内田樹のレビュー一覧

  • 街場の成熟論

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    世の中には資本主義や市場原理で語ってはいけないものがあると内田はよく言う

    教育、学び、師弟についての項は、いつもながら素晴らしかった

    彼の本を読んできた者にとっては「また同じようなこと言ってる」という感じだけど、それでも何度でも読みたいのだ

    星4つ。
    5つにしたいくらい良かったけど、書き下ろししてくれたら5つにする。

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    2023年09月30日
  • 先生はえらい

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    「学び」は「教わる」ものだと、つい考えがちであるけれども、学ぶ者に視点を置いてみると、結局は「教わったつもり」になったものなのだ。学ぶ側には、解釈の自由がある。だからこそ「学び」が成立するのだ。

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    2023年09月26日
  • 新しい戦前 この国の“いま”を読み解く

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    少し偏った考えではと思う部分もあったが、米国依存で日本固有の意見がでにくい日本の状況を憂う指摘は、納得できた。

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    2023年09月18日
  • こんな日本でよかったね 構造主義的日本論

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    pp.24-5
    発話の起点は、発話の起点にあるのではなく、発話が終わった後に訴求的に定位される以外には存在しないものなのである。
    ……
    発話主体がまず存在して、それが何かを発語するわけではない。発話主体は発話という行為の事後的効果なのである。
    ……
    「言いたいこと」は「言葉」のあと存在し始める。「私」は、「私が発した言葉」の事後的効果として存在し始める。

    p.155
    人生はミスマッチである。
    私たちは学校の選択を間違え、就職先を間違え、配偶者の選択を間違う。
    それでも結構幸福に生きることができる。

    pp272
    愚かしい幻想が合理的な分析よりも強い力を持つことがある。そして、「本当のリ

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    2023年08月30日
  • 街場の親子論 父と娘の困難なものがたり

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    樹ファンとしては、最高の本です。きっと大変なんだろうけど、こんな人がお父さんだったらな〜って思いました。微妙にかみあってないと思うだろうって書かれてたけど、確かにそうだった。でも、親子の許容範囲内、他人同士だからそういうもんだよねぇ。

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    2023年08月07日
  • 街場の読書論

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    感想が長くなりすぎないように、最も印象的だった記事をひとつだけ取り上げる。その名も「日本語壊滅」。2007年5月のブログを元にしている。

    携帯メールのコミュニケーションでは、早く返信することを重視するため、丁寧な言い回しや配慮表現が絵文字や記号に取って代わられ、語彙力の低下や「短文化」が加速しているという。
    ある研究によると、「メール送受信の回数が多い学生ほど日本語テストの点数が低いという結果が出た」そうだ。

    このブログから15年。今や、メールは長すぎるツールであり、LINEやTwitterが主流、いや、もはや写真や動画がメインで言葉は「添える」だけのものになっている。いずれ、「複文以上の

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    2023年07月22日
  • 下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち

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    ネタバレ

    本書は、筆者の娘の中学校での学級崩壊の様子から、話が始まります。

    学ぶという行為をなぜ子供たちはやめ、あまつさえ努力してまで学ぶ・働くことから遠ざかるのか、という疑問です。

    その原因を端的に言えば、幼年期からの消費者としての商取引の蔓延、と解しました。

    ・・・
    筆者は労働と消費の二項を導入します。

    かつては子どもは労働に従事させられた。それは家庭内の小さな手伝いであったり、兄弟の面倒などの家族のサポートであったりした。その結果、家庭内がよりうまく回ったり、時に小遣いがもらえることがあったりもしたと。その労働の世界では搾取されるのが当然の世界で、子どもはその世界で自らの社会化を始めた(そ

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    2023年06月29日
  • 君たちのための自由論 ゲリラ的な学びのすすめ

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    バックグラウンドが違う学生同士で研究を進めることは、空気を読むだけではできず、良い「共感と理解」以外で付き合う練習になると思う。

