塩野七生のレビュー一覧

  • チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷―塩野七生ルネサンス著作集3―

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    ネタバレ

    ルネサンス期の武将、チェーザレ・ボルジアを主人公とする歴史小説。
    序章のチェーザレの剣のくだり、チェーザレとダ・ヴィンチとの出会いのシーン、そしてダ・ヴィンチのデッサンと一緒に発見されたマントのエピソードなど、極力抑えた筆致の中から、それでも情感が零れ落ちるような名文が多い。
    大長編でもハッピーエンドでもないけれど、贅沢な読書を堪能できる豊かな小説。

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    2022年02月04日
  • 小説 イタリア・ルネサンス4―再び、ヴェネツィア―(新潮文庫)

    匿名

    購入済み

    主人公マルコ・ダンドロを通して垣間見る、ルネサンス期ヴェネツィア共和国の激動を描いたシリーズの第4巻。

    正直、前巻までを読んでから時間が経っていたので、経緯を思い出すのに苦戦したところもあり、再度1巻から読みたいと思いました。
    特に実在の芸術家がまるで息を吹き返したかのように生き生きと活動している場面や、刻々と変わっていく海戦の描写には心躍りました。
    実際の絵画の画像や海戦が行われた地名を地図で探したりして、実物を見たくなったり。

    後半はもはや全盛期ではないヴェネツィアの今後の道筋を模索していくマルコに寂寥を感じざるを得ません。
    当時のヴェネツィアの活気ある街並みを見てみたか

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    2021年12月01日
  • チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷―塩野七生ルネサンス著作集3―

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    チェーザレ・ボルジア。
    イタリアが統一される前の乱世の英雄。
    日本で言えば、織田信長のような存在。

    「わが友マキアヴェッリ」に何度となく名前が出てきて、マキアベッリの「君主論」にも当然登場する、チェーザレ・ボルジア。

    手段を選ばず勢力を伸張しながら、時代の流れに乗り切れず31歳の若さで逝ってしまった。

    時に残虐に、時に政治の力を駆使して強敵を倒していく姿にワクワクさせられた。

    1500年前後といえば、日本は応仁の乱が終わった後の戦国時代に突入しつつある時期。

    イタリアも複数の王国が割拠している時代で、法王の子という背景をフルに利用しながら統一の夢を見たチェーザレ。

    戦国武将にワクワ

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    2021年11月28日
  • ローマは一日にして成らず──ローマ人の物語[電子版]I

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    1992年から年1作ずつ刊行され書き下ろされてきたローマ人の物語の初回本。原史料等を丹念に渉猟しながら再現されていく歴史スペクタクルとして圧巻。第1巻では紀元前753年のローマ建国から紀元前270年のイタリア半島統一までが流れるように書き紡がれている。ローマの強固な仕組みが構築されてきた要因として、執政官、元老院、市民集会による三位一体の運営、戦争による領土拡張を支える敗者をも取り込む同化政策、インフラとしてのローマ街道の敷設、が際立っている。ローマ帝国として興隆していく素地が作り上げられていく過程が、当時にタイムスリップしたかのように克明にわかりやすく綴られていく。

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    2021年10月26日
  • 逆襲される文明 日本人へIV

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    塩野七生の「日本人へ」の第4段

    トランプ登場による、世界の混乱と、彼女自身もこたえようがない難問である「難民」を問う。
    国家のリストラである難民については、リストラしない国が成功することを、最終的にのべている。
    そして、なぜこうも簡単なことを、学会もマスコミもと指摘しないのだろう。と疑問をあげて、筆をおく。

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    2021年10月03日
  • 日本人へ 危機からの脱出篇

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    塩野七生の「日本人へ」第3段。

    太平洋戦争を体験し、イタリアという異郷の地から、日本を眺めている彼女からの、祖国へのメッセージです。

    東日本大震災からあとの日本を、危機ととらえていて、政治力の欠如をなげいています。

    終章に、明治維新が成功したのは、改革者がイデオロギーにとらわれなかったこと、かれらを動かしたのは危機意識であったことをのべています。

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    2021年10月03日
  • 皇帝フリードリッヒ二世の生涯(下)(新潮文庫)

