あらすじ
「美しさ」は、これほどまでに人を狂わすのか。たかむら画廊の青年専務・篁(たかむら)一輝と結婚した有吉美術館の副館長・菜穂は、出産を控えて東京を離れ、京都に長逗留していた。妊婦としての生活に鬱々(うつうつ)とする菜穂だったが、気分転換に出かけた老舗画廊で、一枚の絵に心を奪われる。強い磁力を放つその絵の作者は、まだ無名の若き女性画家だったのだが……。彼女の才能と「美」に翻弄される人々の隆盛と凋落を艶やかに描く、著者新境地の衝撃作。解説:大森望
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Posted by ブクログ
久しぶりのマハさん!
PHP文芸文庫15周年のスペシャルカバーに
なっていたので唯一持っていなかったこちらを
入手しましたがずっと気になっていたので
一気読みでした!
やっぱり!マハさんは天才!
序盤こそ緩やかに進んだ物語が中盤以降どんどん
進みハラハラしたり、時に嫌悪したり
(登場人物がクズすぎた、笑)
京都を舞台に展開される美術小説だと
思いましたが読み進めると、京都小説のような
夫婦小説のような、ミステリーっぽくもあり
ラストそう来たか!と。
マハさんの文章に引き込まれていって
毎回ですが寝不足になります。
アート小説ガチガチではないけど読後感は
スッキリとしました。
未読のマハさん本はあと数冊になってしまい
読むのが段々惜しくなってしまいますが
マハさんの本なら繰り返し読みたい。
そう思える数少ない作家さんでもあります。
Posted by ブクログ
この本は川端康成さんの『古都』をお手本に書かれたそうです。設定とか、いろいろ『古都』。出来れば『古都』→『異邦人』の順に読んで欲しいな。異邦人(いりびと)は京都生まれではない京都に住む人のことらしい。
主人公は30代の菜穂。祖父が設立した美術館の副館長で美術品を見抜く目を持ってる。夫の一輝は銀座の老舗画廊の跡取り。赤坂で幸せに暮らしていたところに東日本大震災が起きる。原発事故を恐れた菜穂は京都に身を寄せることになって、、、新人の画家に出会ったり、信頼していた人に裏切られたり。。。
菜穂のお母さんが気持ち悪かった。
若い男性に色目を使うおばさんにここまで嫌悪感抱いちゃうのはなんでだろ?
とある問題がどう解決するのか気になって後半は一気読みしました。
Posted by ブクログ
初マハ。京都本大賞ということで買ってみたんだが、こんなにも面白いものを描く作家なんだとビックリした。何故今まで敬遠していたのか…昔の自分を殴りたい。笑。
初めて美術小説なるものを読んだ——。
京都を舞台に有吉菜穂と、どこか官能的ですらある無名の画家・白根樹の関係がなんとも言えず良い。「美」と「醜」とは表裏一体なのかも知れませんね…。
また京都の四季移ろいなんかもあり、隅々まで「美」を感じました。
今までにない読書体験で新鮮かつ、後半の展開にはミステリーばりの衝撃を受けました!!
