原田マハのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ノンフィクションのテーマにこれほどまで自然にフィクションのストーリーを差し込める原田マハの文才に感嘆した。
パリの風景の描写も繊細で容易にパリの美しい街並みを想像することができた。
若くして大手画廊の支配人を務め兄を支えるテオと弟からの援助を酒代につぎ込んでしまうどうしようもない兄のフィンセント。
正反対のように感じるが自意識の過剰さや繊細さなどどこか通ずる部分が多くやはり兄弟なんだなと感じた。
フィンセントの絵のもつ紛うことなき芸術を信じながらも兄の体たらくな様子に呆れどのように関わるか葛藤するフィンセントの心情に胸が痛んだ。
自分の暮らしを安らかなものにするために自殺を見せかけ兄を -
Posted by ブクログ
あまりにも美しく、涙が止まらなかった。
家族であり、いちばんの友人でもあったフィンセントとテオの絆は、時には重い鎖となり2人を苦しめた。言葉では簡単に言い表すことができないほど固い絆、あるいは呪い。美しくも悲しい物語は、それでもなお、セーヌ川の芥となって流されていく。
人生で初めてパリに行く前に、そしてゴッホの絵を日本で見る前に、この物語を読むことができてよかった。フィクションではあるけれども、時代背景や美術史におけるゴッホの作品の立ち位置を学ぶことができた。彼らに思いを馳せながら見る絵や街は、そうでない時よりもきっと何倍も美しいだろう。 -
Posted by ブクログ
1980年の岡山の名門女子校を、舞台にする青春物語。
主人公の佐々岡鮎子は東京から引っ越してきたばかりで、クラスメイトに馴染もうと、無理に岡山弁を使おうとし、「でーれー(すごい)」を連発して、「でーれー佐々岡」というあだ名をつけられる。家でこっそり描いていた漫画をきっかけに、陰のある美少女、武美と友達になるのだった。
この小説の多くは、原田マハさんの実体験をもとに書かれているようで、解説によると岡山弁もとてもリアルらしいが、全編、生きのいい、部外者から見るとちょっと怖い岡山弁を、女子高生たちが生き生きと喋っているのが非常に魅力的。
同年代を生きてきた私にとって、懐かしい風物も多く、甘酸っぱ -
Posted by ブクログ
旅をしたくなる。その相手は恋人と家族と気心の知れた友達とそして、1人でも。旅行はその土地の食べ物や風景などが非日常を届けてくれるから心が耕される。それがまた日々を頑張る原動力になりより楽しいことに目を向けられるようになる。そのおかげでたまに起こる大変なことも頑張れるようになる気がする。そんなすごい力を持ってると思う。
生きているとこの人とはなんか合わないなとか、居心地が悪いとか、「線」ないしは「壁」を感じる時がある。けれどそれは相手が引いたり立てたりしているものではなく自分自身が作っているものだと分かった。そんな「線」、「壁」は超えていける。
今日、明日吹く風を思い切り感じる。昨日のことは -
Posted by ブクログ
本作が単行本として世に出たのが2013年7月。その前に月刊誌で連載を始めたのが2011年4月。2011年3月11日に東日本大震災が発生し、その年の4月時点の総理大臣は民主党の菅直人(第94代)だった。現実世界では2025年10に高市早苗が日本初の女性総理大臣として第104代総理大臣に就任したので、連載開始から約15年近く掛けて本作に追いついたことになる。
15年の時の隔たりはあるものの、作中の出来事と現実とでいくつかの共通点があるのは興味深い。女性総理自身が強烈なリーダーシップを持っていて支持率が高いこと。作中では消費税増税、現実では憲法改正とお題は違っても国論を二分するような重大事項に正面か