【感想・ネタバレ】まぐだら屋のマリアのレビュー

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Posted by ブクログ

最初は、トラウマを抱えた主人公が田舎の景色と温かい料理に癒されていく、のほほんとしたストーリーなのかなと思っていましたが全く違いました笑
ちなみに聖書由来の名前はたくさん出てきますが、直接的には聖書の話は出てきません。

小説の舞台となっているマグダラ屋は、尽果(つきはて)という地の断崖絶壁の上に立っている料理屋。この不穏な地名や、もう少しで海に落ちてしまうマグダラ屋の立地、そして冬の厳しい海風や豪雪が、死と生の間で揺れ動く登場人物たちの心理を見事に描写していました。
特にマルコの過去の話は、トラウマ話の中でも指折りの衝撃でした。

だからといって決して暗い話というわけではなく、登場人物たちが生きてくれることを願う人たちや、なにも聞かずにただここにいることを受け入れてくれる人たちの存在に、暗闇を灯す蝋燭のような温かさを感じました。
最後の章は、展開を予想していたとしても涙を流しながら読むくらい愛に溢れていました。

この本を読んで、原田マハさんの作風の豊かさに驚くとともに、著者のことがますます好きになりました。

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2024年04月22日

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まぐだら屋のマリア。
キリスト教絡みの話かと思いきや、
海沿いの片田舎の食堂に流れ着いた料理人と食堂の若女将の出会いから始まるストーリー。
意表をつかれてどんどん読んでしまいます。
原田マハさんのお話は強い女性が人生を変えて行くイメージなのですが、このまぐだら屋は皆語れない過去を隠してどこかミステリアスに暮らしている。こんなストーリーも描くんだといい意味で意表をつかれました。
最後の紫紋の母のメッセージのくだり、
泣かされました。

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2023年12月14日

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精緻に精緻に紡がれた物語だった。
こういう物語があるうちは死んではいけない。

償うことと赦すこと。
食の豊かさ、かけがえのなさ。
母の思いの深さ。

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2023年06月15日

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たまたま、まとめ買いした本の順番で、「爆弾」を読んだすぐ後に読んだので、ほっとさせてくれる内容を期待して読んだのですが。。
悩みを抱えた若者の苦悩でこちらも胸が苦しくなる内容でした。

生きている人たちが形は違えど、皆生きる意味、生きる場所を見つけて再生していく最後にホッとしました。

シモンくんが、故郷の街でマグダラ屋のようなすてきなお店を開く未来を思いながら読み終えました。

原田さんの本で美術関係以外の本を読んだのは初めてです。
尽果の美しい情景を想像しながら、読ませていただきました。

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2023年02月26日

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待ってます
帰っておいで
帰っておいで
待ってるよ
待ってるよ
待ってるから
待ってるから。いつまでも

お母さんから紫紋への留守電のメッセージ。
涙腺が決壊しました。

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2023年02月07日

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今年の最初に読んだ本がこの作品でよかった。

あらゆる悲しみ、苦しみ、絶望。
いつのまにか息を止めて読んでいたようで酸欠気味。

一方で、静かな優しさや赦しにあふれていて、泣けてくる。

生きていれば、ただそれだけで、いいのかも。
心に響く1冊です。

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2023年01月03日

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表紙の装丁を見れば、絵画ものかと期待してしまいますが、そうではありません。不幸な出来事があって尽果という地にたどり着いた青年と、その地で料理屋を営むマリアの話。主人公もマリアも、暗い過去のあるわけありの人物。尽果という場所の設定もあって、全体的に寂しい雰囲気が漂うストーリーです。ところが終盤以降は、生きること、やり直すこと、自分を待っている人のために生き直すことができるんだという、希望に満ちた話でした。脇役の克男さんはじめ、この街に住む人たちの何も聞かない温かさがいいなあと思いました。

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2022年11月20日

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美味しいごはんって本当に人を幸せにするし、時には生きる活力にさえなる。ってのを改めて感じさせてくれる小説でした。

影のありそうな登場人物たちだけど、町のみんな詮索しない優しい人の集まりだからどんな過去を持ってるのか知らずに物語が進んでいきます。でもそれぞれの抱えるものが大きすぎて…

そんな中、「待っててくれる人」、「他人だけど家族のような人」、「ふるさと」にそれぞれが支えられながら生きていました。家族じゃないけど、心の支えになってくれる人って貴重だよね。
携帯電話起動してからは、泣ける泣ける。メールや留守電に泣かされるとは思ってなかった。笑

そして所々出てくる美味しそうで心が温まる料理の数々。ほんと近所にまぐだら屋できて欲しい。絶対通う!

