阿津川辰海のレビュー一覧
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館モノの殺人ミステリー。
高校生の探偵&助手が山火事に巻き込まれ、山中の館に一時避難を求めた。館に住む一家の他、別の避難者たちとともに不安の一夜を過ごした翌朝、邸内で変死体が発見された。事故なのか殺人なのか?殺人ならば犯人は一体誰なのか?刻一刻と山火事の炎が迫るなかで彼らを待ち受ける運命とは?
「探偵の資質・本分とは?」がテーマになっていて、真っ直ぐに真実を解き明かそうとする高校生探偵と、全体俯瞰した中での真実の位置づけを探ろうとする成人探偵の対比が面白いです。
サブキャラもなかなかの曲者ぞろい。
複雑なトリックで楽しませるというよりも、細かな観察事実を積み上げて真実に近づいていく推理展 -
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謎解きのための舞台設定と芝居がかった探偵役とその引き立て役、何故かこの場面に集まってくる脇役たちと、トリックありきの推理小説の舞台は整った。密室になる館に偶然起こった山火事が迫るという大掛かりな仕掛けで盛り上げていくのは王道の推理小説かもしれないし、数々の名作もそういうところはあったと思うが、出てくる人達の心理的なやり取り、葛藤、策略や仕掛けの裏に潜む人間らしい気持ちみたいなところの描かれ方を楽しみたい自分には中盤ですでに疲れていた。
てんこ盛りすぎる小説はダメと思いたくなる自分的好みではちょっと残念。高校生の2人と共に館からの脱出方法を見つけ出していく人たちは結構好きかもしれないけどなぁ。エ -
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某国に隕石が落ちた後、地球上に100名の「コトダマ」を使う異能者が誕生した。能力を隠す者、仕事に活用する者、そして当然ながら犯罪に用いる者もいた。警視庁はコトダマ犯罪に特化した特殊な部署を創設する。そんな折、、「燃やす」のコトダマを使ったと思しき殺人事件が発生する。
SF的な特殊状況下でのミステリ。相手の能力を探りつつ戦うという、ジョジョやヒロアカなど、設定自体はよくあるが、ミステリ要素が高いのと、コトダマの条件がなかなか面白い。
至るところにわかりやすくヒントを散りばめ、ある程度までは容易に答えを出せるようにし、最後に一捻りを加えているのは、この作者の他作品と同じである。
本書は長い物 -
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作家と訪問者の行き詰まる神経戦を発端に、読者の認知を極限まで揺さぶる「騙り」の大逆転劇。
奇想に満ちた短編集。
コロナ禍を背景にしたミステリ4作が収められた短編集です。
どの話も趣向に富んでいてバラエティ豊か。
ミステリの話がそこかしこに出てきて、若干衒学趣味的な雰囲気も感じますが、作者さんのミステリに対する知識や愛もよく分かり、被害者も出てるのでちょっと不謹慎ですが、コメディ色強めで楽しいです。
作中に名前が出てきたミステリも読んでみたい。
個人的には、ミステリの「犯人当て」を入試に組み込んだ『二〇二一年度入試という題の推理小説』と、全日本学生プロレス連合の総会で事件が起こる『六人の激 -
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シリーズ3作目となる本作。山火事、水害と続き、今回は地震で生じたクローズド・サークル下で起きる連続殺人である。
事件に巻き込まれたかつての名探偵が推理することを拒絶するなか、現在の名探偵のワトソン役である僕が探偵役をせざるを得ない状況に。一方、現在の名探偵もまたサークルの外で起きた事件に巻き込まれていた。
ミステリを読み慣れた読者なら、半分も読めばおおよその物理トリックは解けるだろう。著者は明らかに読者がトリックを解けるように誘導して書いている。何なら登場人物リストを見ているだけで、それよりも手前の段階で犯人まで予想できてしまう。
本書は往年の新本格へのオマージュである。見取り図を参照し -
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シリーズ3作目
相変わらず「探偵」「探偵」うるさい。
小学生が「江戸川コナン、探偵さ (キリッ」っていうのを
大の大人がやってるのはなかなかアレだ。
そして、出てくる「探偵」がそんな自分に酔ってる。
「探偵ってとても辛い(でもそんな自分かっけー)」みたいな。
前作が葛城の「探偵としての復活」で
今作は飛鳥井の「探偵としての復活?卒業?」らしい。
「探偵」やるのってそんなに他人に「つれーわ」アピールしないといけないのか?
読み手側もつれーわ。
飛鳥井、主人公たちを呼びつけといて終始不機嫌で
最終的に、物凄い数の死者を出しながら「探偵として復活!」って、もう何が何だか。
探偵というのは、古今 -
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30年前の国民的刑事ドラマ『左右田警部補』。最終回目前に、主演俳優・雪宗衛が妻殺しで逮捕され、打ち切りとなる。雪宗は無罪を勝ち取るも世間の目は厳しく疑惑は完全に晴れなかった。時を経て、同様の手口の殺人が起き、関係者の時間が再び動き出す。
阿津川さんのミステリーが好きで手に取りました。
今作は過去の事件と現在起きた事件に大きく関わる雪宗衛という人物が、白なのか黒なのか追っていくストーリーですが、中盤までスローペースで進む印象でした。ある人物が被害に遭ってから物語が動き出し、そこからは面白かった!某有名な刑事ドラマがモデルなんでしょうね。阿津川さんの作品はこれからも追っていきたいです。