内田樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『街場の読書論』
内田樹さんの本を読みました。
内田さんは東京から神戸に引越しされて長く勤められていた神戸女学院で4月から学長をされることになったフランス哲学者です。
女子大学は経営が大変で色々なところに出ていって発信して大学のブランドを向上させるミッションがあるようです。
この本はご自身のブログの読書に関係するところを抜粋、編集された随筆です。
内田樹の文章は大学の入学試験の国語の問題に良く採用されているとユーチューブで知って一冊読んで見ました。
面白いのは本は商品ではなくご自身の考えを多くの人に知ってもらうための媒体と考えられていて、お金が欲しいのではない。電子本の転用の著作権料を要求され無いので、大学入試問題に採用され易いとご本人の人気を分析されています。
世の中は出版業界不況。本はお金を稼ぐことばかり優先して商品と捉えているのはおかしい。今小説が売れ無いのは読者側に問題では無くて作家側の能力不足と酷評されています。
゛Readability゛なる用語は簡単に書かれていることでは無く、読んでほしいのが貴方だと宛先がはっきりしている事と言われています。
゛学習力゛は自身の勉強不足の認識、先生を見つけること、先生に教えてもらいたく誘導することの3点と言われいるのも面白いです。
今まで見たことも無い漢字熟語が頻繁に出て来るので慣れは要りますが、自分で面白そうな随筆をいくつかを見つけて読むのが良さそうです。
内田樹自身はフランス哲学者のレビナスの本を読んだ時、最初全く分からなかったと言われています。少しづつレビナスを勉強して哲学分析の専門書を出版されています。今の出版界では少数派の変わったおっさんです。
神戸の震災で自宅が倒壊して、娘さんを救い出して生きているだけで恵まれている境地に到達したことをユーチューブで話されていました。
神戸女学院の学長業でもご活躍を期待します。 -
Posted by ブクログ
構造主義という明らかに難解な内容を噛み砕いてわかりやすく説明してくれていてすごいと思いました!まえがきで「私たちのような凡人」と書いていましたが、内田樹さんは頭が良すぎて全然凡人ではないですが…ほんものの凡人である私も理解できるような文章で、本当に頭がいい方だな〜と感じました。
自分の目にナチュラルに映っているものは、私たちの社会集団固有の民族誌的偏見だという部分、非常に心に刺さりました。自分が常識だと思っていることは、意識しないと常識だと思っていることさえも忘れてしまうため、危険だなと思います。自分の常識を疑う、このことを忘れずに過ごしたいなと思いました。
ソシュールのところですが、「名前がつくことである観念が私たちの思考の中に存在するようになる」(p.67)というのは、本当にその通りだと思いました。私の学生時代にはなかった、イエベ・ブルベや出目・奥目、骨格タイプなどの容姿のカテゴライズに関する言葉は、流行するまで意識した人はいなかったですが、できてからはみんなこぞって気にするようになりました(こう文字にしてみると非常に自明ですが)。若い頃から線がたくさん引かれた世界を生きている今の学生の子たちは、自分を枠の中に入れてしまって生きにくいという思いを抱えてしまったりするのではないか、と読みながら勝手に考えていました。
最近哲学の本を数冊読んだのですが、今まで当たり前に受け入れてきたことを疑うことの面白さを感じています!哲学の本これからたくさん読んでいきたいです…! -
Posted by ブクログ
「学力の低下は怠惰の帰結ではなく、努力の成果」
この一文は印象的だった。
学ぶことから逃走し、階層が下降しても
それが自己決定として満足感と自己評価を引き出す。
なんとも不思議な話なんだけど、どこか納得できる部分もあってコワい。
もう一つ印象的だったのはここ
狩猟時代は、狩りにでかけて「食料」を持ち帰ってきた。サラリーマンは持ち帰る「もの」はない。疲労感と不満を持ち帰り、不機嫌になることで努力をアピールする。不快で自分を主張する。
そのような家庭では、「不快」のカードを一番たくさん切れるメンバーが、家庭内におけるリソースの配分や決定に際して優位にたつことができる。
このルールでは「先に文句を言ったものが勝ち」になる。子どもたちは被害者ポジションを先取りする能力が育つ。
こちらも妙に納得してしまう。
なんだか悲しい気持ちになる本だった。
以下メモ
・学力の差ではなく、
学力についての信憑性の差、努力に対する動機付けの差が生まれている
・メリトクラシーの前提は、努力する動機付けが万人に平等に賦与されていること。それもなく、メリトクラシーによる自己決定、自己責任だけが突き付けられる
・リスク社会
リスクは階層ごとに異なる。リスクを感じている階層がリスクを引き受け、リスク社会でないようにふるまう人はたくみにリスクヘッジしている。
リスクヘッジ:利益を出すのではなく、損をしないこと。個ではなく集団として生き延びる方法
・リスク社会を生きるために
決定の成否に関わらず、その結果責任をシェアできる相互扶助的な集団をどのように構築できるか
・昔は「三方一両損」のような正しくないけど落としどころ、という解決策があった。今は、ビジネスタームで物事を考えるようになり、「正しい解決」に固執する。
・「自信を持つ」はその子供が所属している集団のイデオロギーに反応して生まれる。
学校で良い成績を取ることと人間の価値は関係ない、というイデオロギーを持つ集団で育つ「自信」はどのようなものになるだろうか。
・自己決定への固執
自分が決めたことであればそれが自分に不利益をもたらすことでも構わない。
・若いサラリーマンは迅速かつ適切な評価を望むが、実際の評価の反応速度は遅い。時間の流れの中にいる自分を想像できない。
労働に対して消費社会の原則をあてはめると
自分の労働に対して賃金が少ない、社会的威信が得られない、と不満が募る
消費社会ではお金を払えばすぐに対価を得ることができる
対価の提示と商品の交付の時間差はない
・大学の「単位」
もともとはアメリカの工場での労働時間
1単位=45時間
月~金は1日8時間 8時間×5=40
土曜日は5時間
40+5=45時間
大学の単位は15時間
これは、予習復習に各2時間ずつ行うと仮定して
15+30=45時間換算
予習復習に2時間??そうだったのか、、 -
Posted by ブクログ
『第二期トランプ大統領誕生の最悪のシナリオ』より 日米安保条約をアメリカが破棄した時、日本国内で安全保障について実際的な知識と意見を持っているのは自衛隊しかない。だから自衛隊が「日本独自の安全保障戦略」の構想を丸投げされることになる。自衛隊としてはとりあえず憲法九条二項の廃棄を求め、つづけて国家予算の半分ほどを国防費に計上することを要求するだろう。恒常的な定員割れを補うためには徴兵制の復活も当然議論の俎上に上る。主を失った米軍基地はもちろんすべて自衛隊基地になる。国防上の配慮からスパイ防止法が制定され、スパイ摘発のために秘密警察が設置され、反戦平和を訴える政党、団体は禁止。仕方がない。何しろ「日米同盟」以外の国防構想と言われても、日本人が知ってるのは80年前の大日本帝国戦争指導部のそれしかないからである。