内田樹のレビュー一覧

  • 下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち

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    学ばない働かないを自己選択する若者たちの気質を読みといた一冊。示唆に富んでいて非常に興味深い。

    背景として、日本社会が集団主義の護送船団社会から個人主義の自己責任社会に移行したこと、子どもであっても経済合理性(コスパ・タイパ)を判断軸にしていることがありそうだ。

    教育のジレンマとして、ある程度修了しないとその効果を実感できないところがあり、即時的な効果を求めづらい。
    「なんの役に立つの?なんのために学ぶの?」の質問はここから来ている。

    学校教育を経済合理性で考えた場合、じっと座って授業を聴く苦役および時間を差し出すことで、教師から教育サービスを受けるモデルと考えられるが、現在の社会は学歴

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    2023年05月03日
  • 君たちのための自由論 ゲリラ的な学びのすすめ

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    相変わらず学びがあり、相変わらず溜飲が下がり、相変わらず少しだけ希望が湧いた。日本や世界の、現状が現状だけに少しだけだが(笑)

    【親切】
    帚木蓬生の「ネガティヴケイパビリティ」で、「親切」ということがこれからのキーワードだと思ったが、内田樹もまた、親切という美徳をアカデミアの世界でも重んじるべきだと言う。「正直」「親切」「愉快」!

    「学校教育で1番大事なことは『歓待する』ということだと思います。教室に入ってきた人たちに対して『ようこそ、あなたの席はここにあります。あなたの存在は固有名において承認されています。あなたはここに座って学ぶ権利があります。私はあなたがここで学ぶことを望んでいます。

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    2023年03月22日
  • サル化する世界

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    いつもの内田樹節。
    Twitter(TikTok)の炎上ネタや政治の体たらくをみていると、何でこんなに下品な話が世の中に蔓延しているのかと思ってしまうし、それなりに稼ぎがある層はふるさと納税で上手くやることに精を出してして、なんでこんなにセコい人が多いんだと思ってしまうわけだけど、そんな状況をいつもの内田節で解説してくれる。
    あとは野となれ山となれと、思えてしまうのは、自分はその共同体と関係がなくいつでも離脱可能だと思えるからであって(それはいわゆるトロッコ問題に象徴される)、その意味でもコミュニティの再生は急務なんだと思う。内田樹は戦後の経験からコミュニティは簡単になくなるけど、簡単に作れる

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    2023年03月21日
  • 一神教と国家 イスラーム、キリスト教、ユダヤ教

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    ユダヤ哲学の内田先生と、カリフ制再興を目論むハサン中田先生のゆるゆる対談。
    丁々発止の対談じゃなくて、縁側で日向ぼっこしつつ好々爺二人が大風呂敷を広げる、といった風情のほのぼの対談。
    でも中身はめっちゃ刺激的で脳みそを刺激される本やったよ。うん。なかなかこれまで想像もしたことのないような世界観。

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    2023年03月11日
  • 街場のメディア論

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    キャリア教育について
    現在の支配的な教育観は、「自分ひとりのため」に努力する人間のほうが、競争的環境では勝ち抜くチャンスが高い。しかし人間が才能を開花させるのは「他人のため」に働くとき。自分のしたいことや適性はどうでもよくて、任された仕事に対して「私がやるしかない」という状況が人間の覚醒を導く。自分が果たすべき仕事を見出すのは、本質的に受動的に経験によるものだ。

    メディアについて
    昨今のメディアの劣化について様々な角度から論じている。メディア独自の個性的でかつ射程のひろい見識に触れて、一気に世界の見通しが良くなった、というようなことを筆者は久しく経験していない。それが無理ならせめて、複雑な事

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    2023年03月01日
  • 生きづらさについて考える【毎日文庫】

