あらすじ
雷神(ユピテル)と風神(アイオロス)が結んだ数奇な縁(えにし)とは――。織田信長の命を受け、天正遣欧少年使節と出立した宗達。苦難の航海を経て、一行はついにヨーロッパの地を踏んだ。そこで彼らを待ち受けていたのは、絢爛華麗な絵画の数々と高貴な人々、ローマ教皇との謁見、そして一人の天才絵師との出会いだった。謎多き琳派の祖・俵屋宗達とバロックの巨匠・カラヴァッジョ。芸術を愛する者たちの、時空を超えた魂の邂逅の物語、ここに完結。「芸術に対する造詣の深さ、絵に対する慈しみと、限りない愛情が言葉の端々に感じられる」京都国立博物館名誉館長 佐々木丞平さん推薦!
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Posted by ブクログ
上下巻、読み終わりました!
天正遣欧少年使節と宗達と、一緒に旅をしている感覚でした。長い旅路でしたが、良い人々に会えて、時空まで超えられて達成感。
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マカオで発見されたユピテル・アイオロスの絵と原マルティノの手記、
その手記の物語の後半が書かれている。
下巻は天正遣欧使節団がマカオ、ゴア、ポルトガル、スペイン、イタリアを渡り、
各地でミケランジェロやレオナルド・ダ・ヴィンチが描いた目を見張るような美しい絵画に出会う。
また、宗達とマルティノは巡察の最後の地で同年代のカラヴァッジョの絵師に出会い、「誰も見たことがない、おもしろき絵」を描くという絵師としての志しを明確にさせていくというストーリー。
使節団の少年たちと宗達が世界を巡り、困難を乗り越えて様々なものに出会っていくストーリーは、
冒険のワクワク感だったり少年達の心の移り変わりがとても面白かった。まあまあ厚みがあるが、スラスラと読めてしまった。
と同時に、ストーリーに出てくる人物や教会や絵が実在するものばかりなので、歴史を調べたり、教会や絵をネットで調べたりして、少しずつ歴史と芸術に詳しくなりながら読み進めるという別の楽しさもあった。
歴史を調べていくと宗達とマルティノとカラヴァッジョが出会ったという事実は残っていないそうだが、ユピテル・アイオロスと風神雷神の構図が似ていること、同年代に生きていた可能性が事実あること、その時期に確かに使節団というものがあったことなどを知ると、これも事実としてあり得る話なのでは…!、そうだったら素敵だなと思いました。
Posted by ブクログ
上巻下巻読み終えた
本の中身のスケールの大きさに感動
登場人物が全員とても魅力的
特に主要である宗達とマルティノは、清々しい程真っ直ぐで純粋な少年。すぐに虜になりました
アート小説なのに、航海のシーンも多く冒険心くすぐられる
フィクションだとわかっていても宗達とカラヴァッジョの絡みは、なんともロマンチックで胸が弾みます
マハさんの想像力・創造力はどこまで凄いんでしょうか…素晴らしい作品でした
Posted by ブクログ
あー面白かった!
一気読み
GWなのにぎっくり腰で動けないのもあるけど(´;ω;`)
『雷神(ユピテル)と風神(アイオロス)が結んだ数奇な縁(えにし)とは――。
謎多き琳派の祖・俵屋宗達とバロックの巨匠・カラヴァッジョ。』
史実の天正の遺欧使節と絡ませて……
しかも現代目線から……
原田マハさん流石です
書店で大好きな「風神雷神」の表紙を見て
思わず買って大正解
腰の痛みも忘れて読みふけりました
≪ 時空超え 天才絵師に 巡り合う ≫
Posted by ブクログ
上巻に続いて、何度も何度も胸が熱くなった。
今は何が真実かは分からないけれども、こんな素敵なストーリーが隠されてるのではないかと思いながら、作品巡りをしたらワクワクが止まらない気がする…!
