原田マハのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大都会でいつも懸命に頑張っているキャリアウーマンの妹に、プレゼントとして購入した短編小説集。
そこには著者・原田マハさんによる、働く女性たちへの温かくも優しい眼差しがあった。
読み始めからスラスラと先に進むことができるこの作品。読み終えた暁には、心地よい余韻と、涼しくも爽やかな感懐が、きっと得られるはずだ。
春や秋の朝方に吹くことの多い、一陣のつむじ風のような清々しい短編集である。
さて皆さんに、特にビジネスマンやキャリアウーマンの方々に、畏れ多くもお尋ねすることを許していただきたい。
『皆さんには果たして、今まさに心の底から満たされている実感はありますか』と。
この質問に対して、当た -
Posted by ブクログ
同書を読むのは2度目。殆ど筋書きを忘れていて、読んだ記憶が所々あるも初見に近い感じで読み進めました。
主人公の八神瑤子とビカソの恋人ドラが生き生きと描かれ、何故か二人をオーバーラップしてしまいました。
ビカソの守護者であったスペインの大富豪バルド·イグナシオ、ビカソの最高傑作?「ゲルニカ」をナチスから避難先としてスペイン民主化まで保管していたMOMA理事長ルース·ロックフェラー、小説上の創作人物であるビカソの落し子マイテと9.11後にイラクに対する武力行使に走るアメリカに反戦反テロのシンボルとして「ゲルニカ」をMOMAビカソ展である「ビカソの戦争」の中心作品として何とかスペインから借り出そうと -
Posted by ブクログ
ネタバレ聴衆者としてスピーチの力に魅せられた主人公が、今度は書き手(スピーチライター)として、人を動かす言葉を武器に新しい世界へ踏み出していく。″今川のおじさん″が遺した言葉の数々がどれほど多くの人の心を動かしてきたか、その人となりを言葉だけで表現し、物語のキーパーソンとして小説全体を包み込む。その構成が話全体に統一感を与えていて読みやすく、面白かった。欲を言えば、こと葉の恋愛よりも、あれほどまでのスピーチ原稿を、どういう過程を得て言葉を紡いでいったのか、その工程をもう少し詳しく知りたかった。
今川のおじさんが久美さんにかけたあの名ゼリフにも、もちろん心を打たれたけれど、個人的に一番心をつかまれた言 -
Posted by ブクログ
お酒好きにはたまらない一冊。
沖縄で派遣社員をしていた女性がベンチャー企業立ち上げを提案。
沖縄産 アグリコールラム酒を作る という目標をたて、、、
原田マハさんが作家になる前に取材した本当にあった夢物語。
お互い5年後に成功していれば小説にする と約束。
原田マハさんのきれいな文章と主人公のひたむきな思い。
いくつものラッキーもありながら、彼女の思いが形になっていく。
読み終えてすぐ、ネットでこのラム酒を購入。
早速飲みました。
思いのこもったしっかりとしたラム酒。
大切に飲みたいと思います。
人生の刺激にもなる一冊。
おすすめです~。 -
Posted by ブクログ
初マハ。京都本大賞ということで買ってみたんだが、こんなにも面白いものを描く作家なんだとビックリした。何故今まで敬遠していたのか…昔の自分を殴りたい。笑。
初めて美術小説なるものを読んだ——。
京都を舞台に有吉菜穂と、どこか官能的ですらある無名の画家・白根樹の関係がなんとも言えず良い。「美」と「醜」とは表裏一体なのかも知れませんね…。
また京都の四季移ろいなんかもあり、隅々まで「美」を感じました。
今までにない読書体験で新鮮かつ、後半の展開にはミステリーばりの衝撃を受けました!!
P.S.ちょっとゲスイ話になってしまいますが、一輝と義母・克子との妖しい関係もスリリングで作品のよき(?)アク