内田樹のレビュー一覧
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pp.24-5
発話の起点は、発話の起点にあるのではなく、発話が終わった後に訴求的に定位される以外には存在しないものなのである。
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発話主体がまず存在して、それが何かを発語するわけではない。発話主体は発話という行為の事後的効果なのである。
……
「言いたいこと」は「言葉」のあと存在し始める。「私」は、「私が発した言葉」の事後的効果として存在し始める。
p.155
人生はミスマッチである。
私たちは学校の選択を間違え、就職先を間違え、配偶者の選択を間違う。
それでも結構幸福に生きることができる。
pp272
愚かしい幻想が合理的な分析よりも強い力を持つことがある。そして、「本当のリ -
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感想が長くなりすぎないように、最も印象的だった記事をひとつだけ取り上げる。その名も「日本語壊滅」。2007年5月のブログを元にしている。
携帯メールのコミュニケーションでは、早く返信することを重視するため、丁寧な言い回しや配慮表現が絵文字や記号に取って代わられ、語彙力の低下や「短文化」が加速しているという。
ある研究によると、「メール送受信の回数が多い学生ほど日本語テストの点数が低いという結果が出た」そうだ。
このブログから15年。今や、メールは長すぎるツールであり、LINEやTwitterが主流、いや、もはや写真や動画がメインで言葉は「添える」だけのものになっている。いずれ、「複文以上の -
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ネタバレ本書は、筆者の娘の中学校での学級崩壊の様子から、話が始まります。
学ぶという行為をなぜ子供たちはやめ、あまつさえ努力してまで学ぶ・働くことから遠ざかるのか、という疑問です。
その原因を端的に言えば、幼年期からの消費者としての商取引の蔓延、と解しました。
・・・
筆者は労働と消費の二項を導入します。
かつては子どもは労働に従事させられた。それは家庭内の小さな手伝いであったり、兄弟の面倒などの家族のサポートであったりした。その結果、家庭内がよりうまく回ったり、時に小遣いがもらえることがあったりもしたと。その労働の世界では搾取されるのが当然の世界で、子どもはその世界で自らの社会化を始めた(そ -
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民主主義、政治、憲法、教育という四つのテーマについて書かれた著者の文章を収録しています。
著者の憲法をめぐっての発言は、わたくし自身もこれまでいくつかの本で目にしてきましたが、本書ではとくに、戦中派がなぜ日本国憲法の制定過程について沈黙してきたのかということについて著者独特の議論が展開されており、おもしろく読みました。著者は、日本国憲法は「押しつけ憲法」であるという改憲派の問題提起を受けて、「ある日「お前たちが信じているものは人工物だ」と言われて仰天している「年取った子ども」に過ぎない」といい、戦中派の沈黙の意味がいったいなんであったのかということに、あらためて目を向けようとしています。
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内田の依頼に応じた識者たちが人口減少の日本の撤退論を語る。
それぞれある意味好き勝手に持論を書いている。
これをここでまとめても意味はなかろう。
自分の思う「撤退論」を書くことにする。
識者の意見に影響を受けつつ。
人口減少は先進国共通の現象であり、これを避けることはできない。
異次元の少子化で児童手当増額などといいながら、
扶養控除を廃止したり、社会保険料を増やそうとする政府の愚には呆れる。
彼らにこそ撤退論が必要なのだ。
高度成長時代の、人口増加時代の仕組を変えようとせずに小手先だけの政策を行う。
前例に倣うことしかできない。
更に省益優先、OBの天下り先 -
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学ばない働かないを自己選択する若者たちの気質を読みといた一冊。示唆に富んでいて非常に興味深い。
背景として、日本社会が集団主義の護送船団社会から個人主義の自己責任社会に移行したこと、子どもであっても経済合理性(コスパ・タイパ)を判断軸にしていることがありそうだ。
教育のジレンマとして、ある程度修了しないとその効果を実感できないところがあり、即時的な効果を求めづらい。
「なんの役に立つの?なんのために学ぶの?」の質問はここから来ている。
学校教育を経済合理性で考えた場合、じっと座って授業を聴く苦役および時間を差し出すことで、教師から教育サービスを受けるモデルと考えられるが、現在の社会は学歴 -
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相変わらず学びがあり、相変わらず溜飲が下がり、相変わらず少しだけ希望が湧いた。日本や世界の、現状が現状だけに少しだけだが(笑)
【親切】
帚木蓬生の「ネガティヴケイパビリティ」で、「親切」ということがこれからのキーワードだと思ったが、内田樹もまた、親切という美徳をアカデミアの世界でも重んじるべきだと言う。「正直」「親切」「愉快」!
「学校教育で1番大事なことは『歓待する』ということだと思います。教室に入ってきた人たちに対して『ようこそ、あなたの席はここにあります。あなたの存在は固有名において承認されています。あなたはここに座って学ぶ権利があります。私はあなたがここで学ぶことを望んでいます。 -
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いつもの内田樹節。
Twitter(TikTok)の炎上ネタや政治の体たらくをみていると、何でこんなに下品な話が世の中に蔓延しているのかと思ってしまうし、それなりに稼ぎがある層はふるさと納税で上手くやることに精を出してして、なんでこんなにセコい人が多いんだと思ってしまうわけだけど、そんな状況をいつもの内田節で解説してくれる。
あとは野となれ山となれと、思えてしまうのは、自分はその共同体と関係がなくいつでも離脱可能だと思えるからであって(それはいわゆるトロッコ問題に象徴される)、その意味でもコミュニティの再生は急務なんだと思う。内田樹は戦後の経験からコミュニティは簡単になくなるけど、簡単に作れる -
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キャリア教育について
現在の支配的な教育観は、「自分ひとりのため」に努力する人間のほうが、競争的環境では勝ち抜くチャンスが高い。しかし人間が才能を開花させるのは「他人のため」に働くとき。自分のしたいことや適性はどうでもよくて、任された仕事に対して「私がやるしかない」という状況が人間の覚醒を導く。自分が果たすべき仕事を見出すのは、本質的に受動的に経験によるものだ。
メディアについて
昨今のメディアの劣化について様々な角度から論じている。メディア独自の個性的でかつ射程のひろい見識に触れて、一気に世界の見通しが良くなった、というようなことを筆者は久しく経験していない。それが無理ならせめて、複雑な事 -
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サンデー毎日の政治に関する連載のまとめ。政治に関するコラムなので、時事的には少し古いものもあるし、情勢予想として外しているものもあるのだけれど、根本にある日本政治の問題点に関する指摘は今でも通じる。
大して変革もせずに古い制度にしがみつき、かつジリ貧になるなかで、少しでも得しようという感覚に溢れた現代社会。株式会社化が社会の全面に渡って展開され、学校、大学、行政、地域社会が効率を重視して運営されている。結果として日本の基礎体力を奪い続けている。日本はストックで食べているところが大きいと思うけど、そろそろそのストックも尽きてしまう。
何とかしなければいけないのだけれど、簡単な解決策に飛びつかず、