塩野七生のレビュー一覧
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文藝春秋への寄稿文(2003/6-2006/9)をまとめたもの。時事テーマである、戦争を通じて、政治について考えさせられる一品。
以下注目点
・意思を持続させるエネルギーの中で、最も燃料効率が良いのは私利私欲。
・相手がどう考えどう出てくるかを知って”勝負”に臨むのは、ゲームに参加したければ最低の条件である。
・派兵の目的はいずれも軍事ではなく政治にあるのでは共通しているのだから。
・「やる」ことよりも、「やりつづける」ことのほうが重要である。
・体力、国家にとっての経済力、の回復が必要不可欠になる。
・政策の継続性の欠如こそが三世紀のローマ帝国にとって、諸悪の根源であったのだった。
・大義 -
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『コンスタンティノープルの陥落』『ロードス島攻防記』(ともに新潮文庫)につづく三部作の最終巻です。
地中海を支配しつつあるオスマン帝国に対して、ヴェネツィア共和国を中心とする西洋諸国が戦いをいどみ勝利するも、その後の政治的な駆け引きにおいてなおも苦慮する立場に立たされる当事者たちの姿をえがいています。
司馬遼太郎の『坂の上の雲』に比較すると分量的にはかなり小さな作品ですが、東西文明の大きな潮流のなかで転換点をなす海戦を、何人かの登場人物の眼を通しつつも大きな視野のもとでえがききった作品だという点に、共通するところがあるように感じました。 -
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『コンスタンティノープルの陥落』につづき『レパントの海戦』へとつながる三部作の第二弾です。
ビザンチン帝国がオスマン・トルコに敗北したのち、ロードス島に拠点を置く聖ヨハネ騎士団がトルコのスルタンであるスレイマン一世の猛攻に対してどのように戦い、どのような結末を迎えたのかということを、ラ・ヴァレッテ、オルシーニ、アントニオといった若き騎士たちや、ヴェネツィア共和国からロードス島へわたり砦の強化に尽力した築城技師マルティネンゴといった登場人物の眼を通してえがいています。
同時に著者は、前著であつかった1453年のコンスタンティノープル攻防戦を参照しつつ、「1522年のロードス島攻防戦は、……七 -
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紀元前133年から前120年のグラックス兄弟の時代。ティベリウスとガイウス兄弟。護民官の立場で農地解放、失業者対策に乗り出すが、結局ローマ市民の理解得られず。短期で失敗し、肖像さえも残っていない。
前120年から前78年、マリウスとスッラ。
平民出身で各地の軍団渡りあるいてきたガイウス・マリウス。 軍政改革実施し、ローマ軍団を志願兵制とする。ゲルマンなど蛮族が同盟国や周辺の属州地域への侵入を排除。マリウスには、知識なく、平時の統治能力はなかった。
同盟者戦役を経てローマを統一したスッラは、独裁者として行政改革など数多く改革を行う。このとき、イタリア半島の全住民に市民権認める。スッラは国政改革 -
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「逆襲される文明」
2013年11月~2017年9月に文藝春秋に掲載された塩野七生のエッセイ集である。
エッセイ集なのでやむを得ないのかも知れないが、タイトルと内容がちょっと一致しない。今から見るとだいぶ古い内容もあるので、そういえばそんなこともあったなと思い出しながら読んだ。
ヨーロッパから日本を見ることの視点の違い、また、日本では気がつかない、あるいは報道されないヨーロッパの様子がよくわかる。
特に大量の移民問題は日本ではなかなかわかりにくい。常に接する人たちにとってはきれい事では済まされず、居住環境が悪化するのは目に見えている。幼稚園や小学校がうるさいと言って問題となるような日本で、大量