俵屋宗達の絵にかける想いと、それを尊重する周りの仲間たちとの関係がとっても素敵だった。
情熱があるってやっぱり周りに伝播していくのだなあと思う。バチカンの最後の審判を見た時、そういう作品があるって分かっていても感動したのに、西洋の情報がまだ正しく入ってきていない時代に見た最後の審判は言葉にできない感情になったんだろうな。
Posted by ブクログ
上巻に続き、下巻も一気に読んでしまった。
壮絶な旅をのなかでも損なわれない、むしろ磨かれていく宗達とマルティノの聡明さと真っ直ぐに信じるものを追う姿、旅をともにした人たちや出会った人たちがみんな素敵。
レオナルド・ダ・ヴィンチの絵と出会い、教皇との謁見、カラヴァッジョとの出会いの場面は素晴らしく、泣けた。
こんな日記があったら素敵だな。
史実も調べてみたくなりました。
Posted by ブクログ
最初は日本史の教科書をおぼろげに思い浮かべながら「歴史はどうも苦手なんだよな……」と読んでいたのが、気づけば天正の時代の世界観に入り込み、遣欧使節の彼らと同じ視点でローマやヴァチカンなどの絵画の数々に感動している自分がいました。物語の基盤となる史実が、しっかりと書き込まれているのにも関わらずスルスルと頭に入ってきて、フィクションの部分にまで現実感を与えています。
また、登場する少年たちの人物像や掛け合いがとても魅力的で愛おしく、本文では描かれなかった彼らの未来を思うと胸が苦しくなってしまうほどでした。
上巻同様、短い間隔で何度も同じ表現(特に「凪いだ海のような」という形容)が出てくるので、そのたびに引っかかる感じはありましたが、上下巻通してわくわくと楽しんで読むことのできる本でした。
Posted by ブクログ
今でも明らかになっていない、500年前の過去の話をよくこうもありありと物語としてかけるなとまず感じ、読み手としてはこうだったらいいな、こうなのかなとかではなく本当にそこにあった事実かのように引き込まれました。
歴史が大の苦手で、織田信長の名前は知っているものの何をした人なのかどの時代に生きた人なのか恥ずかしながら知らないわたしでも何の問題もなく楽しめた。
そして、こうやって思わぬ形で歴史と触れ合えた今、もう少しこの時代について知りたい、その後日本はどうなったのかと気になり他の歴史作品にも興味が出てきた。
Posted by ブクログ
俵屋宗達の物語として、さらにフィクションが加速した印象。信長との約束、信長が今どうなっているのかを知っている読者としては、その結末がどうなるのだろうとワクワクしていた。含みが多く想像に委ねられていった俵屋宗達が主人公らしい物語だった。
Posted by ブクログ
もし、そうであったら……
歴史と芸術、そしてその「もし」、「if」。
有名な風神雷神の屏風画から、
ここまで物語が膨らむとは。
著者の作品はまだまだ未読のモノが多いので、
他の作品を手にするのが楽しみです。
Posted by ブクログ
面白い作品だと思いました。
原田マハさんの小説の魅力は、絵画に対する深い愛情と豊富な知識かと感じます。
今回の小説も、ひょっとするとどこかで聞いたことのあるような単純明快なストーリーかも知れません。でも、マハさんが描くことでヨーロッパがいかに芸術を愛し育んできたか、という見方も加わることで、とっても奥深いストーリーに感じられました。
Posted by ブクログ
読み終わった。でも、原田マハの作品では、久しぶりに不完全燃焼だった。史実と虚構の入り混じった展開に、いろいろ刺激は受けた。
俵屋宗達が、『風神雷神』を描くところまで到達していない。続篇を期待したい。天正遣欧使節団が、日本に帰国したのが、1590年。天下は秀吉の時代。秀吉は、1587年7月にバテレン追放令(バテレンとは宣教師のこと)を発布していた。秀吉は、宣教師を追放したが、キリスト教を否定していなかった。それで、1591年3月に秀吉に、天正遣欧使節団は、聚楽第であっている。家康は、1612年に「禁教令」を出し、キリスト教を完全に禁止した。日本は鎖国となり、オランダとの貿易だけに限った。
本書を読みながら、天正遣欧使節団の帰国後の行く末が、気になった。
伊東マンショは、大友宗麟の名代。日向国主伊東義祐の孫。司祭に叙階。1612年長崎で死去。千々石ミゲルは、大村純忠の名代。後に棄教。1633年死去。(ただし、長崎、諫早市で墓が見つかり、ロザリオと一緒に埋葬されていたため、棄教ではないという説もある)。中浦ジュリアンは、司祭に叙階。1633年、長崎で穴吊るしの刑により殉教。原マルティーノは、司祭に叙階。1629年、追放先のマカオにて死去。本書『風神雷神』の物語は、原マルティーノの日誌が元になっている。原マルティーノは、語学に優れ、スペイン語、イタリア語、ラテン語に通じて、通訳の役割も果たす。物語では、俵屋宗達との関係も良好だった。原マルティーノは、マカオの大聖堂の地下に、生涯の師ヴァリニャーノ司祭と共に葬られている。
