内田樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読んでて、これは違うな、とか、これは腹立つな、とかもありましたが、総じて興味深い内容でした。
身体知を大事にするところなどは、よくよく共感。
あと、社会内での役割についても、これまでずっと考えていたことが、おかげで少し言葉になりそうな気がした。今の日本の社会は、ドロップアウトすることを極端に嫌うから、余計に一度どこかでラインを降りてしまうと行き場がなくなるのかも知れない。
親子関係のところは特に面白い。
自分の家庭が機能不全だった時期があるからか、色々と考えされられた。
父母の役割は、いわゆるジェンダーに依るものではなく、機能によるなど。
私なりの解釈では、この本は、要するに「定量化して測るべきものと、定量化せずに曖昧糢糊として測った方が良いものとがある」ということを言いたいのではないかなと思った。
「こうあるべき」「こうするべき」と思い迷い振り回されるのではなく、「こうしてみたらこうなった」「ああしてみたらああなった」のように試行錯誤で、計画性と偶発性をうまくバランスを取りながら生きてけということなのだろうか。
時間が経ってから再読すると面白そうな本である。
完全なる余談だけど、一つの本を取っても、皆、作者の言いたいことを知るよりも、”自分が考えていたけれど言葉になっていなかったこと”を本を通じて汲み取るものなのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ教師のセクハラの話が面白い。
学校とはもともと「エロティックな場」であることを
人間は他者の欲望に欲望する、
というコジェーヴのヘーゲル解釈やソクラテスを引用し解説している。
「隣の芝は青く見える」というやつだな。
「性愛の局面において私が快感を得るのは、
相手が私から快感を得ていると感じるからであり、
相手が私から快感を得るのは、
私が相手から快感を得ていると感じるからである。」
というのと同じように、
教師が持つ「知への欲望」を生徒が「欲望する」ことによって、
学びが賦活されているのである。
そういう前提が教師にないから、
セクハラを個人の欲望や嗜好に回収しようとしまうのである。
BLという現象が生まれた理由も、
こうした男性間の教育的な構造がエロスの構造と似ているからかもしれない。
ファミレスの店長はバイトの女の子にモテる、
という話を聞いたことがあるが、
これもまたこの話に通じているような気がする。
それから、
夏目漱石の話が面白かった。
わたしはてっきり漱石は「こころ」の先生のような、
どうしようもない子供っぽい人物なのだと思っていたけれど、
これを読んで180度見方が変わった。
「こころ」は師弟の話だけれど、
まさに「学ぶ仕方を学ぶ」という教化的な物語だったのだなぁ。
明治初めての「大人」ねえ。
なるへそ。
そういえば、
もう何冊目になるだらうか。
内田先生の本。
なんつうかわたしの中で、
行きつけの店(ないけど)で「いつものアレ」を楽しむ、
「そうそうコレ」感のために読んでいる気がする。
各本毎に、
旬なモノや変わり種を出してくれる感じも、
行きつけの店(ないけど)的である。
たぶん好きな作家ってそういうもんだと思うよ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ大好きな橋本治と、最近興味を持った内田樹の対談集ということで読んでみました。
橋本治が自信を持ってあちこち話題が飛ぶのを、内田樹が常識でつなぎとめようという感じの対談でした。
たとえば、橋本治は桃尻娘を書くときに、
俺が知っている十二年分、彼女が知らないんだな。そういう引き算をしちゃったんです。
と、主人公のキャラクターのパーソナリティの作り方を明かすと、内田樹が、
先生は誰でもそういうことができると思ってるんでしょ。引き算が。あえてしないんじゃないんです。「できない」んですよ。引き算なんて。
と応じてみせる。うん。全般そんな感じのやり取りが続く本です。
★★★
また、内田樹が自身のブログの敷居が高いと言われたけど、敷居の下げ方が分からないとこぼすと、インターネットをしていない橋本治が、
簡単ですよ。書き手の個性をもろ出しにしてしまえば、敷居は低くなるんですよ。テヘッとか、入れるとか。
(snip)
普通に書くということが、偉そうであるということに、もうなってしまったんですよね。
この回答が内田樹の役に立ったかどうかは分からないけど。ww
★★★
あと、これは大切だって思って思わずツイートしてしまったのだけれど、
内田 壊すのは簡単なんですよ。物を壊すのって。作るのは壊す百倍くらい手間がかかるから。
橋本 でも何かを作ると、ちゃんと壊れるんですよ。最大の破壊は建設なりと思っていますから。
内田 すごい、これは名言! そうか、そういうことを考えるんだ。
橋本 だって新しいものがあって、古いものあったら、もういらないな、となって、古いものって完全に捨てるじゃないですか。中途半端な捨て方は、捨ててないんですよ。破壊なんかされると、破壊しちゃったけれど、ちょっと惜しかったんじゃない? といわれますから。
