内田樹のレビュー一覧

  • 君たちのための自由論 ゲリラ的な学びのすすめ

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    内田樹と京都精華大元学長のウスビ・サコさんの対談集。サコさんの話は初めて聞いたけれど、マリから中国を経て日本に来て大学の学長にまでなられている日本では異色のキャリア。でもこういう外の視点を持った方が日本の中枢にもっと入ってこないと日本はいまの旧態依然とした価値観の中での椅子取りゲームに興じて、全体の椅子は減り続けるということになってしまうだろう。
    内田さんもサコさんも極めて真っ当なことしか言っているとは思えないんだけれど、悲しいかなそれができないのがいまの日本で狭い価値観のなかで汲々としているという感じ。
    いよいよ日本に働きに来てくれるような外国人がいなくなり、外国に出稼ぎに行かなきゃいけない

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    2023年02月19日
  • そのうちなんとかなるだろう

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    ネタバレ

    自伝部分よりも、第3章の内田流の人生訓のところに、より心引かれた。
     褒めること、認めることの大切さ。
     

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    2023年02月13日
  • 街場の親子論 父と娘の困難なものがたり

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    もはや自分の師匠と勝手に思っているウチダ先生と、娘さんとの往復書簡。
    回を重ねるごとに自分の主義主張の色を少し強めていく娘さんに対して、「自分語りとは、何を言わないか」と諭す?ウチダ先生が対比的で(それこそ大きな母のようで)興味深かった。

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    2023年02月12日
  • 困難な結婚

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    書いてある通り、結婚に対して気楽な気持ちになった!いっちばん最後のところはゲキむずだった。結婚は、誰でもできるものっていう前提で考えるとか自分の捉え方とか、内田樹さんやはり面白い。しかし、これを読んだからといって、スマートに人生歩めないんだろうなぁ、激動のこれからの日々を思っちゃうよ。

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    2023年02月06日
  • こんな日本でよかったね 構造主義的日本論

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    普段頭を使わないので、フル回転できた。
    書かれたのは少し前なので、今とは違うこともあるけれど、今にも通じることが多々。
    リセットしたくなるのは分かるけど、現実的じゃない。でも、何もかも捨ててそうしたくなるよなあー。

    ・タイプの違う二つのロールモデルがいないと人間は成熟できない。(p.62)
    ・「誰の責任だ」という言葉を慎み、「私がやっておきます」という言葉を肩肘張らずに口にできるような大人たちをひとりずつ増やす以外に日本を救う方途はないと私は思う。(p.178)
    ・「強い個体」とは「礼儀正しい個体」である。(p.183)

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    2023年01月15日
  • 困難な結婚

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    アラサーで独身、結婚について悩む時期に自分では思いつかなかったことが色々と記されていて読みながらついなるほどと勝手に納得しながら読んでいました。それはそうかな?と思うこともありましたがそれは今までの自分の考えとは違っただけでそういう考え方もあるしそう考えたほうがずっと楽だと思えることもたくさんあって人生の教訓にしようと思いました。

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    2022年12月14日
  • 日本戦後史論(朝日文庫)

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    単行本で読んだのが 2015年
    あれから もう七年経った
    哀しいことに
    ここで 言い募られた
    「こんな国になってしまった」は
    まだ そのまま
    いや 
    ますます 悪く加速している気がする

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    2022年12月02日
  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体

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    ネタバレ

    今から3年前2019年、当時の首相による日本学術会議の会員任命拒否問題は、政府による自由・学術・教育に対する介入であると大変な危機感をつのらせることになった出来事でしたが、自分の周りでこの件について同じようなことを考えていたり意見を交換したりということがあったのは、小学校教員である友人ただ一人との間でした。
    そこにあるものの不穏さを感じ取った人が自分の周りにはあまりにも少なかった、と思います。
    それから現在までを振り返ってみるとたった3年の間に自由というものがとても堅苦しく緊張の伴うものになってしまっており今なお進行形であると感じます。

