塩野七生のレビュー一覧
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ネタバレコンスタンティノープル陥落と同様、戦争では兵士はただの駒なんだと実感。死んだらただ駒が減っただけ。
イスラム教徒にとって異教徒を殺すこと、その戦いの中で死ぬこと、それらはどれも名誉。全く理解できない思想だけど、これが存在していて今も一部で生きている。
キリスト教徒の戦士は、ヴェネチアやジェノバのような通商国家は少し毛色が違うように見えるけど、その他は自国と名誉のためなら命を惜しまない。
これが昔からずっと続いてるんだから、世界平和なんて私が生きているうちには訪れないな。
オルシーニの女、私もあのような形で愛する者を失ったらどうするだろう、と胸が痛くなった。
肉体的にも精神的にも疲弊しきって -
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アレクサンドロス大王については、興味がありながら正直、名前くらいしか知らなったので、彼の生涯が分かったのは収穫。いつの世にも時代を変える英雄が出るものだが、ローマのスキピオにしろカエサル、オクタビアヌスにしろ、中世のフリードリッヒ二世にしろ、既成概念を崩すことでは変わらないし、敗者に対して寛容でありむしろ敗者をも最終的に味方にする点が共通している。そこは現代でも通じる気がする。
グラニコス
イッソス
ガウガメラ
ヒダスペス
の4つもの会戦でしかも相手有利の状況にありながら全て快勝をして、しかも味方の損害を最小限に抑えるというのはハンニバルが最高の司令官として褒めたたえるだけのことはある。 -
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誰が国家を殺すのか 日本人へⅤ
著:塩野 七生
文春新書 1386
辛口のエッセイ、塩野七生が世界を見る目は、冷静で、まるで期待がない。
気になったことは以下です。
夏のローマ
・日本からは悪いニュースしか入ってこないので、日本からのニュースがないだけで安心する
・肉体の眼よりも心の眼でみること
①短時間に何もかも見ようとはしないこと
②観光客が殺到する場所としない場所の違いは、ガイドブックが点数をつける重要度と比例関係にはない
監督には二種類ある
①選手たちを育てながら一年を通じてまあまあの成績を残す人
②持ち駒を駆使することで勝ちを重ねていく人
歴史
智者は歴史から学び -
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塩野先生の最後の歴史長編、最終巻の主人公はメーガス(大王)、アレクサンドロス。
財政難の国家を引き継ぎ、25歳でギリシアを統一、26歳でペルシアを制覇、32才でこの世を去る・・・
この英雄の物語が面白くないわけがなく、読み終わった時には軽い喪失感があり、すぐに再読してしまったほど。
また、本書には読者への手紙ともいうべきあとがきが収録されている。
「・・・これまで私が書きつづけてこれたのも、あなた方がいてくれてからでした・・・」
読者への感謝を示してくださる先生方は多いが、この一文は特に響いた。
塩野先生の目に触れることはないが、「歴史長編は最後でも、まだまだ新刊を楽しみにしていますからね」と -
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ネタバレ歴史を題材とした物語というよりは、8割方が歴史書のような感じで、物語性を求めると少々物足りなく感じる人もいるだろう。個人的にはもう少し登場人物の性格を表現したり人間関係を詳細に記してくれた方がのめり込みやすいし、特に途中でオルシーニがアニトニオに滔々と説く場面はあまりにも劇画らしくわざとらしさを感じたものである。
しかし、物語調になればなるほど、史実に作者の恣意は反映されて事実と乖離する可能性も高くなる。そう言う点から考えると非常に良書である。
と、まあここまで書いておいてなんだが、私の推しはオルシーニである。
そこまで人間性を書き込んだ表現を詳細にしているわけでもないのに、何故この人はここ -
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アテネの凋落から都市国家ギリシアの終焉、マケドニア台頭までを描いた「ギリシア人の物語」第三巻だが、アレキサンダー登場前の幕間のような退屈な巻かと言えば、全くそんなことはない。
ペロポネソス戦役で敗れて後、「民主制という制度」が「民主主義という唯一無二の絶対善」に変容し、凋落の一途を辿るアテネ。(現在の日本とダブって悲しかった)
覇権を握ったはずが経済センス皆無のスパルタ。スパルタを破ったが、人材不足のテーベ。そこに現れたマケドニアの若き王フィリッポス・・・
読みどころは多いが、個人的にはフィリッポスの軍事改革(ホプリーテスからファランクスへ)についての記述が非常に面白かった。
最終巻、アレキサ -
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皇帝フリードリッヒ二世の生涯 下巻
文庫版
著:塩野 七生
新潮文庫 し 12 103
「玉座に座った最初の近代人」
第6次十字軍で、聖地エルサレムを無血開城し、イスラムと融和、武力を使わなかった叡智の人
