原田マハのレビュー一覧
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実話をもとにした小説。
伊藤沙莉主演で映画化もされている。
沖縄の南大東島で、日本初のアグリコール・ラム酒を造りたい。ふとした思い付きから、28歳の派遣社員のまじむがベンチャーを立ち上げるまでのお話。
正社員ではないからダメかもなあと尻込みしているところから、よくぞここまでと話は力強く進んでいく。まじむはとにかくコツコツの努力家さん。それでいて素直。さらに明るく誠実な人柄から、彼女を支えたい人たちがどんどん現れる。
個性的なキャラが多く登場する。厳しくも温かく見守るおばあもいいが、マイウェイを突っ走る冨美江が最高だった。まじむは誰とも喧嘩しない。主張しつつも相手のプライドをへし折ることは -
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この本は川端康成さんの『古都』をお手本に書かれたそうです。設定とか、いろいろ『古都』。出来れば『古都』→『異邦人』の順に読んで欲しいな。異邦人(いりびと)は京都生まれではない京都に住む人のことらしい。
主人公は30代の菜穂。祖父が設立した美術館の副館長で美術品を見抜く目を持ってる。夫の一輝は銀座の老舗画廊の跡取り。赤坂で幸せに暮らしていたところに東日本大震災が起きる。原発事故を恐れた菜穂は京都に身を寄せることになって、、、新人の画家に出会ったり、信頼していた人に裏切られたり。。。
菜穂のお母さんが気持ち悪かった。
若い男性に色目を使うおばさんにここまで嫌悪感抱いちゃうのはなんでだろ? -
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自分の本棚のアクティビティを見ると、著者別の登録数で最も多いのが、原田マハさんになっていた。アート・美術小説の代表作家だけれど、その分野にとどまらず、古き良き・後世に伝えて残していきたいものが、原田マハさんの手にかかると素敵な小説になる。だからまた読みたくなるのかもしれない。
ちなみに今年はシリーズものに手を出したせいで、著者別登録ランキングは、原田マハさんの後ろを中山七里さんと知念実希人さんが猛追している…( •̀ㅁ•́;)
『会場のいちばん真ん中の席に、父がゆっくりと腰を下ろす。その瞬間、ふっと、もうひとりの誰かが、その隣に一緒に腰かけるのが見える気がした。』
正直映画には疎くて、劇場 -
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読んでいる途中に、映画化していたことを知って、そこから相馬凛子が中谷美紀さんの印象でしかイメージできなくなっていった。
生きている人間とは思えないほど、凛子は濁ったところが一つもなくて、まさに物語の中だからこそ成立する人物像だったように感じた。
でも、政治についてそんなに詳しくない私みたいな読者にとっては分かりやすく、すんなりと入っていけてするすると読めた。
夫の日和も40歳手前に関わらず、めちゃくちゃピュア。現実にいたらなかなかの天然記念物だ。
とにかく真っ直ぐに正しいと思ったことを、正しく推し進めていく。それが正義として勝つ。
部分的にでも現実でそんなことが起きたらいいなと思わせてくれ -
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『深海魚』
『楽園の破片』
『指』
『キアーラ』
『オフィーリア』
『向日葵奇譚』
ほの暗さを感じる6編。
原田マハの『サロメ』が好きなので楽しみにしていたのですが、読み始めてみるとその暗さとも違う。
こんな原田マハは初めてだな~と。
テイストは好きなのだが、正直思ってたよりハマらず。
いつもは読むスピードが上がる原田マハ作品が、少しずつペースが落ちていってたのですが、後半2編は私好みで読みやすい。
そう思ってたら、前半4編は作家1~2年の頃の作品なのだとか。
そう知ったら読み直したくなってしまうのは、やはり原田マハが好きなのだ。
オフィーリアは芥川龍之介『地獄変』を下敷きに創作されたそう -
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なんて癒される本なんでしょう。心がほっこりする。しかも実話ベースの物語っていうのが良い。
沖縄のあたたかい人柄の人達とか、大自然とか、方言とか全部好き。憧れるし、羨ましい。
