原田マハのレビュー一覧
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ゴッホのあしあとを読んで、ゴッホ展に行った後、こちらを読みました。
ゴッホとテオの様々な方面から襲いかかる長い長い苦しみが読んでいてとても辛かったけど、大切な家族を守ろうとする気持ちが芯にずっとあって、めちゃくちゃ胸打たれた。
フィクションの重吉もとても愛されるキャラクターで好きだったし、林忠正もクールで誠実でとてもカッコよかった。
史実では実際に関わりがあったかどうか分からないそうですが、関わっていてほしいな(願望)
そしてヨーとフィンセント(息子)、ゴッホの絵を世界に広めるために動いてくれて、本当にありがとう!
特にヨーは、大切な家族を一気に失ってしまったのに、家族の思いを受け継いで -
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美術館やそれを取り巻く学芸員は中々立ち入ることのない世界であり、読み始めは少し入り込みにくく、読み進めることが大変だった。また、バーゼルでの日々も序盤は伏線がひかれていく最中であり、丁寧に読み進めないと、登場人物が分からなくなりそうであった。しかし、中盤から後半にさしかかり、ルソーの絵の真贋を何のために判定しているのか少しずつ核心に迫っていくと、加速度的に話が頭にも入って来る感覚があった。そして、絵画をテーマにしてはいたとしても、小説とはやはり、人と人の触れ合いを描く芸術なんだな、と思った。
17年後、織絵とティムの再会後、2人がどうなるか、気になるが、そこを書かないところがやはり美しい。蛇足 -
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ネタバレ最近読んだ本だからか、なんとなく三島由紀夫の金閣寺が浮かんだ。
息を呑む美しさに取り憑かれる苦悩。
アルルで2ヶ月共同生活をしたゴーギャンとゴッホの関係性はどういったものだったのか、興味がわいた。
作品は様々な道をたどる。黒山の人だかりに囲まれ穴の開く程に見られるもの。ある邸宅の応接間に静かに佇むもの。人知れぬ暗闇に紛れるのも。そしてすでにこの世から姿を消してしまったもの。作家の思いとその後の絵画のある場所の不思議。
解説で圀府寺さんもおっしゃられているが、ゴッホ他殺説が血生臭くならずにオシャレに仕上げられているのは原田さんの凄さなのだろうなと。
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読書メモ
高遠冴 ー主人公 -
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ひとつ前に読んだ『本日は、お日柄もよく』からの原田マハさんつながり&芸術の秋ということで、美術ミステリーを。
わたしの原田マハベストは別の作品とはいえ、やっぱり『楽園のカンヴァス』が、原田マハさんの代表作だと思う。奇しくも、本作の重要テーマである「夢」は、アンリ・ルソーの代表作だ。
美術史家としての原田さんの研究テーマがなんであったかは知らないのだけれど、本作で織絵やティムが語るルソーへの親愛と情熱は、作者自身から涌き出た気持ちなのではないか。
二重三重の仕掛けがあり、ミステリーとしてもおもしろく読めるが、いわゆるミステリー作家によるミステリー小説を求めるなら、物足りない。
この作品の魅力は、 -
Posted by ブクログ
ピカソは名前も作品も思い浮かびますが、ルソーは名前は知っていても作品といわれるとピンとこないくらいの美術知識しかない自分ですが、興味深く読みました。フィクションなのにノンフィクションを読んでいるような感覚でした。美術を本当に愛する人は、作品を手に入れたい!ということより、その美術品がいかに正しく認知されることが喜びなのだと。ティムはトムと間違われながらも、ちゃんと分かる人には分かってもらえていて、報われて本当に良かった。織江もいるべき場所に戻れるだろうし。いくら有名でも小手先の知識や自分の欲だけで動いていたら、いつか痛い目にあう世であってほしい。
早く美術館に行きたい。