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    サンデー毎日の政治に関する連載のまとめ。政治に関するコラムなので、時事的には少し古いものもあるし、情勢予想として外しているものもあるのだけれど、根本にある日本政治の問題点に関する指摘は今でも通じる。
    大して変革もせずに古い制度にしがみつき、かつジリ貧になるなかで、少しでも得しようという感覚に溢れた現代社会。株式会社化が社会の全面に渡って展開され、学校、大学、行政、地域社会が効率を重視して運営されている。結果として日本の基礎体力を奪い続けている。日本はストックで食べているところが大きいと思うけど、そろそろそのストックも尽きてしまう。
    何とかしなければいけないのだけれど、簡単な解決策に飛びつかず、

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    2023年02月24日
  • 君たちのための自由論 ゲリラ的な学びのすすめ

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    内田樹と京都精華大元学長のウスビ・サコさんの対談集。サコさんの話は初めて聞いたけれど、マリから中国を経て日本に来て大学の学長にまでなられている日本では異色のキャリア。でもこういう外の視点を持った方が日本の中枢にもっと入ってこないと日本はいまの旧態依然とした価値観の中での椅子取りゲームに興じて、全体の椅子は減り続けるということになってしまうだろう。
    内田さんもサコさんも極めて真っ当なことしか言っているとは思えないんだけれど、悲しいかなそれができないのがいまの日本で狭い価値観のなかで汲々としているという感じ。
    いよいよ日本に働きに来てくれるような外国人がいなくなり、外国に出稼ぎに行かなきゃいけない

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    2023年02月19日
  • そのうちなんとかなるだろう

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    ネタバレ

    自伝部分よりも、第3章の内田流の人生訓のところに、より心引かれた。
     褒めること、認めることの大切さ。
     

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    2023年02月13日
  • 街場の親子論 父と娘の困難なものがたり

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    もはや自分の師匠と勝手に思っているウチダ先生と、娘さんとの往復書簡。
    回を重ねるごとに自分の主義主張の色を少し強めていく娘さんに対して、「自分語りとは、何を言わないか」と諭す?ウチダ先生が対比的で(それこそ大きな母のようで)興味深かった。

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    2023年02月12日
  • 困難な結婚

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    書いてある通り、結婚に対して気楽な気持ちになった!いっちばん最後のところはゲキむずだった。結婚は、誰でもできるものっていう前提で考えるとか自分の捉え方とか、内田樹さんやはり面白い。しかし、これを読んだからといって、スマートに人生歩めないんだろうなぁ、激動のこれからの日々を思っちゃうよ。

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    2023年02月06日
  • こんな日本でよかったね 構造主義的日本論

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    ネタバレ

    普段頭を使わないので、フル回転できた。
    書かれたのは少し前なので、今とは違うこともあるけれど、今にも通じることが多々。
    リセットしたくなるのは分かるけど、現実的じゃない。でも、何もかも捨ててそうしたくなるよなあー。

    ・タイプの違う二つのロールモデルがいないと人間は成熟できない。(p.62)
    ・「誰の責任だ」という言葉を慎み、「私がやっておきます」という言葉を肩肘張らずに口にできるような大人たちをひとりずつ増やす以外に日本を救う方途はないと私は思う。(p.178)
    ・「強い個体」とは「礼儀正しい個体」である。(p.183)

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    2023年01月15日
  • 困難な結婚

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    アラサーで独身、結婚について悩む時期に自分では思いつかなかったことが色々と記されていて読みながらついなるほどと勝手に納得しながら読んでいました。それはそうかな?と思うこともありましたがそれは今までの自分の考えとは違っただけでそういう考え方もあるしそう考えたほうがずっと楽だと思えることもたくさんあって人生の教訓にしようと思いました。

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    2022年12月14日
  • 日本戦後史論(朝日文庫)

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    単行本で読んだのが 2015年
    あれから もう七年経った
    哀しいことに
    ここで 言い募られた
    「こんな国になってしまった」は
    まだ そのまま
    いや 
    ますます 悪く加速している気がする

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    2022年12月02日
  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体

