原田マハのレビュー一覧
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山田洋次監督、沢田研二主演の映画「キネマの神様」は観ていない。原田マハの小説「キネマの神様」は大好きな作品だが、原作とは全然違うという評判を聞いていたため最初から観るつもりはなかった。
驚いたことに本作は原田マハの原作に感銘を受けて映画を作った山田洋次の作品を更に原作者の原田マハがノベライズしたという、前代未聞の作品だ。
結論から言うととても面白かった。特に最後の歩がスピーチを代読するところでは涙が止まらなかった。映画の俳優をキャラクターに当てはめながら読めたのも影響したと思う。
実は私も映画が大好きだ(ゴウほど詳しくも情熱もないが)。だから映画好きが製作した映画作品は大好きで、一番好きな映画 -
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冒頭にあるカラー図版が豪華です。
原田マハさんの、アートや画家に対する愛情が
ひしひしと伝わってくる本でした。
中でも、パブロ・ピカソに対する思い入れは格別なのかなと感じました。
「暗幕のゲルニカ」を読んでみたくなりました。
初めて知る画家や作品もありました。
特に心に残ったのは、フリーダ・カーロ。
彼女の人生を知って、今回取り上げられている絵画を見ると、なんとドラマチックなんだろうと思わされます。映画や小説になってもおかしくないくらいです。
また、「セザンヌ夫人」も印象的でした。
素敵な夫婦像が浮かびます。
ほとんどが海外にある美術館所蔵の作品なので、ちょっとそこまで、と気軽に見るこ -
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二人の会話を読んでいるうちに、美術館に行きたくなる。
講義や細かい解説の形ではなく、この本で教養が深まるというよりは、自分であれこれ妄想を広げながら楽しみを見出すきっかけをくれる本だった。
作品自体についての妄想に留まらず、画家同士が実はこのタイミングで出会っていたかも、こんな話をして、影響をうけていたのかも?という妄想、自分が美術館をつくるなら、、? そうやって好奇心を次々と刺激されて新しい知識も増えていくんだろうなと思った。
メジャーな作品や巨匠にも、有名になるまでの物語があるし、日本ではあまり知られていないアーティストの中にも素晴らしい人がいる。知識があってもなくても、あなたの目で -
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読む前は、明るく温かい雰囲気の話かと思ったが、登場人物全員訳アリ。それぞれに壮絶な過去を持つ人々が"尽果(つきはて)"という土地に流れつき、徐々にその過去が明らかになっていく。
それぞれの過去は重たく到底受け止めきれないようなことばかりだけど、一貫して温かいイメージを与えてくれるのは登場する四季折々の素材を使った和食料理。
やりきれない経験をしている人たちが集まり、それぞれに事情があるとわかっているからこそお互い踏み込みすぎない。そっと見守る。だけど無関心なわけではない。どこかに感じられる人柄の温かさ。
一面に咲く菜の花や真っ青な海、色づく紅葉や降り積もった雪など、四 -
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僕にとってのいい小説とは、読後の余韻が長く続く小説だ。この小説は読後の余韻に十分浸れる。
時代は16世紀の末、遣欧使節の一員としてローマに向かう俵屋宗達。16歳の少年たちの渡欧というある種の”冒険”をみずみずしく描く。
ローマで宗達が見たシスティーナ礼拝堂の「天地創造」、サンタ・マリア・デッレ・グラッツィエ教会の「最後の晩餐」。
宗達が「天地創造」や「最後の晩餐」などの名画に出会ったときの描写がいい。
「いっさいの言葉を奪い去られて、ただただ、涙を流していた」
「絵とは、ただ、目に見えるものをそのまま画紙や画布に描き写すだけのものではない。絵師の思いが込められた絵こそ、まことに見る者の心を -
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ネタバレ飛行機も新幹線もない時代、東の果ての果ての国、日本と西欧が「出会う」ことは奇跡的なことであった。
なにもかもが異なる二つの土地が美を愛でる心を通して結ばれていくところに、アートの偉大さを感じた。
現代では交通機関が整備されたり、インターネットが普及したりして、「出会い」は昔に比べると想像もつかないほどに広がった。そのせいで1つ1つの「出会い」に対する感動や興奮は小さくなってしまったように思う。
「目の前に、ひとつの絵がある。それは、いつの時代にもその絵を愛し、守り、伝えようとした人がいた証にほかならない。」
作中にあった言葉である。
「出会い」がありふれた現代において、私は人に限らず、あらゆ