【感想・ネタバレ】太陽の棘のレビュー

あらすじ

この著者にしか描けない、沖縄と美術の物語!

終戦後の沖縄。米軍の若き軍医・エドワードはある日、沖縄の画家たちが暮らす集落――ニシムイ美術村に行きつく。
警戒心を抱く画家たちだったが、自らもアートを愛するエドは、言葉、文化、何よりも立場の壁を越え、彼らと交流を深める。
だがそんな美しい日々に影が忍び寄る――。
実話をもとにした感動作!

「原田マハ氏は、小説家の優れた才能と人間的な温かさにより、どんなに善意の人間であっても、理解できない事柄があることを明らかにした。私は日本人が書いた沖縄をテーマとする小説で『太陽の棘』がいちばん好きだ。」
――佐藤優(解説より)

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ネタバレ

私は沖縄に行ったことがない。近くて遠い沖縄。日本だけど、日本ぽくない場所、沖縄。 この小説を読んで、沖縄に行ってみたいと思った。 沖縄から見る、日本やアメリカはかなり本州から見るのとは違うのかもしれない。

この小説は第二次世界大戦直後に米軍沖縄基地に派遣された若きアメリカ軍医と沖縄の地元民の交流のお話。アメリカ兵の目を通しての日本人、いや沖縄人の明るさ、哀しみや苦しみ、強さなどが繊細に描かれている。 

原田マハさんの小説を読むと、最後のページを閉じた瞬間に自分の気持ちもそこで止まるのではなく、むしろそこから様々ま想いや考えが湧き出てくる。今回も、自分のアイデンディティ、戦争、さらにはこの小説が出来るに至った実話エピソードに想いを馳せた。 心あたたまるとてもいいお話でした。 

0
2025年12月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

戦後の沖縄で、アメリカ軍医と地元画家たちがアートを通じて友情を育む実話ベースの物語。文化も立場も違う者同士が、絵筆で心を通わせていく。著者が描き出す廃墟と化した沖縄の空の青と刺すような太陽の光が、痛みと希望を包括しているように感じる。

勝者と敗者、アメリカ人と日本人、そして沖縄人。それぞれの視点が交差する中で、アートが唯一の共通言語になる瞬間に何度も涙腺崩壊。優しさだけじゃない、戦争という歴史の棘もグサグサ刺さって心が痛い。

マハさんの美術系小説はやっぱりハズレなし。本の表紙になっている自画像も含めて、ニシムイコレクションはぜひ現地で見たい。沖縄行くか。

0
2025年08月29日

Posted by ブクログ

実在した沖縄のニシムイ美術村を知れただけでも、読んで良かったと思える。

純粋に美術史としてニシムイ美術村を知りたいと思うなら、もちろんこちらの作品はフィクションも入っているだろうし、良くはない。

だけどより多くの人にニシムイ美術村を知ってもらい、興味を持ってもらうなら、この小説のようにフィクションも交えて、少し俗っぽいストーリーに仕立てる方が効果的。

美術史の専門書や、文学的すぎる小説だと美術のの敷居は低くならず、沢山の人には届かない。

だから原田マハさんが書く全てのアート小説は、朝ドラ風なストーリーで、誰にでも読みやすく、美術に親しみを持てるし、美術への興味が湧いてくる。好き嫌いはあれど、そういう意味でとても大事な役割を果たしていると思う。

美術の敷居がもっと低くなることを願っている私からしたら、とても嬉しい。

それにしても、戦後のかなり早い時期、まだ荒れ果てている沖縄に美術村を作り、アート作品を生み出していた作家の人たちにはとても驚かされる。やはり創造するということと、人間というのは切っても切れないということの証明だと思った。

そして、戦後すぐに米軍人と交流し、心を通わせることができたニシムイ美術村の人たち。芸術の力なしに、これは不可能だったのだろうと思う。そう思うと、国境もなく言葉も必要としない芸術の力に改めて驚かされる。

0
2025年03月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

戦後の沖縄で、米軍の軍医、エドワードとニシムイ美術村で貧しいながらもアートに生きる芸術家たちとの交流を描いたストーリー。

沖縄の窮状は戦後だけでなく、戦前、戦中と日本からもアメリカから搾取されてきた歴史もあったことにも触れられている。読んでいて苦しくなる部分もあるが、エドワードと画家のタイラとの友情、涙なしには読めない。しかも、実話に基づいた話。