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    ネタバレ

    今から3年前2019年、当時の首相による日本学術会議の会員任命拒否問題は、政府による自由・学術・教育に対する介入であると大変な危機感をつのらせることになった出来事でしたが、自分の周りでこの件について同じようなことを考えていたり意見を交換したりということがあったのは、小学校教員である友人ただ一人との間でした。
    そこにあるものの不穏さを感じ取った人が自分の周りにはあまりにも少なかった、と思います。
    それから現在までを振り返ってみるとたった3年の間に自由というものがとても堅苦しく緊張の伴うものになってしまっており今なお進行形であると感じます。

    気づいたら周りから固められてて自分は奇特な意見を述べる

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    2022年11月14日
  • 修業論

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    哲学を論じたりしていると同時に合気道の稽古を40年も続けているとは尊敬に値します。継続とは力なりで私も長く稽古を続けられるものを身につけたかったと思います。
    さて、内田先生が合気道を始めたきっかけは自身の弱さを自覚していたから。身体的に虚弱であるために普通は強くなりたいと考えるのですが、先生の場合、自身の弱さの構造と機能について研究することだというのですから、いかにも哲学者らしい。
    修業とは「いいから黙って言われた通りのことをしなさい」という理屈抜きのもの。努力すれば報われる、とか結果がこうなるとかではない予測不能、始める前は意味不明であくまで事後的、回顧的なもの。「努力とは一種の商取引である

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    2022年11月10日
  • 下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち

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    p.31意味がわからないことにストレスを感じない
    →生まれた時からデジタルな仕組み分からないものだらけ

    p.57教室は不快と教育サービスの等価交換の場
    → 消費者の立場で社会参画するからクレーム(自己利益を少しでも増やす合理的判断)。
    →売買は無時間モデル。教育は学んだ後でないと価値が分からないものであるのに。

    ・世の中がビジネル思考になった。
    ・師をもつことが師である条件。オビワン。

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    2022年11月09日
  • 街場のマンガ論

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    内田先生の漫画愛、特に、少女漫画と井上雄彦へのリスペクトが、筆に勢いを与えている評論集。

    週刊誌でハイペースに描き続ける
    →画力がどんどん上がる
    →作品上のキャラクターが今までに見せたことのない表情や動きを見せる
    →作者自身が予想もしなかった作品ができる

    そうやって、作品が作者のレベルを引き上げる。

    そんな風に考えると、井上雄彦マンガがエンドレスのレベルアップをしている理由が理解できる。


    そして、マンガのイノベーションが日本でしか起こらないこと、漫画がアメコミの国ではなくここ日本で特異な発展を遂げた理由が、本家養老先生によって解説される。
    日本語脳、それ即ち、マンガ脳なんだな。


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    2022年11月04日
  • 属国民主主義論―この支配からいつ卒業できるのか

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     属国というのはもちろんアメリカの属国である。
     尊皇攘夷ならぬ,尊米攘夷化する日本の現状を,二人が鋭く語っている。
     日本を大切にするはずの右翼が,我が日本の国土を放射能で汚染し,住めないようにした原発の再稼働に賛成したり,日本のあちこちにある米軍基地に賛成したりしている。これを持って右翼というのならば,右翼とは,我が祖国日本を,大企業やアメリカに売り渡すことを主張している団体ではないか。そんな気もしてくる。

    アレックス・カーさんが,「日本人は自分たちは伝統と自然を愛する民族だと言っているけれど,本当はまったく愛していないですよね,それは街並みを見ればわかる」という趣旨のことを書いておられ

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    2022年11月01日
  • ポストコロナ期を生きるきみたちへ

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    面白かった〜
    30代から70代の、それぞれ生業が違う著者による寄稿集。
    世代によってか、なんとなく色が分かれてたのがまた興味深い。
    引用してるデータはもちろん、参考文献が結構かぶってるのも興味深かった。
    対象読者である大学生の知り合いに贈りたいし、こういうテーマについてよく話す友人にも読んでほしい。

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    2022年10月29日
  • 撤退論

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    資本主義的な競争では敗北した日本だが、現状はまだ物価が安くて住みやすい状況にあると思う。
    経済的な敗北を敗北と思わずに、実質的な豊かさを手に入れられる社会を作れるかが課題。
    私有から共有へ、共有する資産を豊かなものにしていきたい。

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    2022年10月23日