あらすじ
モダン・アートの聖地、ニューヨーク近代美術館――MoMA。ピカソ、マティス、ルソー、ワイエスなど20世紀絵画の巨匠たちの作品が綺羅星のごとく並ぶこの美術館を舞台に、アートを愛するさまざまな人の夢や苦悩、人生の決断を描く。アート小説の名手たる著者の真骨頂にして、もっとも都会的な短編集。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
原田マハさんの書く文章が、スッと胸に入ってくる感じがして、好き。
MoMAは行ったことがないけど、絶対行こうと思った。
最近涙脆く、「中断された展覧会の記憶」と「新しい出口」で泣きそうになった。
心があったかくなる話。好きな本に加わった!
Posted by ブクログ
MoMAで働く人たちの短編集。
MoMAの歴史を垣間見る事ができてとっても面白い。
大好きな暗幕のゲルニカに繋がる話もあってわくわくした。
相変わらず美術の知識が圧倒的に足りないのでググりながら読んでる笑
原田マハ作品をスラスラ読めるぐらい美術の知識を増やしていきたいし、原田マハ作品で登場する世界各地を見てまわりたい。
Posted by ブクログ
MoMAという美術館を根幹にした短編集。ゲルニカの成り立ちは知っていたけれど、それがMoMAに保護されていたというお話を初めて知った。最初にある福島の話は色々思うことがありすぎて複雑だった。あの頃はすべての娯楽が停止してしまっていたなあ、と思い出した。今でも被災して大変な地域もあるし、そこの施設はもっと苦労しているだろう。そんな美術館の裏側も読み取れて面白かった。全体的に短いので、さらっと読みたい人におすすめしたい。
Posted by ブクログ
MoMAに初めて行った時は衝撃を受けたことを思い出した。
あんな美術館が身近にあっていつでも行けるニューヨーカーが羨ましい。
この本を読み出そうと、持って行った行先が大山崎美術館で、ちょうどアンドリュー・ワイエス展をやってて、すごい偶然に鳥肌が立った。
一章目の「クリスティーナの世界」の話はすごく切なくて涙が出た。
大地震やテロ、戦争を前にし、アートは人間が生きるのに最低限必要なことではないけれど、だからこそアートの力を感じる。
人間を人間たらしめているのはアートなのだと思う。
私はアートの力を信じている。
Posted by ブクログ
キュレーターや作家だけでなく、警備員など様々な人が美術に携わっているんだなと実感できる本でした。
短編集で読みやすく、他の原田マハ作品の登場人物も出てくるので、原田マハファンにもオススメですし、まだ原田マハを読んだことがない人の最初の一冊としてもオススメです。
Posted by ブクログ
The Modernがニューヨーク近代美術館(The Museum of Modern Art)の愛称だというのは初めて知った。勤務していたMoMAのことを東北大震災と9.11テロという災厄を織り交ぜながら、上手に描いていく手練手管はさすが。今でも福島第1原発を遺棄された場所として考えざるを得ない現状で、発災直後に福島に赴くことは、確かに被ばくを覚悟することであり、わざわざアメリカから危険を冒す必要などないと感じるのも無理からぬことと納得できる。そんな緊迫感を織り交ぜ、困難を抱える福島に生まれつきの難病を抱えながら生きるクリスティーナを描くアンドリュー・ワイエスの絵を置く構図が素晴らしい。やはり原田マハさんの絵にまつわるお話は面白い。読み終わって「フクシマ近代美術館」は実在しないと知り、舞台も作って話を作り上げるこの短編にますます感じ入ってしまった。
Posted by ブクログ
久しぶりにマハさんに帰ってきました。
やはり、私はマハさんのアート小説が
好きなんだなというのが読後の実感でした。
マハさんの作品を読む時にはいつもそうしているんですが
「クリスティーナの世界」や「アヴィニョンの娘たち」など
作中に登場するMoMAの収蔵絵画の画像を
眺めながら読むのが楽しいんですよね。
すると、
展覧会ディレクターやセキュリティースタッフ、キュレーターなど
MoMAで働く人々がアートに傾ける思いというものを
より深く想像することができました。
あ、最終話に登場する日本人研修員のモデルは
マハさん自身なんだろうなと思いました。
また本作では、
ニューヨークの9.11や東日本の3.11が
人々に与えた影響にも触れられていて、
だからこそ、
アートが人々の心の支えになり
癒しにもなることを改めて考えるのでした。
途中、『楽園のカンヴァス』や『暗幕のゲルニカ』を
彷彿とさせるようなエピソードに気付いた時には
マハさんの作品を読み繋いできたからこその喜びに
思わずクスッとなるのでした。
Posted by ブクログ
ニューヨークにある美術館が舞台の話。
なんとなくのイメージだけがあった。
2011.3.11
最初に目に飛び込んできた数字。
これはあの地震の日の話?
