塩野七生のレビュー一覧
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塩野七生先生の本を読んでみたいと思いつつ、ローマ人の物語は長大過ぎて手を出せず、こちらをまず読んでみることにしました。
高校では世界史選択だったにも関わらず、十字軍と言えば「十字を背負って苦労する」という1096年の語呂合わせと、教皇の呼びかけに応じて始まったもので何回かに分かれて行われた。この2点しか把握してなかった私ですが、そんな私でも面白く読めました。
結局のところは戦争が行われた訳で罪もなき死ななくても良かった人たちがたくさん殺されたのですが、宗教という旗の下に何年かかるか、そもそも成功するかも分からない行軍に出た諸侯たちのパワーに圧倒されました。最初は耳慣れない名前が多くて読み進め -
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マルクス・アウレリウス治世の前からセヴェルスの治世までを描く。
ネルウァからマルクス・アウレリウスまでを五賢帝と呼び、この時代がローマ帝国の絶頂期と一般的には捉えられている。しかし実は五賢帝4番目のアントニヌス・ピウスからローマ帝国崩壊の兆しが見え始めるのではないか、というのが塩野女史の見方。
アントニヌス・ピウス治世は運良く平和に終わったが、マルクス・アウレリウス治世では、パルティアから侵攻、ゲルマニアから侵攻、ペストの流行、総督の謀反と散々な不運に見舞われる。それでも誠実に対処する皇帝の姿が描かれる。
その息子コモドゥスは皇帝としての責務を放棄。その死後ペルティナクス、ディディウス・ユリア -
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久々に読んだ。
学生の頃に妹に勧められて読んで、大好きになったチェーザレ•ボルジア。顔もイケメンだったらしいけど、何より生き様がイケメン過ぎる。昔の地図や現在のGoogleマップを見たり、衣装や肖像画を検索しつつ読みました。
15世紀後半にイタリア統一の野望を掲げ、自らの軍も国も持たない所から、イタリア全土の1/3を支配下にしたチェーザレの物語です。
まぁ、軍と国は持ってなかったけど、法王の息子で、18歳で枢機卿に任じられてるし、“今世紀で最も美しい武将”と言われてたようだし、カリスマ性も賢さも持ち合わせてたようなので、持ってたものも多かった。
政治的手腕に長けていたようで、フィ -
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塩野先生は「『民主政』も『衆愚政』も、銀で鋳造されているということなら同じの、銀貨の裏表でしかない」と書いておられるが、それにしてもと思う。
都市国家アテネの凋落ぶりは痛々しいほどで、バブル崩壊後に衰退の一途を辿っている日本の現状と重なる。ギリシア人(日本人)が突然バカになるということはありえないのだから、事実上、国の盛衰はリーダーの資質によって決まるのだ。
本書におけるリーダーの定義を書き留めておく。
民主政のリーダー/民衆に自信を持たせることができる人
衆愚政のリーダー/民衆が心の奥底に持っている漠とした将来の不安を、煽るのが実に巧みな人 -
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読み終えるのが惜しくて読み始めるのを遅らせていたのだけど、読み始めると遂々一気読みしてしまった。さすがは世界史上最大のヒーロー、と言って良いのではないだろうか。
恥ずかしながら、大王と呼ばれる王様が会戦で騎兵隊の先頭を駆けていたとは、想像もしていなかった。そんなリスキーな場所に居続けながら、生涯無敗というのは、神懸かっているとしか言いようが無い。
世界中に彼の名を冠した街(各地のアレクサンドリア、カンダハル、果ては宇宙戦艦ヤマトの惑星イスカンダル[フィクション])があるというのがすごい。
P26
(アリストテレスについて)
論理学の創始者というのに、次の一句でその乱用に警鐘を鳴らしてい -
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ペルシア戦役からペロポネソス戦役まで、アテネがエーゲ海に覇権を築いてから失うまで、その間75年。前にも書いたが、明治維新から敗戦まで、ロシア革命からソ連解体まで、も、同じく70数年。爺さんが孫に言って聞かせる形での生き証人を失う年数が経てば人間は同じことを繰り返す。(そう考えると徳川家康はやっぱりすごい人なんだろう。)
この巻の英雄は、アルキビアデス。あのペリクレスが育ての親。市民から大人気なのだが、状況が悪くなると怨嗟と攻撃の対象となる、ポピュリスト政治家。事情によりスパルタについたり、ペルシアについたり、と忙しい。最後はアテネに返り咲くのだが、また民衆に裏切られる。政治家というのは大変な