強大なローマ教会勢力から、封建領主を保護して、封建制度を維持しつつも、法治国家をめざした人
イスラム世界から、文化を取り入れ、ラテン語、イタリア語に翻訳して、ルネサンスへの道を拓いた人
下巻は、13世紀の政治状況の分析から、第2次ロンバルディア戦役後のローマ法王との確執と、その死、その後まで
城壁をめぐらせた都市を攻める場合の不利は、守る側は屋根の下で眠れるのに、攻める側にはそれが許さ -
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皇帝フリードリッヒ二世の生涯 上巻
文庫版
著:塩野 七生
新潮文庫 し 12 102
「玉座に座った最初の近代人」
第6次十字軍で、聖地エルサレムを無血開城し、イスラムと融和、武力を使わなかった叡智の人
強大なローマ教会勢力から、封建領主を保護して、封建制度を維持しつつも、法治国家をめざした人
イスラム世界から、文化を取り入れ、ラテン語、イタリア語に翻訳して、ルネサンスへの道を拓いた人
上巻は、その生誕から、第2次ロンバルディア戦役によるフリードリッヒによる平和まで
気になったのは、以下
すべてはあるがままに、そして見たままに書くこと
科学上の経験がないところに、真の知識は、生まれな -
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ギリシア人の物語4
文庫版
新潮文庫 し 12 49
新しき力
著:塩野 七生
第4巻は、アレクサンドロスの初陣からその死まで、ギリシャから、リビア、インドに至る大帝国を打ち立てるまで
カエサルや、ナポレオンが心酔した王の中の王、生涯一度たりとも負けることがなかった無敗の将がアレクサンドロスなのである。
気になったのは、以下です
・生涯の友、ヘーファイスティオン
・命を託す馬 ブケファロス
カッパロ・ダ・バッターリア 戦場に連れ行く馬⇒大切な場で命を託す馬
生涯の友を得たばかりか、生涯の愛馬にも恵まれた
・戦の師、スパルタのレオニダスによるスパルタ教育とともに、学問の師、アリスト -
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ギリシア人の物語3
文庫版
新潮文庫 し 12 48
民主政のはじまり
著:塩野 七生
第3巻は、凋落により、寛容性が失われれていくアテネ、デロス同盟の解体
ギリシア市民兵の傭兵化、スパルタとペルシアの接近
テーベの一時的な興隆、そして、マケドニアの台頭を描く
ギリシャは、再び、ペルシャの影響力の下におかれるが、それに対応できるほどの力は
スパルタにもなかったにもなかっただけでなく、財政的な支援を、ペルシアに仰ぐこととなる
レウクトラの海戦は、テーベと、スパルタの間で行われる
テーベが圧勝し、ペロポネソス同盟も、このために瓦解することとなる
マンティネア平原の会戦
ギリシア本土にある都 -
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1巻よりもとーっても読みやすくて面白かった。
キングダム、ローマ版。笑
頭の中で自作のアニメーション流れてた。
話の本筋では無いけど、歴史を振り返っていく中で先人に学ぶこととか大切な考え方に気づくこととかあって、
ところどころ、わあ、この考え方すごい分かる、って記述があったから引用する。
286ページ
⭐︎優れたリーダーとは、優秀な才能によって人々を率いていくだけの人間ではない。率いられていく人々に、自分たちがいなくては、と思わせることに成功した人でもある。持続する人間関係は、必ず相互関係である。
一方的関係では、持続は望めない。
参考文献
⭐︎ 人間の性格は、容説より以上に彼や彼女の書 -
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ギリシア人の物語2
文庫版
新潮文庫 し 12 47
民主政の成熟と崩壊
著:塩野 七生
第2巻は、ペルシア戦役後のギリシャ世界を描く
ペリクレスの元、アテネはデロス同盟の盟主として頂点を迎えるが
その死後、アテネも、スパルタも、何が何でも同盟国を守るという信頼も、
敗北した兵を許す寛容性も、失っていく。ギリシャ人の教養やゆとりがなくなっていく
興隆するアテネを支えたのはペリクレス
・アテネ市街とピレウス港をつなぐ高速道路
・パルテノン神殿の建設
・アテネ海軍の創設
ペルシャとアテネとの相互不可侵条約 カリアスの平和
外憂がなくなったギリシャ世界は、アテネとスパルタの2大勢力に
陸 -
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ギリシア人の物語1
文庫版
新潮文庫 し 12 46
民主政のはじまり
著:塩野 七生
第1巻は、スパルタ、アテネの改革に始まる、統治機構の説明
二度にわたるペルシャとの戦闘と、その終焉まで
マケドニアが登場するまでのギリシャは、スパルタと、アネテを中心とした2大強国の時代なのです
ペロポネソス同盟 スパルタを中心とした、ペロポネソス半島を守る安全保障条約
デロス同盟 アテネを中心とした、エーゲ海の海上交通を確保する安全保障条約
この2つの同盟を基軸として、ペルシア戦後のギリシア世界は回っていく
■オリンピック
BC776~AD393 1169年間 192回に及ぶ
いざこざが多い