原田マハのレビュー一覧
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“ゴッホは決して狂人ではなかった”
前提として、この本を読む前の僕のゴッホに対する知識やイメージといえば、「ひまわりを描いた人」ということや、耳を切り取ったり、過激で病んでいる人、そして最後は精神的に苦しみ自死を選んだ人──といった程度のものでした。
けれども、違ったんですね。
この短いページ数に凝縮されたゴッホの人生とあしあとをたどるうちに、とても繊細でありながら強く、理知的で、弟想いで、そして日本のことも深く愛してくれていた人だったことが分かりました。
耳についても、すべてを切り取ったわけではなく耳たぶの一部を切っただけだったことや、最後の自死についても「精神を病んでいたから」という -
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マティス、ドガ、セザンヌ、モネ。あまりにも有名な印象派の画家たち。その人生について、こんなふうに深く思いを巡らせたことがありませんでした。
美術に造詣の深いマハさんは、そんな彼らがどんなふうに当時を生きていたのかを、物語を通して想像する楽しさを教えてくれました。
そしてアートをより身近なものとして感じさせてくれた。
「画家」と周りから呼ばれる人のことや保守的な美術界のことなど、過去に何があったか、そばで見守ってきた人の記憶をのぞいているような気持ちになる。いつの間にか物語の世界に没入。
彼女たちの目を通して、作品の中ではあのピカソが、マティスが、ドガが、セザンヌが、モネが、生きている。
当 -
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フィクションとノンフィクションの境界を曖昧にさせる、原田マハさんの原点ここにあり。ほんとっ史実なんじゃないかと錯覚するぐらい、自然に「物語」が溶け込んでいます。
2007年、新聞社の女性記者、翔子が一枚の写真を見つけるところから物語が始まります。
時は遡り1939年第二次世界大戦が始まるか始まらないかの微妙な時期、各国が飛行機能力の高さを競い合って誰が世界一周を実現させるか。アメリカ人パイロットと日本人パイロットの運命が交錯する。いつ、交わるの!?まだなの?
今や上空10000mを飛行機で飛ぶなんて当たり前だけど、考えてみたら窓を挟んだ外の世界は、-50℃ぐらい、酸素分圧(酸素の体への取 -
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映画『総理の夫』で描かれた理想の女性総理像・中谷美紀
「種間社会」という言葉は、いくつかの文脈で異なる意味合いで使われますが、共通して複数の異なる種(生物種)が、特定の環境下で相互作用しながら形成する共同体や関係性を指します。
20××年、相馬凛子(そうま・りんこ)は42歳の若さで第111代総理大臣に選出された。
鳥類学者の夫・日和(ひより)は、「ファースト・ジェントルマン」として妻を支えることを決意。
妻の奮闘の日々を、後世に遺すべく日記に綴る。税制、原発、社会福祉。混迷の状況下、相馬内閣は高く支持されるが、
陰謀を企てる者が現れ……。凛子の理想は実現するのか!? 痛快&感動の政界エン -
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映画「風のマジム」がとっても良かったので紐解いた。今年は映画「木の上の軍隊」「宝島」と、戦後の沖縄を舞台にした重い良作が立て続けに出た。そして、図らずも沖縄返還の年に産まれた沖縄っ子伊波まじむが、初心貫徹「まじむこみてぃ(真心こめて)」造った酒で、明るい未来を感じさせて夏を終わらせてくれた。その日のうちに書店で文庫本を贖ったのである。
伊波まじむは、通信会社の契約社員25歳。ひょんなことからアグリコールラム酒の美味しさを知ったあと、100%サトウキビ原料なのに、全てのラム酒が外国産であることを知る。会社で新規事業コンペがあることを知って、国産ラム酒計画を提出して、二次審査まで通過した。最終決