ラム酒ってあんまり飲んだことないなーって思ってたし、お酒にも詳しくないからよく分かってなかった。でもサトウキビから作られてたのと、モヒートにも使われてたんだっていう新たな発見も出来ました。そりゃ、あんなにたくさんサトウキビが収穫出来る沖縄の、ラム酒があってもいいよね。そこに目を付けたのが素晴らしい。お酒作りもこんなに大変なんだと言うことも知ることが出来ました。
主人公の情熱に、みんなが感化されたり、時には叱咤激励しな -
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19世紀後半のパリ。日本人画商林忠正の弟子としてパリにやってきた加納重吉は、無名画家だったフィンセント・ファン・ゴッホの弟テオドルスと出会い、交流を深めていく。主に重吉とテオの視点から綴られる、ゴッホの物語。
タイトルに惹かれて読んだんですけど、めちゃくちゃ泣いた。
私は絵画には詳しくないので、作品名が出てくるたびにネットで検索しながら読み進めていきました。ゴッホの絵は今ではとても有名で見たことのある絵がたくさん出てきたけど、ゴッホやテオはその時代の到来を待つことなく相次いで亡くなったという事実が悲しい。時代が追い付いてなかったんだな。でもその志はテオの奥さんが引き継いで、今に繋がっている。 -
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ネタバレ読んだ人を優しく包み込み、時に背中をそっと押してくれるような温かい本だった。
「ほんとうに弱っている人には、誰かがただそばにいて抱きしめるだけで、幾千の言葉の代わりになる。そして、ほんとうに歩き出そうとしている人には、誰かにかけてもらった言葉が何よりの励みになるんだな、って」
ほんとうにその通りなの。たった一言の小さな言葉がどれほど大きな力になることか。永遠に心に残り、背中を押し続ける。
私自身、周りの人の言葉で鼓舞されたり、救われた経験がたくさんある。
それでも、
一方で、相手が何気なく放った言葉を気にしてしまったり、自分がこれを言ったら相手はどう思うだろうか、とか、面白く話さなくて -
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またまた原田マハ作品を読みましたよ〜
「生きるぼくら」
作中にも出てくるこの言葉は、
今、ここで、支え支えられながら生きている
ということを、四季を巡る米づくりを通して表現されている言葉。
わたしも、今年一年すごくこれを実感しながら生きてきた。生かされてるって実感させられた。そして、自分の足でしっかり生きていこうと思わされた。それには、周りの人の支えやこれまで関わってきた人たちとのつながりが、たくさんあることに気づいたから。
そんなことを反芻しながら物語を読み進めていった。
そして何より、この作品に出てくるマーサおばあちゃんに会ってみたいと思った。聖母のような、町の母。暖かい人柄で親しみや -
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みんな、「好き」という感情が絶対的上等感情だと崇めがちだ。だが「ほしい」という感情がさらに純粋なものではないかと感じたことはないですか?比べたらことがなかった「好き」と「ほしい」の相対論。この2つは似ている感情だと勘違いしていました。小説の中では「好き」と「ほしい」のかけ違いや勘違いで恋愛に物語が発生し、「好き」と「ほしい」の合致で恋愛が成就していた。更にこの2つを掛け算で考えてみると複雑で面白い。「好き」だから「ほしい」と「ほしい」から「好き」は全然違う。例えば、メルカリをして世の中の欲に触れた時。「ほしい」から「好き」という感覚の存在に気づかされる。別に好きではないのにほしくなる!ほしくな
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文庫化した10年前に「映像映えしそう〜」と思いながら読んだ一冊。やはりというかようやくというか、最近映画化したのですね。というわけで再読。キラキラしていて、爽やかで、まさに沖縄の太陽と風のような物語。デビューしたてのマハさんの熱さと瑞々しさも伝わってきます。
ちょっとできすぎじゃないかと思うくらいドラマチックな展開だけど、これが実話だというんだからぐうの音も出ない。
1点惜しいなと思うのが、これから工場ができて、いざラム作りに取りかかるぞ〜わくわく!
という場面から一気に時計が進み、はいできました〜試飲!
ってなる話の運び。
いや、ラム作りの工程ぜんぶ吹っ飛ばしかい!
とツッコみたくなって