    気づいたら周りから固められてて自分は奇特な意見を述べる

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    2022年11月14日
  • 修業論

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    哲学を論じたりしていると同時に合気道の稽古を40年も続けているとは尊敬に値します。継続とは力なりで私も長く稽古を続けられるものを身につけたかったと思います。
    さて、内田先生が合気道を始めたきっかけは自身の弱さを自覚していたから。身体的に虚弱であるために普通は強くなりたいと考えるのですが、先生の場合、自身の弱さの構造と機能について研究することだというのですから、いかにも哲学者らしい。
    修業とは「いいから黙って言われた通りのことをしなさい」という理屈抜きのもの。努力すれば報われる、とか結果がこうなるとかではない予測不能、始める前は意味不明であくまで事後的、回顧的なもの。「努力とは一種の商取引である

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    2022年11月10日
  • 下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち

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    p.31意味がわからないことにストレスを感じない
    →生まれた時からデジタルな仕組み分からないものだらけ

    p.57教室は不快と教育サービスの等価交換の場
    → 消費者の立場で社会参画するからクレーム(自己利益を少しでも増やす合理的判断)。
    →売買は無時間モデル。教育は学んだ後でないと価値が分からないものであるのに。

    ・世の中がビジネル思考になった。
    ・師をもつことが師である条件。オビワン。

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    2022年11月09日
  • 街場のマンガ論

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    内田先生の漫画愛、特に、少女漫画と井上雄彦へのリスペクトが、筆に勢いを与えている評論集。

    週刊誌でハイペースに描き続ける
    →画力がどんどん上がる
    →作品上のキャラクターが今までに見せたことのない表情や動きを見せる
    →作者自身が予想もしなかった作品ができる

    そうやって、作品が作者のレベルを引き上げる。

    そんな風に考えると、井上雄彦マンガがエンドレスのレベルアップをしている理由が理解できる。


    そして、マンガのイノベーションが日本でしか起こらないこと、漫画がアメコミの国ではなくここ日本で特異な発展を遂げた理由が、本家養老先生によって解説される。
    日本語脳、それ即ち、マンガ脳なんだな。


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    2022年11月04日
  • 属国民主主義論―この支配からいつ卒業できるのか

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     属国というのはもちろんアメリカの属国である。
     尊皇攘夷ならぬ,尊米攘夷化する日本の現状を,二人が鋭く語っている。
     日本を大切にするはずの右翼が,我が日本の国土を放射能で汚染し,住めないようにした原発の再稼働に賛成したり,日本のあちこちにある米軍基地に賛成したりしている。これを持って右翼というのならば,右翼とは,我が祖国日本を,大企業やアメリカに売り渡すことを主張している団体ではないか。そんな気もしてくる。

    アレックス・カーさんが,「日本人は自分たちは伝統と自然を愛する民族だと言っているけれど,本当はまったく愛していないですよね,それは街並みを見ればわかる」という趣旨のことを書いておられ

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    2022年11月01日
  • ポストコロナ期を生きるきみたちへ

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    面白かった〜
    30代から70代の、それぞれ生業が違う著者による寄稿集。
    世代によってか、なんとなく色が分かれてたのがまた興味深い。
    引用してるデータはもちろん、参考文献が結構かぶってるのも興味深かった。
    対象読者である大学生の知り合いに贈りたいし、こういうテーマについてよく話す友人にも読んでほしい。

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    2022年10月29日
  • 撤退論

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    資本主義的な競争では敗北した日本だが、現状はまだ物価が安くて住みやすい状況にあると思う。
    経済的な敗北を敗北と思わずに、実質的な豊かさを手に入れられる社会を作れるかが課題。
    私有から共有へ、共有する資産を豊かなものにしていきたい。

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    2022年10月23日
  • 撤退論

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    以前、立ち止まって交通整理することが必要ではないか、+はわかりやすいけど-が評価されにくくて敬遠されるというようなブログを書いていたので非常に興味深い題材でした。
    いろんな人が寄稿しているので中には読みにくいものがあったり、何を言ってるのか、何が言いたいのかがよくわからない人もいたけど、いろんな考え方があって面白く、中でも青木さんや想田監督、平川さんなどは近い考えで興味を持ちました。
    障害とは、健常とは、健全とは?頭が悪い、コミュ障、ノンデリ、自我の喪失、倫理観の欠落などと障害の差は?ふだん考えていたことが青木さんによって明文化されていました。
    常日頃、「誰が」という点に注目が置かれ、その中身