1583年11月、インドのゴアに到着。ヴァリニャーノ司祭は、ゴアにとどまることになる。イエズス会からインドの管区長に任命された。宗達は、ヴァリニャーノを父と思い、ついてきた。宗達がローマに行けと命令された時、ヴァリニャーノ司祭が立ち会った。また、天正遣欧使節団の許可もとった。また行く途中においてのイタリア語の教師でもあった。ヴァリニャーノは、清廉潔白、正義感強く、こうと決めたら筋を通してやり抜く人だった。宗達は、身を切るような痛みを感じた。「あなたは、ローマまで行くと言われた。嘘をついたのか」を問う。
1584年8月、ポルトガル、リスボンに到着した。歓迎され、宮殿の絵を見るが、初めは珍しさがあったが、同じものに見えてきてがっかりする宗達。2ヶ月後、スペインのマドリードに到着。スペイン国王フェリペ二世と謁見。宗達は、父親が渡してくれた風神雷神の扇を見せる。マルティーノは、ユピテルとアイオロスと紹介する。
1585年3月 イタリアのリヴォルノに到着。トスカーナ大公国で、ピサの宮殿に入る。宗達は。コジモ・ディ・メディチに会う。その威厳に驚く。沢山の肖像画はブロンズィーノが描いた。
フィレンチェに到着。ヴェッキオ宮殿。メディチ家が支配する礼拝堂。キリスト受難のレリーフ。祭壇の聖母子像。聖母マリアと幼子。内側から放たれる清らかな光。絵には命が宿っていた。それを描いたのが、レオナルドダヴィンチ。(ダヴィンチ村の出身のレオナルドという意味だった)その絵に宗達は感服する。
ローマ、カンピドリオの丘のふもと、イエズス会の本拠、ジェズ協会へ。ジュリアンは熱を出し、三人と絵師の宗達しかローマ法皇に謁見できない状況となった。1585年3月23日法皇、グレゴリウス十三世と謁見。グレゴリウス十三世は、ボローニャ生まれ、ボローニャ大学に学び、教鞭を取った経験を持つ。ユリウス暦から新しい暦、グレゴリウス暦を導入した。宗達は、『洛北洛中図』の屏風を渡す。システィーナ礼拝堂の天井画が、ミケランジェロの『天地創造』と『最後の審判』の画を見て、宗達の心に沁みた。宗達は、ダヴィンチ、ミケランジェロに会いたかったが、ダヴィンチは1519年、ミケランジェロは1564年に死んでいた。また、グレゴリウス十三世は、謁見の18日後に亡くなった。コンクラーヴェヶ行われ、シクストゥス五世が選ばれた。
神は世界を光と闇にわかちたもうた。
さらに神は太陽と緑を創りたもうた。
また神は水と大地をわかちたもうた。
天と、地と、光と、緑と、水と。
宗達は、天地創造に惹きつけられ、一切の言葉を奪い去られて、ただただ涙を流していた。
宗達は、この絵をみつために、ローマにやってきたのだった。
宗達は、ミラノにいた。ドミニコ会のサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会の厨房を抜けて、食堂の壁画が、ダヴィンチの『最後の晩餐』だった。そこには、裏切り者がともに食卓を囲むことを許しているキリストがいた。宗達は、クリスチャンではなかったので、違和感を感じていたが、ここでキリストの心の広さを感じる。
そして、その食堂に少年が現れた。絵道具を持っていた。その少年が、1571年生まれのミケランジェロ・メリージ・カラヴァッジオで、14歳だった。いやはや。宗達とカラヴァッジオと会わせるとは、すごい。二人は交流し、互いの絵を送り合う。そして、カラヴァッジオが働いていたシモーネ・ペテルツァーノ公の絵画工房で、工房の作業を見るのだった。実際にカラバッジョは、その頃工房にいた。
宗達は、ダヴィンチの絵に出会い、ミケランジェロの絵に向き合い、「描きなさい。まっすぐに。己の信ずるままに』という声が聞こえたのだった。
Posted by ブクログ
上巻が面白かったので下巻は半日で一気読みした。
やっぱりカラヴァッジョが出てきた後半が、プロローグとの繋がりも含めて面白かったなあ。
絵画や使節団の面々のことを調べながら読んだので、当時の歴史や美術の解像度も上がって、学生時代にこういう教材あったら楽しかっただろうなと思った。
ずっといつか観たいと思っていたレオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロを観にイタリア行きたいな。今なら飛行機で1日あれば行けるんだし。
Posted by ブクログ
大好きな俵屋宗達が主人公の小説を原田マハが書いていたとは!
