原田マハのレビュー一覧

  • まぐだら屋のマリア

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    読む前は、明るく温かい雰囲気の話かと思ったが、登場人物全員訳アリ。それぞれに壮絶な過去を持つ人々が"尽果(つきはて)"という土地に流れつき、徐々にその過去が明らかになっていく。

    それぞれの過去は重たく到底受け止めきれないようなことばかりだけど、一貫して温かいイメージを与えてくれるのは登場する四季折々の素材を使った和食料理。

    やりきれない経験をしている人たちが集まり、それぞれに事情があるとわかっているからこそお互い踏み込みすぎない。そっと見守る。だけど無関心なわけではない。どこかに感じられる人柄の温かさ。

    一面に咲く菜の花や真っ青な海、色づく紅葉や降り積もった雪など、四

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    2025年04月20日
  • 風神雷神 Juppiter,Aeolus(下)

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    僕にとってのいい小説とは、読後の余韻が長く続く小説だ。この小説は読後の余韻に十分浸れる。

    時代は16世紀の末、遣欧使節の一員としてローマに向かう俵屋宗達。16歳の少年たちの渡欧というある種の”冒険”をみずみずしく描く。

    ローマで宗達が見たシスティーナ礼拝堂の「天地創造」、サンタ・マリア・デッレ・グラッツィエ教会の「最後の晩餐」。
    宗達が「天地創造」や「最後の晩餐」などの名画に出会ったときの描写がいい。
    「いっさいの言葉を奪い去られて、ただただ、涙を流していた」
    「絵とは、ただ、目に見えるものをそのまま画紙や画布に描き写すだけのものではない。絵師の思いが込められた絵こそ、まことに見る者の心を

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    2025年04月19日
  • 風神雷神 Juppiter,Aeolus(下)

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    ネタバレ

    飛行機も新幹線もない時代、東の果ての果ての国、日本と西欧が「出会う」ことは奇跡的なことであった。
    なにもかもが異なる二つの土地が美を愛でる心を通して結ばれていくところに、アートの偉大さを感じた。
    現代では交通機関が整備されたり、インターネットが普及したりして、「出会い」は昔に比べると想像もつかないほどに広がった。そのせいで1つ1つの「出会い」に対する感動や興奮は小さくなってしまったように思う。 
    「目の前に、ひとつの絵がある。それは、いつの時代にもその絵を愛し、守り、伝えようとした人がいた証にほかならない。」
    作中にあった言葉である。
    「出会い」がありふれた現代において、私は人に限らず、あらゆ

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    2025年04月19日
  • 異邦人

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    異邦人とはなんぞやと考えさせられる多面的なテーマの本
    長編で冗長に感じた矢先、急に展開が変わり…
    色鮮やかな文体と芸術という題材が上手く合ってる
    絵画に自身の全てを捧げる生き様が素敵だった

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    2025年04月21日
  • 風神雷神 Juppiter,Aeolus(下)

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    すごい。としか言いようがない。
    日本史の授業で絶対耳に残っている、原マルティノ、千々石ミゲル…遣欧使節団のメンバーの名前だ。
    彼らの話と、風神雷神を描いた俵屋宗達をこんなふうに結びつけ、まるで自分もローマに向けて旅をしているような気持ちになる物語になることに驚きだ。
    原田マハここにありという内容だった

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    2025年04月17日
  • 風神雷神 Juppiter,Aeolus(上)

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    江戸時代初期の絵師、俵屋宗達をモデルにした壮大な歴史小説。
    その代表作「風神雷神屛風」は京都国立博物館で見ることができるのだろうか?

    この絵を14歳の彩が見た際の描写。
    「宗達の絵は光を放っていた。強烈な磁力も。彩は一気に引き込まれて、しばらく動くことすらできなかかった。天上の光に包まれて」
    こんな風に描写されると、どんな絵何だろうと実物を見たくなる。

    1582年、天正遣欧使節は、3年を費やしローマを訪問。ローマ教皇と謁見を果たす。
    上巻は、宗達を含めた天正遣欧使節が海路にてローマを目指す苦難の途上で幕を閉じる。

    時に宗達は、彩が「風神雷神屛風」を初めて見た時の年齢と同じ14歳。
    今の時

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    2025年04月13日
  • デトロイト美術館の奇跡(新潮文庫)

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    短編で読みやすく、デトロイト美術館に関する史実を元にしているため、物語がとてもリアルでイメージしやすかった。人々が思う地方や町全体における美術館に対する考え方が書き写されており、また末尾の対談でも語っていた通り現地の人に実際にインタビューしていたため、彼らの思いがダイレクトに伝わってくる文章だった。また、美術館は心の拠り所であるべきなような、精神的な部分としても存在しているんだなと感じた。
    絵ではなく、美術館と街、そしてそこに住む人々を題材にした本は珍しいなと感じるとともに、絵画に対する新たな見方が生まれて面白かった。

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    2025年04月11日
  • 星がひとつほしいとの祈り

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    一遍ずつ書いていきます。(故に評価は最後)

    椿姫「3.0」
    男の子凄いね。大人と子供の違いって、「責任感」の有り無しで自分は区別しているので、それがある少年は少なくとも大人だなと感じた。
    よって、主人公、主人公を妊娠させた男、少女はまだ子供だと感じた。
    最後の主人公が男の子の肩に安心したように頭を預けたのは、一瞬の安心を求めてそうなったのかな。

    夜明けまで「4.0」
    この物語を読んで夜明けっていうタイトルから
    連想する言葉は「希望」「安心」「帰るところ」ってワードかな。軽自動車に乗って山道をヒカルと一美が陽気に楽しんでいるシーンと、村落の自然と一体化するような雰囲気がとても好き!