P.S.ちょっとゲスイ話になってしまいますが、一輝と義母・克子との妖しい関係もスリリングで作品のよき(?)アクセントになってて個人的には好きでした。笑。
「美」というのは人間に創り出せても、本当の意味で理解することは出来ないのだとわたしは感じました。
Posted by ブクログ
京都の景色がありありと頭に浮かんで、のんびり鴨川を眺めた旅行を思い出した。菜穂があまりに自立していて共感はできなかったけど、日本の文化を学びたくなる。樹の過去が苦しくて、当たり前だけど全員がしあわせになる未来なんてないのかな、と思ったりした。
Posted by ブクログ
お互いを大切に思っていたはずの2人が別居を境にどんどん行き違ってしまう。
裕福な家庭に育った2人の宿命だと諦めるしかないのか。
読後感はスッキリしないが、全てを飲み込んで何もなかったことにはできないかなと納得できる節もあるが、、、痛々しい感情が残った。
Posted by ブクログ
今まで読んできた原田マハさんらしくない作品でした。でも、だからつまらないと言ってるわけではなくて、京都の街並みや文化と風俗を紹介しながら流れいく物語は、とっても静かに流れていきます。しかし、その裏にはドロドロとした愛憎劇が!地図を片手に楽しませてもらいました。
Posted by ブクログ
京都の描写がすごくいい。場面ごとの空気や匂いまで、ザ・京都。
静かだけど芯がある、京都という街の雰囲気が物語の中にちゃんと生きていて、読んでいて気持ちがよかった。
自分の心の声をちゃんと聞いて、そこに従って行動する。その強さがかっこよく、美しかった。
美とは、絵の中にあるだけじゃなくて、人の生き方や決断にもあるんだと、この本を通して感じた。
Posted by ブクログ
原田マハさんのエッセイを読んでから手に取った小説
ストーリーを愉しむよりも、京都を舞台にした情景が、エッセイのこの部分なのかしら?と思いを馳せながら読むスタイル
なかなか新鮮でした
Posted by ブクログ
マハさんの表現は美しく品があるなぁ。と数冊読ませてもらって毎回感じていますが、この著書も京都の街並みや登場する人物、その人が住む家屋や室内の意匠、お庭などの空気感がみずみずしく表現されていていました^^
物語の展開は後半に畳み掛けるように色んな関係性が明らかになっていくのに惹き込まれました!
Posted by ブクログ
原田マハさんの著作は数冊しか読んでいないが、その中で1番面白い。美しいものへの執着、女性の成長、京都の風情、ドラマチックな展開で飽きさせない。
Posted by ブクログ
異邦人とはなんぞやと考えさせられる多面的なテーマの本
長編で冗長に感じた矢先、急に展開が変わり…
色鮮やかな文体と芸術という題材が上手く合ってる
絵画に自身の全てを捧げる生き様が素敵だった
Posted by ブクログ
ドラマを観て以来ずっと原作が気になっていた作品。
主人公・菜穂という存在のインパクトが忘れられない。
美術館を経営する名家に生まれた菜穂。
彼女は芸術をこよなく愛し、芸術の為なら何一つ惜しまない。そして、それを見極める天賦の才をもつ。
両親には無いこの才能を祖父から受け継いだ。
そんな彼女の前に突如現れた無名の天才画家・白根樹(しらねたつる)。
彼女はその絵の虜となり、強烈にのめり込んでいく。まるで何かに導かれるように。
天才画家の背後に潜む闇。母と夫の隠密な関係。祖父と守り続けた秘密。
小さな亀裂が静かに音を立て始める。
白根樹との出会いは終わりであり、始まりだった。
主人公がもつ雅やかで奥ゆかしい雰囲気が京都の街と相まって不思議な魅力をもつ作品だった。
Posted by ブクログ
面白かった。
京都という特殊な街の魅力と、菜穂さんの妖しげな魅力がとてもうまくミックスされていた。
ストーリーもシンプルではあるものの複雑さがあり、最後までドキドキしながら読めました。
Posted by ブクログ
東日本大震災から避難するため京都にいるうちに、無名の作者の絵に魅了され、親や夫を捨てその作者と生きていくことを選択した。覚悟を決めた女性の強さが印象的だった。
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画廊経営の夫と、祖父の血を濃く継ぎ絵画を観る目が突出している妻。京都に産前休暇で来た妻はみるみるうちに京都に迎え入れられる。経営難にあとがなくなっていく夫とのコントラストが面白い。
