原田マハのレビュー一覧
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ネタバレこんな夫婦になりたいなぁ。
素敵な、奇跡。
毎回感じることだけど、一枚の絵に、どれだけの物語があるのだろう。
原田マハさんのエッセイで、旅先で友人に会いに行くように絵画を観に行くと言っていたのを読んで、そういう楽しい気持ちで美術品と向き合うのって、すごくいいな、素敵だなと思っていたので、第一章のフレッドさんの奥さんの言葉が嬉しかった。
第一章だけでとても感動して泣いてしまった。
一緒に暮らしてきた人がいなくなってしまったら、それはもう寂しさで狂ってしまいそうだけど、最後にお願いされたら美術館に通うためにどうにか頑張って生きるかも。
その人との思い出の場所が残っていて、その人と一緒に -
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ジャケ読み 「リボルバー」が面白かったので手に取りました。後、お察しの通りジャケ読みです。ついつい手に取りたくなる表紙にもやられました。
歳も歳なので色々な人の結婚式で色々なスピーチを聞きましたが、毎回2人の幼少時代や両親、友人などの思いを知り、想像して号泣していました。
人の気持ちや思いを伝える言葉に興味がある方には是非読んでもらいたい作品でした。
スピーチといえば結婚式のスピーチですが、そこから政治家の代表質問、選挙、オバマ!?って広がりがすごかったです。
人は言葉でコミュニケーションを取ります。もちろん、目配せや、抱擁、握手でもコミュニケーションを取りますが、言葉に勝るものは無い -
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表紙の肖像画が印象的な、原田さんのアートフィクション。
終戦直後の沖縄へ軍医として派遣された、若き精神科医のエドワード。
ある非番の日、島内を同僚とドライブしていたエドワードは、〈ニシムイ・アート・ヴィレッジ〉という画家たちが暮らす集落に辿り着きますが・・・。
冒頭で「アート“フィクション”」と書きましたが、この作品は実話がベースとなっているとのことです。
表紙の肖像画のモデルとなった、スタンレー・スタインバーグ博士と、この絵を描いた玉那覇正吉さんをはじめとした〈ニシムイ美術村〉の芸術家たちとの交流が実際にあったということが、この物語の内容に深みを与えているように思います。
勿論、アメリ -
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終戦直後の、アメリカ支配下の沖縄が舞台。
米軍精神科医のエドやその同僚と、首里の丘に「ニシムイ美術村」を作って寄り集まって住んでいる画家たちの交流が主なストーリー。
謝辞を読むと、実際にサンフランシスコ在住で沖縄米軍基地で精神科医として戦後過ごした人物に取材して書かれたようなので、実話をもとにしたものだった。
支配するものされるもの、勝ったもの負けたもの、、、そういったものは芸術を前にした交流においては意味をなさなくなる。
また、沖縄は確かに日本の一部なのに沖縄人はまるで日本を憎んでいるかのようであり、犠牲者をたくさん出したアメリカのことを解放者として受け入れている節がある…との文章に、沖 -
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「夏を喪くす」はこの短篇集に収録されているうちの1篇のタイトル。
意図があるかどうかは分からないけど、収録されている4篇すべてに「喪う(失う)」要素があったように感じた。あらゆる意味での、「喪う」ストーリーたち。
その中でも表題作の「夏を喪くす」は一番分かりやすい。実年齢より若く美しいことをアイデンティティとして生きてきたアラフォーの主人公・咲子が、乳がんになり、乳房を全摘出しなければならなくなる。夫との関係はもうとっくに破綻していて、歳の離れたステディな不倫相手はいるものの…という物語。
女性にとっての象徴を喪うということ。とくに美しさをアイデンティティとしてきた咲子にとっては、女性である