塩野七生のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
11世紀半ば、聖地エレサレムをイスラム教徒の手から取り返そうと
ヨーロッパのキリスト教徒たちが行軍を開始した。
これが、有名な『十字軍』である。
キリスト教もイスラム教も、
自分たちの信じる神以外の神は認めないとする共通点があった。
だからこれは、お互いの神を旗印に掲げた、宗教戦争だったのだ。
「神がそれをのぞんでおられる」という言葉をかわきりに、主に民衆が集結した「第一次十字軍」が始まり、武装した騎士団を中心とした第2次、第3次、第4次と何年かごとに、十字軍の遠征は続く。その間の数多いエピソードや英雄伝、文化の交流など、十字軍の果たした役割は大きいようだ。
また、宗教に没頭する人々のエネ -
Posted by ブクログ
食わず嫌いの塩野七生でしたが、この作品は最高!
ローマの500年にわたる歴史を、こんなにリズムよくしかもユーモラスな文体で書ききるとは!
恐れ入りました!
知識の量も常人ではなく、エピソードも満点。
とにかく情報量が多いので、一回読んだだけではとてもじゃないが咀嚼できない!
手元に置いて、ことあるごとに開いて目を通したい一冊!
名将ピュロスとローマの戦い面白かったな。
文学的であり、理知的で、サービス精神旺盛!
キリスト教の考え方や、近代啓蒙主義的な思想を背負っていないところが、非常に好感がもてる!
古代ローマの時代性を的確に捉えようとする、澄んだ眼差しが非常に素晴らしく、歴史を書く方は、斯く -
Posted by ブクログ
現代では約2,000年前のローマ人を『インフラの父』と呼んだりするらしい。
そしてこの巻では、色んな本の中では地味であまり出てこない、『全ての道はローマに通ずる』の語源とも言える、『街道の建設』『上下水道の建設』などの生活のインフラについてのみ、書かれた本。
はじめ書きには、著者が自ら読みづらい本。しかし、どこにもない著者著しての挑戦の本でもあるということ。
現在でも道や水の確保が難しい地域がある中で、約2000年前に何も無い状態からこれを作り整備したのはとても凄いと思います。
これに近い方法を行なったのは、織田信長で楽市楽座や道を大きく広げた所が似ています。
まず『街道』には、戦略上 -
Posted by ブクログ
「なぜリスクをとるリーダーが出ないのか―危機の時代こそ歴史と向き合え!」この台詞をテレビに映っている政治家にぜひとも言いたい。
この本を最初に読んだのは「日本人へ 国家と歴史編」とあわせて読んでいたような気がします。最近、この人の書いた大作、『ローマ人の物語』を読んでみようと思っています。しかし、あの量の多さが僕に二の足を踏ませている、というのもまた事実でございます。ここに書かれているのは「リーダー論」としての時事評なんですけれど、ぜひとも喧々諤々と不毛な政治闘争を繰り広げている日本の政治家センセイの方すべてに読んでいただきたいと、大マジメに思っております。
彼女の時事評はローマの歴史を -
Posted by ブクログ
文庫本を購入し休日に一気に読破しました!!。
この本はローマ時代の「五賢帝」のうちトライアヌス、
ハドリアヌス、アントニウス・ピウスの3人を取り上げています。
これらの皇帝時代がもっともローマ帝国が繁栄していた
そうです。是非、興味のある方はお読みください。
またこの塩野さんの本からするとアメリカはハリウッド映画でローマ帝国を批判するが国の制度はそっくりですね。
□中央政府と州(ローマとその他の属州の関係)
□大統領と議会(皇帝と元老院)
□だれでもアメリカ人になり権利が保障される
などなど。アメリカの国旗はローマ帝国にならって
鷹ですしね。
組織とは、仕事とは -
Posted by ブクログ
『コンスタンティノープルの陥落』に続くキリスト教世界VSイスラム教世界の対決第二ラウンドです。
コンスタンティノープルを攻略した後、巨大な帝国へとその勢力の拡大していたオスマン・トルコにとって、ロードス島は喉元のトゲのような存在でした。時の大帝スレイマン一世はついに自ら陣頭指揮を取ってロードス島攻略を開始します。攻めるオスマントルコ軍は二十万、一方でロードス島の守備隊・聖ヨハネ騎士団はわずか六百人。初めから勝負は決まっていましたが、ヨハネ騎士団は五ヶ月にわたり砦を守り抜きます。
ペルシャとスパルタの「テルモピュライの戦い」や日本でいえば楠木正成の「千早城の戦い」と同じで数の戦力差は信用 -
Posted by ブクログ
マキャベリとは、15-16世紀にかけてフィレンツェ共和国(現・イタリア)の衰退期に生きた政治思想家で、
その思想はマキャベリズムなんて言葉で表現されることもあります。
そのマキャベリが傾倒した同時代人が「カンタレラ」で有名なチェーザレ・ボルジアであったりしますが、
そのボルジアが「毒を盛る男」なんて評されていることから、そのイメージ釣られてかネガティブに捉えられたりも。
本書は、そのマキャベリの著作・手紙などから、著者・塩野さんの琴線に触れた文を抜粋した語録という形式。
面白いのは冒頭で「あなたの関心が刺激された箇所について、御意見を聴かせていただきたい」とある点でしょうか。
SNSが盛 -
Posted by ブクログ
イタリアを題材にしたエッセイ集…、と本書の概観を切り取るのは簡単だが、これほど芳醇な知識と感性が詰め込まれたものも、そうないのではないだろうか。
著者の感性は、イタリアを中心に西欧諸国の今と昔に自由自在に飛び跳ね、ローマ法王とすれ違ったり娼婦と友達になったりしながら、ギリシア軍の将校にスパルタの男たちの痕跡を見、オデュッセウスの旅路を単なる朝帰りダメ亭主の言い訳に貶める説を吟味するのである。
そして最後はレオナルド・ダ・ヴィンチへのラヴレター。
構成においても「やられた!」と思う瞬間である。
実は本書は再読。1995年5月23日に読み終えている。