あらすじ
ベストセラー『男たちへ』が帰ってきた! “大人の男のための知恵のエッセンス”全63篇。
内憂外患の現代日本。人材は枯渇したのか、政治改革はなぜ成功しないのか、いま求められる指導者とは? 外圧に惑い、世界で大きな役割を任されぬこの国の真の国際化を問う。
天国に行くのに最も有効な方法は地獄へ行く道を熟知することである――開国か鎖国か、実力主義のプラスとマイナス、人種差別、帰国子女、帰宅拒否症なる現象について。
ホメロス、ハンニバル、マルクス・アウレリウス、マキアヴェッリなどなど先人の知恵に学べ! 「湾岸戦争で観客席にとどまる方を選んだ日本人」に向けて、身近な話題から国際問題まで塩野七生さんが独特のユーモアをこめて贈る。
解説・中野翠
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Posted by ブクログ
世界で働くビジネスマンは「ローマ人の物語」を読めと書かれていたのを見て、気になっていた塩野七生。「ギリシア人の物語」も完結し、そっちから読もうかなと気になっていた時に、本屋の新刊コーナーで見つけました。
新刊とはいえ、もともと1991年に出された本の新装版で、書かれたのは今から30年近く前。平成ヒトケタの時のお話です。取り上げられているネタは確かに昔の話ですが、そこから出てくるテーマは普遍で今にも通じる話ばかり。
特に第13章の「歴史について」は今の指導者にも読ませたい。
盛者必衰
一部ご紹介します。
・国家の指導者は、国民を「女」と考えるべきなのだ。女は苦労が嫌なのではない。「君には苦労を掛けるね」の一言だけで、奮い立つのが女というものである。苦労とは、「わかってはいるけれど」という想いだけでやるならば、苦でしかないが、こちらがやる気になってする苦労は苦ではなくなるのである。
・盛者必衰がなぜ歴史の理になるのか。それは、「これまでうまくいってきたこと」を変える勇気が持てないからだ。今は成功の要因だとしても明日、そうである保証はない。それどころか足枷に変わることもあり得る。
・ローマとヴェネツィアの例は我々に次のことを教えている。
第一に、変えるといっても、自分自身の体質にあったやり方で変わる事。必要を超えた無理は、病気をよび、死につながるからだ。
第二に、改革は体力の、つまり経済力のあるうちに為されなければならない事。改革を実行するのに無理が伴わない筈がないからだ。ただし、これは必要な無理である。必要な無理を許すのは体力しかない。体力のあるうちに改革を先取りしておけば、競争の次元という変化の荒波を乗り越えることもできる。ローマもヴェネツィアもそれをやった。ただ、改革が後手後手に回ったとき、千年の寿命を誇ったこの二国も衰退したのである。
・誰だって、誤りを犯したくて誤りを犯しはしない。ただ、晴天の日に、翌日には雨が降るとは考えないだけである。