余談ですが、最近仕事で疲れ果てて元気なかったのですが、近所の定食屋さんで美味しすぎる料理を食べたらすっかり元気になれました。塩味もちょうどよくて、野菜たっぷりで、デザートなんて美味しすぎておかわりするところでした。インスタントラーメンやジャンクフード食べてた時より何倍も幸せになりました。美味しいご飯はほんと大事。

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2024年03月17日

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生きることはとても苦しいことだ。死にたいのか、生きることから目を背けたいのか、死は最期の逃げ道であり切り札であり権利なのだと思う。心の置き場所が無くなって、自分を待つ誰かがいることを信じられなくなって。それでも、出汁の香りは、カレーの匂いは、ご飯が炊ける音と胸いっぱいに広がる甘い空気は、生きることを思い出させる。どんなに苦しくても腹は減り、飯はうまいのだ。飯がうまいということは、生きているということなのだ。
みたいなことをぽつぽつと考えさせられる物語。

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2024年02月28日

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美味しそうな料理と穏やかな地元の人に囲まれた今と、その裏に隠された凄絶な過去の描写の対比が凄い。
現在と過去が交互に出て来るところもその対比を際立たせ、解説にあるように何か寓話的なところとリアルがうまいバランスで両立していて、とても引き込まれて一気に読んでしまった。

どんなに辛いことがあっても、逃げていては何も始まらない。自分のペースで良いから前を向いて食いしばりながらも出来ることをしていくしかないし、そうすることが償いにもなるということ。

事情を聞かずに全てを受け入れるということと、美味しくあたたまる料理の存在は、弱っている人には一番の薬だな。そういう人が突然目の前に現れたら、自分も同じようにしてあげられるだろうか…そんなことも考えた。

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2024年02月16日

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人は癒され再生される。題名からしてキリストのマグダラのマリアに関係のあるような話しかなとは思いましたが、やっぱり。マグダラ屋という田舎の崖っぷちにある小さな料理屋で起こる挫折と再生の物語かな。中盤からラストまでどんどん読み進み一気に読みました。

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2024年01月21日

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尽果という寂しい村の崖っぷちにある定食屋さん。
寂しいからこそ痛みを理解し、多くは語らない村人たち。
ずっと読み続けていたいようなお話だった。
食べるって生きること。美味しいものって、それだけで物語のパワーになる。
今日の晩ご飯はなんかお魚焼いて食べようか。
最後は母の愛に泣いたー。

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2024年01月07日

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読み終わって
下巻は無いのか。。
と思いました。
謎が没入させていき、先が気になり一気読みしました。とても入り込める、余韻に浸れる良い作品でした。

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2023年09月10日

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 料理を作ること、食べることの大切さを感じる小説でした。心のこもった料理を作ることで、多くの思いが相手へ伝わり、難しい関係であっても雪解けに繋がる。また、新しい出会いが始まるなんて、なんか奥深くて良いですね。
 私も週末には、家族のために感謝を込めてサンドイッチを作っていますが、思いは通じてるかな・・・・

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2023年08月27日

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ううーん…
引っ張られた割には、衝撃の過去と言っていいのかどうか。もうひとパンチ欲しい感もあり。
とはいえまぁまぁ楽しく読めました。


聖書詳しくないから、どういうキャラクターを与えられているのか分からんかった。各人がもじられた名前なんだろうな、としか。

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2023年06月07日

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ありきたりなハッピーエンドではなく、ひとりひとりの登場人物にとってのハッピーエンドな作品。
その登場人物の人生はこれからも続いていくんだろうなと、読み終わった後も余韻に浸れる。

「あなたがいるから、生きていく」
「後悔をし続けるよりも、いま近くにいる誰かのことを思いやろう」
誰かのために生きていくのも幸せだな、とじんわり心に響いた。

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2023年05月07日

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ネタバレ

老舗料亭で見習いとして働いていた紫紋は、厳しい修行生活だったが、いつか母を店に呼んで、日本一の料亭で板前として料理を作ってあげたいという一心で励んでいた。偽装事件を機にすべてを失い、自殺しようと思いたどり着いた「尽果」というバス停で、マリアたちと出会う。

