原田マハのレビュー一覧
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原田マハさんの作品が好きで、夏休み、海外に渡航する機内から読み始めました。
またやはり8月という月は日本人にとっては、戦争について振り返る月であり、飛行機のこと、戦争のことを考えるのに、この作品はぴったりな内容でした。
本作の女性主人公となったエミリーのモデルとなった伝説の女性パイロット、アメリア・イアハートさんは不勉強な私は初耳でしたが、北米の人にとっては常識的なくらい有名な方のようです。
そしてニッポンという純国産飛行機による世界一周旅行という史実も初めて知りました。
その二つの史実を織り交ぜて、見事な長編小説とした原田マハさんの力量はさすがです。アインシュタインや山本五十六などの歴史的に有名な人物がキーパーソンとしてさらりと混ぜ込まれるのもよかったですし、プロペラ機で世界中を飛び回るという臨場感あふれる場面も圧巻で、一気に読み切りました。
星一つ減らしたのは、日本海軍がエミリーをどうしたかったのか?がイマイチわからなかったことに加えて、序章で結末が見えた通りだったから。
しかし、世界がまた戦争に向かっている今だからこそ読む価値のある一冊。 -
Posted by ブクログ
まずタイトルがカッコいい。
平和について改めて考えさせられる、社会的メッセージ性の強い重厚な小説でした。
ピカソについては一般知識程度ですが、ゲルニカに込められた平和への叫び、ピカソの戦いについて興味深く読めたし、反戦の象徴「ゲルニカ」が色々な人を惹きつけ虜にし、人生を変えていく大きな力を持った絵画だと実感したので、私にとってもちょっと特別な絵になりました。
ドイツの武官にゲルニカはお前が描いたものかと尋ねられ、「作者はお前たちだ」と言い放ったピカソは最高にかっこよかったですね。
2026年に生きる私たちにとっても他人事ではないような気持ちにさせられました。 -
Posted by ブクログ
船で3年ほどかけて、俵宗達と遣欧少年使節一行は無事にヨーロッパに到着。ローマ教皇との謁見も果たし、ミケランジェロ、レオナルド・ダヴィンチの作品鑑賞をして宗達も衝撃をうけていた。ヨーロッパに着いたら思ったより豪華な旅で羨ましい(*´Д`)
『ユピテル、アイオロス。風神、雷神。東と西、ふたりの神、ふたつの魂が出会い、光を放つその絵。…真の傑作に出会ったとき、ただ黙ってその絵をみつめることしかできない。傑作はいかなる言葉も奪い去る。傑作の前では言葉など必要ないのだ。』
『「描かなあかん。わいも見せなあかん、わいの絵を。あやつに」』
ユピテルとアイオロスは、風神雷神であり、日本だけの存在ではなかった。国籍も言語も生きる世界も異なる東洋と西洋で、芸術によるシンクロ。慣れ親しんだ扇子に描かれていた神様が西欧で昇華、新たな作品を生み出す流れはフィクションとはいえ素敵な内容だった。
2026.8 -
Posted by ブクログ
誰もが知る4人の画家マティス、ドガ、セザンヌ、モネの人生を一緒の時代を生きたかのように語る作者はいったい私達に何を伝え何を夢見させてくれるのだろうか?
画家達は何と闘い何を夢見たのか
そして画家達を支えた家族や画材屋のおじさん達は何を求めて支えていたのだろうか?
きっとそこには私には理解不能な事が起こっているのでしょうネ
でも原田マハさんの作品を読む事によって少しでも遥か遠い昔の巨匠達の人生が色鮮やかに蘇るから不思議ですね。
絵を鑑賞する時もただ観るだけで無くそんな事を思い出しながら鑑賞すると絵を観る目も違ってくるのでしょうね...きっと -
Posted by ブクログ
いろんな女性たちのささやかなで美しい独立のお話。
少しづつ人の人生が重なって繋がっているなぁと感じてそこもまた好きだった。
普通に生きていると、生活の中ですれ違った人の人生まで知ることはできないけど、小説の世界ではそれができて、ひとりひとりに人生があるって改めて気づかせてくれる。
-転がる石
「思い切ってやってみれば、けっこう想像もしなかったほうに、物事っていうのは転がっていくものですよ。」
「転がそうとして、あたしのほうが転んじゃうかもしれない」
「いいじゃないですか。転がってみれば?気持ちいいわよ。『転がる石に苔むさず』ってね。転がってるうちに、悪い運も落ちちゃうかも」
-独立記念日
「自由、になるんじゃない。独立、するんだ。ややこしい、いろんな悩みや苦しみから。」
「自由になりたいな。でも、自由ってなんだろう。その答えを求めて、ひさしぶりに今夜、本を開こう。ほんのいっとき、ささやかな「独立」を求めて。」
真嶋博史さんの本を私も読みたい
-川面を渡る風
「私たちはこうして、ひとりひとりつながっているんだ。ゆるやかなつながりの中で、はれば!と凜々しく独立していくんだ。」
最後のお話まで美しかった -
Posted by ブクログ
ネタバレ心がなんかワクワク、あったかくなった。
月とパンケーキ
・まず箱を取り出す。茶器でも眺めるように、箱を三六〇度、あちこちから見回している。この時点で笑いがこみ上げてきた。
そうっとふたを開ける。壊れものでも取り出すように、慎重に、パンケーキを取り出す。
またもや全方位から眺める。うんうん、とうなずく。真上から見て、もう一回、二回、うんうん。
ありゃりゃ、なんとケータイを取り出した。写真撮影してる。こっちはおっと噴き出してしまった。
メープルシロップの瓶を取り出し、デスクに置く。ポケットからメガネを出してかけ、もう一度瓶を手に取る。表示を読んでいるようだ。
最後に、ナイフとフォークを取り出した。ひと組•••もうひと組あることに気づいて、おや、となっている。
工藤さんは、ふた組のナイフとフォークをデスクの上に置いて、腕組みをしてみつめている。いつまでもいつまでもみつめている。
そこまで観察してから、私は店の前を通り過ぎてT川に向かった。
川は広々と月を浮かべて流れている。
まん丸い月に、ふつふつと泡を立てて焼き上がるパンケーキが重なる。
そろそろ、誰かと一緒にキッチンに立ちたくなった。
「ねえ、そうしたって、いいでしょ?」
誰にともなく、囁いてみる。
もう、そうしたっていいよね。
明日の朝も、私はまたパンケーキを焼くんだろう。
いつか隣に立つ誰かのことを思い描きながら。