読み進めると原田マハの世界に引き込まれた。
Posted by ブクログ
余暇や出先ではいつもカバンに文庫本を持っていくことにしていますが、ここ最近は常に原田マハさんの本です。年を重ねるごとにアートや美術館の面白味や楽しみ方がぼんやり掴めてきた自分にとっての水先案内人になってくれる本ばかりです。
自分も20年ほど前にニューヨークに1人旅行をし、MoMAにも行ったものの、何をみてどう感じたかの記憶がごっそり抜けてしまっているのが残念です。
この本と出会えたことでもう一度ニューヨークに、MoMAに行こう!という気持ちになれました。
Posted by ブクログ
MoMAにまつわる短編集。
ひとつひとつはかなり短いですが、全部よすぎた!
うるうるしてしまいました〜...
MoMAはモダンアートのパイオニアとして、アートの可能性を広めた立役者なのだとしみじみ感じました。かっこいいなぁ。
アートの素晴らしさをまた原田マハさんに教えてもらっちゃったな。
アートって偉大だなあと改めて実感!
とりあえずMoMAにめちゃくちゃ行きたくなっちゃった!絶対に行きます!
Posted by ブクログ
M o MAで働くひとを一人ずつクローズアップして、その物語が展開される。美術館や美術にかかわっている人の思いが短編にまとめられて、全体で繋がって読後感はとても良かった。
Posted by ブクログ
原田マハさんが一番得意とする、ニューヨークの現代美術館(MOMA)にかかわる人たちを題材とした短編集。美術小説といえば原田マハさん、読みやすさはさすが。
著者自身がMoMAにいたころの経験がふんだんに活かされていて、とてもリアルである。年代は様々で、2001年貿易センタービルのことや、2011年の東北の地震のこと、美術館がクイーンズへ一時移転していた頃の話、MOMAの扱う重要な絵画について、など、いろいろ興味深くて引き込まれる。
一方、原田さんの著書をたくさん読んできた人には、ややお腹いっぱい感がある。彼女の作品を読んだことがなくて、長編を読む前に軽く読んでみたい人にはお勧め。
Posted by ブクログ
MoMA(ニューヨーク近代美術館)で働く人たちの短編集。
原田マハさんの他の作品(楽園のカンヴァス、暗幕のゲルニカ)で出てきた登場人物に出会えて、嬉しかったです。
原田さんの作品のおかげで、MoMAにも興味を持ち、2024年にニューヨークに行った際に、MoMAを訪れました。原田さんに感謝です。
Posted by ブクログ
やはり印象に残ったのは一番最初の『中断された展覧会の記憶』
ああきっと、世界中の人たちが日本に対してこう思っていたんだろう、大なり小なりこんなことが繰り広げられていたのだろうと、なんだか胸をギュッとされた気持ちで読んでいた。ラストで少しうるっとしてしまった。
『新しい出口』でも同僚を9.11で失った女性が主人公でPTSDに苦しんでいる。こちらもきっとアメリカにたくさんいるのだろう、と思いながら読んだ。
このお話にはあれ?見たことある名前が出てくる、と思ったら「楽園のカンヴァス」と繋がっていて同じ世界!ちょっとにやっとした。
Posted by ブクログ
原田マハさんの作品が初めてだったので短編から。
MOMAに関わる人々にスポットをあてて、それぞれに抱えている思いが感じられてよかった。近々絵画を見にいきたいなあ。
Posted by ブクログ
アーティストを深掘りする話が好きなため、最初は少し物足りなさを感じたが、読み進めるにつれ、過去作に出てきた登場人物が登場したこともあり、引き込まれた。
美術館に仕事として関わる人に対する理解が深まった。特に展示をつくる過程は興味深く、次回美術館に行く際は、作品の並びにも注目したいと思った。
Posted by ブクログ
わー、なんてかっこいい短篇たち
ニューヨーク近代美術館—MoMAを舞台にしたアートに生きる人たちの物語。
「アメリカの美術業界のヒエラルキー、キュレーターたちの恐るべきエリート意識」を垣間見ながら、私の知らない世界をワクワクと楽しみました。
企画展の大変さ、
絵画作品を貸し出したり借りる大変さ、
アートに関わる仕事の大変さ。
これから企画展に行ったときは、企画からここに至るまでの苦労と、ここでその作品を見ることができるということに感謝して味わおうと思います。
Posted by ブクログ
短編集なのでサラッと読めましたが、テーマ自体は少し重めのものが多かったです。
ただそれぞれの物語がMOMAという場所を通して緩く繋がっていて、温かみを感じさせてくれるような雰囲気が素敵でした。
前向きな気持ちになれる。
「ロックフェラー・ギャラリーの幽霊」のSF感が新鮮で好きでした。
Posted by ブクログ
美術館は、一体何を大切にするべきなのか?キュレーターとは、具体的にどのような活動を行う存在なのか。原田マハは、2000年に美術館のキュレーターとしての経験を生かし、ニューヨークの近代美術館MoMAに半年間派遣された。この作品は、その彼女の体験を通じて描いたものである。
