原田マハのレビュー一覧
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読み終わった。でも、原田マハの作品では、久しぶりに不完全燃焼だった。史実と虚構の入り混じった展開に、いろいろ刺激は受けた。
俵屋宗達が、『風神雷神』を描くところまで到達していない。続篇を期待したい。天正遣欧使節団が、日本に帰国したのが、1590年。天下は秀吉の時代。秀吉は、1587年7月にバテレン追放令(バテレンとは宣教師のこと)を発布していた。秀吉は、宣教師を追放したが、キリスト教を否定していなかった。それで、1591年3月に秀吉に、天正遣欧使節団は、聚楽第であっている。家康は、1612年に「禁教令」を出し、キリスト教を完全に禁止した。日本は鎖国となり、オランダとの貿易だけに限った。
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数々のゴッホに関する話で本を書いているマハさん。「わだばゴッホになる」と言って青森から上京した棟方志功。あーここにもゴッホに関係する人がいたか!と言う気持ちで読んだ。
絵描きになると決心したその日から悪戦苦闘しながらその後、板画の道に進んだ棟方志功。好きな事に没頭し、沢山の人達に助けられそして支えられて作品が認められた。
現在は閉館してしまったが、3年程前青森に行った時、棟方志功記念館に足を運んだ。あの時見た作品や弱視の為、顔を板すれすれにこすりつけ、這いつくばって作業する姿は印象的だった。没後50年。世界のムナカタの作品がこれからも受け継がれていきます様に!
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旅する女性たち。旅先で出会う人、経験、清々しくて、読んでいて気持ちの良い短編集でした。
原田マハさんが書く、女性は強くて素直で素敵。
普段は重い鎧を着て、盾と剣を持ち、社会を生きている。強い女性のようでも、完璧じゃない。
鎧を無理やりに剥がそうとするのではなくて、人との出会いが旅先の空気が自然と、彼女たち自身が鎧を脱いでいく姿がよかった。
私自身はせっかくの休みを無駄にしたくない!ってつい詰め詰めのスケジュールの旅行してしまうので、自分を解放させる、一期一会を大切にする旅をしたいなと思えた。SNSやマーケティングに振り回されたくないなぁ。 -
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原田マハさんのアートへの愛が溢れる一作。
家にいながらMETの空気やフィレンツェの温度を感じられる美術館好きには持ってこいの一冊。
美術に関わる者と、それぞれにとって大切な1作をめぐる物語が収録されているが、その者の背景や真実が全て明かされるわけではない。
ただ絵画において作者の意図が全て明かされるわけではないように、書かれない部分がそれぞれの物語に余白を生みだしており、各章違った余韻を楽しむことができる。
もう少し若い頃に読んでいたら、腑に落ちないというかスッキリしない読後感もあったかもしれないが、今の年代で読むとその曖昧さが心地よく感じられる。
胸にささるとか、もう一度読みたいと思うほ -
Posted by ブクログ
最終章『道 La Strada』途中から、もしかしたら、と思ったことが、その通りになった。主人公の翠の確信は、僕の確信でもあったわけだ。物語によって突き動かされる感情というものは、共感によるものが大きいという。つまり、僕は大いに感動していた。
物語の締め括りの
「青田がのびやかに風になびいている。午後の日差しに白々と輝いて、道はどこまでも続いている」
を読み終えて、その文章の情景が、ブワッと一気に脳裏に描き出された。
イメージが共感、実感へと変化し目頭が、胸が熱くなったまま、余韻を抱きつつ解説のページを開いた。
目に飛び込んできたのは、その文章の冒頭
「また泣いてしまった」
この、ひと言だった -
Posted by ブクログ
The Modernがニューヨーク近代美術館(The Museum of Modern Art)の愛称だというのは初めて知った。勤務していたMoMAのことを東北大震災と9.11テロという災厄を織り交ぜながら、上手に描いていく手練手管はさすが。今でも福島第1原発を遺棄された場所として考えざるを得ない現状で、発災直後に福島に赴くことは、確かに被ばくを覚悟することであり、わざわざアメリカから危険を冒す必要などないと感じるのも無理からぬことと納得できる。そんな緊迫感を織り交ぜ、困難を抱える福島に生まれつきの難病を抱えながら生きるクリスティーナを描くアンドリュー・ワイエスの絵を置く構図が素晴らしい。やは