原田マハのレビュー一覧
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ひとつ前に読んだ『本日は、お日柄もよく』からの原田マハさんつながり&芸術の秋ということで、美術ミステリーを。
わたしの原田マハベストは別の作品とはいえ、やっぱり『楽園のカンヴァス』が、原田マハさんの代表作だと思う。奇しくも、本作の重要テーマである「夢」は、アンリ・ルソーの代表作だ。
美術史家としての原田さんの研究テーマがなんであったかは知らないのだけれど、本作で織絵やティムが語るルソーへの親愛と情熱は、作者自身から涌き出た気持ちなのではないか。
二重三重の仕掛けがあり、ミステリーとしてもおもしろく読めるが、いわゆるミステリー作家によるミステリー小説を求めるなら、物足りない。
この作品の魅力は、 -
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ピカソは名前も作品も思い浮かびますが、ルソーは名前は知っていても作品といわれるとピンとこないくらいの美術知識しかない自分ですが、興味深く読みました。フィクションなのにノンフィクションを読んでいるような感覚でした。美術を本当に愛する人は、作品を手に入れたい!ということより、その美術品がいかに正しく認知されることが喜びなのだと。ティムはトムと間違われながらも、ちゃんと分かる人には分かってもらえていて、報われて本当に良かった。織江もいるべき場所に戻れるだろうし。いくら有名でも小手先の知識や自分の欲だけで動いていたら、いつか痛い目にあう世であってほしい。
早く美術館に行きたい。 -
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ゴッホ展を前に、彼について改めて学びたいと思い立ち、大好きな作家である原田マハさんの『ゴッホのあしあと』を手にしました。
彼の人生は孤独や苦悩に満ちていたが、その中から生み出された作品には、人の心を揺さぶる強さと光があると改めて感じました。
マハさんの文章は、美術の知識がなくてもすっと心に入ってくる温かさがあり、ゴッホがどんな思いで絵を描いていたのかが自然に伝わってきました。ページをめくるごとに、彼が歩んだ道を一緒にたどっているような感覚に包まれて、ますますゴッホの作品に興味が湧きました。
本を読み終えた今、実際に絵の前に立てば、これまで以上に深いまなざしで作品と向き合えると思う。そして、 -
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ネタバレ印象派の画家、マティス・ドガ・セザンヌ・モネを描いた短編集。
4名の印象派の画家について、
マティスについては家政婦からの視点、ドガについては友人からの視点、セザンヌについては彼を応援していた画材商の娘からの手紙、モネについては義理の娘からの視点というように異なった描かれ方がされており、興味深く読むことが出来た。
当然のことながら、この4名の印象派の画家については学校の美術の授業で習って知ってはいたが、こうした物語を読むとその人となりを知ることが出来、より身近な存在に感じられ、作中に出てくる絵画作品名を見ると、ネットでその画像を探し出し見てしまう。
モネ晩年の大作であるオランジェリー美術 -
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史実にフィクションを足す原田マハの原点。
第二次世界大戦直前に赤道直下の世界一周飛行を達成したニッポン号。
私は小説を読むことによって、いろんな雑学知識が入ってくるのが好きなのですが、エイミー・イーグルウィングの史実の人、女性初の色々な飛行記録を持つだけでなく、世界初の赤道直下世界一周飛行を達成直前までいって謎の失踪を遂げたアメリア・イアハート。ナンバー1でなくても切り口を変えればナンバー1になりうる、というマーケティング分析理論に「アメリア・イアハート効果」という名がついています。
会社名は作内では違いましたが毎日新聞の飛行機「ニッポン」が赤道直下ルートの世界初の世界一周飛行を成し遂げていた