原田マハのレビュー一覧
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原田マハさんが一番得意とする、ニューヨークの現代美術館(MOMA)にかかわる人たちを題材とした短編集。美術小説といえば原田マハさん、読みやすさはさすが。
著者自身がMoMAにいたころの経験がふんだんに活かされていて、とてもリアルである。年代は様々で、2001年貿易センタービルのことや、2011年の東北の地震のこと、美術館がクイーンズへ一時移転していた頃の話、MOMAの扱う重要な絵画について、など、いろいろ興味深くて引き込まれる。
一方、原田さんの著書をたくさん読んできた人には、ややお腹いっぱい感がある。彼女の作品を読んだことがなくて、長編を読む前に軽く読んでみたい人にはお勧め。 -
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主人公の妄想癖が暴走するやかましい小説(笑)
原田マハさんがこんなに振り切った文章を書くことに驚いた。
作中で羽生光春の書くハードボイルド小説『シャーク本郷、クールな殺し屋〈暴れ鮫〜殺意の囁き(ジュテーム)〉』はタイトルだけで笑えるし、内容もベタすぎてそっちも読んでみたくなる。
リトグラフに魅せられていく過程の描写は意外と少なく、悩みながら前に進んだり、切ない恋をしたり、仲間の心地よさを感じたりする内容だった。
みんなでドーヴィルに行く場面は青春ドラマみたいでちょっと素敵。
美智之輔は高瀬くんを純粋に想っていていいやつだったなぁ。
この小説が実際の展覧会と連動した企画だったことは驚きで、 -
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ドラマを観て以来ずっと原作が気になっていた作品。
主人公・菜穂という存在のインパクトが忘れられない。
美術館を経営する名家に生まれた菜穂。
彼女は芸術をこよなく愛し、芸術の為なら何一つ惜しまない。そして、それを見極める天賦の才をもつ。
両親には無いこの才能を祖父から受け継いだ。
そんな彼女の前に突如現れた無名の天才画家・白根樹(しらねたつる)。
彼女はその絵の虜となり、強烈にのめり込んでいく。まるで何かに導かれるように。
天才画家の背後に潜む闇。母と夫の隠密な関係。祖父と守り続けた秘密。
小さな亀裂が静かに音を立て始める。
白根樹との出会いは終わりであり、始まりだった。
主人公がも -
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原田マハさんのアート小説
画家そのものというよりは、どのような経緯で絵画が美術館に飾られ、私たちが鑑賞できるのか本当によくわかった作品である。
戦渦の中、造船業を指揮していた松方であるが、1枚の絵をきっかけに絵画にのめりこむ。「一枚の絵は軍艦一隻に相当する力を秘めているかもしれない」と思った松方は国内に美術館を造ろうとタブローを集める。戦中の混乱の中、松方の意向に共感する人たちによって命がけで守り続けられてきたタブロー。そうして現在西洋美術館で鑑賞させていただけるかと思うと頭が下がる思いだ。
「それがなくても生きていける。それがあれば人生は豊かになる。」本当にそうだと思う。日々疲れた時にソファ -
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お正月に実家の母の本棚から借りました。
「翔ぶ少女」の作品名にぼんやりとしたイメージを持って読み始めました。
物語の始まりは、阪神淡路大震災。その日の様子からでした。
そして、その後10年間の事が描かれています。
物語の舞台は、神戸市長田区。
主人公は、震災で両親を失った少女、阿藤丹華。後に佐元良丹華。
登場人物は、
丹華の兄 逸騎
丹華の妹 燦空
ゼロ先生こと佐元良是朗 心療内科医
研修医 石塚由衣
阪神淡路大震災は今から30年前の出来事です。
当時、テレビで映された映像は覚えています。とても衝撃的で、その出来事が本当に起こったこととは信じられませんでした。
地震があった所では、当時