そして、何より、まったく別世界の人たちが繋がるきっかけとなりうるアートのスゴさ、それを追求するニシムイの画家たちの思いを描ききった原田マヤさんはさすがです。

0
2025年03月12日

Posted by ブクログ

沖縄基地に配属となった米国軍医がドライブ中に芸術村を見つける。そこには無心に絵を描く沖縄の芸術家達が暮らしていた。生活のために絵を売らなければいけない画家とそれを買う軍医。絵画を通して、勝利国と敗北国の垣根を超えた友情が築かれる。誰もが望まない戦争への思いを描写しながら敵・味方関係なく人間として真の友情が描かれている作品

0
2024年12月02日

Posted by ブクログ

変換までの沖縄における米軍支配の歴史は、もっと若い世代の日本人が知るべきだと思うが、こういう小さなストーリーもあったことを辿ることができて面白かった。
つい昨日まで沖縄にいて、よりストーリーに入り込むことができた。
必ずしも画一的に米国と米兵に批判的になるべきではないと思うが、沖縄に負担させていることを含めて、本土に住む日本人はもう少しリアリティを持って基地のこと沖縄のことについて考えと意見を持つ必要があると思った。

0
2024年11月29日

Posted by ブクログ

心が震える作品。過去の大切な時間を想うときの心がチクっとするような切なさ、まさにそれがこの小説に詰まっている。

プロローグでは医師エドが沖縄で仲間と過ごした日々に思いを馳せるが、本編を読むとエドの過去を追体験をするので、必然的にまたプロローグを読み返して改めて感慨に耽りたくなる。

この小説の良いところは、特に大事件が起きる訳でもなく、ページ数も少ないのだけど、エドが芸術家たちと触れ合う日々を追いながら読者にも特別な時間の流れが感じられること。
最後は胸がいっぱいになり、涙がとめどなく流れた。
こんな思いを体験できるなんて、だから読書はやめられない。

0
2024年09月10日

Posted by ブクログ

戦時下及び戦後間もない沖縄で根付く人々の生活と葛藤を、米軍駐留兵の精神科医として赴任した主人公の目線を通して巧みに描写する名作品。あくまで沖縄住民の目線ではなく、米軍医師という外の人間の目線を通して描かれている点が大きな特徴である。アートという媒体を通して、現地住民と米軍の間に存在する大きなわだかまりを融和していく過程を描く。しかし、その過程は不完全に終わるし、タイラやヒガへの悲劇を通じてそれがいかに困難なものであるかを伝えてくる作品。それでもヒューマニズムにはまだ希望があるというメッセージを、作者はおそらく最後のシーンを通して語りかけようとしているのではないか。

0
2024年05月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

戦後の沖縄に、
全員がそうではないと思うが、
中には心優しいアメリカ兵もいてよかった。
アートを通じて友情が芽生え、
意地悪された沖縄の友達のために、
同じ軍の人間を殴ってやったところは、男らしかった。
彼らの別れ際、
沖縄のアーティストが友情の印の鏡で、反射させた
アツい太陽光線は、本土へ帰るアメリカ兵の瞳を通じて
ギラリと沖縄での思い出を沸々といつまでもアツいものにさせたでしょう。

0
2023年10月31日

Posted by ブクログ

良かったです。実話ベースと書かれてて、表紙のの肖像画もストーリーに関わってくるだろうなと思ってワクワクしながら読み始めました。表紙の肖像画が登場してからこれがそうかと、本を手に取るたびに少し感慨深くなりながら最後まで読み終えました。戦後の辛い景色の中でキラキラ輝く芸術家たちの生き様がとても素敵でした

0
2023年07月03日

Posted by ブクログ

 これは、在沖縄アメリカ陸軍の従軍医、エドワード・ウィルソンと、絵を描くために生き、生きるために絵を描く、誇り高き沖縄人の芸術家達との、言語を越え、人種を越えた、終戦後の沖縄に確かに存在していた友情の物語である。

踊り、描き、歌う。そういった表現活動を、人々は文化と呼ぶ。
それは沖縄人にとって、精神的支柱であり、誇りであり、唯一のアイデンティティであった。
それを戦争によって奪われた彼らの怒りは、恨みは、辛さは、さぞ度し難いものだっただろう。