    星がひ

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    2025年05月07日
  • 丘の上の賢人 旅屋おかえり

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    前作よりもドラマチックかなと。おかえりさんの葛藤と依頼者の話の展開が気になりどんどん読み進められました。

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    2025年04月07日
  • 妄想美術館

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    原田マハさんの作品はいくつも読んでいるし、ヤマザキマリさんは講演を聴きに行ってほんとに面白かった記憶があり、大好きな2人の対談のため購入。

    2人とも美術マニアなんだけど、着眼点が違うというか、「そういうモノの見方をするのか」というのが面白かった。

    例えばヤマザキマリさんのウッチェロの話で、「遠近法や理系で物を考えすぎて幾何学模様を絵に入れてしまう」みたいな彼の人となりから美術に反映される考察とか、原田マハさんの風神雷神図屏風で「作者の俵屋宗達はルネサンスを見たに違いない!」という仮説の妄想から歴史を調べて小説ストーリーを作るみたいなのは自分にはできない思考。

    作品だけを見るのではなく、そ

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    2025年04月06日
  • まぐだら屋のマリア

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    よくある、正体不明の食べ物屋さんに心疲れた人が行くと、元気になる何かを出してくれる癒し系かと思ったが、もう少し切ない物語でした。

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    2025年04月06日
  • まぐだら屋のマリア

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    子にとっていつでも帰れる場所があるのはとても幸せなことなんだなと思った。
    まぐだら家で紫紋が作った料理食べてみたいなあ。

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    2025年04月06日
  • モダン

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    MoMAにまつわる短編集。
    ひとつひとつはかなり短いですが、全部よすぎた!
    うるうるしてしまいました〜...

    MoMAはモダンアートのパイオニアとして、アートの可能性を広めた立役者なのだとしみじみ感じました。かっこいいなぁ。

    アートの素晴らしさをまた原田マハさんに教えてもらっちゃったな。
    アートって偉大だなあと改めて実感!
    とりあえずMoMAにめちゃくちゃ行きたくなっちゃった!絶対に行きます!

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    2025年04月05日
  • 旅屋おかえり

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    旅はいいね。
    割と最近、記憶に残る家族旅をしたばかり。
    沁みました。
    行きたい気持ちと体力が、
    いつまで折り合いつけられるかなー。

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    2025年04月05日
  • フーテンのマハ

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    気になるエッセイだった。自らフーテンと称するように旅を栖とするような生活が羨ましい。また、著者はアートを仕事に、そして作家となってからは実益を兼ねた趣味にしている。著者の小説は『まぐだら屋のマリア』だけが既読だが、西洋美術にキリスト教をモチーフにしたものが多く、その作品にもアートの影響があったのだなー。自分は一人旅派ではあるけれど、親友であり、旅の友でもある御八屋千鈴さんとの旅の様子も良いな~と思う。

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    2025年04月05日
  • サロメ

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    ネタバレ

    オーブリー・ビアズリー展でこの本を購入した。

    「酷い英訳だったが挿絵が好評で売れた」の裏側。

    今の自分と重なる点からいえば、強い愛情と正義、自己実現の執着を以て、愛情の対象を破滅させ得る。

    物語としては解説の中野さんがよく良い射ており、"2人の天才を追いかけるうちに自身が化け物のようになっていった"がしっくり来る。
    最後は怒涛だった。
    深い愛を持って弟の安全を願った、自身のキャリアを望んだ姉が弟を含む3人を突き落とした。
    病気で長くないことが分かっていた弟のその後の仕事を思えば良い結果だったのか、弟が熱望した未来を壊したことが何よりの不幸なのか。
    弟に信頼された姉の愛

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    2025年04月04日
  • 暗幕のゲルニカ(新潮文庫)

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    前〜に読んて登録もしていた原田マハさん。
    星付けてなかったので改めました。

    過去と現在が行き来して話が進む中、実在した(するであろう)人物もいるので、これ、どこまでが事実なんだろう?と美術関係全く無知な私には引っかかる事も多かったです。

    原田マハさんを読み始めて最初の絵画中心の物語。重厚で、その熱意と知識量に圧倒されっぱなしで読み終えました。
    これからも絵画中心の作品は手にとりますが、(実際に積読書有り)ついていけるかな、と少し不安になるくらい圧倒された作品でした。





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    2025年09月23日
  • サロメ

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    東京三菱一号館美術館で行われていた、ビアズリー展の購買コーナーで売っていたので購入。
    展示会に行ったからこその出会いだと思った。あっという間に読み終わった。フィクションとノンフィクションの淡いを描くのが上手い原田マハ、作家を知らなくても楽しいし、知った上で見てもフィクションへの乗せ方に感動する。やはりある程度の教養があることが大事だと思った。

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    2025年04月03日
  • 奇跡の人 The Miracle Worker

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    非常に良かったのだが、最初にヘレン・ケラーとサリバン先生の物語をなぞったものと知ってしまったので、ちょっと感動が薄れてしまった。主人公達の名前も去場安(サリバアン)、介良れん(ケラレン)と寄せすぎのように思う。
    ヘレン・ケラーが最初に文字を憶えた「水」はいつ来るのかと待ち構えてしまった。途中の大変な苦労も良く分かったが、何故、奇跡の人と呼ばれたかの後日談が端折られてしまったように思う。人間国宝となった瞽女の苦労ももっと知りたかった。

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    2025年04月01日
  • 〈あの絵〉のまえで

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    一作品毎に、実在する美術館と、その物語のテーマにつながりシンクロする絵画が一つづつ登場し、小説の世界観を見事に作り上げる短編小説集。その絵を見ながら読むと、より作品を楽しめる。

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    2025年03月30日