【感想・ネタバレ】風神雷神 Juppiter,Aeolus(下)のレビュー

あらすじ

雷神(ユピテル)と風神(アイオロス)が結んだ数奇な縁(えにし)とは――。織田信長の命を受け、天正遣欧少年使節と出立した宗達。苦難の航海を経て、一行はついにヨーロッパの地を踏んだ。そこで彼らを待ち受けていたのは、絢爛華麗な絵画の数々と高貴な人々、ローマ教皇との謁見、そして一人の天才絵師との出会いだった。謎多き琳派の祖・俵屋宗達とバロックの巨匠・カラヴァッジョ。芸術を愛する者たちの、時空を超えた魂の邂逅の物語、ここに完結。「芸術に対する造詣の深さ、絵に対する慈しみと、限りない愛情が言葉の端々に感じられる」京都国立博物館名誉館長 佐々木丞平さん推薦!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

上巻ほどのめり込むような感覚はなかったが、ついに喜望峰を超えてヨーロッパ到着ということで新鮮さはあった。キリシタンであり天正遣欧使節団のマルティノが、宗達が日本を出てから絵を描けていないことに対して、自分に置き換えて神に祈りたくても祈ってはならないと止められたら…と考えているところがすごくマルティノぽくて、好きだなぁと個人的に思った。そして、使節団が任務を終えて日本に帰った後の歴史上の苦難も連想されて少し苦しさも感じた。あとはカラヴァッジョと宗達が出会う場面が、史実とは無関係であろうが、カラヴァッジョの絵に魅力を感じる者としてはとてもアツい展開だった!



ネタバレがあまりに多いが、備忘録のお気に入りシーンは下記。

・スペイン王フェリペ2世への謁見の場面、宗達だけ剃髪じゃないことに目をつけられ、自分が描いた絵を見せろと言われ(教皇のための洛中洛外図しか持ってないしそれは見せられない)、父の描いた扇の風神雷神を見せるも悪魔なのかと問われ、風神雷神だと説明し、形見なのに一応国王にどうぞと言うも、そんなもので余が喜ぶと思っているのかと問われ…、このほかに献上できるものは命しかない、と答えた一連の場面が、描かれてるシーン自体は時間的には短いのに20ページ以上にわたって詳細に書かれていて、王と宗達そして通訳のマルティノの問答に息を呑んで見守ってしまった。「汝の父は、幸せ者だな。汝のような勇敢な息子を持って」と最後に王が言った時は、読んでるこっちまで安心して緊張が解けたし、感動でグッときた。

・情景や主人公の心情を表す表現が一つ一つ丁寧でとても美しくて心の栄養のように思えるところがいくつかあった。
└「教皇が全身を耳にして自分たちの言葉に聴き入っているのがわかった。そして、雨が大地に沁み入るように、ひと言、ひと言が法衣の内側に届いていると感じられた。」

・教皇が絵を見た後のひとこと。こちらも、なんで美しいんだろうと思った。
「余はーいま、旅をした」
「はるかな東にある国、ニッポンへと......そして、すばらしき都である『キョウ』で、かの地に暮らす人々とともに、笑い、泣き、そして......祈った」

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2026年08月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

小説なのに、天正遣欧少年使節のみんなの描写が本当に生き生きしているから、歴史書を読んでいるくらいの納得感を抱いてしまった。危ない危ない、この物語はフィクションです。間違っても友達に、「俵屋宗達ってヨーロッパに行ってカラヴァッジョに会ったんだぜ」などど誤った知識をひけらかさないようにしましょう。
偉大な美術作品に対峙したときの心情表現の雄弁さが魅力だが、美術の知識を持ったうえで読めたらより感じるものがあるんじゃないかと思う。
西欧美術、日本美術にもっと詳しくなりたいと思った。

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2026年05月17日

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