あらすじ
「美しさ」は、これほどまでに人を狂わすのか。たかむら画廊の青年専務・篁(たかむら)一輝と結婚した有吉美術館の副館長・菜穂は、出産を控えて東京を離れ、京都に長逗留していた。妊婦としての生活に鬱々(うつうつ)とする菜穂だったが、気分転換に出かけた老舗画廊で、一枚の絵に心を奪われる。強い磁力を放つその絵の作者は、まだ無名の若き女性画家だったのだが……。彼女の才能と「美」に翻弄される人々の隆盛と凋落を艶やかに描く、著者新境地の衝撃作。解説:大森望
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Posted by ブクログ
歴史と趣のある京都の静けさが文から感じられ、題材も相まって上質で豊かなものに触れているような気分にさせてくれる小説でした。
途中までは、星5をつけたいくらいの気持ちでしたが、終盤の「そんな偶然ないでしょ」と突っ込みたくなる展開(巡り会った菜穂と樹が異父姉妹)が残念でした。
また、異父姉妹にしたことによって、菜穂が樹の絵に取り憑かれたように魅せられたのは、結局「異父姉妹だったから?」とも読めてしまいました。樹の芸術の魅力に菜穂が純粋に取り憑かれた形にした方が、アートのもつ圧倒的な力を感じる作品になったのにと残念です。
また、「実は運命だった」というような関係性を示しておきながら、最後に菜穂と樹がどうなったのかは示されず、終盤は脇役化してきた一樹の目線であっけなく終わってしまったのも、長編の小説の割にラストがあっさりしすぎであるように感じ残念でした。
Posted by ブクログ
美術に造詣の深い方とあって、登場する絵画も京都の情景描写も素敵。ただ、肝心のお話が……?
【己の美学を貫いた女性が、他の人の助けを借りながらも、しがらみを振り切って前に進んでいく話】とすれば非常に聞こえは良いんだけれども、彼女がしがらみとして捨て去った中には自分のことを少なからず考えてくれてもいた旦那もいて、自分の子で無くとも育てあげた父がいて……。
言動が、社会の事と周り(家族)が見えて無いお嬢ちゃんって感じ。著者・原田マハが述べた【強い女性】はそこにいない。いうなれば【気骨のある甘ったれお嬢様、我が道を行く】です。
姉妹が赤子を挟んで笑いあう最後も素敵なんだけれども、うーん。本当にそれで良いの?
このままなら菜穂は、成長した己の娘にしっかり怒られる日が来ると思う。
Posted by ブクログ
日本が舞台の美術をめぐる原田マハ作品。
忖度抜きの評価を下すなら期待は超えてこなかった。東京に根を張ってきた菜穂が大震災による原発問題を機に京都に居候することから始まる展開。
京都特有の縁故を重んじ、独特の街並みや文化、価値観に対して夫である一輝と菜穂の感じ方に徐々にギャップが生まれる構図。
小さな問題がいくつか起こり、最終的に大きな問題に直面するというストーリーは小説としては王道の展開なのだが、睡蓮売却とか倒産の危機がご都合主義のパンチ力が個人的に弱く感じてしまった。
あと、京都を意識したであろう落ち着きのある文体が逆にあまり盛り上がれなかった。
Posted by ブクログ
一輝と菜穂の視点が入れ替わり、そのせいか同じ内容が何度も繰り返されそこは飽きた(←元々連載らしいが、マハさんの小説でここまで最後にどんでん返しもめずらしく、後半に向かって楽しく読めた。
最初は菜穂がわがままで一輝が可哀想に思えていたが、菜穂が一番色んなことに耐えてきて、段々応援する気持ちになる。
京都の伝統がたくさん見られる。
たかむら画廊の息子一輝と、その妻有吉美術館の娘菜穂。東北震災で放射能から逃れる為東京から京都へ妊婦の菜穂だけ移り住む。
菜穂は京都で書家の鷹野せんに世話になり、その生徒瀬戸夫婦に出会う。画家の志村照山の弟子、白根樹(しろねたつる)の作品に魅入られ、祇園祭の屏風祭で瀬戸の町屋で彼女の作品を飾る。
有吉美術館もたかむら画廊も震災の影響もあり不調で、菜穂の承諾なしに家族が結託し祖父の時代から大切にしてきたモネの睡蓮を売ってしまう。その過程で一輝は、元々一輝に気のあった菜穂の母克子と関係を持つ。
有吉美術館はその後も不調で閉館が決まり、それも副館長の菜穂には事後報告だった。たかむら画廊経由で展示品を売却することで画廊も有吉不動産も再帰を計ろうとする。
白根樹は大家の娘で、両親の死後父のライバルだった照山の養子となる。彼に脅され本当は声が出るにもかかわらず話せなかった。
家族の不義理を知った菜穂は、京都で白根樹の個展の開催を計画。更に祖父の計らいで有吉美術館の大作10品は菜穂の名義になっていて、京都で個展を開く条件として京都の美濃山画廊と美術館への売却を提示。
東京へ戻ろうとしない一輝は菜穂へ詰め寄るが、一輝と克子の関係を逆に追及され、かつ菜穂は有吉夫婦の子供ではないことを告げる。実は祖父が芸者と作ったのが菜穂で、母は樹と同じだった。
白根樹の個展をやめさせる為閉館の有吉美術館に嘘の照山個展をふっかけるが、直前で照山は死亡。
Posted by ブクログ
二人の母親が祇園の舞子って無理あるな。だとしら貞操観念おかしすぎるでしょ。一人目をどこぞの社長と妊娠して、2人目を絵描きと妊娠するとか。そこまでは良かったんだけどそこで興ざめ。
Posted by ブクログ
すごいなあ原田マハさんは。今回の作品では登場人物のことを全く好きになれなかったのだけれど、スイスイ読めてしまった。なんだろうなあこの力は。私はまだ原田さんの小説を4冊くらいしか読んだことがないんだけど、この著者の本に出てくる日本人って、私が見た限りでは大体何かしらの闇は抱えつつも帰国子女だったり裕福だったりして、もちろんものすごい努力はあるんだろうけれど、田舎で外国語をゼロから始めて、習得にものすごく苦しんでる自分からすると毎度「いいなあ」と思ってしまうんだよね。今回も「持てる者」の話という面では「またかあー」と思ってしまった。一輝の苦悩とか焦ったら嫌な部分出ちゃうところは凡人ぽくてよかったかなあ。菜穂の気持ちは理解するけど、彼女は我儘すぎると感じてしまいました。でも圧倒的な審美眼を持ってるってとこにも嫉妬する。お金を持っていて、幼少期から美術の英才教育を受けていて、なんでも持ってる。こんな経験ブーストは妬んでしまう。東京の人も京都の人もみーんな気持ち悪いし、特におじいちゃんマジかよ。今京都に住んでるので、土地勘があって楽しめた。一方でパンピーには全く入れない場所の話なので勉強になりました。こういう話読んでちょっとムカついちゃうのって、成り上がりたいみたいな気持ちが自分の中にあるのかな笑 原田さんはこういうスノッブたちを批判する意味も込めて書いているのでしょうか。唯一、樹はマジ不憫だから応援したくなったけど、菜穂の樹への支配欲は怖くない?なんでこんなにみんなのこと好きになれないのにめちゃくちゃ早く読めちゃったんだろう。。面白かったんだよなあ。。。