タイトルも登場人物も旧約聖書をもじった名前で、それぞれの犯した罪と、償いと、許しと。
それぞれ過去に一難抱えた人たちがたどり着く村で、家族のような関係を築いていき、それぞれの故郷へと戻っていく話。
料理を作っていく描写が繊細で丁寧で、とっても美味しそう。見た目にも細やかな工夫が凝らされていて、色々事件はあったけれど、老舗料亭の料理ってすごいんだろうなと思った。
丸弧が帰ってくるシーンで、あんなに死にそうだった丸弧が、元気に帰ってきて今度は紫紋の力になるところが、なんだかぐっときた。

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2023年05月05日

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心に傷を持つ者が多く登場するけれど、誰も人を憎まない。唯一、憎しみを露わにする女将の心も最後は慈しみに変わる。自身は傷つきながらも、人の痛みを知り人を思いやる物語・・・。シオン、マリア、ユダ、マルコにヨハネ・・・。登場人物名から思い浮かぶとおり、罪を憎まず人を愛するストーリーでした。原田さん、いいね。(o^^o)

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2023年04月29日

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帰れる場所って当たり前の場所なので改めて思わないと気づけませんよね。日常を大切にしようと思いました。名著です。

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2023年04月26日

Posted by ブクログ

何か全てに疲れ果て、行き着いた先に、一つの食堂…
読んでると美味しそうなんやけど、私自身は、味音痴で何食べても、あんまり変わらんかも(^◇^;)
でも、味というより、こういう居場所があるのは心が安らぐな。

故郷って、ええよなぁ〜。うちは、もう両方ともおらんし、実家の家もないから、そういう落ち着ける場所はないな…
自分の家はあるけど、それ以外に帰るところっていうヤツ。
まぁ、地理的にも、そんな大自然とかあるような出身地ではないから、故郷って感じでは、元々ないのかもしれんけど。

こういう、第二の故郷が欲しい〜
基本、落ち着きない性格やけど、落ち着ける場所は欲しいなぁ〜(^_^;)

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2023年04月07日

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差しのべられた救いの手は、救いと見せかけた贖罪のはじまりだったんだろう。主人公が心惹かれた二人の女性を好きにはなれないけれど、主人公の弱さと優しさと強さが、女性たちの罪深さを突きつけるし、再生の一歩にも繋げてる。

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2023年01月02日

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ネタバレ

全編を通して「『誰かの為に生きる』を軸にしないと人は生きられない。人は弱いから自分だけの為には生きられない」っと言われているように感じた。女将さんがどんな気持ちでマリアを受容したのか。懸命に女将に詫びて人生の若きを費やしたマリアに対する罪悪感も感じていたのかもしれない。
主人公はただの被害者では?と感じたが、大切な人が亡くなった時に自罰的になるのは感情として分かる。時間の経過と他人の受容での癒し。現実味は無い寓話的な作品だけど、ほっこりした。

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2024年04月19日

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アイデンティティが崩壊しかねるような出来事に遭遇しても、自分以外の誰をも責めない主人公の人柄に惹かれました

非常に美しい描写が細やかに描かれているんだけど、細やかすぎて伝わらないというか…読解力の問題なのか、ダイレクトに伝わらない表現が多くて…
えっここの心理描写でこうなる⁉︎みたいなのが点在したせいか、感情移入しにくい場面がいくつかありました

でもそれでも表現されている風景もお料理も本当にステキなお話でした

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2024年03月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

贖罪と赦し、母による受容がテーマになっていると思う。

重い話がありながらも全体的に読みやすく、読後感も悪くない。紫紋の母親からの留守番電話では泣かされた。
だが、振り返ると納得しづらい点もいくつかあった。

マリアと女将の再会のシーン
女将側から見れば、マリアは憎み続けるべき存在だったが、最後には与羽の元から戻ったマリアによく帰ったと言う。マリアを娘と孫を奪った悪魔としてではなく、長年自分に寄り添ってきた一人の人間として受け入れたのだと思う。ただ、見ようによっては女将はマリアに付きまとわれて常に憎しみと悲しみを思い出させられていたとも言える。最後に赦しを与えるのは女将の本望だっただろうか。女将はマリアを赦さなくてはいけなかったのか。マリアの贖罪は自己満足的に思えた。
また、マリア側から見た場合、マリアが女将を思わず母と呼んだことに違和感がある。マリアにとって女将は罪を償うべき相手で、女将のことを心配しながらも絶対的な上下関係をもって接していた。そんな女将のことを母のような存在と思うのだろうか。
紫紋や丸子の母は無償の愛を与える存在として描かれている。実の母親からの愛情を感じられなかったマリアにとって、自分に故郷を与えるきっかけとなり、長年受け入れてほしいと乞い願った対象として女将に母親の像を抱いたのか。
マリアによって子と孫を失った二人の関係を考えると、女将に対して残酷なシーンだと思った。