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終わり方が微妙だった。てっきり白根樹の画壇デビューが見れると思っていたのに、一輝のことしか書かれていなくて残念だった。一輝がやったことは確かに許されることではないが、離婚をするのは呆気なさすぎるのではないかと思った。菜穂が白根樹を見つけたのは、菜穂自身の審美眼もあるだろうが血のつながった姉妹だからということもあるだろう。菜穂も樹も血は争えないのだと思った。
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画廊を経営する夫婦。
妊娠をきっかけに京都に来た菜穂。
照山の弟子である樹の才能を見出し、助けるべく奮闘する。
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Netflixのドラマもそのあと見た。
樹と菜穂が異父兄弟だと分かった時ゾッとした。
一輝がたかむら美術館存続のために菜穂のお母さんと一線を越えるとこキモかった。
樹さんの作品を見てみたい
壮絶な生をもった女性二人が出会ってしまいましたね…出会うべくして。
菜穂は、すごくワガママに描かれているけど真っ直ぐなだけで、周りで余計なことばっか考えてる母親(じゃなかったけど)とか夫がせこい。
樹さんは、とにかく不遇だったと思います。だからこそ、描けたのかもという気もします。
二人が、これから強く幸せに生きてくれますように。
Posted by ブクログ
一輝と菜穂のそれぞれの視点から交互に物語が進んでいく中で、一輝と菜穂の印象が少しずつ変わっていった。最終的には一輝クソ野郎やんの一言に尽きる。
「美」や「京都」の描写が秀逸なところと、後半は畳み掛けるように真相が紐解かれていく感じが面白かった。
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日本が舞台の美術をめぐる原田マハ作品。
忖度抜きの評価を下すなら期待は超えてこなかった。東京に根を張ってきた菜穂が大震災による原発問題を機に京都に居候することから始まる展開。
京都特有の縁故を重んじ、独特の街並みや文化、価値観に対して夫である一輝と菜穂の感じ方に徐々にギャップが生まれる構図。
小さな問題がいくつか起こり、最終的に大きな問題に直面するというストーリーは小説としては王道の展開なのだが、睡蓮売却とか倒産の危機がご都合主義のパンチ力が個人的に弱く感じてしまった。
あと、京都を意識したであろう落ち着きのある文体が逆にあまり盛り上がれなかった。
Posted by ブクログ
一輝と菜穂の視点が入れ替わり、そのせいか同じ内容が何度も繰り返されそこは飽きた(←元々連載らしいが、マハさんの小説でここまで最後にどんでん返しもめずらしく、後半に向かって楽しく読めた。
最初は菜穂がわがままで一輝が可哀想に思えていたが、菜穂が一番色んなことに耐えてきて、段々応援する気持ちになる。
京都の伝統がたくさん見られる。
たかむら画廊の息子一輝と、その妻有吉美術館の娘菜穂。東北震災で放射能から逃れる為東京から京都へ妊婦の菜穂だけ移り住む。
菜穂は京都で書家の鷹野せんに世話になり、その生徒瀬戸夫婦に出会う。画家の志村照山の弟子、白根樹(しろねたつる)の作品に魅入られ、祇園祭の屏風祭で瀬戸の町屋で彼女の作品を飾る。
有吉美術館もたかむら画廊も震災の影響もあり不調で、菜穂の承諾なしに家族が結託し祖父の時代から大切にしてきたモネの睡蓮を売ってしまう。その過程で一輝は、元々一輝に気のあった菜穂の母克子と関係を持つ。
有吉美術館はその後も不調で閉館が決まり、それも副館長の菜穂には事後報告だった。たかむら画廊経由で展示品を売却することで画廊も有吉不動産も再帰を計ろうとする。
白根樹は大家の娘で、両親の死後父のライバルだった照山の養子となる。彼に脅され本当は声が出るにもかかわらず話せなかった。
家族の不義理を知った菜穂は、京都で白根樹の個展の開催を計画。更に祖父の計らいで有吉美術館の大作10品は菜穂の名義になっていて、京都で個展を開く条件として京都の美濃山画廊と美術館への売却を提示。
東京へ戻ろうとしない一輝は菜穂へ詰め寄るが、一輝と克子の関係を逆に追及され、かつ菜穂は有吉夫婦の子供ではないことを告げる。実は祖父が芸者と作ったのが菜穂で、母は樹と同じだった。