「私たちは、勝者でも敗者でもなく、占領するものでも占領されるものでもなかった。」

「私たちのあいだには、いかなる壁も、境界線もなかった。」

「私たちのあいだには、何枚かの絵があった。美術があった。ただそれだけだった。」

0
2025年10月30日

Posted by ブクログ

戦後の沖縄、生きていくのも厳しい状況の中で集落を作って助け合いながら絵を描き続ける芸術家たちと米軍基地に赴任された軍医との友情話。この時代に絵を生業にすることも、アメリカ人と日本人との友情もなかなか考えられないこと、だけど実話をもとにしたお話しなんだ。ニシムイのアート観に行ってみたい。沖縄に行くことがあったら県立美術館行ってみよう。

つくづく、この時代があって今があるんだなぁ〜と。

0
2025年07月17日

Posted by ブクログ

沖縄の話と知らず、読んで、
沖縄へ行くこととなり、
太陽の真下の大地が戦場だったことを
忘れられなくなった。
当然、沖縄の人達も戦場になったことを語りついでいく。基地になり、観光地になり、何百年も琉球王国だった大地が削られていく。

0
2025年07月02日

Posted by ブクログ

終戦直後の沖縄に実在した画家たちのコミュニティであるニシムイを舞台にした作品。
ヤマト、特に薩摩に支配され、その後は米軍に蹂躙された沖縄の歴史に対する距離感と、言葉より雄弁に絵に語らせるという手法が良い。近藤沖縄を訪れた時に是非見に行ってみよう。

0
2025年01月13日

Posted by ブクログ

★★★★☆実話をもとにした作品でした。終戦後、沖縄の芸術村で活動する日本人芸術家たちとアメリカ人医師との交流の話でした。実話をもとにしているということで、リアルな内容に重たいと感じることもあり読み進めることが苦しくなることもあり、また苦しい生活を強いられた人たちの切なさも感じる内容でした。

0
2024年12月21日

Posted by ブクログ

実話を元にさすが、作家原田マハである。
深い感動で心が震えました。
芸術の力とは…国を超えた場所に甦えるのですね!

0
2024年11月28日

Posted by ブクログ

米軍の若き軍医と、言葉、文化、立場の壁を越え、沖縄の画家達と深めていく友情。

この作品を通じて、月並みだけれど、戦争によって勝った方も負けた方も、あらゆる面で犠牲となった人々がいることを思い知らされる。

0
2024年08月04日

Posted by ブクログ

史実に基づいて書かれた1冊。
とても温かく、力強く情熱的でそして残酷だった。

「ニシムイ」の画家集団は
戦後沖縄でほんとうに存在した芸術家コミュニティだと言う。

とても逞しい。
物凄く胸を打たれた。

0
2024年08月02日

Posted by ブクログ

沖縄と基地の問題は現代でも続いている。戦後間もない、アメリカ統治時代の沖縄で絵画が好きな精神科医のエドと首里にニシムイ美術村の画家たちとの交流を通して、彼らの友情、戦争による心の傷、そして沖縄と基地問題、それらに直面するような数々のエピソードが描かれる。アメリカ人医師のエドも美術村のタイラ、ヒガも絵を描くことが心の傷を癒すことになったのだろう。沖縄の問題について、アメリカ人が主人公として描かれているのが新鮮だったし、少し冷静に考えることもできた気がする。貴重なインタビューを通して、実話を元にした話であることも考えさせられる。

0
2024年06月14日

Posted by ブクログ

表紙の肖像画が印象的な、原田さんのアートフィクション。

終戦直後の沖縄へ軍医として派遣された、若き精神科医のエドワード。
ある非番の日、島内を同僚とドライブしていたエドワードは、〈ニシムイ・アート・ヴィレッジ〉という画家たちが暮らす集落に辿り着きますが・・・。

冒頭で「アート“フィクション”」と書きましたが、この作品は実話がベースとなっているとのことです。
表紙の肖像画のモデルとなった、スタンレー・スタインバーグ博士と、この絵を描いた玉那覇正吉さんをはじめとした〈ニシムイ美術村〉の芸術家たちとの交流が実際にあったということが、この物語の内容に深みを与えているように思います。