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    上下巻合わせて、星5つの内容。シチリア等の歴史もフリードリヒ2世も、あまり知らなかったが、読んでいてワクワクした。「ブーリア」行きたくなりました。

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    2021年09月27日
  • ユリウス・カエサル ルビコン以後──ローマ人の物語[電子版]V

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    ルビコンを渡って以来のカエサル動きから、暗殺、混乱を経てアウグストゥスが派遣を確立するまでの物語。

    実質20年に満たないが、内容の濃い時代。カエサルの類稀なるリーダーシップ、固定観念に囚われない決断力、人間的魅力、これらが制度疲労を繰り返共和政の中で彼が台頭した原因。しかし、民衆に愛されたカエサルも共和政エリートの中ではそうでは無く、独裁を強めた結果、凶刃に倒れる。

    その後、カエサルの後継者を自認するアントニウスとオクタヴィアヌスが、ブルータスら下手人を討ち果たし、最後は西と東に別れて対決姿勢を強めていくが、ここで光彩を放つのがエジプト女王のクレオパトラ。アントニウスを絡め取るのは良かった

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    2021年07月26日
  • 生き方の演習 : 若者たちへ

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    生きていくうえで、好奇心をもって自分を開放すること、大胆になることが若者は大事だと書かれていてそうしたいと思った。教養が自分の専門だけではできないことを可能にするかもしれないから大事だとか、伝える内容と、それを伝えられる語学力も大切だとあったので、もっと勉強も頑張りたい。

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    2021年07月19日
  • コンスタンティノープルの陥落

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    歴史の教科書なら、「1453年マホメッド二世、コンスタンティノープルを陥落させる」だけで終わりそうだけど、実はもちろん、それぞれの立場の人間が、いろんな思いや主義を持って、大騒ぎしていたんだなあ、って、しみじみ思った。面白かった。そして、またまた、この時代も、王様の愛人は美少年(^-^)

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    2021年07月18日
  • コンスタンティノープルの陥落

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    ネタバレ

    現イスタンブルであるコンスタンティノープルというビザンツ帝国の首都が、The magnificent(壮麗王)と呼ばれるスルタン、スレイマンによって、オスマン帝国の手中に落ちる様子を、ヴェネチアやジェノヴァ等含めそれぞれのリーダーのキャラクター等にも触れながらまとめられた歴史エッセイ。

    塩野七生さんは、歴史的資料を集めて調べて、事実に基づきながらも生き生きと歴史を描いてくれる人だと思う。そして最もイタリアに詳しい方なので少しヨーロッパの目線が入ったトルコへの見方に触れられて個人的には新鮮で面白い。

    ビザンツ皇帝とオスマン帝国皇帝の性格や戦略の違いなどが対照的に描かれていて、とても面白かった

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    2021年09月02日
  • チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷―塩野七生ルネサンス著作集3―

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    塩野七生さんは、ローマ人の物語、私自身20代の頃から毎年新刊を読んでいました。ギリシャ人以来新刊が出ていないので、旧刊を読むことが出来てまずこの本のタイトルが気になり選択しました。世界史をきちんと学んでいないので、チェーザレ・ボルジアは未知でした。いわゆるコンセンサスとしては、法王の権威を背景としてイタリア統一を目指したということなのでしょうけど、まず私自身このコンセンサスを知らなかった。そして、塩野七生さんがこのコンセンサスに立ち向かったという内容で大変面白く読みました。ローマ人の物語で言えばカエサル編ぐらい力が入っている感じがしました。塩野七生さんの温故知新シリーズとしては良かったです。そ

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    2021年05月25日
  • 皇帝フリードリッヒ二世の生涯(下)(新潮文庫)

