプロスを失い、その上クレタまで失い、海洋通商国家としてトルコと通商関係を破棄ししてでも対決せざるを得ない状況にあった。
しかし、東の超大国トルコに対してヨーロッパの結束は心許ない状況であり、ローマ法王の権威は低くヨーロッパ各国が領土争いをしていたため、ローマ法王が対トルコの十字軍をなかなか結成できない状態だった。そういった中で、ベネチ -
ネタバレ 購入済み
ネロに双子の兄がいたとは⁉
歴史上の史実を一人の人物の目線から、告白されていて、後半から特に引き込まれて読みました。特に暴君と呼ばれている皇帝ネロに双子の兄がいて、凄まじい精神の崩壊ぶりを見せる治世も凡人にも理解できるように描かれてますね。
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歴史に興味があるわけではなく、聞いたこともない島での戦いを綴ったこの小説は、家に読むものがなくて渋々読み始めた。
やっぱり読み始めは、外国の慣れない単語、宗教、歴史、地理などと興味が湧かず頭に入っていかないのだが、途中からだんだんとパズルが繋がっていき、面白くなってどんどん読み進めた。
1500〜1530年のどこの国というわけではない、ロードス島という特殊な背景にある島で起こったひとコマの物語。あらすじを読んだだけでは絶対に読みたいと思えない小説が、ドラマチックに描かれ、エンターテイメントであるのと同時に観光、地理、歴史書の類いでもあると言っていい。
何より、著者の状況説明や背景の描写が素晴ら