内田 ほんとうにそうですね。批判なんか、あまりしても意味がないんですよね。批判するくらいなら、批判されているものよりもいいものをこっちで作っていれば、自然に不用品は捨てられちゃうんだし。
ということで、おもしろいですよ。おすすめ。 -
Posted by ブクログ
内田さんの本。個人的に、著者の本はハズレがない。
どんなことを語る時でも、自分にはできない視点で物事を見てくれるし、こんなに「むずかしそうなこと」を「平易に」語れる人はなかなかいない。
ページ数は少ないわけではないのにもかかわらず、すらすら読めて、かなり早く読み終わりました。知的刺激の宝箱みたいな本。
まぁ、あえて言うと内田さんは同じような話を何度もするところが、ちょっとだけ、難点かな。それでもおもしろいけども。
あとは、最後の第四章の漱石論はちょっと読みづらい。エッセイの方が好きだ。
んー、感想を書こうとしても、なかなか簡単に語りつくせない。もっともっと著者の本を読みたい。 -
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ネタバレ内田先生シリーズを読んだ第二弾。
大学の現状と規制改革に伴う大学の変化を追った。
「自ら大学や授業がどうなっているかを律することで、自分たちを高める必要があることに気づく」がこの間の大学改革の目的だったのではないだろうか。
特に、教員がそう考えることで、もっといい大学作りやもっといい教育にしていこう、とする発想を作ろうとしたのではないか。→自分たちの自己満足で終わることなく。
市場原理を導入しよう、という企業人たちの想いを受け止めたくないがそれを交わそうとしたのが文部科学省で、もっと自分たちの取り組みを高めてもらうための方策を導入した、という風に書いてある。補助金もそこで傾斜配分される。
ウソではないのだろう。
でも、いまの大学が疲弊しているのは、結局その傾斜配分のせいなのではないか、という風にも思った。
では、いかにどこの大学にも予算を配分するか。でもやっぱり大学が頑張っていろんな魅力的な取り組みを行うしかないのかな・・・ -
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ネタバレ本にマーカー引きすぎてえらいことになっている。
それくらい「そうだよな!」とか「そうだったのか!」が詰まっている。
身体知は大事。
水泳ばかりやってたら水泳に有利な身体になるように、
文句ばっかり言ってたら文句を言うのに有利な身体になる。
この前読んだ「ミラーニューロン」も、
人間が形から変化することを証明しているのではないかな。
特に唯物論的なことを言いたいのではない。
心というものはあると思う。
愛とか勇気とかと同じくらいには。
愛とか勇気とか国家とか常識とか、
それらすべては共同幻想だから、
なんとなく皆が「在る」と思っているものは「在る」ことになっている。
その方がこのよくわからん世界を生きるために都合がよろしいのだろう。
幽霊もそう。
天皇もそう。
天皇が万系一世というのも実際にそうである必要はなくて、
そういう物語が共有されているというのが大切。
その方が上手く社会が廻る。
少なくとも今までは廻ってきたわけであるからね。
以下、
興味のあった話題を羅列。
・文明化された都市で残された自然は身体である。
とするとピアッシングやタトゥーは身体の文明化になる。
・「、」と「・・・」の違い、タメの表現。
・タフネスの理由は幸福な思い出にある。
・「義務教育」を「教育を受ける義務がある」と思っている学生が多い。
「オレ様化する」のは無時間モデルの消費者思考だから、
少ない労力(授業に出ない・聞かない)で、
どれだけ利益(単位・点数・学歴)を得るかに執心する(コスパ)。
とりあえずクレームつける、とかは典型的な「賢い消費者」の行動だろうな。 -
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内田樹と春日武彦の健全な肉体に狂気は宿るを読みました。
生きづらさの正体、という副題のついた、生き方についての対談集でした。
章毎のテーマは、世代論に逃げ込むな、「自分探し」はもうやめよう、人間はわかりあえっこない、個性とこだわり幻想、健全な肉体に狂気は宿る、まずは身体に聞け、と現在喧伝されている生き方の解説やコミュニケーションについての解説に真っ向から対立する主張が述べられています。
春日武彦の精神病の臨床医療の現場からの意見と内田樹の身体の発する信号を聞いて行動しようという主張とがかみ合って面白い読み物になっています。
アメリカの契約社会で育ったコミュニケーションの方法は、日本の以心伝心の文化には合わない、という意見は納得します。
キャリアとは自分で形成するものではなく、他の人が必要とするものを提供し続けていくものだ。
自分だけの秘密を持つことが出来るということが大人の条件だ。
未来が予測可能だと考える人は、取り越し苦労をしてしまう。
精神科に来る人はこだわりとプライドと被害者意識の3点セットが多い。
自分探しは自殺行為である。
などなど、奥深い警句が書かれています。