原田マハのレビュー一覧
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上野のゴッホ展に行ったので読みました。パリで浮世絵を売る商人と、ゴッホの弟の記憶を追体験していくようなストーリーで、登場人物の心情はもちろん当時の社会情勢もなんとなく知ることができて面白い。フィクションだが史実に基づいているので日本史を意識して読むととても楽しい。かなり長めで読みごたえもありとても満足。参考文献も面白そうなものばかりなので読んでみたい。ただしゴッホ展に行ってから読むとネタバレをくらった気分になるのでゴッホ展に行く前に読むのがおすすめ。これを読んでからゴッホ展に行けば「この作品はあのときの!」となって絶対に楽しいと思う。この本を通してよりゴッホもゴッホの作品も好きになれた。
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マハ先生の作品はやっぱり美術モノが良い。
版画家棟方志功とその妻の生涯を描いた物語。終始津軽弁で進む会話がなんだか温かい。
「ワぁ、ゴッホになるッ!」という想いをずっと持ち続けた志功の芸術への熱と、それを理解し支え続けたチヤさん達周りの人達の温かい眼差し。志功は人との運に恵まれた人だったのだと思う。それを理解し、人に感謝して、奢ることなく真摯に芸術に向き合う志功の姿に心を動かされた。私はチヤさんのように人を思いやり信じて進むことができるだろうか?自分のやりたいことに、こんなにもひたむきになれるのか?…と考えて自分自身を振り返る時間にもなった。
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「将来の夢は総理大臣」って言っていた同級生が何人かいたけれど、全員男の子だった。今後なりたい職業に総理大臣って宣言する女の子、増えるのかなぁ…なんて思いながら読みました。
原田マハさんが、10年くらい前に書いた理想と予言が詰まった作品。日本で初めて女性が総理大臣になったときの、夫の目線が描かれています。
現在、就任して間もない高市総理大臣の仕事をこなす一挙手一投足がニュースの話題に上がっている。マスコミ対策、護衛、派閥の裏側、実際もこんな感じなんだろうか、と勘ぐってしまう(;^ω^)。
『「国民に信を問う、って、私を信用してくれますか?って国民に本気で問いかけること。それって人に言われてやる -
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第二次世界大戦前の不安定な時代。アメリカで世界一周をしようとした女性パイロットと、日本の新聞社が世界一周を実現した物語。
この物語はモデルがいたということで実際に調べてみたが、今の時代の航空機と当時の航空機と機能が明らかに違うが世界一周ができるほどの機能を導入したという、日本の技術に驚きを隠せなかった。
不安定な時代だからこそ感じる平和とはなにか。
エイミーが言う「世界はひとつ」。
この言葉は、のちに出会うアインシュタインの「共存」にも繋がる気がした。
全世界、国籍も性格も文化も違う。そんな中で武器を手にせず、お互いの価値観を認め合い過ごしていくことの重要さがあると思う。読んでいたときに -
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これは、在沖縄アメリカ陸軍の従軍医、エドワード・ウィルソンと、絵を描くために生き、生きるために絵を描く、誇り高き沖縄人の芸術家達との、言語を越え、人種を越えた、終戦後の沖縄に確かに存在していた友情の物語である。
踊り、描き、歌う。そういった表現活動を、人々は文化と呼ぶ。
それは沖縄人にとって、精神的支柱であり、誇りであり、唯一のアイデンティティであった。
それを戦争によって奪われた彼らの怒りは、恨みは、辛さは、さぞ度し難いものだっただろう。
「私たちは、勝者でも敗者でもなく、占領するものでも占領されるものでもなかった。」
「私たちのあいだには、いかなる壁も、境界線もなかった。」
「私 -
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幸せとは何だろう――『リボルバー』を読んで、改めてそんなことを考えました。
僕にとって幸せとは、自分が思い描く理想の人生と、現実の人生との距離のことです。
もちろん、その距離が近ければ近いほど幸せであると思いますが、たとえその距離が今は離れていても、少しずつでも理想に近づいていけているならば、その道中も幸せなのかなと。
そして本作『リボルバー』を読み、ゴッホもゴーギャンも幸せだったのかもしれない。しかし、僕は何よりテオにも幸せであってほしいと思いました。
作中にもあるように、芸術家であるゴッホとゴーギャンは、人生のすべてを投げ打って、自分たちの芸術を追求し続けます。それは周囲の人を巻き込