赤川次郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ1日でサクッと読み切れるくらいライトで、とにかくすごく読みやすい本でした。
バス事故で亡くなった人たちが1時間だけこの世に帰ってきて、残された人たちと話すっていうストーリーなんです。最初は「行かないで!」って引き止めたりする泥沼のドラマが展開されるのかなって思ってたんだけど、全然後味が悪くなくて良かった。
みんなそのたった1時間で相手が死んでしまった事実を受け止めて、最終的には全員が前向きに進み始めていくのがすごく素敵だし、いい終わり方だなって思いました。
登場人物が多くて一人ひとりの深掘りはそこまでないから、号泣できるかなって期待していた分「意外とそこまで泣ける感じではないのかな」ってちょっと拍子抜けした部分もあったけれど、ポロポロっと温かい涙が出るくらいの優しい感動で、余計に読みやすかったです。
何より要素の渋滞がすごくて!恋愛もあるし、まさかのヤクザが出てきて殺されかけたり、名前の勘違いがあったりして、エンタメとして単純に面白かったです。
特に好きだったのが、法子とヤクザになってしまった幼なじみの貢のエピソード。ボスを殺そうとしている貢を止めないと、返り討ちにあって彼も死んでしまう。そこで直子がとった手段が、自分の胸を触らせて生理的な欲求から「生きてる感覚」を思い出させるっていう方法で……これ、本当にすごすぎませんか?
「今ドキドキしてるでしょう。私の心臓もあなたの心臓もドキドキしてる。これが生きてるってことなんだよ、死んだらなくなっちゃうんだよ」って伝えるシーン、最高すぎました。正直、このシーンに出会えただけでもこの本を読んだ価値があったなって思えるくらい心に残っています。
サクッと読めて、前向きな気持ちになれて、ちょっとだけ泣きたいときにぴったりの一冊でした! -
匿名
ネタバレ 購入済み前作では「彼ら」は吸血鬼のようなものとして描かれており得体の知れない不死性の方が強く印象付けられ、殺害方法も剃刀で喉を切り裂くだけで噛み付いて血を啜るような面はなかったように記憶しています。また、多江も少数派であるが故に迫害を受けていた強者がついに限界を越えただけで、むしろ人間の方が弱者でかつ悪であり、多江の依子への感情も好意で、それが駆け足の物語の中に多少の深みを添えていました。
今作はそれをすべてわかりやすい人間対吸血鬼に変えてしまっており、吸血鬼側の人間性の描写がなく存在が非常にチープな吸血鬼にされてしまっていたのが残念でした。前作の多江と依子を知っていると、三木が水本と平野のようには小西親子を殺害せず千晶を盾に生かしている辺り、三木が小西に語った言葉が必ずしも嘘ばかりではないようには感じられるのですが。多分もっと丁寧に物語を描かれたら良い続編になっていたように思います。