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    2023年06月26日
  • 街場の大学論 ウチダ式教育再生

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    普段から内田老師の文章に慣れ親しんでいる私にとっては、目新しいものはなく、基本的には星3つの評価にしているのだが、この本は星4つ。
    知識ではなく学歴でもなく、知性を重視する内田老師の筆は、やはり知性をテーマにした時にこそ、走りに走っている。

    元大学教員であり、文部科学省の政策を大批判している内田氏と、文部科学省国立大学法人支援課長杉野氏との2度にわたる対談は見もの。杉野氏の知性に、内田氏も(その政策の是非はさておき)楽しい時間を過ごしていると思う。2つの知性のなせる、良し悪しや損得を超えたレベルの高い対話。

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    2023年06月21日
  • 戦後民主主義に僕から一票

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    民主主義、政治、憲法、教育という四つのテーマについて書かれた著者の文章を収録しています。

    著者の憲法をめぐっての発言は、わたくし自身もこれまでいくつかの本で目にしてきましたが、本書ではとくに、戦中派がなぜ日本国憲法の制定過程について沈黙してきたのかということについて著者独特の議論が展開されており、おもしろく読みました。著者は、日本国憲法は「押しつけ憲法」であるという改憲派の問題提起を受けて、「ある日「お前たちが信じているものは人工物だ」と言われて仰天している「年取った子ども」に過ぎない」といい、戦中派の沈黙の意味がいったいなんであったのかということに、あらためて目を向けようとしています。

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    2023年06月20日
  • 撤退論

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    内田の依頼に応じた識者たちが人口減少の日本の撤退論を語る。



    それぞれある意味好き勝手に持論を書いている。

    これをここでまとめても意味はなかろう。

    自分の思う「撤退論」を書くことにする。

    識者の意見に影響を受けつつ。



    人口減少は先進国共通の現象であり、これを避けることはできない。

    異次元の少子化で児童手当増額などといいながら、

    扶養控除を廃止したり、社会保険料を増やそうとする政府の愚には呆れる。



    彼らにこそ撤退論が必要なのだ。

    高度成長時代の、人口増加時代の仕組を変えようとせずに小手先だけの政策を行う。

    前例に倣うことしかできない。

    更に省益優先、OBの天下り先

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    2023年05月29日
  • 君たちのための自由論 ゲリラ的な学びのすすめ

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    この本は、ウスビ・サコ先生と内田先生の対談をベースに構成されている。

    異色の経歴を経て学長を務めるサコ先生のグローバルな視点から、自由、人生論や今の日本の教育体制への不満、ひいては日本人への熱烈なバッシング。

    対談がベースとなっているため、話が長くなりすぎたり、小難しい話を有識者同士で語り合う場面もあった、しかし最終章は主張がとても分かりやすく、読者に目掛けたメッセージがとても熱かった。

    日々を漫然と過ごしている僕と同じような学生諸君、必見である。

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    2023年05月28日
  • 撤退論

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    各界の著名人から内田樹氏が撤退について執筆を依頼し、まとめたもの。各専門分野からの種々の視点でどう考えているのかが分かり面白い。

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    2023年05月25日
  • 人口減少社会の未来学

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    人口減少について、むちゃくちゃバラエティに富んだ様々な立場の人が短い論考を述べていて、面白い
    これだけ色んな角度から書いてあると今までより少し俯瞰で見れるようになった

    概ね「人口減少社会では、社会的繋がり増やすのが大事」っていうことは共通。

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    2023年05月06日
  • 下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち

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    学ばない働かないを自己選択する若者たちの気質を読みといた一冊。示唆に富んでいて非常に興味深い。

    背景として、日本社会が集団主義の護送船団社会から個人主義の自己責任社会に移行したこと、子どもであっても経済合理性(コスパ・タイパ)を判断軸にしていることがありそうだ。

    教育のジレンマとして、ある程度修了しないとその効果を実感できないところがあり、即時的な効果を求めづらい。
    「なんの役に立つの?なんのために学ぶの?」の質問はここから来ている。

