内田樹のレビュー一覧
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『13歳のハードワーク』がいちばん興味深くわかりやすい内容。これを最初の章に持ってくるべきでした。本当に中学生に読んでほしいと思うなら、まず読みやすい文章から載せるのがいいと思います。「こんな難しいこと書いてるオレってすごいでしょ、みんなついてこれる?」って思ってる大人の文章から始められると読もうとする気持ちがなくなります。
中学生は小説以外の文章を読む機会が少ないし、意外とまじめなので本は常に最初から読もうとします。興味のあるところから読もうとは思いません。
そしてこれを書いているおじさんたち、子どもがいるなら精一杯育児に関わったでしょうか?中学生、高校生の息子、娘にしっかり向き合ったとい -
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タイトルがバタくさいのであまり期待してなかったが、とても参考になった。特に人口問題の捉え方については新鮮だった。今から100年後に日本の人口は5000万人になってしまうようだが、5000万人というのは明治時代の終期と同じであり、江戸時代の日本の人口は3000万人だったのだ。その人口で江戸時代には200以上の藩がそれなりに存続し、日本全国の隅々にあったそれぞれの藩に文化や名産品があったのだ。
人口減少が問題なのではなく、一局に人口が集中して地方が切り捨てられていくことこそ問題なのだ。資本主義は効率性を追求し、お金儲けのためには儲からない地方ではなく、都心に人口を集め効率的に稼ぐことを狙う。藩 -
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「分からないことがあっても気にならない」
・分からないとこがあっても気にならない。若い人ほど分からないものをそのままにする傾向が増している。分からないものを分からないままに維持して、それによって知性を活性化させるという人間的な機能が低下しているような印象を受ける。例えば分からない言葉を調べずにそのままにするなど。そういった人々は世界の意味が分からず穴だらけで世界を見ているのではないかという不安を覚える。分からないことにストレスを感じない。
「等価交換が染み付いている」
・現代は子供も消費者として始まっており等価交換が染み付いている。昔の子供は労働者として家事手伝いから始めて家族に役に立つこ -
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“「登場人物に共感できるかどうか」を基準にして本の良否を決めていたら、ドストエフスキーなんか誰も読みませんよ。「共感ベース」というは言い換えれば、「自分にわかるもの、自分がすきなもの」には価値があり、そうでないものは無価値だという自己中心性のことだと思います。”(p.153)
“僕自身は「ほんとうの自分」などというものにぜんぜん興味がありません。そんなもの、どうだっていい。そもそも昨日の自分と今日の自分が同じ人間だったら、生きている甲斐がないじゃないですか。”(p.133)
“翻訳の本質は「憑依」だと思います。他者の思考や感情の流れに同調・同期してしまうこと。この「自分を手離す」という -
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時事問題に対する内田樹の見解を知りたいと思ったのが本書を読む動機。作品紹介で書かれる「パワークラシー」については、権力者が強者然としてふるまう、実生活では会社の役職とか体育会系、年齢、男女、お店へのカスハラなど、至る所にある現象。「サン付け、クン呼び」みたいにいちいち拘る事象というのは、人間が関係性を序列化せずにはいられない性質から発するもので、全てはその類型だという気がする。で、そんな中での「短期的利益志向」は相性が最悪。つまり、権力は換金しやすいので、その権力にすり寄る動機がさらに高まるという図式だ。このパワークラシー、短期志向などのトレンドを踏まえた上で、時事問題を斬る。
― エーリッ -
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この類の本を読んだのは初めて
時折、読みながらウトウト(笑)
「寝ながら読む」みたいになってた。
けど、読み切ったのは
「うわ、確かに、そうかも」ってこの語彙だけをもって、読めるくらい例え話をしてくれてるからかな。
尊敬する人とか、逆に苦手意識のある相手...世の中は自分とピッタリ合う人は居ないから、色んな感情になって人疲れすると思う。
でも、構造主義の中で捉えると、「そんなもんか」と広い視野で見ることができるなと思った。
だから印象に残ったところは↓
物事の考え方の幅を広げてくれたところだと思う。
そんな印象深いところは
① バルト
「語法」→「エクリチュール」
「教師のエクリチ -
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例えばなにか、くよくよと考えている事があったとき。
自分ではうまく言葉にできていない「こういうこと」を、とっくに昔の人は、言葉にして名前をつけて、うまく説明しているのだろうな、と思うことが、しばしばあるのですが。自分にとってこの本はその、とっくに昔の人は~ をだいぶんまとめて解説してくれる一冊でありました。
構造主義と言う現代思想について、その代表的な論者の説を、平易、と言うか、まるめておおらかに「だいたいこんなかんじ」と言うような語り口で説明していく一冊。この「だいたいこんなかんじ」感が大変な持ち味で、あとがきで三行くらいで全部まとめてたのにはひっくり返りそうになりました。
二十年くらい前に