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    2022年10月20日
  • 疲れすぎて眠れぬ夜のために

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    本書の文庫版の初版発行は2007年であるが、単行本としての発行は2003年なので、おおよそ20年前のことだ。内田樹のデビュー作「ためらいの倫理学」は2001年の発行なので、本書は、内田樹の初期の作品である。
    あとがきに内田樹は、「自分が立てた原理原則から抜け出すのは、他人がおしつける原理原則から抜け出すよりもずっと難しい。人間というのは自分がいったん口にした言葉を死守しようとする本能的な傾向があるからである。だから、前言撤回を恐れてはならない」と書いている。
    要するに、「私の言うことは経時的に変化しますよ」ということを言っているのである。私はデビュー以来の内田樹のファンであるが、そんなに言うこ

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    2022年09月28日
  • 新世界秩序と日本の未来 米中の狭間でどう生きるか

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    内田樹と姜尚中の対談本。お二人の対談本、私は読むのは初めてであるが、これが3冊目のものらしい。
    対談の内容も面白いのだが、あとがきで、内田樹が書いていることが本当に面白かったので紹介したい。

    【引用】
    ■何よりもありがたいのは、僕がこの領域では素人だということは読者のみなさんはつとにご存じですから、「政治についてウチダの話は眉に唾つけて聴かねばならない」というルールが周知されていることです。
    ■政治に関する領域では、僕の発言の真実含有量は35%くらいです。残り50%は「思いつき」で、「思い違い」が15%くらいです。
    【引用終わり】
    内田樹は政治を含む世相に関して一家言を持っている思想家くらい

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    2022年08月10日
  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体

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    一部ネットで嫌われてそうな論客たちからのメッセージ集。みなさん、日本から少しずつ自由が奪われていると危惧している。
    ある一面の行動・発言が切り取られて批判されることが多い方々だが、その考えに直に触れると、国の在り方や自由について真剣に考えているのが分かる。

    例えば表現の不自由展に携わった津田大介氏。近年、アートの世界では政権の意向に沿った展示しかできなくなってきたと言う。意向に反せば、補助金が下りないなど不自由を強いられるそうだ。

    詳しく知らないが、おそらく、この展示は慰安婦像などを展示するのが目的ではなく、賛否両論のものを公の場で示すこと自体が目的だったのではないか。こうした国の動きに対

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    2022年08月01日
  • 街場の親子論 父と娘の困難なものがたり

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    るんちゃんとの関係をこれまでは父親サイドからのみ眺めてた。るんちゃんからはどう見えているのかいつも非常に興味があったのだ。えへへ。

    プロローグ(内田樹)

    のっけから「家族の間に秘密があるなんて当たり前だろう」と至極当たり前の言挙げがされ、「骨肉相食む泥仕合」に陥っているのは例外なく「遠慮のない間柄」だと喝破されています。この人の機嫌の良さと幸福は「親しき仲にも礼儀あり」というよそよそしさから導かれている。
    自分の父親との関係、娘との関係を他人事のように語る内田先生にすでに涙腺のゆるむにしもりです。

    8 「パブリックドメイン」はおすすめ(内田樹)

    「ことさら同意や共感をしてしてみせる必要

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    2022年07月22日
  • 日本辺境論

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    内田樹(1950年~)氏は、東大文学部卒、東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了、東京都立大学人文学部助手、神戸女学院大学文学部助教授等を経て、神戸女学院大学名誉教授、京都精華大学人文学部客員教授。専門はフランス現代思想。武道家でもあり、合気道凱風館館長、合気道七段、居合道三段、杖道三段。現代思想、身体論ほか、幅広いジャンルでの著書多数。
    本書は、「日本人固有の思考や行動はその辺境性によって説明できる」ことを説いた、いわゆる内田版・日本文化論で、2010年の新書大賞を受賞した。
    私の理解をラフにまとめると以下である。
    ◆日本人は、歴史的に自らを中華思想コスモロジーの中の「辺境」と位置付け

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    2022年07月19日