あらすじ
この著者にしか描けない、沖縄と美術の物語!
終戦後の沖縄。米軍の若き軍医・エドワードはある日、沖縄の画家たちが暮らす集落――ニシムイ美術村に行きつく。
警戒心を抱く画家たちだったが、自らもアートを愛するエドは、言葉、文化、何よりも立場の壁を越え、彼らと交流を深める。
だがそんな美しい日々に影が忍び寄る――。
実話をもとにした感動作!
「原田マハ氏は、小説家の優れた才能と人間的な温かさにより、どんなに善意の人間であっても、理解できない事柄があることを明らかにした。私は日本人が書いた沖縄をテーマとする小説で『太陽の棘』がいちばん好きだ。」
――佐藤優(解説より)
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Posted by ブクログ
「屋根でも、垣根でも、飯でも、何か創ってさえいれば、おれたちはご機嫌なんだ。なんにもなくなったんなら、
また創ればいい。それだけさ」
本当にたくましい。物資不足でも、
台風に村を吹き飛ばされても、明るく創作を続ける。
創ることから、生きる原動力を見出すことができる。
人間だけが持つ強さだなあ。
ニシムイの人たちのために、
砂糖や小麦粉を都合してくれる食堂のナビー。
危険とわかっていても、
米軍基地にエドの自画像を渡しに走るタイラ。
守衛に殴られたタイラを追い返さず診てくれた
エセックス院長。ヒガの眼の治療も引き受けてくれた。
メグミがバーに勤めざるを得ない事情を察し、
俺も絵を買う、と不器用ながらも約束するジョン。
現実は厳しいことも沢山あるし、
こんなに甘くないとわかってはいるけど、
やっぱり、沖縄の人とアメリカ人が助け合っている
こうした優しいエピソードが好き。
アートをはじめ、文化はいろんなものを飛び越えて、
人と人を繋いでくれるすごい力がある。
ヒガが少佐に無理強いされてメチルアルコールを飲み
目がおかしくなってしまったところは、本当に悔しい。
やっとヒガの絵を認めてくれる人が現れて、
アルコール依存から脱して復職して、
これからだったのに。ヒガの惨状をみてニシムイを
飛び出し、少佐をボコボコにしたその夜から、
翌朝までずっとニシムイの画家たちが心配して
ゲート前で待っていたと知ったときは
涙が止まらなかった。
最後、ウィルソンにも帰国命令が出され、
ニシムイに積極的に通っていた二人ともが居なくなる。
でもウィルがお別れのときに、「おれも、
ようやく行ってみる気になったよ‥ニシムイに」
そう言ったから安心した。
ウィルソンが作ったニシムイとの繋がりは、まだ続く。
タイトル「太陽の棘」は、帰りの船に向かって
ニシムイの画家たちが鏡を使って放った光のことだった。自画像を描くためにプレゼントした鏡が、
ここで出てくるとは!感動だった。
Posted by ブクログ
私は沖縄に行ったことがない。近くて遠い沖縄。日本だけど、日本ぽくない場所、沖縄。 この小説を読んで、沖縄に行ってみたいと思った。 沖縄から見る、日本やアメリカはかなり本州から見るのとは違うのかもしれない。
この小説は第二次世界大戦直後に米軍沖縄基地に派遣された若きアメリカ軍医と沖縄の地元民の交流のお話。アメリカ兵の目を通しての日本人、いや沖縄人の明るさ、哀しみや苦しみ、強さなどが繊細に描かれている。
原田マハさんの小説を読むと、最後のページを閉じた瞬間に自分の気持ちもそこで止まるのではなく、むしろそこから様々ま想いや考えが湧き出てくる。今回も、自分のアイデンディティ、戦争、さらにはこの小説が出来るに至った実話エピソードに想いを馳せた。 心あたたまるとてもいいお話でした。
Posted by ブクログ
戦後の沖縄で、アメリカ軍医と地元画家たちがアートを通じて友情を育む実話ベースの物語。文化も立場も違う者同士が、絵筆で心を通わせていく。著者が描き出す廃墟と化した沖縄の空の青と刺すような太陽の光が、痛みと希望を包括しているように感じる。
勝者と敗者、アメリカ人と日本人、そして沖縄人。それぞれの視点が交差する中で、アートが唯一の共通言語になる瞬間に何度も涙腺崩壊。優しさだけじゃない、戦争という歴史の棘もグサグサ刺さって心が痛い。
マハさんの美術系小説はやっぱりハズレなし。本の表紙になっている自画像も含めて、ニシムイコレクションはぜひ現地で見たい。沖縄行くか。