白根樹の個展をやめさせる為閉館の有吉美術館に嘘の照山個展をふっかけるが、直前で照山は死亡。
Posted by ブクログ
ある人にとってはなんでもないような絵が、他の人にとって数億円の価値があるといわれる世界。そんな芸術界隈のお話です。
本書は京都を舞台に、美にとりつかれた人の様子を描いていますが、エスカレートしていくさまは、ある意味ホラーとして読めて面白かったです。
タイトルのいりびと※は
〈京都以外で生まれて、京都にやってきた人〉
という意味だそうで、われわれからすれば外国人という感覚なのでしょうか。
※
そういえば京都の人が、先の「大戦」といえば「応仁の乱」という冗談のようなエピソードも聞いたことがありますので、この言葉が使われていたといわれてもむべなるかな、と思いました。
Posted by ブクログ
二人の母親が祇園の舞子って無理あるな。だとしら貞操観念おかしすぎるでしょ。一人目をどこぞの社長と妊娠して、2人目を絵描きと妊娠するとか。そこまでは良かったんだけどそこで興ざめ。
Posted by ブクログ
久しぶりに原田マハさんの世界観に浸りたくなり購入。変わらずの熱量で、アートを追求する人々の人生の在り方に圧巻です。少しだけミステリー風味も香っていて面白かったです。
Posted by ブクログ
京都の情景描写が美しく、ラスト50pくらいまでは大きな展開もないまま進むにも関わらず読ませてくるのは流石。
ラストは一気に種明かしなのだけど、明かされたところで菜穂の身勝手な印象は拭えないし、ただただ一輝が可哀想だった。
いや、義母(のはずだった人)と関係を持つのは確かにあり得ないし気持ち悪い。
菜穂の感じていた疎外感もわかる。
けれどそれは自分の出生を夫にも隠し、実親でもない2人に感謝もせず、自身の審美眼だけを信じ周りを振り回してきたのだから疎外されるのも当然。
一輝だって好きであんなことしたわけではないし、、
と、モヤモヤしか残らないラストでした。
皆さん感想がそれぞれで、見る人によって全然違う印象なんだなと、興味深いです。
(ストーリーについて語りましたが、この作品のテーマは「京都」です。これ以上なく京都を正確に表現している400p弱です)
Posted by ブクログ
面白い。
さすが原田マハさんだけあって、ぐいぐい読まされる。
ただ、主人公の女性が旦那さんの考えや方針をガン無視するのは、共感出来ないところもある。
面白くない要因ではもちろんないが。。。
旦那さんが嫁の実母と浮気している部分は、全く共感出来ないが、それが主人公の女性の考えに共感出来るかどうかは別で。
なんだか変な感想になっちゃってるなあ。
Posted by ブクログ
すごいなあ原田マハさんは。今回の作品では登場人物のことを全く好きになれなかったのだけれど、スイスイ読めてしまった。なんだろうなあこの力は。私はまだ原田さんの小説を4冊くらいしか読んだことがないんだけど、この著者の本に出てくる日本人って、私が見た限りでは大体何かしらの闇は抱えつつも帰国子女だったり裕福だったりして、もちろんものすごい努力はあるんだろうけれど、田舎で外国語をゼロから始めて、習得にものすごく苦しんでる自分からすると毎度「いいなあ」と思ってしまうんだよね。今回も「持てる者」の話という面では「またかあー」と思ってしまった。一輝の苦悩とか焦ったら嫌な部分出ちゃうところは凡人ぽくてよかったかなあ。菜穂の気持ちは理解するけど、彼女は我儘すぎると感じてしまいました。でも圧倒的な審美眼を持ってるってとこにも嫉妬する。お金を持っていて、幼少期から美術の英才教育を受けていて、なんでも持ってる。こんな経験ブーストは妬んでしまう。東京の人も京都の人もみーんな気持ち悪いし、特におじいちゃんマジかよ。今京都に住んでるので、土地勘があって楽しめた。一方でパンピーには全く入れない場所の話なので勉強になりました。こういう話読んでちょっとムカついちゃうのって、成り上がりたいみたいな気持ちが自分の中にあるのかな笑 原田さんはこういうスノッブたちを批判する意味も込めて書いているのでしょうか。唯一、樹はマジ不憫だから応援したくなったけど、菜穂の樹への支配欲は怖くない?なんでこんなにみんなのこと好きになれないのにめちゃくちゃ早く読めちゃったんだろう。。面白かったんだよなあ。。。