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    このような偉大で魅力的な人物が実在したということに深く感動します。
    なんでドラマチックな生涯。
    今政治家を目指してる、既になっている人には是非是非読んでいただきたい。
    こんなにバランスのいい統治者、人類の歴史上どれだけ存在したんだろうか。

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    2021年05月21日
  • ハンニバル戦記──ローマ人の物語[電子版]II

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    このシリーズで一番お気に入りの巻 戦争は武器を使う外交 外交は武器を使わない戦争 どちらか一方では国家は成り立たない。二千年の時を隔てたものだが、心動くものがある。

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    2021年05月19日
  • ローマは一日にして成らず──ローマ人の物語[電子版]I

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    全能は他者排除 キリスト教もイスラム教もユダヤ教も全能神で他宗教の神を認めない。体力でも技術力でも文化力でも劣ったローマ人ではあるが、システム構築力はバツグン。そこに価値を見出すところが歴史的天才集団と思う。
    帝国という言葉だけを真似て実体は真逆の全能そして他者排除に突き進んだナチス。どこに分岐点があったのか?

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    2021年05月19日
  • ルネサンスとは何であったのか―塩野七生ルネサンス著作集1―

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    歴史というものにこれまで大きな関心を払っていなかったため、不惑を超えて流石に教養のなさを実感してきた。特にルネサンスとはどういうものであったか、よく分からなかった。本書を読んで少しではあるがそのイメージが掴めるようになったと思う。

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    2021年05月16日
  • レパントの海戦

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    1571年西欧連合艦隊は無敵トルコを打ち破った
    コンスタンティノープルの陥落から118年
    同時に地中海の時代から大西洋の時代に変わっていった

    戦闘は西欧軍の圧勝 日本海海戦のよう
    ベネチアの地中海覇権を辛くも守れたが
    もはや単独ではなく、スペイン王が主体である
    これも世界史の変遷の一コマ

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    2021年05月09日
  • ロードス島攻防記

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    塩野七生氏 海戦三部作の第二

    ベネチアの高い技術力 造船・築城
    国家経営もそうだが。高い知力が不可欠
    教育・人材育成システムは?

    ロードス島の城壁を強化
    トルコ スレイマンの勝利
    騎士の時代の終わりの始まり

    塩野七生氏の歴史観
     歴史は物語である
     近代歴史は科学であろうとして痩せていった
     ベネチアの歴史の教訓は現代日本へのもの

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    2021年05月09日
  • コンスタンティノープルの陥落

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    (イタリアルネサンスの原本)
    塩野七生氏の著作は「国家の経営」がテーマ
    イタリア・ローマの歴史を描きながら、その目は「日本の国家経営=政治」がより良くなるようにとの未来へ向けられている
    コロナ禍にあって日本の国家経営が厳しく問われている
    単なる批判ではなく、より良くする英知を集めよ

    歴史は人物の評価を一変させる力を持っている
    コンスタンティノープルの陥落は
    マホメット二世を英雄に変えた

    最後の皇帝は高貴
    人は己以外の者のために、死を受け入れる覚悟が必要

    ベネチアのガバナンス
    国政を担う「貴族」 政治の権利と国難に向かう義務

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    2021年05月09日
  • 人びとのかたち

    mac

    ネタバレ

    映画は人生の参考書

    一部ご紹介します。
    ・「つかの間の幸せ、それを捉えるんだ」
    ・詩とは、理解するものではなく感じ取るもの。
    ・すべてのことには多方面からのアプローチがあって、一面からとらえて分かった気になるのは、頭脳の怠慢である。他人の考えを疑いもせずに受け入れれば、悪い意味での大衆に成り下がってしまう。
    ・十分な理解を求めれば求めるほど、与えなければならない情報は増えてくる。
    ・人は、理解されていると感じさえすれば正道に戻れ、能力も発揮できるものだ。
    ・人間性への洞察力とは、人間性を優しく見ることと、人間性を直視することである。
    ・休暇を魅力的になるために使う。山のように映画を観まくるのもいい。

    #タメになる #深い

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    2022年09月30日