塩野七生のレビュー一覧
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匿名
購入済み主人公マルコ・ダンドロを通して垣間見る、ルネサンス期ヴェネツィア共和国の激動を描いたシリーズの第4巻。
正直、前巻までを読んでから時間が経っていたので、経緯を思い出すのに苦戦したところもあり、再度1巻から読みたいと思いました。
特に実在の芸術家がまるで息を吹き返したかのように生き生きと活動している場面や、刻々と変わっていく海戦の描写には心躍りました。
実際の絵画の画像や海戦が行われた地名を地図で探したりして、実物を見たくなったり。
後半はもはや全盛期ではないヴェネツィアの今後の道筋を模索していくマルコに寂寥を感じざるを得ません。
当時のヴェネツィアの活気ある街並みを見てみたか -
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チェーザレ・ボルジア。
イタリアが統一される前の乱世の英雄。
日本で言えば、織田信長のような存在。
「わが友マキアヴェッリ」に何度となく名前が出てきて、マキアベッリの「君主論」にも当然登場する、チェーザレ・ボルジア。
手段を選ばず勢力を伸張しながら、時代の流れに乗り切れず31歳の若さで逝ってしまった。
時に残虐に、時に政治の力を駆使して強敵を倒していく姿にワクワクさせられた。
1500年前後といえば、日本は応仁の乱が終わった後の戦国時代に突入しつつある時期。
イタリアも複数の王国が割拠している時代で、法王の子という背景をフルに利用しながら統一の夢を見たチェーザレ。
戦国武将にワクワ -
Posted by ブクログ
1992年から年1作ずつ刊行され書き下ろされてきたローマ人の物語の初回本。原史料等を丹念に渉猟しながら再現されていく歴史スペクタクルとして圧巻。第1巻では紀元前753年のローマ建国から紀元前270年のイタリア半島統一までが流れるように書き紡がれている。ローマの強固な仕組みが構築されてきた要因として、執政官、元老院、市民集会による三位一体の運営、戦争による領土拡張を支える敗者をも取り込む同化政策、インフラとしてのローマ街道の敷設、が際立っている。ローマ帝国として興隆していく素地が作り上げられていく過程が、当時にタイムスリップしたかのように克明にわかりやすく綴られていく。
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Posted by ブクログ
ルビコンを渡って以来のカエサル動きから、暗殺、混乱を経てアウグストゥスが派遣を確立するまでの物語。
実質20年に満たないが、内容の濃い時代。カエサルの類稀なるリーダーシップ、固定観念に囚われない決断力、人間的魅力、これらが制度疲労を繰り返共和政の中で彼が台頭した原因。しかし、民衆に愛されたカエサルも共和政エリートの中ではそうでは無く、独裁を強めた結果、凶刃に倒れる。
その後、カエサルの後継者を自認するアントニウスとオクタヴィアヌスが、ブルータスら下手人を討ち果たし、最後は西と東に別れて対決姿勢を強めていくが、ここで光彩を放つのがエジプト女王のクレオパトラ。アントニウスを絡め取るのは良かった -
Posted by ブクログ
ネタバレ現イスタンブルであるコンスタンティノープルというビザンツ帝国の首都が、The magnificent(壮麗王)と呼ばれるスルタン、スレイマンによって、オスマン帝国の手中に落ちる様子を、ヴェネチアやジェノヴァ等含めそれぞれのリーダーのキャラクター等にも触れながらまとめられた歴史エッセイ。
塩野七生さんは、歴史的資料を集めて調べて、事実に基づきながらも生き生きと歴史を描いてくれる人だと思う。そして最もイタリアに詳しい方なので少しヨーロッパの目線が入ったトルコへの見方に触れられて個人的には新鮮で面白い。
ビザンツ皇帝とオスマン帝国皇帝の性格や戦略の違いなどが対照的に描かれていて、とても面白かった -
Posted by ブクログ
塩野七生さんは、ローマ人の物語、私自身20代の頃から毎年新刊を読んでいました。ギリシャ人以来新刊が出ていないので、旧刊を読むことが出来てまずこの本のタイトルが気になり選択しました。世界史をきちんと学んでいないので、チェーザレ・ボルジアは未知でした。いわゆるコンセンサスとしては、法王の権威を背景としてイタリア統一を目指したということなのでしょうけど、まず私自身このコンセンサスを知らなかった。そして、塩野七生さんがこのコンセンサスに立ち向かったという内容で大変面白く読みました。ローマ人の物語で言えばカエサル編ぐらい力が入っている感じがしました。塩野七生さんの温故知新シリーズとしては良かったです。そ
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ネタバレ
映画は人生の参考書
一部ご紹介します。
・「つかの間の幸せ、それを捉えるんだ」
・詩とは、理解するものではなく感じ取るもの。
・すべてのことには多方面からのアプローチがあって、一面からとらえて分かった気になるのは、頭脳の怠慢である。他人の考えを疑いもせずに受け入れれば、悪い意味での大衆に成り下がってしまう。
・十分な理解を求めれば求めるほど、与えなければならない情報は増えてくる。
・人は、理解されていると感じさえすれば正道に戻れ、能力も発揮できるものだ。
・人間性への洞察力とは、人間性を優しく見ることと、人間性を直視することである。
・休暇を魅力的になるために使う。山のように映画を観まくるのもいい。