勿論、アメリカ軍人と沖縄の芸術家たちとの単なる“友情物語”という綺麗ごとだけでなく、太平洋戦争の本土決戦で焦土化した沖縄の人々の厳しい現実(“食べていく”為に、米国軍人相手の商売をせざるを得ない等・・)も書かれています。
物語の中で、ニシムイの芸術家の一人でアルコール依存症になってしまったヒガが“ヤマト(日本)とアメリカ”への怒りを吐露していたように、沖縄の人々からすれば“ヤマト(日本)とアメリカが勝手に自分たちの土地(沖縄)を戦場にしてこの美しい故郷をボロボロにされた”といえるわけで、その心中たるや察するに余りあるものがありますね・・。
このような複雑な背景がありながらも、“アートを愛する心”という共通の思いが言葉や文化、そして立場をを越えて両者を結びつけていく展開に胸が熱くなりました。

読後感も清々しく、本書によって沖縄にこのような、アーティストたちのコロニーが実在したということが知れて良かったな、と思いました。

0
2024年04月24日

Posted by ブクログ

終戦直後の、アメリカ支配下の沖縄が舞台。
米軍精神科医のエドやその同僚と、首里の丘に「ニシムイ美術村」を作って寄り集まって住んでいる画家たちの交流が主なストーリー。

謝辞を読むと、実際にサンフランシスコ在住で沖縄米軍基地で精神科医として戦後過ごした人物に取材して書かれたようなので、実話をもとにしたものだった。

支配するものされるもの、勝ったもの負けたもの、、、そういったものは芸術を前にした交流においては意味をなさなくなる。
また、沖縄は確かに日本の一部なのに沖縄人はまるで日本を憎んでいるかのようであり、犠牲者をたくさん出したアメリカのことを解放者として受け入れている節がある…との文章に、沖縄の複雑な立ち位置が垣間見えた。

0
2024年04月23日

Posted by ブクログ

戦後すぐの、まだアメリカだった沖縄。芸術は、言葉も価値観も飛び越えることがよくわかる話だった。
また、戦後すぐとあって、なかなか折り合いをつけることが難しい現実を生きていた人たちが、芸術という自分の中で譲れない「業」を通して、何とか生きていく描写が良かった。

0
2023年10月30日

Posted by ブクログ

戦中戦後の沖縄の様子、そして、戦争によって勝った方も負けた方も傷つくことが心に伝わります。沖縄との別れのシーンには胸を打たれる。

0
2023年08月02日

Posted by ブクログ

舞台は終戦後の沖縄。

米軍軍医が沖縄の画家達の集落である「ニシムイ村」に偶然行き着いたところから物語が始まる。

マハさんの作品にしては、絵に関する内容は少なめで、登場人物達の人情劇の割合が多い印象。

アート小説過ぎないから、初めてマハさんの作品を読む人には割とオススメかもしれない。ライト層向け

逆に、普段のテンションで本作を読むと「おや?いつものマハさんとは雰囲気違うな…」と感じるかも。まあ、そこもいいんだけどね!!!

沖縄の歴史を知っておくと、物語に入り込みやすくなると思う。

0
2025年05月19日

Posted by ブクログ

戦後沖縄の特殊な事情、どんな境遇でも描き続けるニシムイ村の画家たち。テレビで陽気に振る舞う沖縄の方達の心の影の部分を垣間見たように感じた。太陽の棘。

0
2025年04月20日

Posted by ブクログ

終戦後の沖縄で米軍の若い医師と地元の画家たちの交流を描いた作品。実話であると知って驚いた。沖縄のおかれた厳しく難しい立場が感じられる。

0
2025年03月25日

Posted by ブクログ

ちょっと話が綺麗すぎる(出来すぎている)感じは否めないですが、それでもすごくいい話でした。
沖縄の美術館とニシムイアートヴィレッジに行きたくなります。

0
2024年05月09日

Posted by ブクログ

ニシムイ美術村、ゴッホが作りたかったのもこういう集落だったのかね。
沖縄県立美術館、ぜひ行ってみたいものだ。

0
2023年10月23日

Posted by ブクログ

ニシムイって本当にあったと知ってびっくり。戦後間も無くの沖縄で美術で生計を立てていた人がいたなんて思いもしなかった。生きるために描く絵と、描きたい絵、そのバランスを取れると上手く生きれるのかもだけど、描きたい絵しか描かないひともかっこいい。

0
2023年10月08日

Posted by ブクログ

自分の顔をまじまじと見る勇気。それを作品として他者に送れる。そういった感覚が無いので読んでて良い体験になりました。

0
2023年08月23日

「小説」ランキング