    学校教育を経済合理性で考えた場合、じっと座って授業を聴く苦役および時間を差し出すことで、教師から教育サービスを受けるモデルと考えられるが、現在の社会は学歴

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    2023年05月03日
  • 君たちのための自由論 ゲリラ的な学びのすすめ

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    相変わらず学びがあり、相変わらず溜飲が下がり、相変わらず少しだけ希望が湧いた。日本や世界の、現状が現状だけに少しだけだが(笑)

    【親切】
    帚木蓬生の「ネガティヴケイパビリティ」で、「親切」ということがこれからのキーワードだと思ったが、内田樹もまた、親切という美徳をアカデミアの世界でも重んじるべきだと言う。「正直」「親切」「愉快」!

    「学校教育で1番大事なことは『歓待する』ということだと思います。教室に入ってきた人たちに対して『ようこそ、あなたの席はここにあります。あなたの存在は固有名において承認されています。あなたはここに座って学ぶ権利があります。私はあなたがここで学ぶことを望んでいます。

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    2023年03月22日
  • サル化する世界

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    いつもの内田樹節。
    Twitter(TikTok)の炎上ネタや政治の体たらくをみていると、何でこんなに下品な話が世の中に蔓延しているのかと思ってしまうし、それなりに稼ぎがある層はふるさと納税で上手くやることに精を出してして、なんでこんなにセコい人が多いんだと思ってしまうわけだけど、そんな状況をいつもの内田節で解説してくれる。
    あとは野となれ山となれと、思えてしまうのは、自分はその共同体と関係がなくいつでも離脱可能だと思えるからであって(それはいわゆるトロッコ問題に象徴される)、その意味でもコミュニティの再生は急務なんだと思う。内田樹は戦後の経験からコミュニティは簡単になくなるけど、簡単に作れる

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    2023年03月21日
  • 一神教と国家 イスラーム、キリスト教、ユダヤ教

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    ユダヤ哲学の内田先生と、カリフ制再興を目論むハサン中田先生のゆるゆる対談。
    丁々発止の対談じゃなくて、縁側で日向ぼっこしつつ好々爺二人が大風呂敷を広げる、といった風情のほのぼの対談。
    でも中身はめっちゃ刺激的で脳みそを刺激される本やったよ。うん。なかなかこれまで想像もしたことのないような世界観。

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    2023年03月11日
  • 街場のメディア論

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    キャリア教育について
    現在の支配的な教育観は、「自分ひとりのため」に努力する人間のほうが、競争的環境では勝ち抜くチャンスが高い。しかし人間が才能を開花させるのは「他人のため」に働くとき。自分のしたいことや適性はどうでもよくて、任された仕事に対して「私がやるしかない」という状況が人間の覚醒を導く。自分が果たすべき仕事を見出すのは、本質的に受動的に経験によるものだ。

    メディアについて
    昨今のメディアの劣化について様々な角度から論じている。メディア独自の個性的でかつ射程のひろい見識に触れて、一気に世界の見通しが良くなった、というようなことを筆者は久しく経験していない。それが無理ならせめて、複雑な事

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    2023年03月01日
  • 生きづらさについて考える【毎日文庫】

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    サンデー毎日の政治に関する連載のまとめ。政治に関するコラムなので、時事的には少し古いものもあるし、情勢予想として外しているものもあるのだけれど、根本にある日本政治の問題点に関する指摘は今でも通じる。
    大して変革もせずに古い制度にしがみつき、かつジリ貧になるなかで、少しでも得しようという感覚に溢れた現代社会。株式会社化が社会の全面に渡って展開され、学校、大学、行政、地域社会が効率を重視して運営されている。結果として日本の基礎体力を奪い続けている。日本はストックで食べているところが大きいと思うけど、そろそろそのストックも尽きてしまう。
    何とかしなければいけないのだけれど、簡単な解決策に飛びつかず、

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    2023年02月24日