舞台は、ニューヨークの中心地、マンハッタンに位置する近代美術館MoMAである。この美術館は、1920年代から「ザ・モダン」と称されるモダンアートの殿堂であり、近現代美術や工業デザインを幅広く収集している。20世紀以降の美術の発展と普及においては、非常に大きな貢献を果たしてきたといえる。作品は、五つの短編集から構成されており、それぞれが独特の視点を持っている。『中断された展覧会の記憶』『ロックフェラー・ギャラリーの幽霊』『私の好きなマシン』『新しい出口』『あえてよかった』というタイトルが、それぞれの物語の内容を示している。
『中断された展覧会の記憶』では、福島第一原発のメルトダウンという現実が描かれ、その危険性が全く周知されていない状況が前提となっている。そのような厳しい現実の中、福島の美術館に美術品であるアンドリュー・ワイエス作の『クリスティーナの世界』を貸し出すことが本当に適切な選択であるのか、という疑問が提起される。この「中断された」という表現には、強い意味が込められており、ある一面では日本が鈍感にさせられているのかもしれないということが浮かび上がる。
次に『ロックフェラー・ギャラリーの幽霊』では、MoMAのピカソの展示室に現れる一風変わった青年について語られる。彼にまつわる監視員のスコット・スミスの目を通して、その青年がどんな存在なのかが示される。青年は「病弱で、家にこもりがちなインテリタイプの男」であり、やがて初代館長となるアルフレッド・バーであることが描写される。彼が目にするのは、ピカソの名作『アヴィニョンの娘たち』や『鏡の前の少女』である。
『私の好きなマシン』では、ベアリングに対する特異なこだわりが紹介される。モダンアートは日常生活から生まれてくるものであり、インダストリアルデザイナーのジュリアの視点が描かれている。ジュリアのメンターであるアルフレッド・バーは「生活に役立つものは美しい」という考え方を持っており、工業デザインをアートとして扱うMoMAの努力が、ミッドセンチュリー・デザインやスティーブ・ジョブズのデザイン哲学と繋がる過程が綴られる。このようなアメリカ企業のデザイン重視の姿勢も、彼の提唱によって影響を受けている。
『新しい出口』では、マティスとピカソの友情、そして学芸員との別れが描かれ、芸術と人間関係の微妙な交錯が浮き彫りになる。この物語は『ジヴェルニーの食卓』につながる。
最後に『あえてよかった』では、美術館のデザインストアのウィンドウに展示された、日本に関連する思いがけないエピソードが紹介される。原田マハは、専門的かつわかりやすい視点から、芸術の面白さを伝えつつ、MoMAの背景や歴史、収蔵された作品の魅力について深く掘り下げている。
その結果、一つのことが明らかになる。MoMAに実際に行ってみたくなるのである。ピカソの『アヴィニョンの娘たち』や、ゴッホの『星月夜』、さらにはゴーギャンの作品に直面することで、何か新たなインスピレーションが生まれてくるのではないかと感じるのだ。そこで守り神のような存在として描かれるユーレイにも会いたい、そんな願いも芽生える。原田マハのキュレーター時代の経験を描いたこの作品『モダン』、あえて良い体験だったといえるだろう。
Posted by ブクログ
生活になくても大丈夫だけど、人生を豊かにしてくれる芸術。ある人の考え方や生き方をも変える強い力を持つ作品との出会いは、尊いものだと改めて思いました。美術に疎い私でも、聞いたことある絵が出てきて嬉しい。いつか生で見てみたいな…
Posted by ブクログ
ー美術を愛する人なら一度は夢見る美術館で
マハさんの美術への引力は物凄い。
とにかく、いつか生で絵を見てみたい、作者の見た世界を知りたい、とどの本を読んでもそう思ってしまいます。
私自身、マハさんの本でいつかMoMAに行ってみたい!!という気持ちが生まれ、なかなかニューヨークまで絵を第一に行くなんてまたそんな熱量が自分にあるかしら?と思いつつも、ずっと憧れの美術館です。
マハさんの文章で急に、「あまりよく分からない」と思っていた現代美術の絵画が鮮明にメッセージを訴えてきているように感じて、実際に絵を前にしたらそのメッセージを受け取れるんじゃないかと思ってしまいます。
この本はMoMAに行ってみたいと思ってる人にはわくわくが止まらない1冊です。
いつかマハさんの講演会なども行ってみたいなあ。
Posted by ブクログ
読みやすい短編集。ニューヨークのMoMAが舞台。
メジャーなアーティストや作品が数多く登場する。それぞれの作品を検索しながら読み進めた。個人的には「私の好きなマシン」がお気に入り。機能的だからこそ美しいという捉え方に納得した。この本読み終わった時にちょうど新幹線が目の前を通過して、「まさにこれだ!」ってなった。
Posted by ブクログ
全てMoMAで起こった出来事であるので、短編集でありながら登場人物が重複している部分があるところが面白かった。「新しい出口」では、楽園のカンヴァスで登場したティム・ブラウンが登場してきたので、懐かしい気持ちになった。
1番好きな話は、「あえてよかった」。他の話と比べて美術的観点は少ないが、話として綺麗だったし、仕事の姿勢も好きだった。