塩野七生のレビュー一覧
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真打登場!第6次十字軍をキリスト教破門の身ながら、血を流さずにイェルサレムを奪還したフリードリヒ。リチャードとサラディン、フリードリヒとアル・カシールのように、両陣営に柔軟な思考ができるリーダーがいると友好的に話は進む。
第七、八は熱い宗教心をもつルイ9世の独り相撲の感があり、それ故、2度も完全失敗をしたにもかかわらず、死後、聖人に祭り上げられた。
十字軍の終焉のアッコン陥落は壮絶な戦いだった。それを思うと命を賭して戦ったテンプル騎士団の最後は悲しい。逆に聖ヨハネ騎士団が、ロードス騎士団、マルタ騎士団さらには現代まで生き残るのは、非常に逞しい。イスラムのマムルークたちが破竹の勢いのモンゴルを破 -
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華々しい。歴史に名高いアレクサンドロス三世の物語は、小説よりも面白い。ギリシアの歴史としては4作目にはなるけれども、この一冊だけ単体で読んだとしても良いくらい。ギリシアの歴史がアテネを中心に繁栄から衰退へ辿っていく前回の方が頁数は少なかった。しかし内容が辛く読むのに時間がかかった。それに比べると今回はサクサク読める。内容も連勝に続く快進撃なので気持ちが全く違った。アレクサンドロスが持つ才能だけではなく若さ故の無鉄砲さ、また若いまま燃え尽きるように表舞台から消えてしまう儚さが、歴史の主人公として出来過ぎている。そして後継者争い、分裂。これほど典型的なのに惹かれる史実も無いだろう。
アレクサンド -
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最高に面白い十字軍の物語。
今回は第一次十字軍の話だが、カノッサの屈辱でグレゴリウス7世が雪の中に皇帝ハインリヒに教皇の有利を示したあと、皇帝の反撃により教皇の権力は地に落ちていた。ウルバン二世が再度、教皇の威を示そうとヨーロッパの諸侯に呼ぶかけた聖地解放。
隠者ピエールの貧民十字軍を皮切りに、フランス王弟ユーグ伯、ノルマンジー公ロベール、ブロア伯エティエンヌ、フランドル伯ロベール。そして、この話の主役たち、ロベーヌ公ゴドフロア、弟ボードワン。ノルマン人のブーリア公ポエモンドと甥のタンクレディ。トゥールーズ伯、サン・ジル。名前を羅列しただけで、読んでいた時のワクワクが蘇って興奮してくる。かれら -
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何度も重複して買い増していた「コンスタンティーノープルの陥落」を、やっと読んだ。
複数の登場人物の立ち位置で陥落までを追っていく。
マホメット2世の冷徹なまでの作戦実行でコンスタンティーノープルは落ちるのだが、ジェノバとヴェネチアとの確執や、正教とカトリックの合同騒ぎでまとまらない中、ビザンチンはよく戦った。
トルコが大型大砲を使用したことが、今まで鎧を身に纏い、馬に跨り剣を振り翳していた騎士の無力さを浮き彫りにした。また、マホメットの領土拡大の行動が、ジェノバの東の拠点を壊滅させ、それがきっかけとして、ジェノバの船乗りが西に目を向け、大航海時代が始まる。この戦いが、中世と近世を分つキーになっ -
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国連の安保理会議で、ロシアも中国も賛成しているとき含め、アメリカがイスラエル批判や停戦決議を拒否した回数は、2024年までに49回(賛成した回数はゼロ)
イスラム世界と"交渉"で和平をもたらしたことをローマ法王に咎められ、破門3回、更には皇帝の位の剥奪という処分まで受けたフリードリヒ2世のその部下が、ローマ法王に直接ぶつけた言葉を、安保理会議の場でも大声でぶつけたい
『Dies ista dies irae, calamitatis et miseriae!
(今日この日は神が怒り災いをもたらし、それによって人間が苦しむ時代が始まる)』
彼の死後、
『「STVPOR -
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面白くて勉強になる。どんな政治評論家よりも納得感がある。
この人の外交センス、国防センス、国際関係の感覚はすごい。長年ローマ帝国の歴史を見てきているので、他国とどのような関係を築がなければならないか、どのような駆け引きが重要か、どのようにすれば平和な状態が続くのか、トップはどうあるべきなのか、そういうセンスが卓越している。文章は言うまでもなくわかりやすくて面白い。
各国これまで積み上げてきた歴史を経て今があるのでそれを尊重しながらだと難しい。特に宗教はややこしい。綺麗事でなくどのような人も国もソントクで動くことを理解しながら合理的な考え方のできる人だと思う。
この本に、小泉純一郎について -
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パレスチナ問題の本いうたら、もとはイギリスの三枚舌外交が招いた悲劇やとかそんな解説がようされとりますけど、ガザの惨状見とったら、それは分かったけどなんとかでけへんのんかい!ちゅうて憤懣やる方なくなりますわ
『テル・アヴィヴからガザまでの距離は、70キロしかない。21世紀の現在では、パレスティーナとイスラエルがこの距離をはさんで、一方がミサイルを撃ちこめば、他方は空爆で応酬する、という状態でつづいている。
しかし、現代からならば800年は昔になる1228年から29年にかけて、この同じ距離の間では、軍事力を使わないで共生を実現しようとする交渉が進んでいたのであった。
それも、キリスト教世界の -
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真打登場。
英国史にとっても十字軍史にとっても欠かせない人物、獅子心王リチャード一世の登場により、十字軍は組織として初めて一本化する。この漢が惚れる漢の中の漢リチャード。単純な戦闘力だけではなく統率力そして気を配れる偉大なリーダー。会ってみたいものだ。ボードワン四世が月ならリチャード一世は太陽であろう。それでもボードワンの方が好きだが。
真の巧者が揃ったところで、両軍の平和が訪れる。これは両首脳が同じくハイレベルであったから均衡が生み出されたのだろう。
それに引き換え、第四次十字軍は一言で言ってしまえば、グダグダだ。やることなすことちぐはぐで本来の十字軍の目的から逸脱し、足並みが揃うことが -
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ついに読み終えた壮大な十字軍物語。
「キリスト教を信じる人々の間では、勝った人よりも負けても教えに殉じた人のほうが尊い」とされ、無血でイェルサレム解放を実現したフリードリヒ2世よりも、失策により壊滅的な敗北を喫したフランス王ルイの方が尊敬されるとは、現代の感覚からすれば大きくずれているのが面白い。
この十字軍で得をしたのは誰か。色々な見方はあるだろうが、フランス王家とヴェネツィアやジェノヴァ等のイタリアの国家なのではないだろうか。
カノッサの屈辱によりローマ法王の権力は頂点に達したが、その後の十字軍遠征時代、真面目にイェルサレム解放に取り組んだイギリスや新生ローマ帝国はローマ法王に叩かれ続けた