原田マハのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
棟方志功の人生を妻の目線から語る物語。控えめに言って最高に面白くて一気に読んでしまった!
朝ドラのあんぱんが大好きで、同じように家庭に入って世間からみたら名もなき女性の生き様を例えフィクションでも感じられる事は、時代や立場は違えど同じ女性として生きる力を分けてもらえるようで大好き。
馴れ初めは可愛すぎて久しぶりにキュンとしたし♡笑、小熊のように無邪気で、不器用で、憎めない棟方の愛すべき人柄に引き込まれた。
一方、そんな棟方を陰で支えるチエは、かつての日本女性の美徳を体現したような存在だった。慎ましくありながらも、確固たる自分を持ち、家庭を守り抜く。
その芯の強さはどこから来るのかと思ったけど、チエは、棟方から沢山の光をもらったひまわりだからだったんだね。
ひまわりのチエがいつでも太陽である棟方をみている表現が本当に好き。
物語の展開も実にダイナミックで、緩急に富んでいるし時間が前後する構成も面白かった。豪快さと繊細さが同居するその筆致は、まるで棟方の板画そのもののようだった。
戦後で物語が幕を閉じ、再びチエのインタビューへと戻る構成も印象深い。それまで目の前で生き生きと躍動していた棟方が、ふと、遠い記憶の中の人になる。亡き夫を懐かしむチエの静かな時間と、壮大な物語が終わってしまう寂しさが重なり、名残惜しさを抱えながら、そっと本を閉じた。 -
Posted by ブクログ
「本日は、お日柄もよく」
聞いたことのある言葉だ。心が晴れるような響きがある。そんな言葉の力に惹かれていくのが、主人公の二ノ宮こと葉だ。会社員だった彼女は、ある披露宴で心を揺さぶるスピーチに出会う。そこから、スピーチライターとしての道を歩み始める。
私は、これまで聞いてきたスピーチを、どこか退屈なものだと思っていた。ただ聞かされるだけでは、言葉はなかなか心に入ってこない。それでも、心に残るスピーチがある。そこには、言葉の巧さだけではないものがある。話し手の想いが込もった言葉が、聞き手の経験や感情に触れたとき、初めて心に届くのだと思う。だからこそ、次の言葉が強く心に残った。
困難に向かい合ったとき、もうだめだ、と思ったとき、想像してみるといい。
三時間後の君、涙が止まっている。
二十四時間後の君、涙は乾いている。
二日後の君、顔を上げている。
三日後の君、歩きだしている。 -
Posted by ブクログ
・一人一人の女性の生き方の短編小説
・1話完結で読みやすいんだけど、連続で読んだ時に話が繋がっていることに気づいて興奮。さらに最後に最初の方の話が繋がってさらにわくわく。
・心療内科の先生が母親の認知症を受け入れることへの葛藤や、親へは教科書通りの対応が出来ない戸惑いが凄く身近な話でしみた
・どの話もすっきりとか解決って感じではないけど、一人ひとりが勇気をだして自分なりの1歩を進んでいるのがいい
・自由になるためにそれぞれの色んなしがらみから独立するって意味なんだと思った。それは物理的社会的に限らず、精神的な自由がこの本のキーだと感じた。
・私は今不自由に感じていることはないけれど、どんな環境でも心だけは自由でいることを心がけたいと思った -
Posted by ブクログ
・倉敷紡績のCSR活動がスゴい。大原孫三郎、物凄い社会活動家だ。
・ぼっけーとかでーれえとか岡山弁が可愛い。
・大正になって時が進むにつれ、作中の中の手紙や小説の文面が、旧かな遣いから現代的になっていくのも、時代の変化を感じた。
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初子に小説の感想を伝える場面、それまではすてらを少女として捉えて読んでいたが、急にスッと大人の働く女性として見えた。
売れっ子文士となり、父の死も乗り越えて、視野が拓けた感じがした。
著者にも、イサにとっての夫や、すてらにとってのイサのような方がいたのでは。アンリ・マティスの娘の肖像画のような、常にそばに居た絵画があったのでは。
すてらや初子がそうしたように、原田マハの実体験、執筆への姿勢が表れている気がしました。
物書きだけではなく、すべての物作りに関わる人たちに寄り添ってくれる作品だった。 -
Posted by ブクログ
秋に大塚国際美術館に久しぶりに行く予定があり、その前に読んでおきたいと手に取った。実はピカソはあまり好みの画家でなく、どうも、うまく描こうとしているのが透けて見えると思ってしまうと長い間思っていたが、昨年再訪した大原美術館で、ピカソの「頭蓋骨のある静物」という作品に惹かれてピカソをもっと知ってみようと本作に触れた。本作では1937年のゲルニカ空爆〜1945年第二次世界大戦終戦までと、2001年9月11日同時多発テロとの2つの時代がパラレルで流れるように書かれていて、一貫して「暴力、戦争、憎悪」は何も生み出さず、それこそが我々が自由に生きる為に戦うべき対象であるとしている。言葉は剣よりも強しをアートの力、ゲルニカという、反戦の絵の力をと。原田マハさんの筆致で終始涙ながらに読み進めた。これまで、ピカソの絵同様、反戦とか思想の重たいのは、どうも苦手だったけれども、語らんとする事には激しく同意でき、この本のおかげで、気持ちが近づけたなぁと…文庫本末解説を池上彰さんが2018年に書いているが、せめてトランプ大統領には「ゲルニカ」の実物を見てほしいものです。とあるのも一興