面白かったが何故か文章が最後までいまいちのれなかった。マルティノも宗達もカラバッチョもとても魅力的なのになんでなのか。
解説も面白かった!宗達の絵は西洋の影響を受けてない。そりゃそうだがちゃんと言ってくれてうれしい。
Posted by ブクログ
飛行機も新幹線もない時代、東の果ての果ての国、日本と西欧が「出会う」ことは奇跡的なことであった。
なにもかもが異なる二つの土地が美を愛でる心を通して結ばれていくところに、アートの偉大さを感じた。
現代では交通機関が整備されたり、インターネットが普及したりして、「出会い」は昔に比べると想像もつかないほどに広がった。そのせいで1つ1つの「出会い」に対する感動や興奮は小さくなってしまったように思う。
「目の前に、ひとつの絵がある。それは、いつの時代にもその絵を愛し、守り、伝えようとした人がいた証にほかならない。」
作中にあった言葉である。
「出会い」がありふれた現代において、私は人に限らず、あらゆるものに「出会う」時に、それを当たり前せず、きちんと心動かされる人でいられたらいいなと思った。
Posted by ブクログ
すごい。としか言いようがない。
日本史の授業で絶対耳に残っている、原マルティノ、千々石ミゲル…遣欧使節団のメンバーの名前だ。
彼らの話と、風神雷神を描いた俵屋宗達をこんなふうに結びつけ、まるで自分もローマに向けて旅をしているような気持ちになる物語になることに驚きだ。
原田マハここにありという内容だった
Posted by ブクログ
俵屋宗達という主に江戸時代に活躍した絵師を題材とした物語。
史実通りではないと理解しつつ、ノンフィクションなのではないかと思わせるほど、登場人物の心情や西洋の風景の繊細な描写は読む手が止まらない。上巻は生い立ちを理解するために存分にページを割いていて、下巻はいよいよ西洋に到着してからの物語。西洋画の知識が全くなく信仰心もない自分でも、ヴァチカンに到着するまでの船旅の過酷さを一緒に見てきたからこそ、目標を達成した瞬間の喜びに共感することができた。
Posted by ブクログ
宗達とカラバッジョの邂逅。これが事実だったらワクワクするのに。これを実現させる作家の創造力に脱帽です!風神雷神は、そっちのけで、ほぼ遣欧使節団の話だったのが少し残念。しかし、この時代にヨーロッパへ行くのも、帰るのも命がけの時代で、大変だったんだなあと、改めて思いました。
Posted by ブクログ
俵屋宗達という歴史的には謎が多い人物が、原田マハの想像と創造の力を得て、生き生きと描かれていました。
天正遣欧少年使節の4人も歴史の授業で名前は聞いたことがあったなぁというくらいの認識でしたが、この作品を読み、とても身近に感じることができました。
Posted by ブクログ
原田マハのアート小説は大好物。
歴史モノも大好物。
俵屋宗達と天正遣欧少年使節。
絵師とキリシタン少年たちとの素晴らしい友情の物語も個人的には。エピローグだけでなくもっと現代パートが読みたかった。
Posted by ブクログ
他のアート小説のように現代パートでいろいろとあって…というスタイルでは無く、ずっと歴史パートが続くという珍しいものだった。
初めはそれになかなか馴染めずだったが、読み進めるうちにマルティノと俵屋宗達のいきいきとした姿が目に浮かぶようで、ぐいぐい引き込まれた。
Posted by ブクログ
どこまでが史実であるのか
分からなくなるほどリアリティがある作品
ただ少し反復表現が多いようにも思える
しかし風神雷神を見に行きたくなる一冊には違いない
Posted by ブクログ
史実と物語では違うことが多いのだろうけど、誰にでも人生を大きく変える出会いがあるのだとしたら、宗達・カラヴァッジョ・マルティノの出会いがそうだったのかなという描かれ方だったと思いました。
Posted by ブクログ
読むのに時間がかかってしまった‥
宗達とマルティノそしてカラヴァッジョ
3人が出会って一緒の時を過ごした??
本当のことなのか?って思ってしまう
Posted by ブクログ
天正遣欧少年使節団と、伴って一緒に旅をする俵屋宗達の物語後編です。ヨーロッパに辿り着いた一行が、ローマに至るまでに出会うものとは。訪れる場所場所で歓待を受けることになるのですが、そのためにかえって行動に制限がかかってしまい、それが物語終盤に思わぬ行動を導くことになります。そして東の絵師である俵屋宗達は、西の絵師に出会うことになります。物語のクライマックス、荘厳な絵画の前で出会った2人の絵師と風神雷神。この感動は時を刻み、現代にいたって再発見されることになります。時を経た感動の物語を、小説ならではの想像力で生き生きと感じることができます。あったかもしれない歴史に興奮しながら読ませて頂きました。