また、春香はどこまで計算的だったのだろう。読めば読むほど「ずるい」で流せない悪質さを感じた。
・不倫が報われないことで告発を決意したのであれば、悠太に対して純粋な恋愛感情はなかった(不倫相手に未練があった)。悠太との付き合いは寂しさを紛らわしたいというものだったのか、告発の共謀者になることまで期待していたのか。
・紫紋に悠太との関係を話さなかったのは、紫紋からの好意を利用しようという意図がなかったか。話の深刻さにそぐわない白いショートパンツを選んで履いてきたことにも、女としての自分を意識していたのでは。
・一人になりたくないと紫紋を誘ったのは、自分を待つ悠太の存在を一時的に忘れるためでは。本当に誰かと一緒にいたいだけなら、悠太と会い、自殺をやめようと告げることもできた。約束の21時に紫紋に抱かれながら、悠太が一人で自殺してしまう可能性が頭を過ぎらなかったか。

綺麗に話をまとめるために、特に女性登場人物たちが共感しづらい行動を取ると思った。

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2024年03月11日

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女将、克夫さん、紫紋や丸弧の母、家政婦の静子さん、親世代の人たちの懐の深い温かさ、あえて詮索しないで外から来た若者をスッと受け入れる尽果の人々の優しさがいい。 大きな過ちを犯してしまっても過去にもどることはできない。生きて償わなくてはならない。
食べることで人々をつなぎ、生きる糧にもなっていく。
べるって大事だな〜

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2024年01月21日

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原田マハさんの本、何を読んでもマハさんの優しい温かな思いが伝わってくる。
言葉がひとつひとつ丁寧で心も洗礼される感じ。
途中まではいつものように温かい気持ちになっていたんだけど、マリアの過去設定は私好みじゃなかった。なんだか安っぽいというか、、原田マハさんの本では、あまりないような設定で少し戸惑った。これがリアルな人間なのかな、私の受け入れの問題だとは思う。ただ、テンションが下がってしまった。

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2023年10月08日

Posted by ブクログ

海沿いの村に傷を抱えてたどり着いた人たちの物語。尽果という名前の田舎の小さな漁村には、過去にいろいろあった訳ありの人たちがお互いの素性も探りあわないまま身を寄せ合って暮らしている。夢破れ死に場所を求めてやってきた主人公の紫紋は実家に帰ることができない。崖の上に立つ小料理屋に立ち寄り、そこに居場所を見つける。小料理屋「マグダラ」で働く女性マリアにはどんな過去が?
胸が痛くなったり温かくなったりのヒューマンドラマである。原田マハさんの芸術系の小説よりはずっと大衆的で読みやすいが、こういう小説はありふれており、原田マハさんには彼女にしか書けない作品を期待したい。
小料理屋が舞台なので、食べものの描写が食欲をそそる。また、海や空の開かれた情景が目に浮かぶ。安心して読める小説である。

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2023年06月15日

Posted by ブクログ

物語り終盤まで重い内容が続くため、気持ちが辛くなりました。そんな中にふと散りばめられる調理のシーン。文章を読んでいるのに、映画を見ているように湯気や食堂の活気が目に浮かび、香りまで香ってくるような錯覚におちいります。過去との対峙にごはんを添えた一冊です。

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2023年05月23日

Posted by ブクログ

話の設定も紫紋やマリア、登場人物も良くて好きな話だと思いながら読んでいたのだが、後半マリアの過去が明らかになってきた辺りから、ちょっと残念。
女将さんに仕えるマリア、ラストで明かされる2人の関係を知った時、マリアが仕えることが女将さんを更に辛くしているのでは?マリアが側にいることで辛い過去に縛られてしまうのではないか。
マリアの償いって、マリア自身が生き続けるためなのだろうか。
マリアが紫紋に故郷へ帰ることを勧めるのも、なんだか‥。
前半良かっただけに残念。

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2023年01月24日

Posted by ブクログ

そうかぁ そうなのかぁ それで?
と物語に引き込まれてゆく。お料理も四季の移ろいも所作も日本の素晴らしさ。超現実からバスに乗って尽果ヘ…

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2022年12月01日

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